August 05, 2008

ビジネスシーンでも自転車を

この夏も厳しい暑さが続いています。


炎天下でも、自転車に乗っての走行中は風を受けるので、そのぶんは暑さも軽減されます。最近のウェアは乾きが早く、風で蒸発するので、あまり汗をかいていないように感じることもありますが、実は大量に水分が失われていることが多く、早めの水分補給などで、熱中症の危険には十分気をつけなければなりません。

ただ、最近のウェアでも、リュックを背負うと、背中とリュックとの間の汗が乾かなくて不快だったりします。ママチャリであれば、前カゴか後ろの荷台にバッグを積むことも出来ますが、スポーツバイクはそうもいきません。私は自転車に乗る時、荷物の量に応じてリュックやウェストバッグ、メッセンジャーバッグなどを使い分けています。

ウェストバッグではほとんど何も入らないのでリュックを使うのですが、この時期のリュックは、どうしても背中に汗をかくのが難点です。そもそも、スポーツバイクで荷物を運ぼうとするのが無理という話もありますが、ちょっとした荷物なら自転車で出かけたい時もあります。

半袖ジャ−ジ半袖ジャ−ジサイクルTサイクルT

そう言えば、以前、街かどで前カゴを取り付けたマウンテンバイクを見たことがあります。それも量販店で売っているような、「なんちゃってMTB」ではなく、名の通ったブランドの本格的なモデルです。そのアンバランスさに思わず笑ってしまいましたが、考えてみれば、気持ちはわからないでもありません。

ちょっとした街乗りにもスポーツバイクを使いたいけど、荷物があまり積めないのが不便と感じている人もあるはずです。それなら、荷物がたくさん運べるママチャリにすればいいという考えもありますが、格好は悪いが、前カゴをつけてでもMTBを使いたかったのでしょう。

スポーツバイクのハンドルやサドル、シートポストなどに専用のバッグを取り付ける手もあります。ツーリングなどの際には便利ですが、近場で買い物をしたり、ちょっとカバンを持って出かけるくらいの時は、その都度着脱するのが面倒だったり、必ずしも使い勝手が良いとは限りません。

ライダーパックモジュラーケージニューサーモボトルワンタッチ折畳みバスケット

私は折りにふれ、ママチャリの短所を強調するようなことを書いています。しかし、ママチャリの実用性の高さについて認めるのには、やぶさかではありません。経済性が高く頑丈ですし、泥除けやチェーンカバー、スタンドにライトなど「フル装備」です。そして、何と言ってもたくさんモノを運べます。

実際、短い距離、最寄り駅くらいまでで使うなら最適かも知れません。でも、少し長い距離を乗るとなると不便になってきます。重量が重く、タイヤも太いのでスピードが出ません。スポーツバイクと比べると、坂を登るのもたいへんです。アップライトな姿勢なので長く乗るとお尻が痛くなったりします。

何度も書いていることですが、ママチャリは長所も多い反面、自転車本来の軽快さや速さ、長い距離の走破性、楽しさをスポイルするような部分が多いのは否めません。本来の自転車は、もっとポテンシャルが高いのに、日本ではママチャリが大部分なので、せいぜい最寄駅までのアシとしてしか使われていないのが実態でしょう。

サドルバッグツーリングフロントバッグサイドバッグフリーパックスポーツ

そうしたママチャリの短所もあるので、街乗りにスポーツバイクを使いたい人もいるはずです。ただ荷物を運ぶことを考えると、必然的にママチャリや実用車になってしまうようです。例えば、銀行や信用金庫の人が大きなカバンを載せて、営業などに自転車を使っている場面を見ますが、ほぼママチャリか実用車です。

スーツだとスポーツバイクに乗りにくいというのもあるかも知れません。エリアが決まっているので、そう遠くへは行かないなどの理由もあるのでしょう。でも、なかにはスポーツバイクを使うと便利な人、営業エリアの拡大や、用途が広がるなどのメリットが出てくる場合もあるのではないでしょうか。

そんな時、この“Evo-Cycle”なら、大きなカバンもスマートに運べる点で魅力的です。フレームに装着したケースの中に荷物が入れられるようになっています。ケースからサッとカバンを取り出して運べますし、ケースごと取り外して運んだり、カート型で転がして運べるケースもあります。



