旅行に出かける手段が選べる
今日からお盆期間の特例で、平日も高速千円です。
予想されたほどではなかったようですが、いつもの平日より交通量は多く、来週の平日千円はもっと利用が増えそうです。なにしろ、どこまで行っても千円ですから、今年は帰省にクルマを使うという人も大幅に増えており、お盆の高速道路は激しい混雑も予想されています。
3月末から始まった高速千円乗り放題ですが、場所によっては休日の高速道路交通量が前年比1.5倍という高い水準で推移していると言います。不況下の家計には有難い負担減ですし、観光などへの経済波及効果も見込まれています。帰省以外にも、夏休みの行楽にクルマで出かける人も多いでしょう。
一方、観光地では、行楽客の呼び込みに様々な工夫をこらしています。その中には、最近の関心を反映してか自転車に関係するものも少なくないようです。クルマで出かけ、観光地で自転車に乗って楽しんだり、自転車を観光名所巡りに使ったりするスタイルも増えているようです。
レンタサイクル、年間1万台を突破 岐阜市、1日100円の乗り捨て制
観光客や市民に自転車で地域を回ってもらおうと、岐阜市が2005年度から実施している「レンタサイクル」の年間利用台数が昨年度、初めて10000台を超えた。健康や環境志向に加え、出張などの仕事で使う人もあり、幅広い利用者層に支持されていることをうかがわせている。
同事業はJR岐阜駅南口と市役所南庁舎、岐阜公園と鵜飼観覧船乗り場の4カ所に貸し出し拠点を配置。拠点ならばどこでも返却できる「乗り捨て」制を取り入れ、1日100円で貸し出している。修理費用などに充てようと、協賛企業を募って車体の5カ所に広告を掲示している。(後略) (2009年8月5日 中日新聞)
自転車で箱根観光を キャンペーン
箱根の渋滞対策や回遊性向上を目指し、自転車で観光地を周遊しようという試み「箱根パーク&サイクル」の本格実施にあたり、県などはキャンペーンを行っている。キャンペーンでは、仙石原(箱根湿生花園)▽湖尻(箱根高原ホテル、県立芦ノ湖キャンプ村)▽箱根園▽元箱根(県立恩賜箱根公園)−の4拠点5カ所で計54台の電動アシスト自転車を貸し出す。料金は1時間500円と3時間1200円。
利用者はオリジナルの観光手形がもらえる。手形は地元協賛店100店舗以上で割引などの特典が受けられる。地元協賛店での1千円以上の買い物や飲食をすれば、自転車レンタル料金の割引もある。11月30日まで。県は「『車から見えない箱根』を発見して」としている。(2009.8.2 産経新聞)
台湾からも続々と
メイプル耶馬サイクリングロードに3月から台湾からの観光ツアー客が訪れている。台湾でも健康志向の高まりからサイクリングに注目が集まっており、ツーリズムおおいたなどが誘致、訪問客増が期待されている。
ツアーは、県、中津市が魅力をアピール、台湾自転車協会などに働き掛け実現した。3月末には第1陣32人が参加。耶馬渓サイクリングターミナルから雲八幡宮までの折り返し22キロのサイクリングを満開の桜を見ながら楽しんだ。「『走りやすいし、景観が素晴らしい』と参加者に好評だった」という。
ツーリズムおおいたによると、これまでに5陣107人が参加。秋以降にも参加が見込まれている。海外誘客を担当する宮崎淳係長は「台湾からサイクリングを目的にした3泊4日程度のツアーが多い。県内の宿泊施設を利用し、ほかの観光地にも訪れるプランを勧めていきたい」と話している。(2009年08月05日 大分合同新聞)
休みに自転車に乗ると言えば、家から日帰りでなければ、クルマや電車で観光地などへ出かけ、自転車を借りて楽しむスタイルが一般的と言えると思います。もちろん輪行する人もあると思いますが、多くの人は、目的地でレンタサイクルなどを利用すると思います。
ところがドイツでは、日本と少し事情が違います。
ドイツ大使館のサイトによれば 、ドイツ国内を自転車で旅するのが人気になっていると言います。2007年には、約560万人のドイツ人が宿泊を伴った数日にわたる自転車の旅を行ったと書いてあります。日本と違い、途中の交通手段も自転車での旅行です。
うらやましいことに、ドイツには7万5千km以上ものサイクリングロードがあって、旅行者のための標識なども整備され、大いに利用されています。地元の自転車利用者のためだけではなく、旅行者のための整備というところがポイントです。日本では、自転車で旅行する人のためのインフラという考え方は一般的と言えません。
私もドイツの郊外を旅したことがありますが、農村地帯や美しい自然の中を通るルートが、それだけで、とても魅力的な観光資源となっています。荷物などの問題もありますから、なかなか日本から出かけて自転車で旅行するのは大変ですが、自転車で旅をするのに魅力的な国であるのは間違いないでしょう。
ホテルから民宿までタイプはいろいろですが、“Bett&Bike”と呼ばれる宿も、サイクリング客用に用意されています。欧米圏の国では、よくB&B(bed and breakfast)と呼ばれる宿がありますが、“Bett&Bike”はその名の通り自転車客のための宿、サイクリング客にやさしい宿であると認められた宿泊施設です。
ドイツの多くの地域では、自転車ツーリズムに対して意識的に投資されていますし、在日本ドイツ大使館が、そのことを日本語で発信しているというのも、さすが自転車先進国という感じがします。もちろん、年間560万人もの人が宿泊を伴った自転車旅行をするというのも、日本では考えられないでしょう。
しかし日本でも最近、自転車ブームで利用者が増えていますし、もっとサイクリングロードが整備されてもいいのではないでしょうか。街中の道路の自転車レーンだけでなく、都市と都市をつなぐような自転車道が整備されれば、旅行での利用も広がるかも知れません。外国人観光客にもアピールするはずです。
なかなか大々的な投資は難しいと思いますが、今ある道路を改良したり、河川敷や海岸線などに散在するサイクリングロードを結ぶなどすれば、小さな投資でも効果が見込めます。都市間の国道には、歩行者がほとんどいないにも関わらず、立派な歩道が付けられていたりします。工夫次第で方法はあるはずです。
