
スポーツをするにも、行楽に出かけるにもいい季節です。
行楽シーズンに合わせて、各地でイベントなども盛んに開催されています。その中で、最近のブームも影響してか自転車に関連するイベントも増えているようです。この秋の自転車に関係するイベントを、ローカルニュースから拾ってみました。(記事がすぐリンク切れになることも多いので、引用しておきます。)
国内に現存する最古の自転車とされる「三元車」の発祥の地、福島県桑折町では「桑折サイクルフェスティバル」が行われました。同町を「自転車の町」として広めたいと考えているそうです。
最古の自転車「三元車」復元へ/発祥・桑折でフェス
国内に現存する最古の自転車とされる「三元車」の発祥の地、桑折町で28日、「桑折サイクルフェスティバル」が開かれる。三元車の復活事業が今年、国の「地方の元気再生事業」に指定され、町民の有志によるプロジェクトも動き出しており、フェスティバル実行委員会の羽根田建伸委員長(55)は「この機会に自転車の町として広めたい」と意気込んでいる。
三元車は木と鉄でつくられ、前輪が2つ、後輪が1つの三輪車。旧谷地村(現桑折町)の富農で村長も務めた鈴木三元が発案し、4年間かけ1876年に完成させた。三元の子孫、5代目鈴木三元さん(83)は「初代は57歳の時から製作を始めた。人生50年の時代に、新たなことに挑戦した気概はすごい」と話す。
この精神に共感したのが、羽根田さん。子供たちに伝え、広めたいと1993年、地元住民に呼びかけて第1回の「サイクルフェスティバル」を開き、町内の史跡を回るサイクリング大会などを行った。以来、毎年開催し、参加者は年々増えている。
こうした盛り上げにより、町民有志による三元車を復活させる企画が持ち上がり、今年は国の予算が付くことになった。桑折町には、鉄製のレプリカが1台あるが、木なども加えた精密なものを復元しようというものだ。メンバーは、設計図作りのため、国内で本物の三元車が唯一残る名古屋市のトヨタテクノミュージアム産業技術記念館視察などを行っている。
一方、羽根田さんは、例年のサイクリング大会などに加え、今回のフェスティバルで初めてフォーラムを企画した。5代目鈴木三元さんや自転車レーサーで映画監督の高坂希太郎さんを招き、三元車について語り合ってもらうことにした。羽根田さんは「多くの人に三元の精神を知ってもらい、町おこしにもつながれば」と話している。(2008年9月27日 読売新聞)
三元車と言うのは三輪だからではなく、鈴木三元という人が考案したからだとは思いませんでした。ドライジーネなどからの連想で、前輪が大きいのかと思えばこれは後輪で、腰掛けるようにして漕ぐのだそうです。リカンベントに通じる部分があります。
1876年、明治9年と言えば、ヨーロッパでミショー型やオーディナリー型の自転車が発明されて間もない頃です。そんな時代にすごいことです。今のように情報が入ってくる時代ではありませんから、独自に工夫した部分も多いのでしょう。確かに、こんな由緒があるのなら、町おこしに使わない手はありません。

福岡県北九州市では、競輪発祥の地ということから市民参加型の自転車イベントが企画されました。
競輪発祥地で自転車ツアー 北九州、1000人規模目指し
競輪発祥の地、北九州市で11月、愛好家から家族向けまで幅広くコース設定した市民参加型の自転車イベント「サイクルツアー北九州」が初めて開催される。
自転車の利用促進に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)「タウンモービルネットワーク北九州」などでつくる実行委員会が「車を使わない都市交通のあり方を考える機会にしてほしい」と企画。市外からも参加者を募り、1000人規模の大会を目指す。
長崎街道をたどる約140キロと約80キロの本格コースから、名所旧跡や風景を楽しむ約25キロと約5キロのコースまで4種類を設定。18歳以上の参加費は2500−1万円。タイムの計測はせず、一部のコースには小学生も参加できる。
北九州市は1948年に競輪が初開催された街として知られ、イベントのスタート地点となる複合競輪施設「北九州メディアドーム」は、国内で最も古い小倉競輪場の閉鎖に伴い98年に開業した。11月15日にプレイベント、同16日に本大会。(2008/09/28 共同通信)
イベントの詳しい内容はわかりませんが、「クルマを使わない都市交通のあり方を考える機会にしてほしい」というのは有意義な試みだと思います。一方、こちら国内トライアスロン発祥の地、鳥取県米子市でもユニークな大会が開かれています。
