サイクルロード 〜自転車への道
世界の都市で自転車が選ばれ始めている。さまざまな角度から自転車の話題を。
November 18, 2008
笑い話で済ます事は出来ない
麻生総理の漢字の読み間違いが話題となっています。
多くのメディアで報道され、プログなどでも多くの人が言及しています。確かに、実体経済を「じつぶつけいざい」と読んでしまったのは、読み間違いか言い間違いなのでしょう。今、盛んに聞く言葉ですが、意味が通らないわけではありません。言いたいことはわかります。
「日中の首脳が1年のうちにこれだけ頻繁(ひんぱん)に往来したのは過去に例がない」と言うべきところ、頻繁をはんざつ(煩雑)と言ってしまったのも、字が似ていなくもないので、見間違いはあるかも知れません。外交的に失礼になりかねない間違いですし、読んでいて気付かないのもどうかと思いますが、言葉としてはあります。
しかし、それ以外の間違いは、到底読み誤ったとは思えません。「戦争責任に関する従来の政府見解を踏襲(とうしゅう)する」と言うべきところを、「ふしゅうする」と読んでいます。それも一度だけではありません。これは読み間違いではなく、「踏襲」という漢字が読めないということでしょう。
「ふしゅう」では意味がわかりませんし、普通だったら読んだ途端に気がつくはずです。漢字が読めなかったか、「踏襲」は「ふしゅう」と読むと思いこんでいたに違いありません。書き間違いならともかく、そんなに難しい言葉でもないですし、国会答弁などでも時々出てくる言葉です。なぜ今まで気付かなかったのでしょうか。
未曽有(みぞう)と言うべきところを、「みぞゆう」と言ったり、破綻(はたん)を「はじょう」、低迷(ていめい)を「ていまい」、と読んだあたり、どれも意味が通りません。読み間違いではなく、読めないのでしょう。日常的によく聞く言葉ばかりですが、自分の間違いに気付きすらしないのは、失礼ながら学力が相当低いとしか思えません。
順風満帆(じゅんぷうまんぱん)を「じゅんぷうまんぽ」、物見遊山(ものみゆさん)を「ものみゆうざん」、と読んだあたりは、いわゆる「学のなさ」を如実に表わしていると言われても仕方ありません。思わず笑ってしまいますが、小学生の間違いではなく一国の総理の間違いとなれば、笑ってはいられません。
焦眉(しょうび)を「しゅうび」、思惑(おもわく)を「しわく」、あたりは、間違えて覚えてしまうこともなくはないと思いますが、詳細(しょうさい)を「ようさい」、有無(うむ)を「ゆうむ」、措置(そち)を「しょち」、詰めて(つめて)を「つめめて」と読むあたりは、もはや間違いのレベルを超えています。
よく日常的に困らなかったものだと思いますが、今まで周りに指摘してくれる人がいなかったのでしょう。聞けば、間違いを指摘されたりすると怒り出すそうですから、誰も教えてくれなくなってしまっても不思議はありません。プライドは人一倍高そうです。それにしても、普通に聞く言葉ばかりですから、自分で気づいてもよさそうなものです。
記者に一連の読み間違いのことを聞かれ、「そうですか。単なる読み間違い、もしくは勘違い」と半分キレて会見を打ち切ったそうですから、そういう人なのでしょう。普通だったら大いに恥じてもよさそうですが、謙虚に自分の学のなさを認める姿勢もないものと思われます。
公式には読書が趣味となっていますが、本を読む人とは思えない酷さです。もちろん黙読では漢字の読みの間違いには気付きませんが、むしろ本を読まないから漢字が苦手なのでしょう。しかし、これだけひどいと、漢字が苦手というばかりでなく、その知性や教養が疑われても仕方ありません。
官僚の書いた原稿を読まない場合、例えば記者会見で、質問にその場で答える時などの発言も決して褒められたものではありません。テレビのニュースでは、短く編集されてしまうのでわかりませんが、生中継などで聞いていると、発言の主旨がよくわからないこともあります。
質問に答えていても、例を挙げるうちに脱線し、見当違いの答えになるなど、話が要領を得ないことも少なくありません。この点も指摘されています。政治家の言葉は重いとか言葉が命などと言われます。政治家にとって言葉こそ全てだと言う人もいます。その言葉が心許ないのでは、総理どころか国会議員としての資質が疑われます。
