January 26, 2009

明日起きるかもしれない災い

文部科学省が学校への携帯持込を禁止すべきとする方針を固めました。


大阪府知事の発言などもあって、学校でのケータイ禁止の是非が議論になっています。そんな中、文部科学省が動きました。毎日新聞から引用します。


携帯電話:学校に携帯、禁止指針 小中対象、月内にも通知−−文科省

文部科学省は20日、子供の携帯電話について、小中学校への持ち込みや校内での使用を原則として禁止すべきだとする指針を出す方針を固めた。月内にも各教育委員会や学校に通知する。塩谷立文科相は同日の閣議後会見で、「例えば『持たせるべきではない』とか『学校では使わせない』とか(通知の)文言は検討しなければならないが、原則として、国としての方向性が必要だと思う」と明言した。

文科省は昨年7月、各教育委員会や学校に対し、携帯電話を巡るルールを明確化するよう通知。ルール作りの現状などについて全国調査中で、月内にも結果をまとめることにしている。持ち込みを規制している小中学校は多いが、市町村教委レベルでは対応にばらつきが見られるという。

塩谷文科相はこの結果集計後に指針を示すとした。「家庭に帰って(携帯電話を)持つことに対しては、個人の権利なのであまり制限できない」とした上で、「ネット上のいじめなどが多発していることは大変憂慮すべきだ。かなり(携帯電話を通じて起こる)事例も変わってきたわけだから、そういう点を踏まえるべきだ」と述べ、必要時以外は使わないことなどの指導が必要との見解を示した。

政府の教育再生懇談会は昨年末、「必要ない限り小中学生が携帯電話を持たないよう、保護者や学校が協力する」との提言素案をまとめた。大阪府や埼玉、香川県などは既に、小中学校への持ち込み原則禁止方針を表明している。一方、東京都の石原慎太郎知事は「情操教育からしつけにかかわることだし、本当は親が判断することだ」などと発言している。(毎日新聞 2009年1月20日)


橋下知事は歓迎この問題については、いろいろな意見があると思いますが、私は賛成です。もともと禁止だった学校が多いと思いますが、実際には、なし崩しになってしまっている例も多く、一部には保護者の反発もあって、学校側が禁止を徹底できない状況があります。国や自治体が方針を明らかにすることで、学校の禁止徹底を後押しします。

そもそも勉強するのに携帯電話は必要ありませんから、持ち込み禁止でも構わないはずです。不要どころか、ケータイによって学業に専念できなくなる生徒は少なくありません。実際に学力の低下や運動不足を助長するとの報告もありますし、授業中にメールをするなど、授業の妨害や学級崩壊につながる場合もあるでしょう。

学校裏サイトなどを舞台に「ネットいじめ」も深刻です。いじめが匿名化し、悪質かつ陰湿になっています。ネット上に流出した噂や屈辱的な写真などは、回収や回復が不可能です。場合によっては、暴力よりも深刻な心の傷を与え、実際に自殺へつながる事例も出ています。

出会い系サイトなどに接続することで、性犯罪に巻き込まれる例は後を絶ちませんし、違法請求などの詐欺などに遭う事例も増えています。暴力やポルノ、ギャンブルなど、教育上多大な悪影響を与えるサイトに接続できてしまうことも問題です。このことが、また犯罪を助長するなど、さまざまな弊害も起きています。

メールが原因でトラブルになったり、メール依存のようになる子供も少なくありません。友人からのメールには、すぐに返事を出さないと関係が悪化すると、風呂にまで持って入ったり、寝不足やノイローゼのようになる子供もあります。友人との面と向かったコミュニケーションが苦手になるとの指摘もあります。

こども、脱ケータイ宣言判断能力が未熟な未成年がケータイを持つことは、まさに百害あって一利なしです。もちろん人によって程度の違いはあるでしょうが、少なくともこうした弊害や危険の可能性があることに、そう大きな異論はないでしょう。各種の調査でも、学校への持ち込み禁止に賛成する人が過半数を占めているようです。

反対意見としては、公衆電話が少なくなり、子供との連絡に必要とか、子供の居場所を知りたい、安全のために必要といったところでしょうか。学校にいる間なら連絡はつくとしても、塾通いをする場合もあるでしょうから、連絡のために必要な場合はあると思います。

