March 12, 2009

自転車ブームのマイナス部分

今年は開花が早まりそうです。


全国で最も早い熊本では来週早々、西日本から東日本でも翌週には次々と開花する見込みです。春は、もうそこまで来ているといった感じでしょうか。冬の間は休んでいた人も、そろそろ出かけようかと考えている頃でしょう。私も先日、パーツなどを買いに自転車屋へ行ったのですが、大勢のお客で賑わっていました。

スポーツバイクを新たに購入しようという人も多いようで、巷では依然として自転車ブームが続いているのを実感します。不況のせいでクルマをやめて自転車にする動きも広がり、自転車が一般のマスコミの話題になることも、何かと増えている気がします。最近の記事から、自転車の話題をピックアップしてみました。


ちょこ乗り交通軽自動車や自転車を共同利用 「ちょこ乗り交通」開始
北九州市とNPO法人 3月末まで社会実験 JR小倉駅周辺

特定非営利活動法人(NPO法人)「タウンモービルネットワーク北九州」(植木和宏理事長)と北九州市は24日、小倉北区のJR小倉駅近くで、軽自動車1台と電動自転車7台、電動四輪カート1台を共同利用する社会実験「ちょこ乗り交通 タウンモビリティ事業」を始めた。実験は3月31日までで、利用状況を見て台数や期間延長を検討するという。

バスや鉄道で都心に来た人が、借りた自転車や車で街を回ることで、公共交通機関の利用促進、自家用車利用減による排出ガス削減、商店街の活性化につなげる狙い。...(2009年2月25日 西日本新聞)


最近は、職場まで自転車で通う自転車通勤も注目されるようになってきましたが、距離などの面から、職場まで自転車通勤出来る人ばかりとは限りません。こうした取り組みは地味ではあるものの、これからの都市交通を考えていく上でも、有益な実験と言えるでしょう。


自転車への苦情自由通路では自転車ダメ JR松本駅、市が呼び掛け

歩行者専用のJR松本駅(松本市)の東西自由通路で、自転車に乗ったまま走り抜ける人が現れ、歩行者から不安の声が上がっている。通路を管理する市や駅によると今のところ衝突事故などは起きていないが、市は自転車で通行しないよう呼び掛ける掲示をして警戒している。...(2009年3月4日 中日新聞)


私も時々、こんな人ごみの混雑したところを自転車で走るか?と驚くような場面に出くわします。駅の自由通路などでも、誰かが乗ったまま通ると、あっと言う間に増えてしまったりするのでしょう。他人の迷惑を考えない人が増え、公共の場でのマナーが低下するのは、なにも自転車に限ったことではないと思いますが困ったものです。


自転車補助松江の電動アシスト付き自転車補助が終了

松江市が二月二十八日に受け付けを始めた電動アシスト付き自転車の購入費補助への申請台数が二日、予定していた百台分に達し、市は募集を打ち切った。環境意識や節約志向の高まりなどが背景とみられ、予想を上回る人気となった。...(09/03/03 山陰中央新報)


クルマは税制面の優遇なども手厚いのに、自転車への補助というのは滅多に見かけません。環境への負荷の軽減と言うならば、自転車の貢献度はクルマの比ではありません。そうした意味から言えば、金銭的なものでなくてもいいですから、もっと自転車に乗る人への優遇措置があってもよさそうなものです。


東京サイ苦リング。広告大賞 クリエイティブ部門新聞優秀賞 パナソニック

こだわり自転車工房Cycle Web Studio「東京サイ苦リング。」

坂をスイスイ

新聞の見開き2ページに東京都心から多摩川付近まで、約17キロにわたる地形断面の大きなイラスト。空には「東京サイ苦リング。」の文字。...(中略)...「社会的な要請があっても、自転車での移動が苦痛になっては仕方がない。自転車の走るスピードで東京の良さを再発見してもらえたら」(2009.3.10  産経新聞)


アシスト比率の制限が緩和され、よりパワーアップしたこともあって、電動アシスト自転車の売上が伸びています。東京は意外にアップダウンが多いので、自転車なんて嫌だと思っている人でも、電動アシストならばと目を向ける人が増えているのでしょう。自転車が改めて注目される一因にもなっているのは間違いありません。