前場・後場の前場(ぜんば)を「まえば」と読んでしまったのは、よく知らなかったのでしょう。総理大臣とは言え、すべてのことに通じている必要はありません。苦手な部分は詳しい人に任せればいいことです。しかし、「株を満期まで持っている人」などと発言しているのは、あまりに一般常識がない、教養がないと言われても仕方がないでしょう。
一般的には経済政策に精通していると言われていますが、今話題となっている「給付金」、全国民に金を配るという前代未聞の愚策を打ち出していることを見ても、その評判は疑わしいと言わざるを得ません。この政策の愚かさ、筋の悪さは、多くの専門家が指摘するところであり、地方自治体からも反発される始末です。
ITを「イット」と読んだ総理大臣もいましたが、首相が必ずしもIT分野に詳しい必要はありません。しかし、知らないなら知らないと認めればいいのに、下手に知識をひけらかそうとするから墓穴を掘るのかも知れません。この時代に、コンピュータ同士をいわゆるフロッピーでつなぐなどと言う発言が出てしまうのでしょう。
麻生総理は学習院大学の卒業ですが、東京大学を受験したいと父親に言ったところ、公立の大学はお金がない人が行くところで、お金持ちのおまえが行くのは税金のムダだと言われたそうです。それで、東大へ行けないこともなかったが、あえて私立の学習院大学へ進学したと著書の中で述べています。
本人は自らの学力に相当の自信があるようですが、一連の発言を聞いていると、ただの見栄っ張りとしか思えません。むしろ、そのような虚栄心が強いから、知らないことを知らないと言えず、間違いを認めないのでしょう。人から指摘されれば怒り出し、誰からも助言してもらえなくなるのだと思います。
漫画文化の理解者として人気が高いですが、これでは、漫画ばかり読んでいるからこうなるとの見本のように言われてしまい、漫画にとってもマイナスになりそうです。また、本人は秋葉原などでの人気が高いことを意識してか、さかんに庶民派をアピールしたいようですが、そう見せようとすればするほど、ボロが出てしまっています。
お金持ちの御曹司なのはよく知られていることですし、別にカップラーメンの値段を知らなくてもいいと思います。なのに、無理に庶民派に見せようとして下町のスーパーを視察したり、大学生と居酒屋で飲んだりするものだから、かえって夜の豪遊が目立ってしまうこともあるでしょう。
当然のことながら、首相とは言え必要な会合やつき合い、気分転換も必要でしょうから、毎晩の夜の遊興が悪いとは思いません。しかし、ことさら庶民派に見せようとするものだから、ホテルの会員制高級バーや料亭での会食が庶民感覚とかけ離れていると記者に指摘されてしまうのでしょう。
報道によれば、麻生氏の使うホテルの会員バーは入会金五十数万円、年会費十数万円、数人を連れて飲みに行けば一回で十万円は軽く超えると言います。与党の幹部からも、「庶民派を気取っていても化けの皮がはがれる」と批判されています。
これに対し「ホテルのバーは安い」と発言しただけでなく、記者に逆ギレし、「聞いてんだよ、今答えろよ」などと詰め寄ったとされています。かえって庶民派でなく見られてしまうことに苛立ったのでしょうか。退陣会見で、記者に向かって「あなたとは違うんです。」とキレた首相もいましたが、ちょっと大人気ない気もします。
首相の金銭感覚には与党内からも戸惑いの声が出ていますが、もともと衆議院選挙に初出馬した演説で開口一番、「下々の皆さん」と発言したような人です。庶民派であるはずがありません。国民目線どころか、完全に見下していますし、自分は「下々の皆さん」とは違う人種だと思っているのは明らかです。
そのほかにも多数の失言、問題発言をして過去に物議を醸しています。知性や良識を疑うようなものも少なくありません。漢字の問題にしても、十代の若者が漢字を苦手とするのとはわけが違います。国民の代表たる日本の首相がこんなに日本語能力に欠ける人物では、諸外国に対しても恥ずかしいものがあります。
よく、渋谷などで遊んでいる女子中高生らに、漢字の読みや常識などのテストをして、その学力低下を嘆いたり、いまどきの若者を揶揄するような番組があります。誰でも知らないことはありますし、間違いもあるでしょう。しかし、麻生総理のこの漢字の知らなさは彼女らに匹敵する酷さです。
