世界的な不況が深まる中、日本の雇用情勢は厳しさを増しています。
総務省の速報値によれば、2月の完全失業率は4.4%と、前月より0.3ポイント悪化し、3年ぶりの高い水準となりました。厚労省の発表する2月の有効求人倍率も0.59倍と6年ぶりの低水準になり、前月からの落ち込み幅はオイルショック以来、34年ぶりの大きさだと言います。
全国の自治体も独自の求職者支援などを打ち出していますが、雇用調整の対象は正規雇用にも広がってきています。企業が採用を抑制する傾向も鮮明となっており、慢性的な人材不足に悩む業界もあるものの、いわゆる雇用のミスマッチがあって、全国のハローワークには長い列が出来ています。
この雇用のミスマッチを少しでも解消することが求められますが、最近は国の管轄するハローワークや自治体の相談窓口などのほかにも、民間の就職支援サービスなどが増えています。また、インターネット上の求人サイトの人気も高まっており、一方の人材獲得を目指す企業の側にも、求人サイトへの期待は高まっているようです。
東京商工会議所の調査では、採用難に悩む中小企業にとって、最も効果的な募集方法としてインターネット上の求人サイトを挙げる割合が5割超となり、トップだったそうです。従来のハローワークによる斡旋や合同会社説明会の開催などを大きく上回っています。
実際、人手不足に悩む地域の企業や農家などがインターネットの求人情報サイトを積極活用し始めています。こうしたサイトで、地域や職種を超えた採用に結び付く例も増えており、職種や条件などが合わずに就職できないミスマッチの解消への貢献が期待されています。
求人情報サイトには各種いろいろあると思いますが、アメリカにはちょっとユニークなサイトがあります。自転車に関連する仕事のみの求人サイト、その名も“
Get a Bike Job”です。どんな形であれ、自転車に関わる仕事がしたいという人にはうってつけの求人サイトです。
“Get a Bike Job”は、熱心な自転車ファン、自転車好き、あるいは自転車フリークと、そんな人を雇いたい企業の出会う場所を提供しています。かなりニッチな求人サイトと言えるかも知れませんが、実際に自転車ショップや自転車関連の製造業など、自転車に関係の深い求人情報が掲載されています。
日本でも、自転車ブームや健康志向、環境重視の追い風を受けて、自転車関連産業の業績は好調なようです。自転車部品や自転車販売などの上場企業の株価も堅調に推移しています。多かれ少なかれ、アメリカでもこの傾向は同じと聞きますので、自転車関連企業の求人は増えているのかも知れません。
そう言えば以前、ある自転車店の店主との世間話の中で、ハローワークから紹介されてきた人材が、なかなか定着しなくて困るとこぼしていたのを思い出します。少なからず興味があって応募してくるのは間違いないでしょうが、実際に勤務してみると、自転車の修理などの地味な仕事に意欲を失う人も少なくなかったようです。
自転車ショップの経営者にしてみれば、「3度の飯より自転車が好き、自転車をいじっていれば満足。」なんて人材がいたら、喉から手が出るほど欲しいでしょう。好きこそものの上手なれで、自転車メンテナンスの腕もメキメキと上がるに違いありません。
もちろん、自転車好きの求職者にしても、確実に自転車に関係する仕事につけるわけで、うまく機能すれば、企業と人材の相思相愛の関係が期待できます。これは、双方にとってメリットであり、どちらにもハッピーな雇用関係が成立する確率が高まります。
ところで、アメリカでは最近グリーンカラーという言葉がよく聞かれます。工場などの現場で働くブルーカラー、事務職を表すホワイトカラーに対し、環境関連の分野で働く人を指します。オバマ政権がグリーン・ニューディール政策のもと、環境関連で新たに500万人の雇用創出を目指している中で注目を集めているキーワードです。
これからの時代に大いに発展が期待されている分野でもあります。必ずしも新エネルギーや環境関連の新しい産業だけでなく、以前からあるリサイクルなどの事業を含め、広く環境分野で働く人、あるいは環境に優しい働き方をする人も含めてグリーンカラー、グリーンカラージョブと呼ばれているようです。
ホワイトカラーやブルーカラーの仕事も、環境関連事業の会社だったり環境に配慮した働き方であればグリーンカラーです。もちろん自転車を使う「バイクジョブ」もグリーンカラージョブと言えるでしょう。ちなみに、ホワイトカラーやグリーンカラーの「カラー」は、色の“color”ではなく、襟の“collar”です。
宅配便の業者が、電動アシスト自転車とリヤカーでの配達を始めればグリーンジョブです。バイク便もオートバイから自転車に変わればグリーンカラーになります。可能な部分はクルマを自転車に置き換える動きが加速していけば、バイクジョブも、ショップや製造業だけでなく、もっと広がっていくでしょう。
ただ、雇用全体を見れば圧倒的に「仕事」が不足しているのも間違いありません。こうした求人サイトによっても雇用が促進され、ミスマッチが減り、例えば農業に興味を持つ人が増えたり、地域企業へのマッチングを増やすとは言え、有効求人倍率は0.59倍です。アメリカでも雇用は厳しさを増していますが、日本の雇用情勢も更なる悪化が懸念されます。
グリーンジョブは地球環境問題への処方箋を示すと共に、この厳しい雇用環境に新たな雇用を供給することが期待されます。雇用保険の給付や求職者の再教育といった支援も大切ですが、日本でも景気対策として環境分野への大型投資を行い、新たな雇用をもっと創出することが求められていると言えるでしょう。
景気の悪化に雇用の不安、さらにはテポドンが飛んで安全保障上の不安まで広がるとは..。
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今こそ雇用慣行を見直すべき
簡単には雇用は増やせないので、ワークシェアリングなども重要。
悲劇がなるべく起きない社会
雇用情勢の悪化は社会不安につながり自殺などの悲劇も増える。
太陽の恵みをもっと利用する
給付金をバラまくくらいなら、新しいエネルギー資源へ投資すべき。
Posted by cycleroad at 23:30│
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