サイクルロード 〜自転車への道
世界の都市で自転車が選ばれ始めている。さまざまな角度から自転車の話題を。
October 13, 2008
風を感じながら自転車に乗る
すっかり秋の風になってきました。
爽やかで気持ちのいい秋風ですが、立ち止まって吹かれているならともかく、自転車の場合、あまり強い向かい風となると、やはりつらいものがあります。何とかして風の抵抗を減らし、少しでもペダルをこぐ負荷を減らしたいと思うのが人情です。
前傾姿勢を強めて風を受ける面積を減らしたり、友人と一緒なら、その後ろにピタリとつくことで風除けにし、ツール・ド・フランスばりに、先頭を交替しながら走行したりしている人もいるでしょう。もちろん、サイクルジャージなど、身体にピタリとフィットして風の抵抗の少ない服装がベターなのは言うまでもありません。
たまに、普段着で乗っている人がウィンドブレーカーなどに風を受け、風船のようにパンパンに膨らませて走っているのを見ることがあります。汗をかいた時など、風が通って気持ちいい時もありますが、これが風の抵抗を増やしているのは間違いありません。
言ってみれば、自転車に乗るスタイルとしては相応しくないわけです。ところが、わざわざ上着の中に風を入れ、風船のように膨らませて自転車に乗るというイベントを考え出した人がいます。その名も“
AEOLIAN RIDE
”というライドイベントを始めた、Jessica Findleyさんです。
写真を見ていただければ、説明の必要もないでしょう。わざわざその為に手作りされたウィンドブレーカーを、さまざまな形に膨らませて走行するわけです。いや、ウィンドブレーカーとは呼べません。むしろウィンドキーパーとでも呼ぶべきでしょうか。
まさに「風のライド」です。風を十分に感じて乗れるのは間違いないでしょう。風の抵抗だけでなく、後方を確認したりするにも邪魔になりそうですし、動きにくくて走りにくい感じがしますが、実際にやってみれば案外楽しいのかも知れません(笑)。
このイベント、ニューヨークやロサンジェルス、サンフランシスコなどアメリカ国内の都市だけでなく、南アフリカのケープタウン、オーストラリアのメルボルン、カナダのハリファックスなど海外でも開かれています。今は、来月のイタリア・ミラノでの参加者を募集しています。
THE FIRST AEOLIAN RIDE NEW YORK
from
sonicribbon
on
Vimeo
.
LOS ANGELES AEOLIAN NIGHT RIDE
from
sonicribbon
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Vimeo
.
いつだったか、白装束をまとった宗教か何かの団体がテレビのワイドショーなどで話題になったことがありますが、日本でこれをやったら、かなり怪しい人たちに見られかねません(笑)。でも、ほかの都市での開催も検討するとしていますので、誰かがFindleyさんに働きかければ、将来日本で開催される可能性も充分あります。
Findleyさんは、クリティカルマスや他のライドイベントなどに触発され、ある時、自分も参加型のライドイベントを作ろうと決心しました。コスチュームの要素も入れ、バカバカしいけど無料で誰でも参加できるイベントを考えた結果、これに行きついたというわけです。
これを友達数人だけでやっていたら、ただの「変な連中」で終わってしまいますが(笑)、広く参加を募る大規模なライドイベントにしたかったのだそうです。そのバカバカしさも含めて一部の人から支持され、自転車やアート系などの各種団体からもサポートを受けています。
しかし、面白いことを考える人がいるものです。お揃いのTシャツを着るくらいなら誰でも考え付くでしょうが、自転車に乗るのに、わざわざ風の抵抗を増やすなんて、普通だったらすぐ却下されそうです。常識にとらわれない柔軟なアタマと、ユーモアのセンスがなければ実現しなかったと思います。
その奇抜なスタイルに、思わず笑ってしまう人は多いと思いますが、これを面白いと思うか、バカバカしいと思うかは、ひとそれぞれでしょう。サイクリストの中でも好みが分かれるかも知れませんが、案外、参加してみたいと考える人も多いのではないでしょうか。少なくとも参加者は楽しそうですし、見る人も楽しめる要素があります。
最近、世界中で難病支援や途上国の貧困撲滅、地球温暖化防止などを訴えて走るライドが増えています。デモ行進するわけはでなくても、何か社会的なメッセージをこめたライドイベントは少なくありません。この“AEOLIAN RIDE”は、そうしたライドとは違って、特にメッセージやスローガンを掲げているわけではありません。
何かの目的を持ったライドに、その主張に共感して参加するのもいいですし、連帯感や充実感があると思います。でも、ただ「風のライド」、という肩の力の抜けた感じもいいのでしょう。大勢の人と一緒に走るだけでも楽しいですが、このコスチュームのバカバカしさは、楽しさまで膨らませるのかも知れません。
おそらく、その楽しい雰囲気や参加者の笑顔は、見ている人、街を行く人にも伝わるでしょう。純粋に、自転車に乗るのが楽しいことを思い出させ、自転車に乗りたくさせるかも知れません。何もメッセージを掲げていなくても、そのことで地球温暖化の防止に役立っていると言えるのかも知れません。
体育の日と言うと、まだ10月10日のイメージがありますが、今年は13日でした。全国各地で、運動会だけでなくいろんなスポーツイベントが行われたんでしょうね。
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Posted by cycleroad at 23:30│
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