June 28, 2009

安全と利便性と手軽さの間で

北海道と沖縄を除いて、鬱陶しい季節が続いています。


今年の梅雨は、特に関西などでカラ梅雨傾向のようです。梅雨の晴れ間の暑さも厳しく、例年より大幅に早く真夏日となっています。夏場の渇水も心配されるところですが、自転車に乗ることに関して言えば、雨が少ないほうがありがたいのは言うまでもありません。

少ないと言っても、この時期どうしても雨に降られることは避けられないわけですが、日本では雨の中、傘をさして自転車に乗るのが当たり前のようになっています。前傾姿勢で乗るスポーツバイクと違って、傘のさしやすいアップライトな姿勢のママチャリが大多数を占めていることも影響しているのでしょう。

しかし、傘をさしたり、片手でケータイを使いながら自転車に乗る人が増えたことにより、自転車と歩行者の事故も大幅に増えています。このため昨年6月、道路交通法と共に「交通の方法に関する教則」が改正され、自転車の傘さし運転などを禁止し、規制する方向が定まりました。

これを受けて、実際の取り締まりの根拠となる各都道府県ごとの道路交通法施行細則の改正が進んでいます。すでに施行されている県もありますし、東京を含むいくつかの都道府県でも、この7月1日から携帯電話使用に対する罰則規定などを盛り込んだ新しい道路交通法施行細則が施行されます。


悪質なら罰金も自転車の運転中に… 交通規則を都が改正へ 悪質なら罰金も

自転車の片手運転などの不安定な走行による事故を防ぐため、都公安委員会は、携帯電話の使用や傘を差しながらの運転を禁止する都道路交通規則の改正を決めた。施行は七月一日。指導警告に従わない悪質な運転者には五万円以下の罰金が科せられる。

警視庁交通部によると、傘差しや携帯電話の使用による片手運転が原因の自転車の人身事故は、都内で年間約四百件発生しているとみられる。今年、自転車の片手運転で警察官が指導勧告した件数も、四月末までに三千四百件に上った。

改正規則では、バイクを含む二輪車運転中の傘差しと、自転車運転中の携帯電話での通話やメールを新たに禁止。一方、安全性に配慮した自転車に限り、幼児二人を乗せることができる「三人乗り自転車」の解禁が盛り込まれた。

走行中の自転車での携帯電話や傘などの使用禁止については警察庁が昨年四月、交通安全教育の基本となる「交通の方法に関する教則」を三十年ぶりに改正した中で明記し、都以外の各道府県の公安委員会も順次、規則の改正を進めている。

同部では「子どもからお年寄りまで使う乗り物だからこそ、ルールを守って乗ってほしい」としている。(東京新聞 2009年6月11日)


実際、街を歩いていると狭い歩道などでは危ないと感じる場面があります。中には傘をさした手にケータイを持って会話をしながら自転車に乗っているツワモノまでいます。雨が降れば、傘をさして自転車に乗りたくなる気持ちはわかりますが、本人も周囲も危険にさらされるのは間違いありません。

合羽屋さんが考えた快適レインポンチョ老舗レインメーカー開発 アルティメットブレーカー

どうしても視界が遮られますし、歩道をフラつきながら歩行者の間を縫うように走っていれば、ぶつからないほうが不思議です。歩行者の延長のような感覚で、ぶつかったらゴメンナサイ、という感じなのかも知れませんが、自転車に乗って衝突すれば、歩行者に思わぬダメージを与える可能性は否定できません。

今までも厳密に言えば違法でしたが、とがめられることはありませんでした。しかし事故の増加を受け、傘をさしながらの自転車走行を違法行為と明記し、罰則を適用することになったわけです。傘をさすなら自転車は押して歩くべきですし、自転車に乗るなら雨合羽やレインポンチョなどを着るよう徹底していく必要があります。

荷物も濡れない サイクルレインポンチョさすべえ

傘を手で持たなければ安全だろうと、傘を固定する装置もあります。東京などでは少ないですが、大阪にいくと驚くほど普及している「さすべえ」などの器具について、メーカーは違法にならないとしています。確かに手で持つより安全と言えばその通りでしょう。

