February 28, 2008

自転車と道路のわずかな接点

2月も末となり、少しずつ暖かい日も増えてきたようです。


そうは言っても北日本などでは、まだ多くの積雪があり、なかなか自転車で出かけられるような路面状態ではないでしょう。先日の読売新聞の写真コラムに、自転車のスパイクタイヤの話題が載っていました。


道路がカチカチに凍る北の大地で、自転車のスパイクタイヤが静かな人気を呼んでいます。1本1万円から2万円と、通常のタイヤよりも2倍以上の値段がします。だが、金属製のピンが取り付けられたタイヤなので、歩くのさえ難しいような路面でもスムーズに進みます。

マウンテンバイクに取り付け、通勤や趣味で利用するが多いということです。〈原文のまま〉スパイクタイヤを禁止する法律や条例では、125CC以下のバイクや自転車は規制対象外。転ばぬ先のツメでしょうか?〈2008年2月26日〉


このブログでも以前取り上げたことがありますが、積雪の中でもスパイクタイヤを履いて走行するサイクリストが、少しずつですが増えているようです。雪の積もらない地域の人なら、この記事を見て、わざわざスパイクタイヤまで履いて寒い中、自転車を使わなくてもと思う人も多いのではないでしょうか。

スパイクタイヤ私も住んだことはないので、あまり詳しくは知りません。ただ、夜間に積雪があると、翌朝クルマで出かけるにも、雪かきをしたり、フロントガラスの凍結を溶かしたり、エンジンを暖めたりなど大変で時間もかかると言います。自転車の方が素早く出かけられて便利なのかも知れません。

ただ、普通のタイヤでは滑ってしまうのは確かとしても、果たしてスパイクタイヤを履けば、本当に滑ったりしないものなのでしょうか。特にカーブでアイスパーンのようになっていたら、転倒しないものなのでしょうか。私はスパイクタイヤで走ったことはないので、どんな感じなのか、ちょっと分かりません。

例えマウンテンバイクの比較的太いタイヤだったとしても、接地面積はわずかなものです。その僅かな面積に打たれた鋲がスリップを防ぐわけでしょうけど、重量も軽いので空回りせずに、きちんとスパイクのピンが噛んで進むのだろうかと思ってしまいます。

以前、確かクルマのタイヤのコマーシャルで、「タイヤは命を載せている」というキャッチコピーがありました。ふだん、普通の路面であればタイヤと路面の接地なんてあまり意識しないと思います。ですが、自転車のタイヤだって命を載せていることには違いありません。

クルマは、わずかハガキ4枚分の面積でボディを支えているというのもあったと思います。自転車は、と言えばわずか切手2枚分に過ぎません。普通のタイヤもスパイクタイヤも、その僅かな面積でタイヤがきちんと路面を捉えてくれるからこそ、快適に走行できるわけです。

空気圧も大切です。スポーツバイクに乗っている人には少ないと思いますが、街で見かけるママチャリやシティサイクルに乗ってる人の中には、随分少ない空気圧で走行している人も見ます。乗り心地やスピードだけでなく、タイヤの性能を活かせず、タイヤの側壁に亀裂が入ったり、スネークバイトなどのパンクにもつながります。

折りたたみホイール折りたたみタイヤ

さて、こうした観点からすると、この発明も違った見方になってくるかも知れません。自身もマウンテンバイクの熱心なユーザーであるDuncan Fitzsimmonsさんが作ろうとしているのは、タイヤ部分も折りたためる自転車です。折りたたみ自転車はあまたあれど、タイヤまで畳む自転車は聞いたことがありません。

折りたたみ自転車は小径車である場合が多いと思いますが、タイヤが小さいと、どうしても走行性能は低くなります。まだ開発段階ですが、通常サイズのタイヤを使ったハイエンドな折りたたみのシティサイクル、もしくはメッセンジャータイプの折りたたみのロードバイクをつくるのが目標だと言います。

カーボンファイバーを使って折りたたみホイールを製作し、折りたたみ自転車の長年の課題である走行性能と可搬性という相反する二つの要求を実現しようとしているのです。電車の網棚や飛行機のロッカーなどに収納できるよう、折りたたみ時にゴルフバッグほどの大きさにすることを目指しています。

crossbreedFolding Bicycle Wheel

フォールディングバイクでタイヤまで折りたたむというアイディアを誰も考えつかなかったというより、それによって犠牲になるものも大きいと考える人が多いのではないでしょうか。つまり、ホイールを折りたたむことで、タイヤの真円性が損なわれ、ブレが大きくなるなどして、乗り心地や安定性、そして安全性が失われるとの懸念です。

