November 10, 2009

大掃除をするのに必要なこと

いつの間にか、つい部屋が散らかってしまうという人は多いと思います。


毎日、部屋の片づけや掃除をし、きちんと整理整頓されたゴミ一つ落ちていない部屋で過ごしている方もあるとは思いますが、そんな几帳面な人ばかりではないでしょう。必ずしも不精やものぐさな人でなくても、どうしてもモノが増え、部屋が散らかっていくことはあると思います。

たまには部屋を徹底的に片づけようと大掃除を始めると、モノがたくさん増えていることに改めて驚いたりします。この際、いらないモノは思いきって捨てようと思っても、なかなか捨てられなかったりもするでしょう。ずっと使っておらず、今後も使いそうにないとわかっているのに、とっておいたりするので、なかなか片付きません。

鳩山政権始動明日からは、政府の行政刷新会議の事業仕分けが始まります。おそらく日本の行政や予算の中にも、いらないモノ、無駄なモノがたくさん溜まり、相当散らかっているに違いありません。鳩山首相も選挙戦で、日本の行政の大掃除というようなフレーズを使っていたと思いますが、その大掃除のための仕分け作業が始まるわけです。

見方によっては、ほとんど64年もの間、抜本的な大掃除がされて来なかったわけですから、かなり思いきって捨ててもらわなくてはなりません。ここで捨てなければ、将来の日本のため、何か新しいものを買おうにも、もう置くところがありません。つまり新しい政策を実施する余地、財源が出てきません。

初めてのことですし、そう簡単なことではないでしょう。でも、開業医に手厚すぎた医師の診療報酬とか、在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる思いやり予算などにまで踏み込むと言いますから期待は高まります。今までの自民党政権では決して出来なかった部分にも切り込んで、是非実現してもらいたいものです。

先の総選挙で民主党が圧勝した背景には、無駄の多い今までの仕組みのままでは日本は持たない、変えるべきだとの意識が多くの国民の中にもあったと分析されています。歴史的な政権交代で誕生した鳩山政権ですが、政権交代時にしか出来ないような、行政の抜本的見直しが期待されます。

農家の戸別補償制度事業仕分けだけでなく、今後マニフェストに掲げられた政策の実施により、無駄な部分が大きく削られることも期待されています。もちろん、個々の政策には賛否両論あるでしょう。ただ、国民も今までの常識が固定観念になってしまって、何が無駄なのか、何をを捨てるべきなのかを見誤らないようにしたいものです。

例えば、農家の戸別所得補償制度は、選挙対策のバラまきだと思っている人がいます。しかし、これはヨーロッパの国々などでも当たり前に行われている政策です。今までは、主に減反政策などによってコメの価格を維持することで、農家が支えられてきました。消費者は高いコメの価格という形でその費用を負担してきたわけです。

ところが、この方法は必ずしも農家を支えるのに効率的とは言えず、農薬や農機具の販売業者など、周辺の既得権者を潤すことになる部分がかなりありました。また、伝統的な自民党の政策は、農業土木に多額の税金を投入してきたので、農家直接ではなく、むしろ周辺の土木業者を支えていたとも言えます。

各種の補助金にも多額の予算が付けられてきました。これらは、農業のために必要な補助金のように思いますが、必ずしもそうではありません。農村に立派なハコモノを建てるなど、農業とは直接関係ないようなものにも多額の税金が使われ、むしろ地域の建設業者を支えるものでした。

子育て支援や雇用創出農業のための予算と言いながら、現実には非常に効率が悪く、農家のためになっていなかったわけです。それならば農家を直接支援したほうがいいという考え方には一理あります。当然所得補償は、コメの販売価格がコストを下回った場合であり、コストは平均で算出されますから、農家もコスト削減などの努力が不要になるわけではありません。

高速道路は無料化すべきでないという人もいます。自分には直接恩恵が及ばないと考える人もいるでしょう。しかし、高速料金も一種の税金のようなものです。とっくに建設費用を償還しているのに料金をとり、それを必ずしも必要性の高くない高速道路をつくる費用にまわすという、土建業者を喜ばすものだったわけです。

