「
渡・国際応急建築設計展(Crossing: Dialogues for Emergency Architecture)」と名付けられた展示会で、北京の中国国立美術館で行われました。昨年の5月12日に発生した四川大地震から、ちょうど一年経ったのを機会に開かれた展示会です。

四川大地震はマグニチュード8クラスの大震災でした。現地では、いまだ復興の途上にあるわけですが、この展示会は応急建築、つまり災害が発生した後に建てられる仮設の建物を展示したものです。時間が経つにつれ人々の記憶が薄れつつある中で、地震からの復興に今一度関心を集める意図もあったようです。
その応急建築の中に一つだけ、どう見ても自転車にけん引されたトレイラー、もしくはリヤカーにしか見えないものがあります。“
Room-Room”と名付けられたこの作品、災害などの時の緊急時の「建築」でありながら、自転車でけん引して移動も出来るという代物です。
単なる自転車でけん引されるリヤカーとして見てしまうと、特に驚きはないですが、あくまで応急建築として、建築の関係者から見ると、斬新なアイディアということになるのかも知れません。確かに避難所での個別空間、あるいは仮設のテント、もしくは仮設住宅が簡単に移動できれば便利な場面は少なくないでしょう。

二次災害を避けるため、さらに別の場所に避難する場合もそのまま移動出来ますし、余震がおさまったら倒壊した自宅の近くに移動したい場合もあるはずです。平時は庭にでも置いておいて物置として使ったり、自転車でけん引して、野宿しながらの旅行にも使えそうです。
トレイラーとして見てしまえば、特に優れた工夫には思えないかも知れませんが、応急建築として、建築という固定観念にとらわれていると出てこない発想ということになるのでしょう。ほかにも、そんな固定観念をちょっとだけ裏切ってくれるような自転車、アイディア商品を、いくつか集めてみました。

自転車と言うと、ダイヤモンドフレーム、そしてフレームは円柱形のチューブが当たり前ですが、この“
baubike”は四角い形、しかもフレーム自体も四角いパイプで出来ています。自転車にもいろいろな形がありますが、この角ばった形に斬新な印象を受けるのは私だけではないでしょう。

自転車の形ということで言えば、こちら“
bio-cycle” も少しドキッリするデザインです。もちろん実用品ではなく造形、アート作品ですが、なんともリアルな感じです。夢中でペダルをこいで自転車と一体化するイメージから来たのでしょうか。

こちらは、その名も“
cartrider”です。カートと自転車の合体です。以前にもカートと自転車を合体させたものを取り上げましたが、こちらはカートに子供を乗せるところから発想が来ています。子供が自分でペダルをこいで移動出来るカートというわけです。ただ、さすがに大人が乗ったら、荷物を乗せるスペースはありません(笑)。
確かに、サドルもバッグも革製品だったりしますが、サドルの後ろに装着するサドルバッグではなく、
バッグをサドルにするというアイディアは盲点です。駐輪したら、そのままバッグとして持っていけば、サドルを盗まれる心配はありません。サドルがなければ、自転車自体も盗まれにくくなる可能性があります。
盗難防止ということで言えば、こちらのアイディアもユニークです。駐輪した後にゴミ袋状のものを膨らませて、自転車が止めてあるように見せないという方法です。これなら、誰も見向きもしないでしょう。ゴミ収集車が来ないことを祈りますけど...(笑)。
ナンセンスなものもありますが、固定観念が裏切られる、ある種の小気味よさがあったものを選んでみました。普通に理詰めで考えていては、出て来ないアイディアと言えるかも知れません。こうしたユニークな作品を生み出す柔軟なアタマ、常識にとらわれない自由な発想力、見習いたいものです。
今度の日曜日は父の日で夏至ですか。なんとなく母の日の比べると影が薄く、食べるものも特に決まっていないので冬至に比べて盛り上がりに欠ける気がしないでもありません(笑)。キャンドルナイトでもありますね。
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Posted by cycleroad at 23:30│
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