ホイールの素材や加工技術も飛躍的に進歩していますから、あるいは実現できるのかも知れません。しかし、ゴムの部分も問題です。スポーツバイクレベルの空気圧なら、そう簡単には鋭角に曲げられないでしょうし、曲げればタイヤに大きな折り曲げ荷重がかかります。偏摩耗などのトラブルを誘発しかねません。

ホイールまで畳めるフォールディングバイクというアイディアは魅力的です。しかし、折りたたむことによる問題は、ホイールだけでなくタイヤにもあるわけです。走行性能や乗り心地、何より安全性を考えると、果たして実現するのか、あるいは実現しても問題ないのか気になるところです。



スポーツバイクに乗っている方なら、タイヤのチョイスをいろいろ考える人も多いでしょう。余談ですが、世の中には、タイヤの溝の模様にこだわる方もいるようです。なんとキティちゃん模様です。海外にもファンが多く、大人にも愛好家が多いとは聞いていましたが、タイヤまで!という感じです。

ハローキティ・タイヤ

信号待ちで隣に止まっても、言われなければまず気がつきません。水たまりを通ったすぐ後でもなければ、道路にも跡はつかないでしょう。雪道なら跡は残りそうですが、ピンもついていないので、雪道走行ができるとは思えません。強いて挙げれば、ちょうどいい按配にぬかるんだ細かい砂地の道くらいでしょうか。

20インチのものもありますが、26インチですから、れっきとした大人用です。日本のキャラクターが海外で人気があることは知っていましたが、タイヤにまでなっているとはサンリオ恐るべしです。探せばドラえもんや、ピカチュウの溝のタイヤもあるのかも知れません。

タイヤまでたたむ自転車

自転車でも、冬タイヤに履き替える必要のない地域は恵まれているわけです。スリップにも、あまり気を使わないで済みます。しかし、その分タイヤには無頓着な人も多いのかも知れません。ふだん、気にしないタイヤですが、その選択、性能や状態が走行に密接にかかわっていることは間違いありません。

せいぜい空気圧をチェックする程度かも知れませんが、たまには表面の摩耗や傷などもチェックしたほうがいいでしょう。もちろん異物が刺さっていないかなどは、走行後に毎回チェックするのが望ましいです。安全や未然のトラブル回避のためにも、たまにはタイヤに目をむけてみるのもいいのではないでしょうか。



三寒四温で暖かい日も増えますが、花粉症の方はつらい季節の始まりのようですね。今年は特に東日本で多いとか。雪の中で乗る方がマシだという方もいらっしゃるのかも知れません。

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この記事へのコメント
こんにちは、

岩手では結構?冬用タイヤはありますよ、

スパイクはお目にはしてませんが金属のリベットとかを打ち込んだタイヤとか、

普通自転車用のやわいゴムタイヤ等とか売ってます。

効果の程は知りませんが、冬はスリップしまくっているのでいつか付けてみたいですね〜




Posted by 田舎者 at February 29, 2008 08:41
自転車で凍った道を走る時に危ないのは、ブレーキをかける時なのです。
それを考えるとスパイクタイヤは有効かもしれません。
一番有効なのは、道路の細かい氷の凹凸を除去してくれることですね。
あと、出発前にエンジンを温めるとか、どんなに手間がかかっても、自動車の方がいいと思います。なんせ走行中に手が凍る思いをしなくていいですから。
Posted by maksim727 at February 29, 2008 12:49
田舎者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
よくありますか。冬用タイヤを装着する人は、やはり増えつつあるのかも知れません。スパイクタイヤとは呼ばずにスタッドタイヤなどと呼び方が違ったり、冬用タイヤということでは、種類もいろいろあるようですね。
雪や路面状況によっては、必ずしもスパイクがいいとは限らないでしょうし、スリップには強いのでしょうけど、通勤などで冬もコンスタントに雪上で自転車を使う人でないと、なかなか冬用タイヤに替えないかも知れませんね。
Posted by cycleroad at March 01, 2008 19:48
maksim727さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
なるほど。ブレーキは確かに怖そうですね。圧雪とか、水分を含んだ雪とか、アイスバーンとか、路面によっても効きは違うのでしょうけど、やはり安心感が違いそうです。
氷の凸凹ですか。ちょっとした「わだち」なんかでも滑りそうで神経使うのでしょうね。想像だけですけど..。
スキー場でリフトから手袋を落した経験があるのですが、関東などで手が冷たいのとは桁違いのつらさでした。それこそ雪でも降っていたら泣きたくなるのは想像つきます。やはり、雪の中で自転車に乗るには、相当の覚悟がないと厳しいのも間違いないのでしょうね。
Posted by cycleroad at March 01, 2008 20:22
 
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