この時期、ふと気付くと夕暮れがせまっていたりします。
冬至は過ぎましたので、少しずつ日は長くなっていきますが、まだまだ日が暮れるのが早い季節です。自転車で出かけても、ちょっと買い物などに夢中になっていると、いつの間にか外は真っ暗なんてこともあるのではないでしょうか。暗い中を帰ることになります。
そんな時にあると便利なのが、“
Light Lane”です。自転車レーンのない道路でも、自分で自転車レーンをつくってしまえるという画期的なライトです。サドルの下あたりに設置されたライトから下向きに照射された赤いレーザー光線で、自転車レーンを描いてしまおうというわけです。
コンセプトモデルですので合成写真ですが、サイクリストなら、誰でもニヤリと笑ってしまうアイテムではないでしょうか。アイデア的には、ドラえもんの道具ばりのユニークさです。名前をつけるなら、「どこでも自転車レーン」とでもなるでしょうか(笑)。
パッと見ただけで、その意図が理解できるわかりやすさ、ユーモアもあってか、多くのサイトで取り上げられています。そして、サイクリストの多くが、ナイスなアイディア、私も欲しい、など好意的な感想を寄せています。裏をかえせば、夜にクルマの多い道路を自転車で走行する危険性を多くの人が感じているということだと思います。
昼間はどうするの?とか、充分な光量を得るための電源は?とか、クルマのライトが当たれば、そんなライティングはかき消されてしまう、実用性がないといった指摘も見られます。確かにその通りですが、あくまでコンセプトモデルですから、真面目なリアクションは野暮というものでしょう。
このコンセプトに賛同する人が多いのは、自転車グッズですし、関心を持つのがほとんどがサイクリストだからだと思われます。サイクリストが、“Light Lane”の考え方に共感する背景には、サイクリストの安全を確保する自転車レーンが、まだまだ足りない、もっと必要だと考えている人が多いこともあるのだと思います。
(追記:その後プロトタイプのテストの様子がアップされていたのでフォローしときます。)
ただ、サイクリスト以外の人の中には、“Light Lane”コンセプトに反感を持つ人たちがいるのも否めません。「道路に自転車レーンを。」と言う一方で、赤信号を無視するなど、交通ルールを遵守しないサイクリストが多いことを非難するわけです。サイクリストが権利を主張するわりには、義務を果たしていないとする反発もあります。
確かに、アメリカでも一部に無法な者たちがいて、歩行者やドライバーから白眼視されています。こうしたサイクリストの権利を主張するコンセプトが一般の人の反発を買い、無法で傍若無人な一部のライダーのふるまいを苦々しく想起させることがあるのも事実なのでしょう。
この点は日本でも同じです。最近でこそ、エコで環境に負荷をかけない自転車が社会的に見直されていますが、放置自転車をはじめ、歩道を暴走する自転車、交通法規を守らないなど、自転車の反社会的な面に反発する人は少なくありません。自転車は車道を通ってはいけないなど誤解している人も多いのです。
そうした人から見れば、きちんと法規を遵守するサイクリストも、無法な自転車乗りも、合わせて自転車乗りです。真面目なサイクリストにとっては心外ですが、自転車に乗る人全体では、順法精神が欠ける人が多いのも残念ながら事実です。そこへ権利ばかりを主張するのでは反発も起きるでしょう。
今まで、ひたすら歩道を広げ、そこへ自転車を走らせようとしてきた交通行政こそ責められるべきで、せっかく広い歩道があるのだから、自転車は歩道を通るべきと考えるドライバーの気持ちも理解できないではありません。確かにケータイを使いながらフラフラと無灯火で車道を逆走するような自転車に権利を主張する資格はありません。
そんな無法者と一緒にしてほしくないですが、世間は良いライダーと悪いライダーを分けて見てくれない以上、ライダー全体の順法精神、モラルを高めていく必要がありそうです。それ無くしては、車道に自転車レーンをと言っても、なかなか世間一般には理解されない可能性があります。
最近でこそ、自転車は本来歩道を走るものではなく、また、歩道を走らせてきたからこそ、歩行者との事故も増えているという認識が広がりつつあるように感じます。しかし、サイクリストからの見方であり、まだまだ世間全般を考えるならば、車道に自転車レーンというスタイルは一般に広く認知されているとは言えないのでしょう。
この“Light Lane”、バイクレーンが認知されていてこそ、意味のあるアイテムなわけです。日本でも、最近国交省が整備を始めつつありますが、一般的には、まだまだ知られていません。仮にこのライトを見ても、ドライバーは、それがバーチャルな自転車レーンを意味しているとわからないかも知れません。
地域によって、きちんと車道に整備するところもあれば、歩道に色を塗ってごまかすだけの自治体もあります。車道に整備しても、青く塗ったり、「自転車専用」と漢字で書いたり、表示も形状もまちまちです。ただ、日本でも同様のマークが用いられている場所があります。それは、横断歩道の横にあることが多い自転車横断帯です。
あまり意識されることがないかも知れませんが、その部分は自転車が通る場所だと一目でわかります。このマークを自転車レーンにも表示し、さらに左側通行を促すため、矢印で進行方向を示すなどしてはどうでしょうか。全国でこのマークを使えば、徐々に自転車に乗る人へも浸透し、交通ルールの遵守も促すでしょう。
ドライバーへの周知にもなり、その部分への乗り入れや駐車を避けるなど、車道での自転車との共存につながっていくことも期待できます。“Light Lane”を見て自転車レーンだとわかってもらうためにも、日本では、まずそのデザインの統一から始める必要がありそうです。
いよいよオバマ大統領の就任式が行われます。世界中が注目し、期待も大きいわけですが、まず最初にどんなスピーチをするのかにも興味がわきますね。
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笑ってばかりもいられぬ現実
自転車レーンの中には突拍子もないものが、まま存在するようだ。
広がりつつある気づきの記号
クルマと自転車で、共有で使う自転車レーンというものも存在する。
主張しなければ良くならない
せっかくの自転車レーンも、違法駐車車両に邪魔されることもある。
Posted by cycleroad at 23:30│
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