台車、子ども用自転車で疾走/商店街トライアスロン 28日、40人挑む
商店街は全天候型の競技場だ――。国内トライアスロン発祥の地・米子市の商店街で28日、「第1回DARAZ(ダラズ)トライアスロン世界大会」(NPO喜八プロジェクト主催)が開かれる。台車や子ども用自転車で疾走する選手の奮闘が、観客の笑いを誘いそうだ。
ユニークな作風で知られる同市出身の映画監督・岡本喜八さん(故人)に倣い、突拍子もない発想で街を元気にしようという「DARAZフェスタ2008」(27、28日)の一環。元町サンロードと本通りの2商店街を結び、米子の「米」にちなんだ880メートルのコースを設定。
台車に腹ばいになって進む「スイム」(185・5メートル)と、補助輪付きの子ども用自転車に乗る「バイク」(272・55メートル)、ボールを足に挟んで走る「ラン」(421・95メートル)に市民約40人が挑む。「運も実力のうち」と、コース途中の信号は操作しない。ランの途中には、地元名物のすしやどら焼きを平らげなければ通れない関門も。
企画した同NPOの判澤正大理事長(41)は「みんなで腹の底から笑って、街をにぎやかにしたい」。県トライアスロン協会長の築谷敏郎・元町通り商店街振興組合理事長(74)は「商店街でこんなユニークなイベントが開けるとは。ぜひ多くの市民に足を運んでもらいたい」と盛り上がりに期待している。(2008年9月25日 読売新聞)
本物のトライアスロンなら誰でも気軽に参加というわけにはいきませんが、これなら誰でも楽しめそうです。台車でスイムにしたところや、商店街をイベント会場、と言うより競技場にしてしまったところも含め、秀逸で面白いアイディアです。
福津三十六景:自転車でのんびり散歩 来月4日、イベント参加者を募集 /福岡
◇「福津三十六景」巡りゲーム
福津市で10月4日、サイクリングとゲームを楽しむ「自転車さんぽin福津 走ろう福津三十六景」が開かれる。市福津ブランド推進室などでつくる実行委員会は「環境に優しい自転車で市の名所旧跡を巡り、心を癒やしてほしい」と参加者を募っている。締め切りは26日。
地図に記された三十六景を含む26カ所の「お宝ポイント」を8カ所以上を回り、各ポイントにまつわるクイズに答える。ゴール後、訪問者が少ないと予測される8カ所を解答用紙に記入する。1〜3位に自転車関連の賞品を贈る。(後略)(毎日新聞 2008年9月25日)
こちらは、特に自転車にゆかりが深いわけではない福岡県福津市ですが、市内の名所旧跡を自転車で巡ってゲーム形式で楽しむイベントを企画しています。域内の名所旧跡を自転車で巡るコースをつくろうという動きは、ここだけではなく、全国各地にあります。
一つ一つの史跡の知名度、注目度は低くても、何箇所もまとまれば全体として観光客にアピールすることも出来るでしょう。コース巡り自体も新たに一つの観光資源になります。徒歩で回るには散らばり過ぎで、時間がかかって現実的でない場合でも、自転車を使えばコースになる場合も多いのではないでしょうか。
秋空の「サイクルトレイン」 11月、秩父で第3回イベント
西武鉄道と埼玉県秩父市は、自転車で秩父市内を巡る第3回「秩父サイクルトレイン」を11月16日に開催する。観光振興と電車の利用促進が狙いだ。西武鉄道が開催日に自転車のまま乗車できる臨時電車を運行し、東京都内や埼玉県西部からでも参加しやすくする。
臨時電車の定員は200人。池袋駅から西武秩父駅を朝と夕方に1往復する。途中停車駅は練馬高野台駅と秋津駅のみ。(中略)応募が多い場合は抽選し、10月21日にホームページ上で当選者を発表する。秩父サイクルトレインは56キロメートルを走る上級コースから30キロメートルの初級コースなど4つのコースがある。(9月27日 日本経済新聞)
観光客を呼び込むという点では、サイクルトレインも有力な手段でしょう。ふだんは行けない遠い場所でも、電車でアクセスして自分の自転車に乗れることから根強い人気があります。自転車で観光してもらうことで、徒歩やバスで巡るのとは一味違う、地域の新たな魅力を感じてもらえる可能性もあります。
イベントではありませんが、観光客を呼び込むためにレンタサイクルを整備する観光地も増えています。岐阜県中津川市では電動アシスト自転車を思い切って無料にしました。
電動自転車を無料レンタル 来月1日からJR中津川駅前で
中津川商工会議所は10月1日から観光客らを対象に、電動アシスト自転車10台をJR中津川駅前での無料レンタルを試験的に始める。無料貸し出しで旧中山道地区など中心市街地への集客力アップを目指す。期間は来年3月31日まで。同商議所は半年間の実績を評価した上で、無料レンタルを継続するか決定する。県内の観光地・高山市などはほとんどが有料で、県観光連盟は「無料でのレンタルは聞いたことがない」としている。
