
テレビのニュース番組で自転車通勤が取り上げられていました。
26日のNHK首都圏ローカルのニュース番組、「首都圏ネットワーク」です。関東地方以外の方はもちろんですが、平日の午後6時台に放映されている番組ですので、帰宅前でご覧になっていない方も多いでしょう。私は予約録画をしておいたので、帰ってから見てみました。
「東京の『自転車通勤事情』は?」と題された、自転車通勤をする人が最近増えていることを特集として伝えるものです。首都圏の話ですが、全国各的に自転車通勤は増えていると言いますし、傾向として他の地域と共通する部分も多いのではないかと思います。
冒頭でアナウンサーは、「ジテツウ」という言葉が出来るくらい流行していると説明していました。これは単に略しただけですし、言葉としては馴染みのない人は多いと思いますが、朝夕にオフィス街を行きかう自転車が増えた気がする人は少なくないかも知れません。

自転車ブームでスポーツバイクに乗り始めた人が、そのポテンシャルを知り、最寄駅までではなく会社まで自転車で通勤できることを実感したということもあるのでしょう。メタボが気になって、運動不足の解消も兼ねてという人も多いに違いありません。そんな人の例が紹介されていました。
ジテツウ人口の増加に伴い、自転車通勤者を対象とするサービスも増えてきました。出ていたのは、先月オープンした自転車通勤者用に職場近くに駐輪場とロッカー、シャワーを提供する施設です。NHKなので名前は出していませんでしたが、私も以前取り上げた、左のリンク先記事にもある施設で、利用料は月額2万3千円です。
決して安くない金額ですが、出勤前にシャワーを浴び、スーツに着替えて出勤できます。自転車も預かってもらえますし、スポーツジムに通うことを思えば、必ずしも高くないと考えることもできるでしょう。番組で取材していた人も、通勤時間も変わらないし、お金をかけてでも健康のために長続きさせたいと答えていました。
この人、メタボ予備軍なので8キロほど痩せたくて自転車通勤を始めたと言います。こうした施設を借りることで、痩せるために自転車通勤を続けるべく、背中を押してもらう効果も期待していると話していました。バッチリ顔と名前が出てましたが(笑)、同僚に知られずジテツウし、ここで「変身」できるのも、秘かな喜びだそうです。
自転車通勤を積極的に社員に勧める会社も紹介されていました。あるスポーツ用品の販売会社では、自転車通勤者にひと月2万円を支給しています。この会社では、社員が朝から体を動かすことでスイッチが入り、仕事の能率も上がると考えています。今では5人に1人が自転車通勤者だそうです。

この会社は見たところ、カジュアルな服装での勤務が可能な会社のようです。インタビューに答えていた社員は、通勤ラッシュの混雑や、満員電車のドンヨリした空気をを避けられるというメリットや、職場が朝から活気に溢れることなどを挙げていました。
自転車販売店のレポートでは、自転車通勤用に5万円前後のクロスバイクが良く売れていると報告されていました。まっすぐなハンドルに細めのタイヤで乗りやすく、長い距離でもラクに走破出来ます。背中が蒸れないようになったリュックや、小さく折りたためるレインジャケットなど、自転車通勤を後押しするグッズも好評のようです。
自転車通勤をする人が増えるのを見越して、自転車通勤者向けマンションが登場していることも出ていました。これも以前、私も取り上げたことがありますが(関連記事参照)、自転車愛好者のことを考えてつくられた、サイクリスト向け賃貸マンションです。
1階の共有スペースには、自転車の修理台などのあるメンテナンス・スペースがあります。エレベーターも自転車が積みやすいよう縦長で奥行きがあり、しかも降りる時は反対側のドアから出るので方向変換は不要です。自転車ボタンがあって、押すと各階でエレベーターを待つ人に自転車が載っていることを知らせることまで出来ます。
一階の共有スペースでなく、各住戸の横に専用の駐輪スペースがあり、固定して施錠することも可能です。また玄関の幅や奥行きもあって、部屋の中の玄関に自転車を置くことも出来るようになっています。確かに自転車通勤者には理想的な環境です。マンションを企画した会社は、今後も増やしていきたいと話していました。