彼女たちは、まだ学んでいる最中ですし、今後社会に出れば、漢字の読みも必要に迫られて覚えていくでしょう。かたや68歳にもなって、それと同じレベルでは呆れるのを通り越して、不思議ですらあります。今まで何をしてきたのでしょう。こんな学力レベルの人が日本の政治をリードしていくなんて、悪い冗談のようです。
与党内からも呆れられ、首相の原稿には読み仮名を振れと言われているそうですから、今後は少なくなるかも知れません。しかし、こんなに言葉を知らない総理大臣に、その資質があるとは到底言えないのではないでしょうか。株に満期があると思っているような政治家に、有効な経済対策を期待できるのでしょうか。
このようなことを書くと、麻生首相を支持する人はもちろん、そうでない人からも、人の失敗や短所を、そこまであげつらうことはないだろうと言われるかも知れません。テレビのワイドショーが鬼の首でもとったように、連日この話題を報道することに不快感を示す人もいます。
私も、これが芸能人とか単なる有名人であれば、このような批判は書きません。もし麻生氏がセメント会社の社長のままであったなら、漢字を読み間違えても、むしろご愛敬、かえって親しみを感じるくらいかも知れません。しかし、日本の総理大臣がこれでは、情けないでは済まされません。
セメント会社の社長が言葉を知らなくても、最悪でも会社がつぶれるだけの話です。従業員は困りますが、日本国民のほとんどは困りません。しかし、日本を導くべき一国の宰相が、漢字すら読めず、日本語能力に疑問があり、知性や教養に欠け、政策にも疑問があるとしたら、全国民の不幸なのです。
ただでさえ世界的な金融危機をはじめ、国政には問題が山積しています。この時期に、このような人物が総理大臣でいいのか、後でその政策のツケが回って来ないか不安になります。人を批判する前に自分はどうなんだと言う人もいます。偉そうに批判できるほど優れているのかと反発する人もいますが、それは少し違うと思います。
国会議員は国民から選ばれてその任に就く以上、問題のある言動や資質に疑問を抱かれるようなことがあれば、批判されるのは当然の話です。国民は主権者である以上、政治について意見を述べるのは当然のことですし、政治を語る上で政治家について語るのは避けられません。それが議会制民主主義というものでしょう。
自分も漢字には自信がないから..という人もいますが、それとこれとは別の話です。国民の代表であるからこそ、その資質が厳しく問われてしかるべきです。普通の人が漢字を読めなくても恥をかくだけですが、日本の国政を預かる総理大臣が、こんなに言葉を知らなくては困るのです。しかもこのレベルはひどすぎます。
ワイドショーはあまり見る機会がないので詳しくは知りませんが、視聴率にシビアな民放が選ぶ話題ですから、連日取り上げるのは、それだけ国民の関心が高いということでしょう。番組の質はともかく、権力の監視はジャーナリズムの使命ですし、くだらない芸能人のゴシップよりよっぽどマシな気もします。
これが江戸時代なら、暗愚な将軍の治世に生まれてしまった不幸を嘆くしかないかも知れません。しかし、今の日本は民主国家です。つい先日まで続いたアメリカ大統領選挙でのアメリカ国民のようには、日本人が政治について熱く議論することは少ないとしても、もっと主権者たる国民としての権利を自覚してもいいと思います。
総理大臣は直接選挙出来ませんが、首相の任にあたる以上、その資質は厳しく問われるものでしょう。政治家として国民の付託を受けた以上、批判されることは避けられません。もちろん、麻生首相を支持する人は違う意見でしょうし、それを排除するものではありませんが、多くの人が多かれ少なかれ、感じていることではないでしょうか。
確かに情けないが、それほど目くじらたてるほどのことではないという意見もあるでしょう。もちろんそう感じる人はそれでいいと思いますが、事は日本の将来に関わります。少し寛大過ぎないでしょうか。私は報道などで判断した結果、総理大臣としての適性に疑問を感じます。漢字の読みが苦手というだけではないと思います。
