March 26, 2008

笑ってばかりもいられぬ現実

英国放送協会BBCのサイトに写真の記事が載っていました。


その記事、“Crazy cycle lanes”には、ちょっと突拍子もない自転車レーンが紹介されています。私達も日々自転車で走っていますと、サイクリングロードの不備や、走行する道路の不思議な箇所に出くわしたりします。当たり前と言えば当たり前なのかも知れませんが、これは日本だけのことではないようです。

この記事の元になった“Warrington Cycle Campaign”というサイトには更に多くの自転車レーンの写真が掲載されています。必ずしも変なレーンばかりという訳ではありませんが、中には首をかしげたくなるようなものも見受けられます。

電話ボックスポール

せっかくのレーンなのに、どうしても電話ボックスは動かせなかったのでしょうか。右は駐車をさせないためのポールだと思いますが、わざととしか思えないような配置です。

柵標識

後から柵を立てたとしか思えません。右も、なぜ木や標識のほうへレーンを曲げる必要があるのでしょう(笑)。

マーク車止め

自転車のマークの位置が微妙です。右のような車止めもよくありますが、みな芝生のほうを迂回しているようで、設置する意味が微妙です。

多すぎ柱

車止めを配置したい意図はわかりますが、レーンの中まで必要なのでしょうか。それとも車止めが余ってしまったのか..。右のは、ペイントの位置が悪いのか、ガードポストの位置が悪いのか..。

迂回路内側

レーンを設置する側も、どうしても通らせたいルートがあるようです。

メンテナンス埋もれる

メンテナンスがなされていないと、なくなってしまうレーンというのも..。

通せんぼクルマ優先

いろいろ都合があるのでしょう。クルマ優先とか..。

終わり終わり

唐突にレーンが終わってしまうというのもあります。まさか塗料が切れたなんてことはないでしょうけど、ここで終わる必然性とは..。

中断END

いろいろ理由はあったのでしょうけど..。

行き止まりここまで

どこへ行けと言うのでしょうか..。

立ち往生?曲った先

中央のレーンというのも珍しいですが、いきなり途切れているのも..。

細い

いくら幅がとれなかったからと言っても、模型を走らせるわけじゃないんですから..。

ハンプ

この写真ではわかりにくいですが、自転車レーンにハンプと呼ばれる凸凹がつけられています。通常はクルマの速度を落とさせるために車道につけられるものですが、ここでは自転車レーンにつけられています。つまり、自転車のスピードが出すぎて危なくないように、ということです。なんて市民思いなんでしょう(笑)。

降りよ

こちらの自転車レーンは、市民の心臓病や高血圧、肥満などを減らすことに力を入れているエセックス州議会が、有酸素運動であるサイクリングを奨励するために設置されました。しかし、ここは緩やかに傾斜しているため、一生懸命ペダルをこがなくても惰性で走れてしまうことが発見されました。

そこで、なんと、こんなにもたくさんの「自転車を降りろ」という看板が設けらました。つまり、惰性で走るくらいなら、健康のためには自転車を押して歩いたほうがマシという考えです。きっと市民も州議会の配慮のありがたさに涙が出ることでしょう(笑)。

一般的に、クルマの通る車道に事故を誘発するような重大な欠陥でもあれば、すぐに問題となって補修されるでしょう。しかし、自転車レーンだと、なかなか改められないことが多いと思います。仮に事故がおきても本人の不注意で片づけられるか、せいぜい注意看板が取り付けられるくらいのものでしょうか。

そもそも自転車レーン自体、現在ある道路に場当たり的に付加されたようなものが少なくありません。また、自転車にあまり乗らない人が設置を決めたり、現場で施工したりしていることもあるに違いありません。まだ自転車そのものが、都市交通として現実的な手段だと認知されていない部分も大きいでしょう。

そう言えば、以前こんな写真も取り上げた。一方、レーンを使う市民にしても、こんなものだという意識も小さくないと思われます。日本では自転車を、せいぜい最寄駅までのアシとしてしか見ていません。例え自転車レーンに不備があっても、それを指摘したり改修を求めたりする声など、なかなか上がらないのも確かです。

自転車レーンなどのインフラ、走行空間の整備が進まないと、本来の自転車のポテンシャルも発揮できず、その実用性もなかなか理解されません。理解されないと、自転車レーンの「質」をもっと上げるように求める要望も起きません。このあたりはニワトリと卵のようなもので、歯がゆいところです。

しかし、BBCにこうした自転車レーンの記事が載るのも時代の趨勢と言えそうです。地球温暖化防止が大きな課題となる中、世界各地、特に先進諸国の都市部では真剣に自転車の活用が模索され始めています。自転車レーンに対する注目も高まっています。

日本でも、つい一昨年くらいまでは、自転車レーンなんて話題にも上りませんでした。それが、最近は歩道上での自転車と歩行者の事故急増などを受けた警察庁の方針転換などもあり、少しずつ話題にも上るようになってきています。案外、自転車レーンの整備も急速に進むかも知れません。

日本にも、これらの写真にあるような、おかしなサイクリングロード、首をかしげたくなるような自転車レーンも、たくさんあるでしょう。ただ最近は自転車が注目されて、活用する人も増え始めており、思いのほか自転車の走行空間の整備が進むかも知れません。昔はこんな道路もあったんだなと笑ってふり返るようになりたいものです。



ひどい事件が連続していますね。電車のホームにも安心して立てたものじゃありません。なぜ、こんな無差別殺人をする人間が現れるのか、現代の病巣は深いと言わざるを得ないでしょう。

関連記事

市民参加がもたらす街の将来
日本経済新聞のコラムでも、自転車レーンについて取り上げていた。

どの新聞のどこの面に載るか
ウォールストリートジャーナルも、自転車レーンについて書いている。

ただ舗装するだけでいいのか
やはり、自転車レーンをただつくればいいという時代ではないだろう。


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この記事へのコメント
はじめまして。
なんだか、ひどいですねぇ・・。
ビックリしました。
わたしの掲示板からもこちらを紹介させていただきます。
Posted by エディ at May 30, 2008 07:12
エディさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
クルマが通る車道にこんな不備があったら、大問題になりそうですよね。それが自転車となると、こんないい加減な場所が許されてしまう(このように放置されてしまう)のはなぜなんでしょうか。
Posted by cycleroad at May 30, 2008 23:05
結局公道の自転車は迷惑ってことでしょう。
日本にも奇妙なコスプレをして「トレーニング」などと称してドライバーに多大な迷惑をかけている連中がいますね。(彼らがコケたら後続のドライバーの人生は終わりなのに)
結局自己完結して周りを省みない人間は社会にとっては害悪でしかないわけで、彼らは腕力の無い暴走族と言えるでしょう。
Posted by 裏道ポタリスト at March 30, 2010 18:24
裏道ポタリストさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
公道で自転車に乗れないとなると困りますが、車道を法律に則して走行していても、迷惑に感じる人はあるでしょうね。
歩道を歩く歩行者にとっても暴走する自転車は迷惑です。自転車に乗っている人だって、クルマに乗った途端、自転車が迷惑に感じることだってあるかも知れません。むしろ、そのためにも自転車レーンが有効なのではないでしょうか。
ルールや周囲への迷惑を顧みない人の肩を持つつもりはありませんが、ルールやマナーをわきまえない迷惑な人については、自転車レーンとは、また別の問題だと思います。
Posted by cycleroad at March 30, 2010 23:29
 
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