高速料金が無料になれば、物流コストが下がり、その恩恵は広く家計に及ぶはずです。温暖化ガスを増やすと言う人もいますが、むしろ一般道の渋滞を減らして削減効果があると予測する専門家もいます。家計も無駄の削減に腐心する昨今、高速無料が当然になれば、それが遠距離走行させる誘因とはならなくなっていくでしょう。

待機児童の増加も問題となっています。今は2兆円超の税金を認可保育所の運営費などに投入しています。公立保育所は、待機児童が多ければ黙っていても利用者が来るので、延長保育や休日保育をするでもなし、何ら改善努力をしません。一方で公立保育所は高コストで、例えばその保育士の平均年収は800万円以上です。

待機児童の問題これでは保育所の増設も容易ではありません。しかし、仮にこれが利用者に利用券を交付するなど、直接補助をする形にすれば、劇的に変わります。保育所市場を自由化し、利用者が自由に保育所を選ぶ形になれば、即座に民間の保育所の参入が相次ぐと言われており、待機児童解消に大きく貢献すると見られています。

今まで4分の3が公費助成されていたぶん安い公立保育所が民業を圧迫していた構図が変わります。競争原理が働くことで、その高コスト体質も是正されます。つまり税金の無駄が減るわけです。保育料は市場価格になりますが、利用者には直接補助されます。保育サービスの質と同時に料金も競われるので、公費投入額が減るはずです。

現状では一律補助される形だった高所得者への補助も見直すことが出来るので、更に節減が可能です。実際、以前から政府の諮問会議などで、こうした点が指摘されており、待機児童を解消した上に6千億の事業費が削減でき、しかも保育所の増加で雇用まで増やせるとされているのです。

公共事業の見直しこんな魔法のような解決策が提案されているのに実現しなかった背景には、既得権を失うことになる公立保育所などの関係者、その票がほしい族議員、権限が失われる官僚、三者の癒着構造があったであろうことは想像に難くありません。こうした構造を打ち破るのも、政権が交代した今がチャンスです。

民主党の掲げるこども手当は子育て支援で、上で述べた待機児童の問題とは別ですが、今までのように供給者側に税金を使う非効率や癒着構造を排し、直接消費者、利用者に補助をするという考え方は共通する部分でしょう。上手く機能するか危ぶむ声もありますが、税金の無駄をなくすという理屈は理解できます。

八ッ場ダムが話題になっている公共事業もそうです。治水利水と言いますが、八ッ場ダムによる治水効果は、利根川の増水時に、水面を下げる効果が僅か13センチだと言います。飲料水の需要も充分足りており、むしろこれからは需要が減ると予測されています。明らかに無駄な事業に見えます。こうした無駄なダムは全国に百以上あります。

日本列島改造論をぶち上げ、日本の隅々にダムをつくり、新幹線を通し、高速道路を巡らすと言ったのは田中角栄首相でした。高度経済成長の時代はともかく、今の時代にはコンクリートよりヒト、土木工事等の公共事業より、医療や介護など福祉にお金を使おう、お金の使い方を変えるべきだと考えるのは必然的な流れだと思います。

暫定税率の廃止日本航空の再建も話題ですが、空港整備特別会計という、いわゆる「特会」も問題の一部にあるのは明らかでしょう。飛行機の空港使用料、すなわち着陸料は、結局航空運賃という形で私たちが負担するわけで、ある意味税金と同じです。これが特別会計としてプールされ、空港をつくるために使われてきました。

結果として誰が使うのかという空港も含め全国に100近くも出来ました。空港が出来ても、定期便がないのでは話になりません。利用者が僅かなのに、就航させられる航空会社こそいい迷惑です。それによって傾いた航空会社の再建にも公的資金、つまり税金が使われるわけで、結局、最後には国民にしわ寄せが来ます。

暫定税率の廃止もそうです。暫定税率が廃止されれば、ガソリンの消費を増やし温暖化に逆行すると言う人もいます。今、家計が固定的経費まで削ろうとしている中で、果たしてガソリンの消費を増やすか疑問なのは別としても、税率を据え置き、道路特定財源として無駄な道路を相変わらずつくらせる必要はありません。