中津川市は坂が多いため、同市駒場の中央物産が製造した電動モーターを登載した電動アシスト自転車を使用。通常の自転車の半分程度の動力で済み、お年寄りでも楽に市内を回遊できるという。貸し出しは一人1回、4時間以内で、利用範囲は同市市街地とする。18歳以上の観光客、市民らが対象。(後略)(2008年9月27日 中日新聞)
行楽客向けではありませんが、「自転車フェスタ」に合わせて「自転車エコ通勤通学コンテスト」を開くのが前橋市です。「自動車王国」から「自転車王国」への転換を目指すという意欲的な目標を掲げています。
3人1組でCO2削減競う 通勤・通学は自転車で
地球温暖化防止のため「自動車王国」から「自転車王国」への転換を目指す前橋市は、三人一組で自転車による通勤・通学に挑戦し、二十日間の二酸化炭素(CO2)削減量(走行距離)を競い合う「自転車エコ通勤通学コンテスト」を開く。
CO2削減量の測定方法は、走行距離などが計測できるサイクルメーターという機器を市が無料で貸し出し、参加者が自転車に取り付けてCO2削減量に換算して申告する。挑戦期間は十月十五日から十一月五日。同月八日開催の「まえばし自転車フェスタ二〇〇八」(市などでつくる実行委員会主催)で、CO2削減量が最も多いグループ、個人、企業・団体を表彰し、自転車などをプレゼントする。
市はガソリン代を減らしたいと思っているマイカー通勤者の参加を特に歓迎している。担当者は「この機に車の利用を見直し、自転車の良さを感じてほしい」としている。今後も随時、同様のコンテストを開く予定。定員は百八十人。前橋市か富士見村に在住か通勤・通学する十八歳以上の男女が対象。十月一日から先着順で受け付ける。(2008年9月30日 東京新聞)
最近のニュース記事から、この季節に行われる全国各地の自転車関連のイベントなどを中心に拾ってみましたが、もちろん、ここに挙げたのはごく一部です。このほか、本格的なロードレースから市民参加のサイクリング大会まで、競技系のイベントなども数多く開かれます。

以前と比べるとスポーツバイクに乗る人も増えているせいか、そうしたレースやライドイベントも盛況のようです。大会数も増える傾向にあります。今まで一部の限られた愛好者のものだったレースやライドイベントも、ずいぶん一般的になってきたと言えそうです。
そんなレースやライドイベントも含め、自転車を使って観光客を誘致したり、町おこしに利用しようという試みは各地で増える傾向にあります。イベントは開かないまでも、自転車で観光名所を巡るコースをつくったり、レンタサイクルくらい整備しておかなければ、他の地区に見劣りしてしまうとの意識が働いているのかも知れません。

直接は自転車に関係ないイベント、例えばカーフリーデーのような環境やエコをテーマとしたイベントにも、自転車が何らかの形で使われることが増えている気がします。環境への配慮をアピールするには、持ってこいのアイテムということなのでしょう。
日本の場合、今まで自転車と言えばママチャリで、身近ゆえに軽く見られることも多かったわけですが、スポーツとしての自転車が、その環境負荷の少なさや健康にも貢献することを含め、最近注目度が高まっていることと無関係ではなさそうです。自転車自体のイメージも向上しているように思います。
自転車が、生活シーンの中の身近な道具としてだけでなく、スポーツやレジャー、観光地めぐりの交通手段、町おこしのアイテムなど、また違った形で活用されることが増えているのは間違いないでしょう。多分に自転車ブームの影響もあるのでしょうが、これからも、まだまだいろいろな目的に活用されていきそうです。
個室ビデオ店で15人死亡という、またしても理不尽な犯罪がおきました。「生きていくのが嫌に」なるのは勝手ですが、罪もない他人を巻き込むのだけはやめてほしいですね。連鎖しないといいですが..。
関連記事
地域をスポーツで活性化する
ひと口に自転車レースと言っても、いろいろなタイプのものがある。
身近なものを再発見する機会
挙げればキリがないが各地でいろいろなイベントが行われている。
観戦するレースに出るレース
スポーツバイクではなくママチャリ、しかも耐久レースという大会も。
予想を裏切るレンタサイクル
ただのママチャリを貸さずに、トライクをレンタルする温泉地もある。
Posted by cycleroad at 23:30│
Comments(0)│
TrackBack(0)