ただ、一部の商品は昨年から、「風の強い日や人ごみの中で使用するのは危険」と表記されています。一時は禁止されるとの風評を受け、売り上げは激減したと言います。いくら傘が固定されているからと言って、晴天時と同じような感じで走行するのは避けるべきです。

「交通の方法に関する教則」でも、傘を自転車に固定するのは視野を妨げたり、風の影響を受けやすくなったり、歩行者に接触するなど危険な場合があることを指摘しています。安全を考えれぱ、なるべくならレインウェアなどを利用するほうが好ましいのは間違いないと思います。レインポンチョなら手元も濡れず便利そうです。

nubrella

ところで、傘を手で持つ必要がなければ便利だという発想は、海外でも一緒なのでしょう。アメリカでは、手で持たずにすむ傘、“nubrella”が開発されています。便利そうにも見えますが、なんとなく見た目が間抜けな感じがしないでもありません(笑)。日本にはまだ入ってきていないようですが、普及は微妙な感じです。

肩につける傘は、日本でも販売されています。これを自転車に乗る時に使っても、おそらく違反になると思いますが、ふだん使うなら便利そうに見えます。例えば傘をさしながらバッグからカギを取り出すといった場面です。普通の傘の柄を取り替えて使うアイテムです。

肩ブレラタルタルーガ キャノピーシステム

自転車に屋根をつけてしまえばいい、という発想も昔からあります。しかし、晴れたら邪魔になりますし、風に弱かったり、雨を効果的に防げないなど不便な面も多いのでしょう。似たような製品は以前からあるのに、あまり普及しないところを見ても、やはりデメリットが大きいということなのかも知れません。

VELTOPVELTOP



ケータイを使いながらの自転車走行についても、同じようなことが言えます。先日も新しいiPhoneが発売されましたが、そのアプリには、GPS機能など自転車走行時に便利なものもたくさん出てきています。片手で持ちながらでは危険なので、ハンドルに取り付ける金具などが売られています。



こうなると、サイクルコンピューターを装着しているの一緒で、問題ないように見えます。でも、メールや他のアプリも操作することが出来てしまいます。すると、やはり安全な走行という意味においては、問題が出てきてしまうのは明らかです。

ちなみに今回、いろいろと雨具関係などの商品を見ていたら、ちょっと面白いものをみつけたので、載せておきます。歩行者を追い抜くときなどに、ベルを鳴らすのは憚られますが、自分で声をかける代わりに、音声で知らせてくれるという装置です。こんな商品を売っているとは思いませんでした(笑)。

「ちょっとお通し下さい」 通りゃんせ快適涼風 ソーラーキャップ

もう一つ、今回の話とは全く関係ありませんが、上の帽子も笑ってしまいます。扇風機着きのキャップ、しかもソーラー発電式です(笑)。こんな帽子をかぶっている人が、交差点で隣に立っていたりしたら、思わず吹き出してしまいそうです。涼しさの効果はともかく、周囲を和ませる効果は抜群です。

今回の道路交通法施行細則の改正は、傘さしやケータイを使いながらの自転車走行に罰則を定めることで、事故の増加に歯止めをかけるものです。でも結局、罰則とそれを回避する商品開発の「いたちごっこ」になってしまう部分も出てくるでしょう。傘にしてもケータイにしても、不便の解消と安全確保の両立は簡単ではなさそうです。








しかし、マイケルジャクソンの急死には驚きましたね。世界中での追悼の様子を見ても、そのスーパースターぶりがあらためて実感されました。

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この記事へのコメント
できれば雨の日は自転車に乗ってほしくないな〜

濡れたくないからって急いでるから危なくてしょうがない
雨の日に一時間の間に二回も轢かれそうになったことがあります。
Posted by 職人気取り at July 01, 2009 08:49
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も出来れば雨の中では乗りたくないので、極力降られないよう注意していますが、通勤などの移動手段として使っている方など、雨の中でも乗らざるを得ないことはあると思います。
ただ、おっしゃるように、雨の中を猛スピードで歩道を走り抜ける人とか、傘がぶつかっても平気な人とか、危険な行為も目にするのは確かです。そんな傍若無人な人には腹が立ちますね。
Posted by cycleroad at July 02, 2009 21:28
 
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