それも、なんと10年以上前に盗まれたものだと言います。
東国原知事 10年以上前の盗難自転車が見つかる
宮崎県の東国原英夫知事(51)が、10年以上前に盗難された自転車が発見されたことを自身のブログで報告した。
今回発見されたのは、東国原知事が10年以上前に愛用していた自転車で、その報告は「世田谷のある警察署」からあったという。10年以上前のことであるからか、東国原知事は「盗難に遭ったことも忘れていた」そうで、盗難した犯人に対し、「(10年以上)乗り続けていたその犯人もある意味凄い」という気持ちを語っている。
さらには、その犯人が東国原知事の自転車を盗み、乗り続けていたことを知ったときには「さぞかし驚いただろうな〜」と感慨深く述べていた。
私も過去に、盗まれた自転車が、数年以上経って返還されたという話を聞いたことがあります。今回、東国原知事という著名人だから話題になりましたが、案外こういうことは起きているのかも知れません。何かの拍子に盗難自転車が発見され、所有者に返却されるということも、場合によってはあるのでしょう。
ただ、何分の一か知りませんが、返還に至るケースは少なく、多くの場合、発見や奪回が困難なのは間違いありません。仮に戻ってきても、不便ですから見つかるまでに新しい自転車を買ってしまっている場合がほとんどでしょう。やはり盗難されないようにするしかありません。
各地の警察も増え続ける自転車盗に危機感を高めており、自治体、地域の関係者などと共に盗難の防止に力を入れています。やはり、鍵かけの徹底が基本ですが、カギを2つかけるツーロックが有効ということで、ワイヤー錠などを無料で配って盗難防止を呼び掛けるところもあります。
「ツーロック」呼びかけ 豊田署など、自転車盗難被害抑止で
「ツーロック」を通学中の学生に呼びかける豊田署員 自転車盗難被害抑止のため、豊田署生活安全課と市防災防犯課が5日、豊田市の愛知環状鉄道新豊田駅前の駐輪場で、自転車のワイヤ錠を通勤客らに配り、鍵を二つ掛ける「ツーロック」を呼びかけた。
市内では、1〜4月で314件の自転車盗の被害があり、前年同期比で約27%も増加。被害の半数以上は、鍵を掛けていても壊されて盗まれているが、自転車盗の犯人の約70%が「ツーロックの自転車は盗まない」と話しているという。
この日は、「ツーロックは盗まれにくい」と書かれたチラシとワイヤ錠200組を用意。生活安全課員ら5人が駐輪場の入り口に立ち、「自転車を盗まれないように、鍵を二つにしてください」と呼びかけながら、通勤・通学中の人々にワイヤ錠を配った。同課では「ツーロックにすると被害を抑えることが出来る。ワイヤ錠をぜひつけてほしい」と話した。(2009年6月6日 読売新聞)
一宮署が自転車盗防止運動
自転車の盗難を防ぐため、一宮署は毎月26日を「ツーロックの日」と定め、利用者に二重のカギ掛けを呼びかける。第1回の運動の26日には、午後5時から署員や市職員、地区の防犯委員ら約20人が出て、希望者約200人に蛍光色のワイヤ錠と「ツーロック宣言」と印字した反射シールを無料で配る。
一宮市内は土地の高低差が小さいこともあって自転車利用者が多く、JR・名鉄の一宮駅周辺にある9か所の無料駐輪場には平日の昼間、約1万台の自転車が止められている。一方、自転車の盗難も多く、今年1〜4月の盗難件数は昨年同期より58件多い386件に上り、県内の警察署別で最悪となった。
同署によると、被害に遭った自転車の50・5%は無施錠だったが、施錠してあっても1か所だとカギを壊すなどして盗まれるケースも多く、「ツーロック」(2か所の施錠)を呼びかけることにした。2か所に施錠された自転車は、被害に遭うことがほとんどないという。(2009年5月26日 読売新聞)
高校生に自転車盗防止のワイヤロックをプレゼント 和歌山・橋本
駅前の駐輪場で自転車のチェーンロックを無料配布/山形
自転車盗難防止:伊都高校生81人にワイヤロック贈呈−−地域安全推進員会 /和歌山

啓発のチラシやステッカーなどを配るくらいでは、その呼びかけに応じてワイヤー錠をわざわざ購入するという人は、そう多くないと思われます。なるべくなら盗まれたくないと考えている人がワイヤー錠をもらうなら、ツーロックしてもらうことも、ある程度は期待できそうです。
