台風の上陸の多いのは8月、9月、7月の順となっています。台風シーズン本番に入りつつありますが、台風が接近すると、テレビの中継で自転車が映されることがあります。自転車が横倒しになった光景です。自転車も倒れるほどの強風と言いたいのでしょう。ただ、風がなくても将棋倒しは起きています(笑)。
自転車の将棋倒しが起きる原因が台風か人かは別として、日本の駐輪場は、ただ白線を引いただけの場合が多く、自転車は自立式のスタンドを立てただけで並んでいるからだと言うことも出来るでしょう。いわゆる前輪錠や馬蹄錠をかけただけで、自立式で駐輪するママチャリが大部分を占めているという背景があります。
これが世界だと、日本とは事情が違います。例えばニューヨークでも、スタンドのついた自転車に乗っている人はいますが、盗難事情から前輪錠だけしか施錠しないなんて考えられません。必ず何か固定物に添って駐輪し、ワイヤー錠などで施錠して止めてあるので将棋倒しにはなりません。
そう考えると、強風で自転車が倒れて滑っていくなんて光景は日本独特のものなのかも知れません。日本人にとっては当たり前に思える自立式駐輪のスタイルは、どこでもとめられて便利な一方、駐輪を乱雑にさせ、強風で横倒しになって通行の邪魔となったり、盗難を助長したりもすると言えるでしょう。
日本でもスポーツバイクに乗る人は、スタンドをつけていない人が多いと思います。元々ついていませんし、邪魔になります。ツーリングの途中に休憩する時などは、何かに立て掛けるか寝かしておけばいいことですし、しばらくそばを離れる場合なら、どこか固定物に沿わせてワイヤーロックなどをかけると思います。
そのためスポーツバイクだと、駅やスーパーなどの、白線が引かれただけの駐輪場では困ることがあります。立てかけられなかったり、ワイヤー錠をかける固定物も見当たらないことがあります。仕方なくどこか駐輪場以外の、門柱や柵などに添って駐輪したりすることになります。
最近でこそ機械式の駐輪場も増えていますが、まだまだ白線だけの駐輪場が少なくありません。日本でもスポーツバイクが増えつつあります。個人的には、将棋倒しになったり乱雑に駐輪させないため、また盗難防止にワイヤー錠などで施錠させるためにも駐輪用ラック等の設置を増やしてほしいものだと思います。
駅前など自転車が集まる場所以外にも、街中でちょっと駐輪したい時、道路わきに駐輪用のラックが設置してあると助かります。固定物につないで駐輪するのが当たり前になれば、思い思いの場所に駐輪されて乱雑になったり、道や店の入り口をふさがれたり、歩行者の危険にならないよう駐輪場所を指定する役割も果たすでしょう。
ニューヨークでは、写真のような駐輪ラックのデザインコンペをニューヨーク市交通局などが主催しています。見ればその応募デザインは個性的で、道路に設置する構造物の設計デザインと言うより、アートと呼ぶのがふさわしい作品も少なくありません。
一部の入賞作は、実際にニューヨークの街に設置されたりします。アート作品として評価し、それだけでなく実際にその展示場所を与えているわけですから、市交通局も理解があります。その地区を象徴するようなデザインの一連の作品を、それぞれの場所に設置してあるのがユニークです。
ウォール街やブルックリンのウィリアムズバーグなどに飾られた作品は、どれも一目でそれとわかるデザインです。東京で言えば、¥のマークが兜町に、魚のマークが築地に、本のマークが神田神保町に飾られているようなものです。街を行きかう人にとっても親しみがわくに違いありません。
コンペとは別ですが、実用性とデザイン性を兼ね備えた作品もあります。こちらは、街角に設置される駐輪用ラックでありながら、ベンチの役割も果たし、案内板にもなります。なかなか上手いアイディアです。シンプルでありながら、デザイン性も高いものがあります。
こうしたデザイン性が高く、見て楽しい駐輪ラックがあったら、街の雰囲気も明るくなりそうです。中には駐輪ラックとは気付かないような作品もありますが、街の景色のアクセントにもなるでしょう。ちょっとしたアートがあるだけで、街にある種の「ゆとり」や、「うるおい」が感じられるのではないでしょうか。
日本だと、駐輪ラックを設置したとしても、四角四面の面白みのないものになりそうです。あまり芸術性を高くして無駄の多いものにすると、税金の無駄使いだと、市民の反発を買うことになる場合も少なくありません。当然ながら、役所も採用に及び腰になるでしょう。
もちろん経費削減は重要ですが、このあたりの国民性に、日本の街並みが全国どこへ行っても同じようなものになり、画一的で面白みのないものになる原因がありそうです。効率的で合理的なのもいいですが、観光客の誘致で、パリやニューヨークに遠く及ばない理由になっている可能性もありそうです。
これらの作品を見ていると、もう少し考え方に余裕があってもいいような気がしてきます。考えてみれば、ガードレールにしろ、ベンチにしろ案内板にしろ、あまり面白みのあるデザインとは言えません。日本には、もっと駐輪ラックを設置すると共に、もっと遊び心を加えてもいいような気がします。
今年は早い梅雨明けからの連日の猛暑で、7月半ばにしてバテ気味ですね。
Posted by cycleroad at 23:30│
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