まず思い浮かぶのは自転車販売店でしょう。ママチャリなどをスーパーやホームセンター等の量販店で買う人が増えた結果、街の自転車屋さんの店舗数は、全国的に減少傾向にあります。しかし、ここのところの自転車ブームもあって、順調に売上を伸ばすショップも出てきているようです。
近ごろ増えているのはベロタクシーです。すなわち自転車による人力のタクシーですが、環境に優しく、のんびりとしたスピードが逆に好感されて、各地にお目見えしています。最近は観光地などに導入される例も多く、今のところ全国22地域で運行しているそうです。

大都市などでは自転車便、いわゆるメッセンジャーも見るようになりました。駐車違反の取り締まりの強化で、宅配便がリヤカーを牽引した自転車を使っているのも目にします。原油高の影響を受けないという利点もあって、都市部ではクルマを自転車に置き換える動きが見られます。
昔からある商売に、「自転車預かり業」という分野もあります。つまり駐輪場のことで、今では使われなくなった呼び方ですが、職業別電話帳などには分類として残っています。自治体などによる公営の駐輪場が増えた昨今、駐輪場が商売として存在することすら知らない人も多いでしょう。
昔、おそらく昭和の初め頃までは、今のような駐輪場が整備されていなかったこともあって、民家の軒先などで自転車を預かる商売、「自転車預かり業」が結構あったそうです。盗難防止もそうですが、駅前などでは駐輪が無法状態で、自転車が積み重なって取り出すのが困難になるなどの理由もあったようです。
最近は、ママチャリなどの自転車の値段がかなり安くなっていることもあって、盗難防止には無頓着な人も増えています。公設の駐輪場が増えたこともありますが、駅前などの利便性の高いところでは、地価も高くなって民営の駐輪場は採算が取れなくなっていることもあるのでしょう。
かく言う私も、実は、わりと最近まで「自転車預かり業」なる商売を知りませんでした。私の生まれ育った地域では既に無くなっていたので見たこともありませんでした。ただ、東京やその近郊などであっても、今でも個人経営などの民営の自転車預かり業が残っているところもあります。
そんな自転車預かり業も、前回取り上げたサイクルセンターような事例(下の関連記事参照)が日本でも出てくれば、それを何と呼ぶかは別として、新しいスタイルの民営自転車預かり業として今後出現する可能性があります。バイクステーションという新しいビジネスがブレイクするかも知れません。
パリの「ヴェリブ」のように、レンタサイクルを都市交通システムとして運用する都市も出てきています。基本的に自治体が主導ですが、運営は民間に委託され、受託企業は広告メディアとしても活用するなど、新しいタイプのビジネスとして展開しています。

一方、こんな自転車ビジネスがあってもいいのではと思わせるのが、イギリスの“
Specialbike”です。古い自転車の部品をクリーンアップしたり、交換したり、再塗装するなどして、新しい自転車に生まれかわらせてくれます。希望の仕様に組み替え、自分だけのカスタムメイドの自転車にもしてくれます。
イギリスであれ、日本であれ、使わなくなった自転車を物置の中に眠らせている人は少なくないはずです。そうした自転車を引き取ってもくれます。また、古くなった自転車をリフレッシュした再生自転車の中から、好きなものを選んで買うことも出来ます。
言ってみれば、自転車の買い取りもしてくれる中古自転車販売店です。自転車のリサイクルショップと言ってもいいでしょう。パーツを交換するなどして希望の自転車に仕上げてくれる工房でもありますし、ユニークな自転車を販売するカスタムショップとも言えます。
日本で流通している格安のママチャリだと、新しいものを買った方が安くなってしまうので、こうしたサービスは馴染まないと思います。ただ、最近日本でも増えつつあるスポーツバイクなどを対象とするならば、充分成り立つ商売なのではないでしょうか。

おそらく、使わなくなったスポーツバイク本体だけでなく、余って、いらなくなったパーツを保管しているサイクリストも少なくないでしょう。ネットオークションで個人売買する手もありますが、いつでも引き取ってくれるところがあれば便利です。眠っている自転車やパーツを活かすチャンスも広がります。
格安で払下げられた引き取り手のない放置自転車を再生して販売する店はありますが、自転車をリユース、リサイクルする市場は、もっとあっても良さそうです。ホコリをかぶって錆びついた自転車でも、すっかりリフレッシュしてくれるなら、また乗る気が起きるかも知れません。
時代が変化していく中で、当然ながら自転車関連のビジネスも変わっていくのは間違いありません。従来からある自転車関連のサービスだけでなく、新しく生まれる需要や始まったばかりのビジネスもあります。まだまだ埋もれている自転車ビジネスも、少なくないのかも知れません。
先月末から断続的に不安定だった空模様も、ようやく安定しそうです。やっと安心して走り出せそうですね。
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自転車を広告メディアとして使おうというビジネスも立ち上がりつつある。
Posted by cycleroad at 23:30│
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