ただ、最近はかなり価格の安いママチャリが出回っていますし、こんな古いママチャリ、誰も盗まないだろうとカギをかけない人は意外に多いようです。古くなったので、もし盗まれたらまた買えばいいやと、なかば使い捨て感覚の人がいるのも事実です。ワイヤー錠なんて面倒と、もらっても使わない人もあるに違いありません。
そんな防犯意識の低い人が、結果として自転車盗を誘発します。自転車盗の増加は地域の治安を悪化させることもわかっています。自転車盗を減らすためには、極端に言えば自転車を利用する全ての人の協力が不可欠です。自分が盗難に遭わないためだけでなく、犯行を断念させ、盗難を減らすための協力でもあるわけです。
例え、盗まれてもいい自転車だったとしても鍵かけを徹底し、出来れば2つカギをかけるなどして、盗むのに手間がかかるようにすれば、その地域での盗難の発生は大きく減るはずです。そのことをよく理解してもらうと共に、地域社会の一員としての自覚を促し、出来ればカギをかけ忘れても盗まれないくらいの街にしたいものです。
鍵かけの徹底を呼び掛けて防犯を強化する一方で、盗難自転車の発見を強化しようという試みもあります。
識別シールで自転車盗対策水戸署試行
水戸署は、自転車盗難対策として「自転車識別暗号シール」を県内で初めて試験的に導入した。対象は主に高校生で、利用する駅ごとに異なる色のシールを自転車に付けてもらい、自転車の行動範囲を把握出来るようにしたもので、盗難自転車の早期発見につながると期待している。
同署によると、昨年、管内で盗まれた自転車は約800台で、そのうち返還されたのは約2割にとどまっている。主に駅周辺やゲームセンターなどで被害が多く、盗難被害の約6割が、市内の駅から学校までの登下校時に自転車を利用することが多い高校生。
シールは、大きさが縦約1センチ、横約3センチで自転車にはり付ける。同署の生活安全課の署員が考案し、水戸地区防犯協会の協力を得て製作した。
高校生の自転車利用の多いJR水戸、赤塚、内原の3駅ごとに、それぞれ色の違う3種類のシールを用意し、3駅から高校周辺までを生徒たちの基本的な移動範囲と想定。移動範囲を大きく外れた場所で指定された色以外のシールを付けた自転車が見つかれば、盗難自転車の可能性があると判断出来る。シールは反射材の役割もあり、夜間の事故防止の効果も期待される。
同署は22日、市内の千波公園内駐車場でボランティア団体などとともに、駐車場内を通る高校生らの自転車に識別暗号シールをはり、防犯意識の向上を訴えた。今後は街頭指導とともに、高校に直接赴いて指導するなどし、約1万枚の配布を目指す。
小堀健一署長は「識別暗号シールをはることによって、被害の未然防止、早期発見に役立てたい」と話している。(2009年5月26日 読売新聞)
こうした取り組みは初めて聞きましたが、なるほど、ちょっとしたアイディアです。通勤や通学に使う最寄駅は普通一定だと思います。駅前の駐輪場ごとに統一のシールを貼っておけば、違う色のシールの自転車がとめてあった場合にすぐわかります。盗難された自転車かどうか確認することも出来ます。
とめておいた自転車を盗まれた場合、例え、比較的近くに乗り捨てられてあったとしても、なかなか見つけるのは困難です。この方式なら、いつもとめられていない自転車がすぐ判別できるので、盗難に遭った自転車を持ち主へ返還出来るケースも増えるでしょう。
駅前の放置自転車の中には、自分の自転車を放置したものだけでなく、盗んで乗り捨てられた自転車もあるでしょうから、同時に放置自転車を減らせる可能性もあります。もちろん、全ての自転車を最寄り駅ごとに分類するわけにはいきませんが、場所によっては一石二鳥の効果が見込めるかも知れません。

ところで、カギをかけましょうなんて当たり前のことを呼び掛ける活動、欧米などでは、あまり聞きません。おそらく厳重に施錠するのが当然で、駐輪するのにカギをかけない人などいないからでしょう。それでも都市部では盗難が多発しているのが実情です。
日本人が見たらジョークかと思うほどの太い鎖を使い、さぞ手間がかかって大変だろうと同情するくらい厳重に施錠している自転車もたくさん見ますが、それでも盗まれることがあるわけです。日本で当たり前のように普及している前輪錠なんて、全くカギのうちに入りませんし、海外ではまずお目にかかれないと思います。
