そう言われたら、「リンリン」とか「チャリン、チャリン」などと答える人がほとんどではないでしょうか。つまりベルの音です。自転車の本質とは関係ないような気もしますが、他に適当な音もありません。普通は、間違っても、「スーッ」とか「サーッ」といった走行音や風切音を答える人はいないはずです(笑)。
道路交通法によって、自転車には警音装置の装着が義務付けられているわけですが、そのほとんどが、いわゆる「ベル」だと思われます。ただ、道交法では装着を義務付ける一方で、危険を防止するためやむを得ない場合を除いて、警音器を鳴らしてはいけないと定めています。
一昨年くらいでしたか、イギリスで自転車利用者にベルの使用を義務付ける条例案が提示されて話題になったことがあります。自転車に乗る人は、歩行者に自転車の接近を知らせるためのベルの使用を義務付け、違反者には最高約50万円、または最長2年の禁固刑を科すというものです。
ベルの装着ではなく「使用」です。つまり、これが現実になると都市部で自転車に乗る時には、ひっきりなしにベルを鳴らし続けなければなりません。何千万台という単位の自転車の順守をいちいち補足することも不可能ですし、事故防止が目的とは言え、あまりに非現実的な法律だとやり玉に上がっていました。
さすがに、その後の報道は見ませんので、成立しなかったのでしょう。そんな例もあることを聞けば、日本の法律も「警音器を鳴らし続けなければ違反」でなく、「むやみに警音器を鳴らしたら違反」で良かったと感じます。自転車に乗るたびに指が疲れて大変です(笑)。
ただ、法律上は事故防止以外に使ってはいけないとは言え、その境は微妙ですし、実際には歩道などで、歩行者に道を譲らせるために使っているような人も多いのが実情ではないでしょうか。自転車の原則車道走行や、歩道の歩行者優先など、道路交通法も知らなければ、マナーにも無頓着な人がいることは間違いありません。
自転車に乗る人にしてみれば威嚇する意図はなく、単に追い越しを知らせるつもりだったとしても、歩行者からすれば、邪魔だと言われているように聞こえる人も多いでしょう。事実、ベルが元で傷害事件にまで発展した例もあります。おそらくニュースにならないだけで、全国でトラブルは起きていると思われます。
歩道上で歩行者に「どけ!」とベルを鳴らすのは論外ですし、もちろん、良識あるサイクリストはやらないと思います。ただ、狭い道などでベルを鳴らすことなく、歩行者の後ろに音もなく迫れば、かえって驚かれたり、不審に思われることがあるかも知れません。
追い抜きたい時には声をかければいいとしても、自転車同士も含めて、その前の段階から何かスマートに接近を知らせる方法があればいいなと思う時もあります。
ベトナムじゃありませんが、オートバイではないので、排気音が出るわけでもなし..。と、もしかしたら、ここではたと思い当たる人があるかも知れません。
私は知らなかったのですが、写真のようにスポーク部分にトランプカードを差し込んでペダルをこぐと、オートバイに似た音が出るそうです。子供の頃にやったという人もあるかも知れません。もし初耳だったら、ぜひ試してみてください。私も早速やってみました。
なるほど、確かにオートバイの排気音の感じが出てます。しかも、ペダルをこぐスピードを速くすると音も高くなります。止まっている時のアイドリングは無理ですが、ゆっくりの時は、回転数の少ないエンジン音のように聞こえなくもありません。子供にとっては面白い遊びですが、なんとそれを商品にしてしまったのが“
TurboSpoke”です。
音を出す仕組み的にはトランプ一枚あれば足りるわけですが、イミテーションのマフラーを装着することで、ビジュアル的にも子供を満足させるわけです。もちろん電源など不要です。オートバイに憧れる年頃の子供が、自分の自転車をアップグレードするには持ってこいの商品です。ただ、大人が使うにはちょっと無理があります(笑)。
たまに見(聞き)ますが、鈴とかクマ除けのカウベルなどを自転車に装着している人もいます。サイクリングロードなどで、歩行者が歩いている場合、あるいは自転車同士、別に危険でなくても、音もなく抜くと驚かれることもありますので、小さな音をさせていれば親切でしょう。不要な時に音を消すためのケースも売っています。