水陸両用自転車「水陸両用」が最優秀に輝く 立命館守山高 夢の自転車グランプリ

滋賀県守山市の立命館守山高で10日、生徒が新発想の自転車を発表する「わたしが欲しい夢の自転車 グランプリ大会」が行われた。「水陸両用自転車」を考案したグループが最優秀賞に輝いた。 ...(2009年3月11日 京都新聞)


具体的にどんな自転車なのかわかりませんが、水陸両用自転車とはユニークです。協力するパナソニックサイクルテック社の社員らが審査し、スクリューなどを付けた水陸両用自転車を「全く新しい発想」と評価したと言いますから、ちょっと見てみたい気もします。


1泊2日自転車の旅1泊2日自転車の旅提案 掛川・交流型産業創造会議

掛川商工会議所の新しい組織「交流型産業創造会議」は7日、掛川市内で「スロースタイル・ガイドサイクリング モニターツアー」を開いた。自転車専門誌関係者らに1泊2日の自転車の旅を体験してもらい、掛川でのスローな自転車の旅の商品化を本格検討するのが狙い。県外参加者からは「里山や古い道を体感できるのが素晴らしい」と好評を得た。...(2009/03/08 静岡新聞)


自転車を地域の観光振興に役立てようという試みは多いですが、1泊2日というのは珍しいと思います。レンタサイクルでわずかな時間、観光しただけでは、その地域の魅力が伝わりきらない場合も多いでしょうから、その意味でも有効な取組みと言えるのかも知れません。


暴走自転車暴走自転車 ストップ! 摘発21件、前年比の10倍 県警『対策置き去り』

「暴走自転車」への取り締まりが厳しくなっている。県警が昨年摘発した自転車の道交法違反は前年の10倍となる21件。昨年起きた人身事故のうち、自転車が関係した割合は14.6%と過去5年間で最も高い。県警交通指導課は「自転車の事故対策は自動車と比べて置き去りにされていた」と受け止めている。...(2009年3月6日 東京新聞)


赤信号の交差点に自転車で入り、避けようとしたトラック運転手を衝突死させたとして、重過失致死罪に問われた96歳の被告に禁固1年4月、執行猶予3年の刑が言い渡された事件も注目を集めました。自転車がクルマに対して加害者になった例です。

自転車ブームの一方でマナーが悪化し、歩行者との事故が増えているのも間違いありません。自転車同士でも、右側通行など違法な自転車に危険にさらされることもあります。自転車に対する風当たりが強くなっていく懸念もあり、真面目に乗っているサイクリストとしては迷惑な話です。


自転車も運びます自転車も運びます バス試験運行

神奈川中央交通(平塚市)は26日から、車両の前面に積載ラックを装着して自転車を運ぶ路線バスの運行の実証実験を行う。8月31日まで、JR茅ケ崎、辻堂駅発着の系統で6台導入する。バス1台に2台まで自転車を乗せることができる。5月までは運賃のみで利用可能、以降は積載料として別途100円を予定している。自転車の飲酒運転や、買い物帰りの片手運転などによる交通事故の防止、地球温暖化抑止に寄与できると期待している。結果をみて、9月1日から本格的に運行する予定。(2009.3.4 産経新聞)


欧米では、こんなバスが走っている国もありますが、日本ではあまり例がありません。趣味のサイクリストは別ですが、普通の人の場合は出先でのパンクなどのトラブルに、なかなか自分では対処できないでしょうから、イザという時には助かるかも知れません。


自転車 わが物顔 多摩川沿い スピード出し過ぎ 歩行者事故多発

東京都が「たまリバー50キロ」と名付け、サイクリングやウオーキングの人気スポットになっている多摩川沿いの道で、自転車絡みの事故が絶えない。速度を出し過ぎた自転車が歩行者をよけられずにぶつかるパターンが多く、高齢者が重傷を負うケースも発生した。事故防止へ向けた道路環境の整備やマナーの徹底が課題になっている。...(2009年3月12日 東京新聞)