最初から犯人は、窃盗目的で周到に準備をしてロックを破壊したり、チェーンを切断したりして盗み、ネットオークションで売るなど転売目的で狙う場合もあるようです。日本と欧米の盗難事情は異なっているわけですが、最近日本でも高額なスポーツバイクを狙って盗む犯行が増え、他人事ではなくなってきています。
スポーツバイクに乗っている人は、ワイヤー錠などを使って施錠している人がほとんどだと思います。中には、しっかり施錠されていなかった、少しの間と油断してしまったなどの場合もあると思いますが、きちんとカギをかけていても盗まれる、つまり、カギだけでは防げない盗難も増えているようです。
なるべく堅牢なロックやワイヤーを使ったり、複数のカギを使って手間がかかるようにしたり、人目につきやすい場所に駐輪して犯行を抑止するなどの工夫も必要になります。ただ、頑丈なロックやワイヤーは、携行には重くて邪魔です。必ずしも理想的な場所に駐輪できるとは限りません。そのあたりが悩ましい部分でしょう。
当然、記事にあるような「自転車識別暗号シール」などは役に立ちません。分解してパーツとして売りさばかれてしまっては、防犯登録のシールも役に立ちそうにありません。でも、同じシールでも、
こんなシールだったら、案外有効かも知れません。言わば犯人をダマすことで盗難を防ごうというシールです。
サビやひび割れを偽装することで、盗難する気をそぐわけです。確かに写真で見る限りリアルです。このシールによってサビだらけの自転車に見せることが出来れば、犯人もわざわざ盗まない可能性があります。一時的なアシとして盗むならともかく、転売して稼ぐには錆びて商品価値が低いと見なされることを期待するわけです。
ふだん周囲から、「サビて古くてみすぼらしい」自転車に乗っていると見られることになりますが、錆びた自転車でも恥ずかしいなどと思わず、世間体より盗難防止が優先と考える人なら一考の余地があります。自転車の性能に関わるわけではありませんし、見た目は諦めて盗難防止のため割り切るという手はあるでしょう。

普通のママチャリはともかく、趣味のスポーツバイクの場合、欧米とは違って、日本では特にピカピカの自転車に乗っている人が多いですから、この心理的な防犯手段、案外有効な手立てかも知れません。もちろん盗難防止を保証してくれるものではありませんが、リンク先のサイトから通販で手に入れることも出来ます。
わざわざ取り寄せなくても、少し器用な人なら自分で描くことも出来るでしょう。プラモデルや模型用の塗料などを利用すれば、サビやひび割れもリアルに再現できそうです。さすがに直接描くのは躊躇するでしょうから、失敗してもやり直せるように、透明なフィルムを貼った上に描けばいいでしょう。

いっそのこと、自分でコンピューターソフトを使って描くか、実物のサビの写真を加工するなどして、透明なシールに印刷してもいいかも知れません。必要な時に貼ったり剥がしたりすることも可能になります。果たしてどこまで効果があるかわかりませんが、この作者は自分の新しい赤い自転車に貼って、盗まれずに済んでいると言います。
もっと手軽に手に入ると便利ですが、どこかのメーカーが市販するなどして有名になってしまうと、窃盗犯にも知られるところとなり、効果が期待できなくなってしまいます。そうならない間ならば、このカモフラージュ作戦、ある程度の効果が期待できそうです。
万人向けの対策とは言えませんが、ロックやワイヤー錠と併用して、少しでも盗難の確率を下げたい人には一つの選択肢でしょう。いずれにせよ、後悔先に立たずです。盗まれてしまってからでは遅いわけで、盗難のリスクや、どうやって防ぐか、一度考えてみるべきかも知れません。
まずはW杯出場が決まって良かったですが、本大会での日本の躍進を見たいですね。
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自転車本体に、予め盗難防止の仕組みを組み込んだものもある。
盗難で思い出したのですが、自転車の防犯登録。あまり役に立たないということでした。データベース化されたのはつい最近だということです。しかも、市町村区ごとのDB化のため、境を越えてしまえば、それが発見されたとしても、本人のもとに戻ることはほとんど期待できないそうです。
自動二輪(原付を含む)の場合は、全国統一のDB化のため、発見されれば、必ず本人のもとに戻るそうです。
発見率が低く、本人に戻る確率が低い自転車の防犯登録は、必要性があるか疑問です。