January 29, 2009

常識を外れて生まれる自転車

自転車店へ行くと、さまざまなタイプの自転車が並んでいます。


スポーツバイクを扱う自転車ショップなら、シティサイクルのほかにも、ロードバイクやマウンテンバイク、フォールディングバイク(折りたたみ自転車)などが並んでいるはずです。中には、ビーチクルーザーなどを展示しているところもあるかも知れません。

今では、日本でも当たり前のように売られているマウンテンバイク(MTB)ですが、実はまだ誕生してほんの30年ほどしか経っていません。しかも、比較的最近出てきたように感じるビーチクルーザーのほうが古いと聞くと意外に感じる人も多いのではないでしょうか。

ビーチクルーザービーチクルーザーも、アメリカ西海岸のサーファー達が、米国の伝統的なクルーザーバイクをビーチへ行くための気軽なアシにするため改造したものでした。そのビーチクルーザーを、1970年代の後半、サンフランシスコ郊外の山で使って遊んでいた若者たちがいたのです。

ご存じの方も多いと思いますが、その若者たちこそ、今はMTBのブランドとなり、マウンテンバイクの創始者としても有名なゲイリー・フィッシャーをはじめとする、いわゆる当時ヒッピーと呼ばれた若者たちでした。重いビーチクルーザーをわざわざ山の上まで運び、道なき道を駆けおりてタイムを競っていたのです。

なにせ、MTBがまだ生まれていない時代です。当時の人にしてみれば、自転車は道路を走るのが当たり前で、わざわざ未舗装の、それも山道を下るなんて常識外れもいいところです。しかも当時のビーチクルーザーでは、一回山を下りる毎に車輪がゆがんだり、ハブのグリースが焼けて燃えたりするなど惨憺たる状態になったようです。

それだけスリルがあって魅力的な「遊び」だったのでしようが、周りの人にしてみれば、まさに酔狂としか言いようがなかったはずです。その酔狂が、さまざまな改良を経てMTBとなり、あっという間に世界中に広まったわけです。マウンテンバイクは今やオリンピックの競技種目にまでなっています。わからないものです。

歴史上、自転車の改良や性能の向上に尽くした人は数多いと思いますが、こうした新しいジャンルを生み出すのは誰にでもできることではないでしょう。常識にとらわれない自由な発想や行動力、あるいは周りの人に呆れられても気にしない図太さが必要なのかも知れません。

4D Snow Bikeスノーバイク

この“4D Snow Bike”で、雪山を走りまわっている人たちも、周囲の視線など気にしていないようです。雪が降っても自転車で通勤する人などもいますが、わざわざ雪山を自転車で走るなんて常識から外れています。ウィンタースポーツとしてなら、スキーやスノーボードでもいいようなものです。

この“4D Snow Bike”は、今のところマウンテンバイクに取り付けて使うキットです。タイヤにはパドルタイヤと呼ばれるものを使っています。まだテスト用のプロトタイプが売り出された段階ですが、今年から来年にかけて販売ルートの開拓に力を入れようとしています。

自転車のタイヤをスキー板に置き換えたような形のチェアスキーは今までもありましたが、これは、完全に雪上自転車とでも呼ぶべきものです。動画などを見ると、案外軽快に走行していますので、思ったより実用的なのかも知れません。ウィンタースポーツとしてだけでなく、雪国での冬用自転車としても使えそうです。



まだ、多くの人にとっては、雪山を自転車で下るなんて、とてもじゃないけど常識とは言えないでしょう。ただ、私の知っている範囲でも、似たような試みはいくつもあります。まだどれも、あまりメジャーな存在とは言えませんし、形状やスタイルもいろいろです。

しかし、マウンテンバイクも様々な試行錯誤や改良を経て完成形となり、その後ブレイクしたことを思えば、こうした雪上自転車が、同じような道をたどらないとは言い切れません。何かの拍子に大人気となり、世界中に広がって雪山でのスノーバイクが当たり前になる日が来てもおかしくありません。

雪上自転車雪上マウンテンバイク

来年のバンクーバー・オリンピックや、その次のソチ・オリンピックでは無理でしょうが、その次か、次の次くらいだったら、ひょっとしてスノーバイクが正式種目になっていないとも限りません。夏と違って、冬のオリンピックの競技種目はまだ少ないですから、可能性が全くないとは言えないでしょう。

マウンテンバイクも生まれて10年くらい後には大ブレイクし、さらに10年後くらいにはオリンピック種目でした。スノーバイクがそこまで行くかどうかはわかりませんが、案外、何年かしたら自転車店の店頭に、ロードバイクやマウンテンバイクと並んで、当たり前のように売られているかも知れません。



学生の内定取り消しのニュースがさかんに報道されています。確かに異常事態ですし、当人にはまことに気の毒な話なのですが、今年就職する何十万という人のうち数百人ですから、千人に一人の話です。マスコミはちょっとあおりすぎじゃないですかね。

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実は、普通のマウンテンバイクで雪山を走り回ってる人だっている。


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この記事へのコメント
はじめまして。
拝見しまして 真剣に考えさせられる・発見・意識する事が盛りだくさんで 凄いです。
ところで MTBの友人は 冬山が大好き いつも「一緒に行こうよ 冬山」と誘われます。特に雪でのライディングは楽しいそうです。 本当に当たり前のように売られるかもと 考えさせられました 今後が楽しみです。    
Posted by h134 at January 30, 2009 05:00
h134さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おほめいただき光栄です。
雪山で乗っているご友人がいらっしゃいますか。確かに、楽しいのかも知れませんね。私も一度挑戦したいものだとも思うのですが、なかなか雪山まで行くのも大変ですし、果たせていません。
全国で販売とはいかないまでも、日本は雪が積もる地域も多いわけですから、雪国では売られても不思議ではないですよね。
Posted by cycleroad at January 30, 2009 22:10
 
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