スタジオでは、ヘルメットやライトなど安全の為に必要な装備や、これから始める人に向けての注意点やマナーなどにも言及していました。自転車は車道通行が大原則であることを強調していましたし、もちろん許可された場所では歩道に上がることも出来ますが、歩行者に注意しスピードを出さないよう、クギをさしていました。
面白いアイテムだったのは、自転車通勤用のジャケットです。袖口と背中に縦のファスナーがついていて、広げるとメッシュで風が通るようになっています。通勤時には風を通すことで汗をかきにくくするわけです。到着してファスナーを閉めたら、見た目は全く普通のスーツのようです。
「高品質の自転車を買おうとする人が増えた」とも報じられていました。昨年の自転車輸入で台数は5.9%減って、903万台だったものの、金額は4.4%増えて781億円あまりと過去最高を記録しました。輸入先は中国が90%を占めるものの、2番目の台湾から高級な自転車の輸入が目立ったということです。
また、これも過去に取り上げましたが、神奈川中央交通が始めた、自転車用ラックを取り付けたバスの運行の話題も出ていました。今年8月末まで毎日試験運行され、9月から正式に導入予定と言います。突然の雨とか飲酒してしまった場合、坂道を避けたり、遠くまで出かけられるなどのメリットが想定されています。
自転車も運びます バス試験運行
神奈川中央交通(平塚市)は26日から、車両の前面に積載ラックを装着して自転車を運ぶ路線バスの運行の実証実験を行う。8月31日まで、JR茅ケ崎、辻堂駅発着の系統で6台導入する。バス1台に2台まで自転車を乗せることができる。5月までは運賃のみで利用可能、以降は積載料として別途100円を予定している。自転車の飲酒運転や、買い物帰りの片手運転などによる交通事故の防止、地球温暖化抑止に寄与できると期待している。結果をみて、9月1日から本格的に運行する予定。(2009.3.4 産経新聞)
私も実感として、場所によってですが、朝夕に街を走行している人、すなわち自転車通勤する人が増えている感じはしていました。それでも全体から見ればわずかな割合なのは間違いありません。基本的に自転車通勤が話題になるのは、自転車愛用者の中での話だろうと思っていました。

それが、「自転車ブーム」についてならともかく、「自転車通勤」がNHKニュースの特集として取り上げられるくらい、一般の認知度が上がっているとは思いませんでした。自転車ブームの延長として盛り上がっている部分もあるのでしょうが、あらためて自転車通勤の広がりを感じます。
自転車を趣味とする者の視点からは、なかなか客観的にわからない部分がありますが、その意味でも、一般の人にどう捉えられているか知る上で興味深いものでした。テレビ局としては、最近の話題の一つということなのでしょうけど、思ったより長い時間をとった特集でした。
アナウンサーや取材した記者も、ますますこれからジテツウする人が増えそうだと述べていましたが、確かにその通りかも知れません。少なくとも、会社まで通して自転車通勤するというスタイルの認知度は、確実に上がっていくことでしょう。案外、我々が考えるより、ジテツウ人口の増え方が加速していくかも知れません。
果たして、自転車通勤がどこまで一般的になっていくのかはわかりません。ただ、自転車通勤する人が相当数に達するならば、自転車走行空間整備へのニースも高まるでしょうし、環境への配慮とも相まって、社会のインフラをも変えていく可能性があります。
事実、ヨーロッパの都市の中には、自転車を都市交通として大きく組み込む都市も生まれ始めています。趣味としての自転車ブームとはまた違い、自転車通勤が広がるならば、都市交通、社会インフラとしての自転車が大いに認知されることにもつながっていくはずです。その意味でも、今後の動向が楽しみです。
さあ、花見だ。と思ったら、開花が早まった割には、東京ではまだ3分くらいのところが多いようです。週末は寒そうですし、高速道路の1000円も始まりますから、クルマで郊外へ行くのは混みそうです。やはり自転車で出かけますかね(笑)。
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こんにちは。こちらの番組、先週か先々週の「おはよう日本」でも放映されていましたね。番組ですが、こちらの紹介内容を読ませて頂くと同一のようです。確か朝6時30分くらいでしたが、自転車で出勤しようと思った際に始まったので、出るのを止めてしばらく見入っていました。「NHKで取り上げられるまでになった」かと感心していたのですが、会社の上司に話すと大変興味を示していましたよ。うちは実はジテツウ禁止なのですが、こうやって社会的に推進して頂けると助かります(笑)