「この写真、どこで撮ったの?」なんて聞かれる場合があります。
街中の写真なら、銀座4丁目とか、戎橋からすぐの所などと答えられるかも知れませんが、ツーリングの途中で、特に特徴がない場所だったりすると、「えーっと、ここはどこだっけ?」なんて場合があるに違いありません。日にちが経てば記憶も曖昧になり、おおまかな場所を特定するのがやっとだったりします。
最近はケータイにカメラ機能がついているのが普通ですので、出先で写真を撮る機会も多いと思いますが、近くに住居表示や目印でもない限り、撮った場所は不正確なものになるでしょう。いちいち正確な位置を調べて記録するのも面倒です。そこで、自動的に写真に位置情報をつけてくれるサービスを米国の“
Yahoo!”が始めています。
撮ったその場で携帯から直接アップロードすれば、自動的にGPSなどによる位置情報と共に写真共有サイトへ保管され、地図上にマッピングされた形でネット上で閲覧することも出来るという仕組みです。この米国ヤフーのサービスは、位置情報のプラットホーム確立を目指す同社の戦略の一環とも位置付けられています。
気軽に携帯電話からアップロードするだけで、写真を撮った場所に対応する地図上の地点へと整理してくれるわけです。単に親切なだけの機能のようにも思えますが、位置情報、すなわち地図と画像やさまざまなデータが結びつければ付加価値が生まれます。利用者が増えれば魅力的なサービスとなる可能性を秘めています。
カメラ付き携帯電話が普及したことで、結果的にカメラを持ち歩く人が増えた、今どきのサービスと言えます。日本のヤフーではまだ始まっていませんが、日本のカメラ付き携帯の普及率は世界の平均の3倍、7割近いと言いますから、始まれば日本のほうが流行るかも知れません。
同じ地図でも、前回取り上げたグーグルのストリートビューとはまた違った方向性です。地図情報サービスはここ数年で10兆円を超える市場規模になるだろうと目されている有望な成長市場です。グーグルにヤフー、マイクロソフトや通信会社、ISP、ポータルサイト、地図出版会社などが入り乱れてしのぎを削る分野でもあります。
投稿画像により、その場所の様子が把握できると共に、通好みのラーメン屋とか、こだわりのショップなど、その場所についての、いわば口コミ的な情報が得られることになるかも知れません。ストリートビューではわからないような情報、例えばカフェのイケメン店長なんて画像もアップできるわけです。
ヤフーは、“
Purple Pedals”というキャンペーンで、このサービスを利用するための自転車を製作して配備しました。自転車とデジカメ、GPSと携帯電話や無線LANなどとの組み合わせです。もちろん“
zone tag”と呼ばれる専用アプリケーションを使うことで、市販の機器を使っても同じことが出来ます。
確かに、自転車ならクルマと違って、撮りたい場所どこでも止まれますし、送信している間に位置情報が変わってしまうこともありません。ルート上を一定間隔で、一連の写真を撮るのにも向くでしょう。観光案内やルート情報などを作成するツールとしても有効だと思います。
今でもネット上で、例えば観光スポットなどを検索して、その場所を知ることは出来ます。ただ、ユーザーが投稿する情報の中には、既存の情報サイトには載らないような無名の場所とか草の根の情報も期待できます。そして、往々にしてそんな口コミ的情報のほうが有益だったりします。
自転車乗りがアップロードすれば、自転車乗りにとって実用的なデータが蓄積されることにもなるでしょう。例えば、よくサイクリストが集まるスポットとか、いざという時、周辺でパーツを入手出来そうなショップが検索出来たりしたら便利です。サイクリスト向けのお勧め情報を、その近くを通った時に利用できれば理想的です。
ネット上の地図は、紙と同じ2次元のものから衛星写真や実写による3Dや仮想現実空間へ、あるいは緯度経度や高度、方向や移動状態まで、現実の空間とリアルタイムに連動するサービスへ発展すると予測されています。一方で、ユーザーがデータを蓄積するようなサービスも拡大していく可能性は充分あります。
データが蓄積されれば、それを自転車で出かけた先で、ネットに接続して閲覧したり、情報を取得して活かすことも出来るようになるはずです。ケータイにGPS機能が搭載され始めていますので、自動的に位置情報を取得し、必要なものを知らせてくれるような配信サービスが登場しても不思議ではありません。
現在でもモバイル環境で利用できる地図情報サービスは増えてきています。将来的には、こうしたサービスが発展・融合することで、自転車走行中にもナビゲーションを表示したり、役立つ地図情報を検索できるようなものも登場してくることが期待できます。
まさにユビキタス・コンピューティングですが、お勧めのビューポイントや走行ルートを誘導するだけでなく、近くを友人が走行中、こちらに向かってますなどと、リアルタイムに知らせてくれるようになるかも知れません。また、「今の速度、方向で10分以内のお勧めレストランを検索して案内せよ」なんて使い方が出来たら便利そうです。
考えてみれば、ケータイがない時代には、人里離れた山奥から連絡する手段はありませんでした。今なら公衆電話が見つからなくても、電波が入ればいつでも連絡できます。お互い自転車に乗って屋外にいる友人同士が連絡を取り合うなんてことは以前なら困難でしたが、今では当然のことです。
今どき、自転車で遠出するなら、多くの人はケータイを持っていくでしょう。その携帯電話にはカメラがつき、GPSが搭載され、ネットに接続できていろいろなサービスを利用出来る時代です。短い間に、ずいぶんと便利になったものです。今後も変化していくことでしょう。
いろいろ可能性を考えると楽しくなってきます。好むと好まざるとにかかわらず、自転車に乗っていてもネットにつながっている状態になっていくのでしょう。もちろん、そんなツールがなくても自転車の楽しさは変わりません。でも、使うかどうかは別として、私たちの自転車生活も確実に変わっていくのは間違いなさそうです。
WBC、前回の韓国戦は鬱憤を晴らすような勝ち方でしたが、今回は悔しい敗けでした。結局2位通過で、次の相手はキューバということになるのでしょうね。
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ストリートの景色の先の未来
グーグルのストリート・ビューも、ユニークな地図情報サービスだ。
有益な情報は教えてあげたい
サイクリストにうれしい地図サービスも既にいろいろ始まっている。
主張しなければ良くならない
これも地図と映像を組み合わせた、自転車のための地図と言える。
Posted by cycleroad at 23:30│
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