その場合、ネット接続機能を持たず、会話とGPS機能だけの端末に限って許可する手も考えられます。親や警察、救急など、限られた相手先に連絡出来れば事足りるはずです。メールも親とだけで充分でしょう。あくまで連絡や居場所の確認、安全用に限定した端末ならば、上述のような弊害や危険のほとんどは避けられます。

石原都知事の「情操教育からしつけにかかわることだし、本当は親が判断することだ」との発言は正論だと思います。そんなことまで、お上にとやかく言われたくないという人もあるでしょう。しかし、それでは悲惨な事件や弊害がなくならないのも事実です。

個人の自由に法律や行政が介入するのはおかしいと私も思います。しかし、個々人の自由に任せていたら解決出来ない問題もあります。ケータイを持たせたくない親も、今のままの状態で、ケータイを持たなければ仲間外れやいじめに遭うと言われれば、躊躇してしまうでしょう。周囲に反してケータイを持たないのは困難です。

悲劇が起きている言わば、未成年に酒やタバコ、有害図書など禁止するのと同じだと思うのです。社会が有害と認めたものは、法律で禁止してもおかしくありません。まだケータイが出て日が浅いので意見は割れますが、これだけ問題が出て来ているのですから、そろそろ禁止してもいいのではないでしょうか。

親の世代が子供の頃にはケータイがなかったので、その危険や弊害を正しく認識していないという指摘は正鵠を得ていると思います。今の子供が親になったら、その弊害と危険を十分認識し、禁止が当たり前になることも考えられますが、今はその過渡期にあると言えるのかも知れません。

親の世代が知らない深刻な影響も出始めていると思います。いじめに遭っているそぶりも見せない子供が突然自殺する例もあります。うちの子に限ってという過信は禁物です。親の言いつけを守ろうとすれば仲間外れになり、板挟みになっているかも知れません。好奇心旺盛な世代に、アクセスできる情報を見るなというほうが無理です。

フィルタリングを利用したり、学校が指導を徹底すればいいと考える人もあるでしょう。しかし、学校もそこまで対応できないでしょうし、掲示板やSNSにもアクセスできないと仲間外れになると言われ、フィルタリングを外してしまう親も多いと言います。

今の世の中、いずれケータイは不可欠なのだから、小さいうちから使わせて教育したり、訓練したほうがいいという考え方もあります。しかし、ケータイを使うことで、学べなくなるものも小さくありません。大人になってからでも決して遅くはないと思います。

ケータイ異変親なら誰でも、子供に及ぶ弊害や危険を知れば、座視することは出来ないはずです。しかし、ケータイのもたらす害や危険が、すぐに顕在化するわけではないので、具体的に感じられなかったり、うちは大丈夫だろうと根拠なき過信に陥ってしまうのが問題なのではないでしょうか。

もう一つ、すぐ起きるかも知れない危険もあります。自転車に乗りながらのケータイの使用です。実際に事故が起きており、各都道府県ごとに条例を定め、自転車に乗りながらのケータイ使用を違反として取り締まる動きが強まっています。明日にでも交通事故で死亡したり、歩行者に深刻な怪我をさせるなどの可能性が十分にあります。

もちろん、これは子供に限った話ではありませんが、やはり中高生の「ケータイ使いながら走行」は多く、目に余るものがあります。最近は、メールなどをしながらというのが目につきます。会話より、さらに危険です。見ていると、危なっかしく、いつ事故が起きてもおかしくありません。

こういう比較は良くないですが、未成年のタバコや飲酒が、すぐ死につながるわけではありません。それに比べてケータイの使い方を誤ると、自殺や犯罪に巻き込まれての死亡に事故死の可能性まであります。そう考えれば学校だけでなく、必要な通話連絡用やGPS機能などを除いて、未成年は全面的に制限してもいいくらいです。

少なくとも高校までは、ケータイが無くても困ることは少ないでしょう。今使っている中高生からは反発もあるでしょうが、個人的には成年に達してからケータイを使い始めても十分だと思います。いざ犯罪や事故が起きてから後悔しても遅すぎます。ケータイを使わせるリスクを真剣に考えるべき時に来ているのではないでしょうか。



定額給付金が決まりそうです。しかし、給付金を支給する費用が8百億とも1千憶とも言われています。さらに、本来は国債償還に充てる予定だった財投特会の剰余金を使うので、この給付金のせいで国債費が毎年約800億円も膨らむと言います。無駄ですねぇ。

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