口癖でしょうが、一国の総理が「なんとなく」を連発するのも奇異ですし、首相の言葉としては著しく不適切です。定額給付金の所得制限を市町村に丸投げした上で「地方分権だからよろしいのでは」と人ごとのように言い放って反発を買ったのも、どこが地方分権なのかという意味もさることながら、開き直った言い方も問題でしょう。
安倍首相も、あの政権放り出し劇に史上最低の総理大臣と言われましたが、わずか1年ほどで、今度は、まずその資質すら心許ない首相が出てきたことに驚きを禁じえません。漢字の問題にしても、庶民感覚のなさをかえって目立たせていることについても、与党内から有権者の反感を買うことを心配する声が出てきています。
下手をすれば、この総理のもとでは選挙を戦えないという声も出てくる可能性があります。安倍政権に続いて2代続けで1年で政権を放り出した福田総理にも驚きましたが、今度は1年も持たずにまた総裁選という可能性すら感じてしまうのは私だけでしょうか。まさか3代続けてということはないと思いますが..。
安倍総理に続いて福田総理も「KY」(空気が読めない)ではないかと言われていました。麻生総理も「KY」だと言われていますが、こちらは「漢字が読めない」だそうです(笑)。
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Posted by cycleroad at 23:30│
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漢字が弱い総理
【worldNote】at November 19, 2008 11:49
この記事へのコメント
とはいえ、対抗勢力の民主のトップのひとも仮病(ととられかねない)で会談ドタキャンしたりして、資質に問題ありなんですよね。
いったいどうしたらいいんだろう。。
Posted by ぎん at November 19, 2008 23:43
ぎんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、世論調査などでも首相より人気が低いですからね。麻生総理も資質に欠けるが、かと言って他に首相になってほしい政治家がいるわけではないという人も多いのかも知れません。
Posted by
cycleroad
at November 20, 2008 22:37
いつも楽しみに読ませていただいております。
今回の首相批判、とても手厳しいですね。
でも全面的に賛成します。もっとやれ〜って感じです。
ボクは首相だけではなくて、議員さんそのものが信用できません。より的確な代議員を選出するシステムそのものを新たに考え出す必要があるんじゃないかとさえ思っています。じゃあどうすりゃあいいんだと問われれば、「さて、分かりません」と答えるしかないんですが・・・。
だけどあんな人たちを支えるためにボクたちのなけなしのお金を召し取られているのだとすれば、本当に心外です。
KY=空気が読めない とか、
KY=漢字が読めない とかならまだいいですが、
ボクには
KY=困ったヤツ(ら) と読めてしまいます。
Posted by
木蓮
at November 21, 2008 00:34
木蓮さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
書いているうちに、ちょっときつくなってしまいましたね(笑)。一部では人気があるようですが、私には、そんなに評価できる人物にはどうしても思えないのです。
おっしゃることは、よくわかります。国民の政治不信が言われて久しいですし、世襲というだけで、資質に疑問がある議員でもトップで当選してしまうシステムもおかしいですよね。
もともと特定の一族による政治支配を避ける目的があったにも関わらず、それを助長しているような結果になっています。ただ、世襲を禁止するのも憲法の既定に抵触する恐れがあります。難しいところですね。
困ったヤツですか(笑)。確かに議員がこの体たらくでは、困ったもんですね。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
Posted by
cycleroad
at November 21, 2008 23:14
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