何が凄いかと言いますと「爪」です。ネイルアートが流行っているのは知っていましたが、最近はデコネイルなどと呼ばれる派手で大がかりなものも人気のようです。つけ爪自体も大きくて長かったり、その上に、ケーキだとか、クッキーだとかのミニチュアが載っていたりします。
つい先日も、電車に乗って本を読んでいて、何か視界の端でチラチラするなと思ったら、私の目の前に立った女性の爪でした。大きなツケ爪で、数センチはあろうかという長さです。その上に、いろいろなデコレーションが施されています。もちろん他人のファッションにケチをつける気はありませんが、ちょっと驚く派手さです。
目の前だったので、見るとはなしに観察してしまいました。余計なお世話ですが、あんなに爪が長くては、相当不便なんじゃないかと心配になるほどです。その爪をベースに指が重くなるんじゃないかと思うくらいの、かなり大きめのキャラクターだとか花だとかのパーツが接着され、てんこ盛りです。
デコレーション趣味と言うより、自分の好きなもの、かわいいと思うもの、お気に入りのもので飾りたいということなのかも知れません。単にネイルアートで爪をきれいにするのに飽き足らず、人と違う自分だけのオリジナリティを強調したいという気持ちもあるのでしょう。
爪に限らず、ケータイやバッグといった身の回りの持ち物もデコにする、すなわちデコレーションを施すのが流行っています。若い社会人などにも広がっていますが、もともとは渋谷や原宿などで女子中高生を中心に火がついたファッション・トレンドだと言います。
中学生や高校生と言えば、おしゃれにも関心が高まる年頃ですが、制服があったり、校則で髪型や持ち物が決められているなど、学校生活では必ずしも、おしゃれを自由には楽しめません。そこで、いわゆる「かわいい」持ち物で個性を主張したり、友達同士で見せ合ったり、趣味を共有したりする中から生まれてきた流行なのでしょう。
こうした傾向は、今に始まったことではありません。昔から、「かわいい」と思うキャラクターグッズなどを集めたり、日用品や文房具など既存のアイテムを自分で「かわいく」アレンジする生徒はいたと思います。何が「かわいい」かの基準は移り変わるとしても、行動は同じでしょう。
スカートの丈を短くしたり、ルーズなソックスをはいたり、髪の毛を染めたり、独特の化粧をしたりするのも、学校側の求める、没個性の象徴である制服や校則に対する反発や、個性を主張したい気持ちがあるのだと思います。ケータイやバッグ、ネイルなども他人と違えて自分らしさを出したいのでしょう。
ところで、没個性と言えば、先日友人と飲んでいた時に話が出たのが、中学時代にかぶらされていたと言うヘルメットです。その友人の出身地区の中学校では、自転車通学の登下校時に着用が義務付けられていたそうです。白の格好の悪いヘルメットで、もちろん全校生徒同じものです。これが校則の中で一番イヤだったと言います。
私は経験しませんでしたが、地域によっては、学校が自転車通学時にヘルメットの装着を義務付けているところがあります。もちろん学校側にもいろいろ配慮があるのでしょうが、生徒にしてみれば、安全のため着用させられるのは仕方ないとしても、皆同じ学校指定の「ダサい」ものであるのが許せないようです。
そう考えると、学校指定の安全ヘルメットこそ、「デコ」の対象になっても良さそうなものです。もちろん「デコ」でなくても構いませんが、外観まで皆同じではなく、そこにセンスや個性が反映できるのであれば、生徒にとっても少しは許せるものになるでしょう。
ヘルメットを「カワイイ」ものにするなら、“
The Succulent Wife Favorite Things”が参考になるかも知れません。既成のヘルメットカバーを買ってもいいですが、ヘルメットに着色したシャワーキャップをかぶせ、リボンや何か好きなパーツをつけるだけです。これをヒントにすれば、十分に自作も可能だと思います。
うまくアレンジすれば、見違えるほど可愛らしくなるに違いありません。材料もシャワーキャップは、高いものではありません。今どきなら百円ショップなどでも手に入るでしょう。パーツも今はケータイやネイル、あるいはバッグなど向けにいろいろ市販されています。家にあるものを再利用する手もあります。
上の写真、もともとは子供向けのものですが、中高生がかぶっても十分かわいいと思います。大人の女性だって使えそうです。自転車に乗る時、行く先によっては服装を変えたいこともあるでしょう。ヘルメットが服装に合わない場合など、ちょっと自作のカバーをかぶせることで簡単に雰囲気が変えられ、コーディネート出来ます。
私の知る限り、デコ・ヘルメットが流行っているという話は聞いたことがありませんが、誰かが始めれば流行らないとも限りません。と、提案してみても、自転車プログを見ている女子中高生など、おそらく皆無に近い(笑)と思われますが、学校関係者の方がいらしたら、検討してみてはいかがでしょう。
案外、学校から離れた途端、格好の悪いヘルメットをかぶらない生徒は多い可能性があります。ヘルメットの外観を少し自由にしてあげるだけでも、ヘルメットの実質的な装着率が上がるかも知れません。安全のためを思えば、多少は個性を認めてあげてもいいのではないでしょうか。
いっそのこと、美術の時間にでも課題として作らせてみるのも一計です。自分の作品をヘルメットにかぶせて使ってもよいことにすれば、ヘルメットにもっと親しみを持つようになるでしょう。色とりどりのヘルメットが行き交う通学の光景に、沿道も明るくなるかも知れません。クルマからの視認性の向上にも貢献するでしょう。
デコネイルやデコ電なども、既製品に飽き足らず、パーツを買って自分だけのオリジナルを自作する中高生は少なくありません。流行を巻き起こすくらいですし、こういうことだと、大人顔負けのセンスの良い作品に仕上げる生徒もいます。思わぬアートの才能を開花させる生徒が出てきてもおかしくはありません。
聞けば、デコネイルだとシャツのボタンも止められないらしいですし、日常生活でも不便な点は少なくないように見えます。一方、デコ・ヘルメットのほうは、よっぽど大きいパーツでもつけない限り機能的な不便さはないでしょう。ちょっとしたデコで、ヘルメットをかぶるのが楽しくなり、通学の時間も楽しみになるかも知れません。
記事を投稿しようとしていて、うっかり間違えてログアウトしてしまい、全部最初からになってしまいました(泣)。
途中で保存しなかったミスもあり、全て自分のせいなので誰を責めるわけにもいきません。慣れって恐ろしいですね。ふぅーっ、疲れた。
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