以前から、自転車と歩行者が共存してきたサイクリングロードは多いわけですが、最近こうした記事が載るところを見ると、やはり事故が増えているのでしょう。自転車ブームで、交通弱者優先の原則をわきまえないようなサイクリストが増えているという背景があるのかも知れません。

せっかくのサイクリングロードですから、スピードを出したくなる気持ちもわからないではないですが、事故を起こして相手に怪我をさせてしまっては、サイクリングどころではありません。歩行者の歩いていない一般の車道ならともかく、サイクリングロードでは歩行者に注意し、むしろゆっくり走るくらいの気持でいたほうがいいでしょう。

一方で、歩道でもサイクリングロードでも、本来自転車と歩行者が混在しているのがおかしいわけです。サイクリングロードでも、歩行者とは物理的に分離するのが望ましいのは間違いありません。行政の担当者には、なんとか善処をお願いしたいところです。

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順不同で、最近の自転車関連ニュースのなかから目についたものをピックアップしてみました。ここに挙げなかった中にも、自転車のマナーの悪化に関連する記事が目につきました。言ってみれば、自転車ブームの負の部分も顕在化しているということなのでしょう。

公共の場でのモラル低下は自転車に限ったことではないとしても、それにより事故が増加したり、社会的なコストを増大させるのであれば問題です。いかにマナーを向上させていくか、社会としても考えていかなければなりません。ただ、構造的な問題があるのも事実でしょう。

自転車と歩行者の混在のような、交通行政の誤りがここへきて露呈しているという面もあります。今まで位置づけを曖昧にしてきた、都市の自転車走行空間の不備が明らかになっている面もあるでしょう。利用者のマナーも重要ですが、こうした根本的な議論にも踏み込んでいくべきだと感じます。

自転車ブームは日本だけの傾向ではありません、自転車の活用推進は世界のすう勢でもあります。環境やエネルギー面、温暖化ガス削減からも、都市における自転車走行空間の確保が必要不可欠になっていくのだとするならば、その構造から変えていくことが求められます。このあたりの議論も避けて通れないような気がします。



国の食品安全委員会が体細胞クローン牛・豚は安全だと発表しました。でも実際には普通より相当早く死んでしまう個体も多いと言いますし、その原因も謎だと言います。素朴な疑問として、なんでそれで安全だと言いきれるのでしょうかね。

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この記事へのコメント
サイクリングロードでは歩行者優先を徹底し、猛スピードで歩行者の脇をすり抜けるなど論外です。

・・・しかし大勢で横に広がって歩いていたり、狭い道の真ん中を歩いたりとかされると自転車側としても困りますが・・・この辺の問題がまた微妙で難しいですよね。気づいて避けてくれる人もいれば気づかない人もいるし、強引にベルを鳴らし突っ込む自転車もいます。

車道が危ないと判断すれば歩道を走る。その歩道の人が多ければ自転車から降りるというのも、現状の日本では当然の選択肢として考えられます。
Posted by s at March 13, 2009 13:42
確かにマナーのなっていない一部の人がいますよね。
厳密に言えば道路交通法違反ですから、
きちんとわきまえた乗り方をしてもらいたいものです。
Posted by まえまさ at March 13, 2009 20:19
いろいろ勉強になりました。
自分も気をつけます。
Posted by トレック at March 14, 2009 12:09
sさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ホントですね、猛スピードですり抜けて、突然歩行者が横によろけでもしたらどうなるんだろうと、見ていて心配になるような人もいます。
ただ、おっしゃるように、歩行者の側にも、横いっぱいに広がって歩いているような人もいて、自転車からみれば、他人の迷惑を考えない人に見えるのも確かです。トラブルになったりすることも、ままあると聞きます。
日本の道路事情では仕方ない部分なんでしょうが、これだけ自転車の台数が存在する自転車大国なわけですし、もう少し走行環境が改善していくといいなと思いますね。
Posted by cycleroad at March 14, 2009 23:46
まえまささん、こんにちは。コメントありがとうございます。
マナーの悪い自転車乗りが増えることで、サイクリストに対するイメージが悪化するのは、いろいろな意味で不幸なことだと思います。
サイクリストだって、自転車を降りれば、他の暴走する自転車に危険を感じるでしょう。マナーのいい人を見習って、皆が譲り合うような社会になるといいんですけどね。
Posted by cycleroad at March 14, 2009 23:58
トレックさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いえいえ、そんな大層なことでは..恐縮です。
相手を怪我させても、自分が怪我しても、スピードが出ていると大変なことになる可能性があります。事故を起こしてしまい、深刻な事態に陥って初めてそのことに思い至って後悔しても遅いわけですから、出来る事なら、そうならないよう、お互い気をつけたいものですね。
Posted by cycleroad at March 15, 2009 00:11
おなじ事の繰返しになってしまってここで色々言うのも気が引けるのですが、そろそろスポーツバイクによる高速走行そのものの功罪についてはっきり言うべき時期なのでは。

