その前回書いた記事をあらためて見直してみると、自転車の展示会にもかかわらず、自転車本体の写真がほとんど載っていません(笑)。各社の最新モデルについては、メーカーのサイトや雑誌にも載っているので、いまさらここで取り上げるまでもないとしても、それ以外の自転車を少し取り上げておこうと思います。
来場者の多くは、当然ロードバイクやMTB、クロスバイクや小径車、フォールディングやシティサイクルなど、乗りたい、購入したいと思っている自転車、あるいは興味のある車種がお目当てでしょう。
でも、サイクルモードに出ている自転車は、そればかりではありません。ふだんショップではなかなか目にしないような車種も展示されていますし、最近の傾向を反映した展示もあります。せっかくなので、そのあたりを中心に、もう少し補足したいと思います。
まず、今回特徴的に展示されていたのは、子供乗せ3人乗り自転車の新型車です。法改正に伴い、各社開発を進めているようですが、現時点では今ある前後に子供を乗せるタイプを3輪にしたり、補助輪をつけて安定させるデザインが主流のようです。
最近の自転車ブームで、女性サイクリストも増えています。でも、小柄な女性の場合、フレームタイプにもよりますが、700Cのタイヤでは体格的に大きすぎることも多いのではないでしょうか。20インチの非折りたたみの小径車も多かった気がします。
オリンピックの影響もあるのでしょうか。最近、BMXに乗っている人も見ます。タンデムを街で見ることは皆無に近いですが、小径のタンデムなんかも展示されていました。
リカンベントも、まだかなりマイナーですが、それでもたまに目にすることがあります。右下の自転車はその名も“FATBOY MOTO”、タイヤも太く、雅山(幕内最重量の力士)でも乗れそうな自転車です。ちなみに¥261,000となっていました。
実用的かどうかはともかく、新しいコンセプトの自転車もありました。この面積で得られる電力は限られると思いますが、左右のサイドカーと前方に太陽電池を搭載しています。右は子供乗せサイドカー付き自転車です。
私も何回か記事にしましたが、“Xtracycle”も展示されていました。自転車で牽引するトレイラーも、日本ではまだほとんど見ることはありません。もっと、自転車で荷物を運ぶことに関心が高まってもいいような気がします。
こちらのように、少し前後の車輪の間隔を伸ばすだけでも、積載能力は大きくあがりそうです。あるいは今後、増えていくかも知れません。
固定ギアのビストなども少しずつ人気が高まっているようです。ちなみに右の自転車は、以前取り上げたことがありますが、ハンドルを取り付け間違えているわけではなく、サイクルフィギュア用の自転車です。
以前取り上げたと言えば、SweetskinZ社のタイヤも展示されていました。アメリカ国旗のカラーもあります。
さまざまなパーツ、用品もカラフルなものが増えた気がします。今までの地味な色にあきたらず、ファッション性を重視する人たちが増えているということでしょう。
ファッションと言えば、ウェアなどもカジュアルなものがたくさん展示されていました。スポーツ系ばかりでなく、街乗り用ウェアなどのニーズが高まっているのは間違いなさそうです。
例年のように、自転車雑誌のブースも出ていました。最近は新しい雑誌も発刊され、自転車雑誌の数も増えています。今年はブースの数も増え、単なる即売だけでなく、各社アピールに工夫をこらしていたようです。ファンライドは、アンケートを実施していました。
欲しいブランドや良かったブランド、スポーツバイクに出せる金額などの設問があり、来場者がそれぞれの答えをボードに書き込むようになっています。余談ですが、さすがにマニアックな来場者も多いのだなと感じたのが、金額もそうですが、「るいかつ」という書き込みです。
「るいかつ」というブランド、ご存知でしょうか。私が解説することもないのですが、おそらくご存じない方もあると思うので、蛇足ながら書いておきます。「るいかつ」とひらがなで書いてあるのがミソですが、「るいかつ」は「ルイカツ」です。
つまり、ツの点々は、もともとカの濁点で、本当は「ルイガノ」なのです。ルイガノならご存知の方は多いでしょう。これを今どきの女子高生がケータイメールなどで使うような遊び文字にして、「ルイカツ」と書くのが、ネットの自転車マニアの掲示板などで流行っているようです。
ほかに自転車雑誌の展示で、ちょっとおもしろかったのが、自転車日和のブースです。観光地にあるような顔の部分を切り抜いたボードが飾ってあり、後ろから顔だけだすと、自転車雑誌の表紙に載れるわけです。簡単な仕掛けですが、思わず笑ってしまいました。
こんな調子で書いていくと、キリがなくなるのでやめておきますが、細かく見ていくと、展示だけでも見ていて飽きません。私もけっこう試乗しましたが、あれこれ乗ったり、その順番待ちで並んでいると、展示を見る時間がなくなってしまうのが悩ましいところです。
私が、あちこちに興味がありすぎなのかも知れませんが、自分の興味のない分野でも、見てみると新しい発見があって面白いものです。今まで興味のなかった分野にも関心がわきます。それがきっかけで、今まであまり考えていなかった乗り方、使い方にをすることだってあるかも知れません。
例えば、輪行を始めてみようとか、ビンディングペダルを使ってみよう、カジュアルな格好でポタリングもいいな、レースに出たらどんなだろう、パーツを変えてみるかな、荷物の運搬に自転車を使う手もあるな、フォールディングバイクも1台欲しい、など、それまで考えなかったような自転車生活が開けるかも知れません。
自転車の楽しみ方、活かし方にもいろいろあります。今までロードバイクしか乗ってこなかった人が、BMXを初めてみるのも面白いでしょう。サイクルモードは、幅広い自転車趣味や活用方法がある中で、視野を広げたり、新しいことを始めるきっかけにもなりそうです。
関東の大地震がチャンスだなんて、阪神淡路大震災を経験した兵庫県の知事の言うセリフでしょうか。表現がどうのと弁解していますが、ふだんから思っていなければ、絶対出てこない発想、セリフだと思いますね。
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