大都市圏の郊外の住宅地などに、そんな道路が見られます。なぜ女性ばかりなのかと言うと、みな最寄駅へ夫を送迎する奥さんたちなのです。最寄駅まで歩くには遠いが、バス路線が無かったり、本数が少ないなど不便なので、マイカーで夫を駅まで送迎する人たちで渋滞するわけです。
これは、「キス&ライド」と呼ばれています。よく聞く「パーク&ライド」は、駅前の駐車場にクルマを駐車し電車に乗り換えますが、「キス&ライド」は奥さんが駅まで夫を乗せ、「いってらっしゃい」のキスをして送り出し、そのままクルマに乗って帰るというスタイルなのです。
実際にキスをするかどうかは別として、シャレたネーミングです。地区によっては、住民の多くがこの「キス&ライド」せざるを得ず、朝の通勤時間帯に一家に一台ずつ、一斉に駅に向かうことになるので渋滞が発生するわけです。これによって更にバスの定時運行が難しくなるなど悪循環に陥る場合もあります。
周辺の道路事情などにもよりますが、こうした渋滞が発生する場所は各地に存在すると言います。「渋滞で時間がかかるなら、いっそ自転車で駅まで行けばいいのでは?」と思いますが、一方で自転車の利用も、駅前の駐輪場の収容台数が少なく、抽選がなかなか当たらなかったりするわけです。
かと言って駅前に放置すると、すぐに撤去されてしまうなら、最寄り駅まで自転車を使うのも難しくなります。これも渋滞を悪化させる原因なのでしょう。会社まで直接自転車で通勤するのも、距離によっては現実的ではありません。結果、仕方なく「キス&ライド」を続けざるを得ないということのようです。
しかし、渋滞が激しくなれば、電車に乗り遅れないか心配でイライラしますし、朝っぱらからストレスがたまります。場合によっては途中から駅まで走って行く羽目になるかも知れません。渋滞を解消するため、道路を拡幅してほしいと自治体に要望しても、実現までには用地買収などで何十年もかかるのが普通です。
朝の時間帯にパスを優先させるバスレーンも、片道一車線の道路だったら適用は困難でしょうし、交通の集中による渋滞の解消は一般的に難しいものがあります。渋滞で「キス&ライド」がままならないとなれば、あとは時差通勤などで対応するしかないのかも知れません。
それぞれの地域によって事情が違うので一概に言えませんが、毎朝イライラするくらいなら、自転車版「キス&ライド」という手はどうでしょう。駅まで夫婦でそれぞれ自転車に乗って行き、奥さんが2台の自転車を持って帰るわけです。いや、そんなの危険だし、最初から無理だと考えてもみない人が多いはずです。
でも、写真のような自転車もあります。これなら、行きは2台で、帰りは自転車を積んで1台で帰れます。奥さんも渋滞でイライラするくらいなら、いっそ自転車のほうが、よっぽど健康的ですし運動不足の解消にもなります。渋滞の中をクルマで送迎するより、ずっと時間も短くて済むでしょう。
普通、自転車に自転車を積むなんて考えもしないので、盲点になっている人も多いのではないでしょうか。この
Xtracycleは、下の関連記事にもあるように、過去にも取り上げましたが、ユニークです。ただ、この自転車を特に推奨するわけではありません。
ほかにも、下の関連記事にあるような、自転車を連結する器具を使って、牽引して帰るという手も考えられます。わざわざ新しく買うより、連結装置だ別途購入し、今ある自転車に装着し、牽引して帰れれば手軽です。どこかに売り出して欲しいものです。
タンデム自転車という手もあります。都道府県によって、公道でのタンデム自転車は禁止されていますが、公道でも乗れる3輪や4輪のタンデム自転車もあります。また、一台を折りたたみ自転車にするなら、ものによっては普通の自転車の荷台に載せて帰れるかも知れません。トレイラーを使って積むという方法もあります。
誰かパートナーの協力を得られるならば、駅前の駐輪場が確保出来ないからと言って、自転車の利用をあきらめるのは早いというわけです。こうした方法は、通勤に限らず、ほかにも使える場面はありそうです。場合によって特殊な自転車、あるいは器具を使うことで、自転車の活用方法はもっと広がるでしょう。
ちなみに、こちらの写真のように、パーキングメーターが設置された道路なら、その何分の1かを自転車に解放する判断があってもいい気がします。クルマ1台分のスペースで、少なくとも5〜6台の自転車がとめられるはずです。すなわち、通常5〜6倍の人が助かることになります。
車道はクルマのもの、あるいは公共の場所はクルマ優先と言う固定観念、または思い込みは、行政にもあるのではないでしょうか。駅近くにはパーキングメーターも必要でしょうが、パーキングメーター以外でも、考え方によっては、もっと駅前の駐輪場を確保できる場合があるかも知れません。
日本ではママチャリが圧倒的に売れていることもあって、多様な種類の自転車が存在することを知らない人も少なくありません。また、自転車に限らず、身近でありふれたものの中には、その見方が従来からの常識や習慣などによって硬直的になり、見落とされている部分もありそうです。
この3連休もあちこち出かけて来ました。さすがに気温が下がってきてますが、漕ぎ出してしまえば、むしろちょうどいい陽気ですね。
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Posted by cycleroad at 23:30│
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