欧米でどうなっているかや、現状の自転車産業の販売戦略のことはともかくとして、子供向けのマンガやテレビの企画番組なんかでも公道での暴走を容認・助長するような内容のものがしばしば見受けられるのは残念でなりません。

私がツーリングをしていた頃は公道での走行が危険だと判断した場合は歩道に乗り上げて徐行するのが当然だと思っておりましたが、現状のまま推移すればそうした判断の方が「暴走」だと見なされかねない悪常識がはびこっているような気がいたします。

色々と指弾されてバカバカしいので現在は活動を中止しておりますが、スポーツバイクでの高速走行を合法化するためにごく当たり前だったママチャリでのお買い物のような事まで脱法行為扱いされないことを切に願います。
Posted by 鉄下駄 at March 21, 2009 09:11
鉄下駄さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
スポーツバイクだと速度が出るのは事実ですが、そのこと自体がいい悪いではなく、法律やマナーに反したり、周囲に危険を与えるような走行が悪いということだと思います。「はっきり言う」とは、誰が誰に対して言うのか、よくわかりませんが。
子供向けのマンガなどはあまり見ないので、よく知りませんが、自転車に関してに限らず、青少年によくない影響を与える図書や番組はあるでしょうね、
歩道走行が認められている場所で歩道を通ること、まして徐行が暴走とは誰も言わないでしょう。歩道で歩行者を危険にさらすような走行をする人がいるということだと思います。
ママチャリでお買い物しただけで脱法行為扱いになるとは思えませんが、ママチャリであろうとスポーツバイクであろうと、法律に反したり、周囲に危険を与える行為が責められるべきなのではと思います。
Posted by cycleroad at March 23, 2009 22:22
突然の書き込み・内容を、どうかご容赦ください。
自転車も、銃やナイフのように、使い手次第でどうにでもなってしまう物ですよね。

わたしは、Website「かすみがうらの風」運営者のエディと申します。
この度、皆様には、交通安全に直結するアンケートにご協力頂けますよう、
お願いさせていただく書き込みをさせていただきました。

「自動車運転者から自転車愛用者へ言いたいこと」
と題したアンケートにご協力いただければ幸いに思います。
以下ホームページ、「かすみがうらの風」
http://sports.geocities.jp/kasumi_cycle/
において、「アンケートにご協力ください」というコンテンツをご覧いただき、
皆様の貴重なご意見をお伺いさせてください。
総合的な交通安全活動へ繋げていくための、データベースとしたい所存ですので、
皆様の貴重なご意見を拝聴させていただきたいと思っております。

集計結果は、きちんと議論したり、関係省庁へ提出します。
どうぞ、よろしくお願いいたしますm(__)m
Posted by エディ at March 24, 2009 21:08
エディさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、自転車がどうとか、クルマがどうとかと言うこともありますが、それを動かしているのは人間ですからね。
私の場合、クルマも運転しますが、どちらかと言うと「自転車愛用者から自転車愛用者へ」という感じですが、先ほどアンケートにお答えしておきました。
クルマ利用者と自転車利用者と、少しでもお互いへの理解が深まり、交通安全につながるといいですね。
Posted by cycleroad at March 26, 2009 21:56
 
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