サイクルロード 〜自転車への道
世界の都市で自転車が選ばれ始めている。さまざまな角度から自転車の話題を。
February 01, 2009
ナスカの地上絵の目的は何か
世界には不思議な場所がいろいろあります。
有名な「ナスカの地上絵」がある、南米ペルーのナスカもその一つには間違いないでしょう。世界遺産にも登録されています。この巨大な幾何学模様で描かれた絵は、紀元前200年から紀元800年くらいの間のものと言われていますが、誰が何のために描いたのかは謎に包まれています。
この地上絵が何千年もの間、侵食されずに残っていたのは、この地域一帯の降水量が非常に少ないことや、地層の構造などの好条件が重なったためと言われています。地上絵があまりにも大きいため、空からしかその形を識別できず、20世紀になって飛行機が発明されるまで、誰もその存在に気付かなかったのも大きな要因でしょう。
描くのは、棒などを使えば可能なことがほぼ検証されているようですが、地上絵の中には、ナスカ地方には生息していなかった生物や、ふくろう人間とか、宇宙飛行士と呼ばれる図形など、正体不明の不思議な図柄も含まれています。謎も多いわけですが、何より作られた目的がはっきりしません。研究者の間でも、諸説入り乱れているようです。
暦として使った、天文観測のためだった、雨ごいなどの儀式に使った、祭祀を執り行うため、古代の滑走路か誘導路、宇宙人へのメッセージなんていうのもあります。異星人が訪れていたというのも突拍子もない話です。空から眺めて楽しむためだったとしても、先史時代にどんな方法があったのでしょうか。
ところで、21世紀の現在も、地上に巨大な絵柄を描く人たちがいます。もちろんナスカのような方法をとるわけではなく、今はGPSというハイテク機器があります。GPSドローイングと言って、直接地面に描くわけではなく、移動した軌跡を地図上に描くわけです。日本を含む世界に、いろいろな方法で楽しんでいる人がいます。
地上を移動した軌跡をGPS機器などで記録し、専用のソフトやウェブ上の地図サービスなどを使ってコンピューター上で絵にします。広場や運動場などで歩いて描く人もありますし、そうした自由に移動できる場所ではなく、市街地の道をうまくたどることで、絵にしようとする人もいます。
徒歩だと、あまり長い軌跡は描けませんが、自転車を利用すれば、かなりの距離を移動できます。実際、長い軌跡で大きな絵を描ける自転車は“GPS Drawing”の有力なツールです。世の中には、いろいろな目的で自転車に乗る人がいますが、絵を描くために乗る、その走行軌跡を絵にするために乗るというのも面白い目的です。
自転車ならば、クルマが入れないような細い路地も使って描けます。クルマと違って一方通行や通行止めも除外される場所が多いので、一筆書きで走行するにも有利でしょう。どの道を通れば、よりよい線が描けるか、あるいは、この場所ではどんな絵柄が描けそうかなど、地図を眺めながら考えるのも楽しそうです。
知らない人が見ていたら、ずいぶん変な場所を通るとか、変な動きをしているなどと思われるかも知れませんが、まさか絵を描いているとは気がつかないでしょう。言わば、自転車を絵筆にするわけですが、たまにはそんなサイクリングに挑戦してみるのも面白そうです。
GPSドローイングについては、知られるようになってから何年も経っていますので、ご存じの方もあると思います。また、スポーツバイクに乗る方の中には、GPS受信機を自転車に載せて走行し、走行ルートの記録などに使っている方もいますので、実際に挑戦してみた人もあるかも知れません。
私の知る限りでは、Jeremy Wood氏の“
GPS Drawing
”が、GPSドローイングが世界に広まるきっかけになったサイトのようです。ご本人や、世界のGPS線画アーティストから投稿された作品が掲載されています。例えば上の巨大なクモ、“Port Meadow Spider”などは、確かにアートと呼ぶべき領域でしょう。
日本では、地上絵師の異名を持つ
石川初さん
の、その名も「
東京ナス化計画
」が有名です。マスコミでも何度か紹介されていますので、ご存じの方も多いかも知れません。ほかにもALPSLABなど、ネット上の地図サイトに作品を投稿している人たちもいます。絵だけでなく、字を書く人もあります。巨大メッセージです。
道路上に印をつけるわけではありませんから、当然ながら軌跡が実際に見える形で残るわけではありません。機器によっては、走行中も受信機の画面上に再現される絵が見えるとは限りません。でも、地球に落書きすると思えばワクワクしてくる人も多いのではないでしょうか。
中には「そんな仮想の線をひくことに、何の意味があるのか。」なんて考える人もいるでしょう。確かにそうかも知れませんが、街をキャンパスに絵を描くなんて夢があります。そのスケール感に何とも言えず楽しくなってきます。実際に上空から見えるわけでもありませんが、描くこと自体が面白いのでしょう。
もしかしたら、ナスカの地上絵を描いた古代のナスカ人たちも、描いていること自体が楽しかったのではないでしょうか。自分たちが上空から直接見ることは出来なくても、そんなスケールの大きい絵を描くというだけで満足だったとも考えられます。ひょっとすると、あの絵自体には大した目的なんてなかったのかも知れません(笑)。
ちなみに昨年、GPS受信機を国際宅配便で発送し、世界一大きいGPSドローイング画を描いたと発表した人が話題になったものの、実は全くの
ウソだったという話
がありました。こんなウソに騙されてしまうのも、そのウソがまた話題になるのも、地球に絵を描くというスケールの大きさから来ている気がします。
P.S サーバーが不調で、画像の表示が遅れるなど不具合が発生しているようです。ご不便おかけします。画像の部分はリンクになっていますので、リンク先で確認できます。
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Posted by cycleroad at 23:30│
Comments(4)
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この記事へのコメント
スレ違いで申し訳ありません。
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Posted by 憂国の士 at February 02, 2009 23:05
凄い・すごい!!!
思っても見ませんでした。 本当にマクロ的視線で ミクロをしっかりおさえられ。 繊細そして大胆な 内容
地球をキャンパスに 自転車ガ筆 私は文房具大好きですが まさか 自転車も文具だったとは 目が覚めました。
Posted by
h134
at February 03, 2009 06:00
憂国の士さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かにテーマは違うようですが、プログの紹介をありがとうございます。
とりあえず、拝見させてもらおうと思います。
Posted by
cycleroad
at February 03, 2009 23:20
h134さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ご存じなかったとすれば、こんな楽しみ方もあることを知って驚かれる方もあるかも知れません。
いままで、あまり考えたことのなかった視点を知ることで、また違う世界が広がることもあると思います。同じ行動でも、見方が変わるだけで面白くなることもあるかも知れませんね。
Posted by
cycleroad
at February 03, 2009 23:28
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