デザイン的に優れているかは意見の分かれるところかも知れませんが、前カゴや荷台ではない荷物の運び方を示唆しています。前カゴにカバンを横に入れるのと違い、風の抵抗を受けにくく、ハンドルをとられることもありません。ひったくりに遭いにくいのも利点でしょう。

このEvo-Cycle、コンテストで入賞しプロトタイプとして製作されたようですが、実はこうしたコンセプトは珍しくありません。似たようなアイディア、考え方で、フレームに荷物を収納できるようにした自転車のデザインは、私もあちこちで目にしたことがあります。

自転車の構造から言っても、必然的にフレームのトップチュープ下のスペースを使うことになるでしょう。その意味で、決して目新しいアイディアではありませんが、あらためて動画で見ると便利そうに思えてきます。シティユースに欲しくなる人もあるのではないでしょうか。

Evo-CycleEvo-Cycle

リュックで運ぶような荷物はサイクルバッグなどを使う手があるとしても、書類を入れるようなカバン、アタッシュケースのような荷物を運ぶ場合、ママチャリの前カゴに入れるしかないというのでは、あまりに選択肢に乏しい気がするのは私だけではないでしょう。

ノートパソコンを持ち歩く人も、こんな自転車ならママチャリの前カゴに入れるより安心できます。荷物を持って乗りたいけど、ママチャリはちょっと..と自転車を活用しきれなかった人にも朗報になるかも知れません。荷物も運べる非ママチャリのスポーツタイプの自転車がないのが不思議な気さえしてきます。

通勤に使いたい人もいるでしょうし、会社に配備して営業などに使うことも考えられます。この原油高の折り、営業用のクルマを自転車に替えたいというニーズもあるに違いありません。こんな街乗り用のビジネス自転車があってもいいでしょう。

Evo-CycleEvo-Cycle

自転車はさまざまな種類が販売されています。数多くのタイプがあり、それぞれの用途、シーンで使われます。中には、それほどニーズの高くない車種もありますが、いろいろな選択肢のあるのがいいところです。そう考えると、このEvo-Cycleのようなタイプの自転車がないのはメーカーの怠慢のようにも思えてきます。

実際のところは、安いママチャリが氾濫する日本の自転車市場で、マーケティング的に成功するかどうかわかりません。しかし、ビジネスシーンでも自転車をもっと使おうという提案には意義があります。温暖化対策の上からも、自転車の活用を考える人が増えている今こそ、ビジネス向け自転車を売り出すチャンスではないでしょうか。



いよいよ北京五輪がせまってきました。北京との時差は1時間なので、今回は寝不足にならないところがいいですね(笑)。

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この記事へのコメント
 初めまして。

 様々な観点からの記事を楽しく読ませて頂いています。

 自転車を仕事で使おうと思うと車種が限られますね。
荷台があってどこでも走れて、雨の日も平気。しかもスピードも出る、なんてのは皆無に近いです。
私が探した限りでは、たった一車しかありませんでしたが、
えせドロップハンドルにするなどの改造で、オールマイティな
自転車になりました。

http://farmersatoh.cocolog-nifty.com/zakkicyou/2008/05/backfire_50_eq__a7f7.html

 でも、悲しいかな、この手の自転車は需要が極端に少ないと言うことですね。
Posted by ファーマー佐藤 at August 10, 2008 09:23
ファーマー佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに限られますね。おっしゃるように、結局は需要が少ないということなのでしょう。
ただ、自転車の場合、パーツの選択などにより、いろいろ性格の違う自転車が組めるのがいいところですね。本文に書いたようなフレームの形状までは、なかなか自由にならず、例えば荷物を効率よく運ぶには満足がいかなかったりすることもありますが、かなり融通は利くと言えるのでしょう。
荷物を積む場合でも、風の抵抗とか、重量のバランスとか、贅沢を言わなければ、いくらでも改造は出来ます。結局、どのあたりで満足するかということなのかも知れません。
もっと人々がビジネスシーンでも自転車を使い始めれば、いろいろ選択肢も増えてくるのかも知れませんね。
Posted by cycleroad at August 11, 2008 23:57
 
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