一方、本当に危険回避のためにベルを鳴らしても、最近はイヤホンなどをして大音量で音楽を聴きながら自転車に乗っている人もいて、普通のベルでは力不足で気付かないこともあるかも知れません。写真の「PHILメガホーン」は、ホイッスルサウンドの警笛です。クルマにも音が届くといいますから、相当な音量のようです。
圧縮空気で鳴るホーンもあります。リンク先のページではポート用品などとなっていますが、発売元のアメリカでは自転車用品として売られています。大音量なので、さすがに不用意に歩行者や自転車向けに鳴らすわけにはいきませんが、対クルマの警笛が必要な場合などに装着する人もいるのでしょう。
大音量と言えば、女性や子供が暗い夜道を帰る場合などに、防犯ブザーを持つことがあると思います。そのブザーを自転車に装着するタイプのものもあります。ヒモを引き抜くと大音量の防犯ブザーになりますが、ブザーボタンもついていますので、七色に光るLED付きの緊急用ホーンとしても使えるわけです。
自転車に子供を載せたお母さんなら、安全により気を使うでしょう。危険回避のためベルを鳴らすことも多くなるかも知れません。しかし、前乗せタイプなら子供の耳元でベルを鳴らすことになり、子供の耳によくありません。そこで、手元から離れた場所で鳴るベルもあります。ベルやホーンと言っても、いろいろなタイプがあるものです。
人によって、あるいはよく通行する場所の環境によっても、ベルの使用頻度はかなり違ってくるのかも知れません。守るべきルールやエチケットを心得ずにベルを鳴らすのは避けるべきですが、いざという時、錆びて鳴らないのも困りますので、たまには確認しておくべきでしょう。
スポーツバイクで車道を通っていても、自転車だと遅いと錯覚するのか、いきなり車道を横断し始めようとする人がいたり、安全も確認せず脇道から合流しようとする自転車がいたり、とっさの危険回避のためには、やはりベルは欠かせません。時と場合に応じて、うまく「音」を使いたいものです。
しかし、ここへ来て寒い日が続いています。こう寒いと、どうしても故障しやすくなりますので、自転車に乗る時はウォームアップを念入りにしたほうがいいですね。汗をかいた後の風邪ひきも警戒しなくては。
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秩序と安全を取り戻すために
携帯電話やヘッドホンで音楽を聴きながらの走行は禁止される見込み。
トラブルを未然に防ぐ気持ち
自転車のベルを鳴らしたが為に、トラブルになるのもバカバカしいだけ。
すみませんが抜かせて下さい
自転車のベルが原因で傷害事件に発展した例が報じられたこともある。
こんばんは。待っていました「音」特集!(笑)なるほど、カードを差し込むのは初めて知りました。メッセンジャーがこのようなカードを差したホイールで走っているのを見かけますが、この事でしょうか?さて、ベルでは危険を感じ、メガホーンを使って半年が経過します。が、これまで鳴らしたのは僅か3,4回。月で割ると1回以下です。まあ鳴らさないに越した事はないのですが、無いといざという時には困ります。これは推測ですが、もしかしたら私自身、”メガホーンを付けている”安心感から、走行に余裕が出来たのかもしれません。しかしこのメガホーン、色を黒にしてボタンのリード線も延ばせば、かなり支持が得られると思います(ボタンが邪魔で、リラックスポジションが取れません!笑)
こんにちは。レスを頂いた翌日、早速2回も鳴らしてしまいました(笑)一回目は、車道の第二車線を(それも交通量の多い危険な心斎橋エリア)をママチャリで走っていたミニベロ…二回目は片側1車線の真ん中を堂々と爆走していたママチャリ相手です。二回とも、後ろから車が猛烈に来ていて、私も回避できない状態だったので止む無く鳴らしました。私の危惧したとおり、自転車は車道へ→とにかく車道なら問題無い、という意識がにじんでおりました。はぁ…。
ところで、サイクルロードさんは練習会等には参加されていますか?良かったらどうかと誘われたのですが、どうしようか迷っています。自分のペースで走る通勤専門レーサーですので(笑)