郊外のクルマの交通量の少ない道路、国道の旧道などを使ってもいいでしょう。多少遠回りでも、安全で快適に走行できるルートが出来れば、自転車利用者にとっては利用価値があります。日本にも、郊外へ行けば豊かな緑がたくさんありますし、日本人の心に響くような田園風景が広がる場所もたくさんあるはずです。
山もあれば海もあり、湖沼に里山、温泉なども含めドイツよりずっと風景に変化があり、自然という面でも決して、ひけをとりません。実際、外国人からすると、日本のバラエティに富んだ風景はとても魅力的に見えると言います。これを観光資源として活かさない手はありません。
(下の動画ではイギリスの記事から日本の印象をとりあげている。)
もちろん、日本は道路や鉄道、航空も含め交通網が整備されており、とても便利に旅行できる国なのですが、更に自転車でも旅行が出来て、その道中の景色ももっとゆっくり味わえるようになれば言うことありません。観光資源としての価値も高いですし、日本人も、もっと宿泊を伴う自転車旅行をするようになるに違いありません。
海外で高速無料は当たり前ですし、経済対策の面での評価も否定しません。概ね国民にも歓迎されています。しかし、ガソリンの消費が増え、温暖化対策には逆行するとの批判もあります。温暖化対策の観点から考えるならば、この際もっと「自転車ツーリズムへの投資」を考えてもいいのではないでしょうか。
初の裁判員裁判が終わりました。ずいぶん慌ただしい感じでしたが、控訴された場合どうなるのかなど、問題点は少なくないようです。今後全国で始まっていけば、いろいろ出てきそうな気がしますね。
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観光には大きな経済波及効果があり、先進国でも重視されている。
誰もが日本一周に旅立てる日
日本を自転車で旅行する人たちが、もっと安全に走行できるように。
Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。
Posted by cycleroad at 23:30│
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自転車情報とても参考になります。
ドイツの風景は見ているだけで心地よくなりますね。
日本もいつかそんな風に走れるようになれば・・・
と願って止みません。
我が家はこの夏もクルマに夫婦の愛車2台を積んで、
今年からはベビーカーも加わっていますが、
えっさえっさと出掛ける予定です。
よくやるなあと言われますがその気になれば何のその。
大阪のオバチャンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、こんな風景の中、クルマや歩行者とセパレートされ、安全で快適に、ノンストップで走れたら言う事ありません。
クルマ&自転車ならば行動範囲が広がり、いろいろな場所を走れていいですよね。
電車での輪行と比べると、荷物なども運べて便利ですが、基本的に同じ場所に戻って来なければならない点が、たまにキズといった感じでしょうか。
クロスバイクのレンタサイクルがあればいいな〜と思ってます。
ママチャリだと乗っててあまり楽しくないですがクロスなら楽しいし、スピードが出るからみんな自主的にルールを守るようになると思います。
栃木の田舎の農道はほとんど直線で車もとうりません。まるで自転車専用道路のようです。農家の庭先は手入れされていて美しく、日本の国に生まれた幸せを日々感じます。こういうところを走っていると、サイクリングのはずがポタリングになってしまいます。
ただ、峠や小山や川を超える道はおおかた一本のみで車が集中するために、かなり恐ろしい状態です。
これさえなければ北関東の平地は自転車にとってユートピアと今でも言えるのではないでしょうか。
でも、不思議なことに、皆さん幹線道路を利用するようですね。
はじめまして、じて通マンです。
同僚が観光地でスポーツバイクをレンタルしてとても楽しい思いをしてきました。でも自分の日常とは切り離してスポーツバイクをとらえているようで複雑な気持ちです。まだまだ日常では、普通の人にとって買い物や駅までの足としてしか利用価値がないのでしょうか。
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も、レンタサイクルには、ロードバイクとまでは言わないですが、クロスバイクくらいあるといいと思います。慣れの問題でしょうが、ふだんママチャリには一切乗らないので、どうもあの姿勢だとお尻が痛くなるんですよね(笑)。
クラウドさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も何度か行ったことがありますが、確かにクルマも通らず、信号も滅多になくて快適な道がありますよね。おっしゃるように、道路的にはユートピアに近いものがあるかも知れません。
網の目のように張り巡らせとは言いませんが、こうした道路を使って、県から県へ自転車で旅が出来るといいと思います。峠などは、旧道に迂回するなど、遠回りでもいいから連続すると多くの人が使えると思います。
幹線でも十分快適と思っている人もいるでしょうし、地元でない人は、道をあまり知らないという理由があるかも知れませんね。
じて通マンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
昨今の自転車ブームで、スポーツバイクのポテンシャルを知り、またママチャリとは違う乗り物であることに気づいて、通勤やスポーツ、近場以外も含めた移動手段として活用し始める人も増えている気がします。お友達も、レンタサイクルで、そのあたりが実感できた場合には、日常で乗ることを考え始めるかも知れません。
ただ、そうは言っても、まだまだ一部でしかないのは確かでしょうね。
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