余り始めた道路特定財源を一般財源化する話もありますが、手続き論とは言え、目的税を他の用途に流用するのは法治国家として許されないと思います。道路を無制限につくらせないためにも環境税に衣替えするという考え方はありますが、例え同じ税額だったとしても、一旦廃止した上で、改めて新しい税が創設されるべきでしょう。

基地問題外交面では、日米同盟が安全保障の基軸であることに異論はないとしても、思いやり予算や普天間基地移設の問題、日米地位協定の見直しなどを俎上に乗せられる可能性は、そうそうあるものではないと思います。オバマ大統領も、新政権が今までの日米の諸懸案について見直したいと考えるのは当然だと述べています。

私は別に、民主党の肩を持ちたいわけではありません。しかし、政権交代した今しか出来ない改革もあります。族議員と既得権者と省益を守りたい官僚などに対するしがらみの無い、あるいはまだ少ないと思われる民主党政権だからこそ期待出来ることもあるでしょう。いろいろ言われていますが、民主党には頑張ってもらう必要があります。

自民党政治は、供給者側の便宜や利益を図ることで、自らの集票マシーンとして機能させる政治をしてきました。だからこそ無駄をなくせない仕組みが多くあったわけです。供給サイドに税金を使うより、そのぶん利用者に直接補助をしようという考え方は、今までのやり方を180度転換するものです。

必ずしも上手く機能する保証はありませんが、なるほどその考え方には一理あると思うのです。そして、このような税金の使い方を大転換するチャンスは今しかないかも知れません。もう税金を無駄遣いする余裕はなく、同じ税金なら、もっと有効に使わなければなりません。そう民意は選択したわけです。

政権交代が普通に起きるアメリカでさえ、政権交代後100日位はハネムーン期間として、報道機関が政権批判を控えると言います。日本には政権交代自体がなかったので、そんな風習があるはずもありません。しかし、初めてだけに、軌道に乗るまでアメリカ以上に時間がかかっても仕方がない部分はあるでしょう。

いろいろな見方、さまざまな意見があると思います。絶好のチャンスですし、大きな期待が寄せられているのに、なかなかいらないモノが捨てられず、見ていてイライラすることもあるかも知れません。ただ有権者としては、本格的な「大掃除」が実現していくまで、もう少し長い目で見る必要があるような気がします。


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ついに市橋容疑者が逮捕されました。せっかく手がかりが掴まれ、再び世間の目が向き、容疑者の痕跡が浮上してきたチャンスだっただけに、これを逃さず逮捕できて警察もホッとしていることでしょう。

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この記事へのコメント
今回は自転車からかなり離れましたね。
ほとんどの意見に賛成です。
でも、給油は継続すべきかと思います。
いらないものを捨てられない自民党は国民から捨てられた、というのが今回の選挙だったと言えるでしょう。
建設省の役人でも内心は、不要なダムがあることに気付いていたのではないでしょうか。
Posted by クラウド at November 11, 2009 22:36
家の掃除は逆に必要なものを間違って捨ててしまうことがありますが政権交代の掃除も必要か不必要か判断するのは大変そう
Posted by 職人気取り at November 12, 2009 07:51
クラウドさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ええ、たまに自転車とは離れた話題について書いています。
政府内からも、国会決議を経た上でなどという声も聞かれますが、野党として反対したこととの整合性がとれず苦慮する部分もあるのでしょうね。
内実がよくわかっていたわけですから、当然治水や利水についての必要性には、内心疑問を感じていた人もいたでしょう。でも、省益や権限の確保を考えれば、やめるわけにはいかない、といったところでしょうか。
長年つづけていると、そうした建前と本音に乖離があるのが当たり前になってしまい、疑問を感じなくなってしまうというのが、実際のところだと思います。
Posted by cycleroad at November 12, 2009 22:58
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
今おこなわれている事業仕分けでも、必要か不要かの判断がいろいろと軋轢を生みそうです。
ただ判断は難しそうですが、モノを捨てるのと違い、政策はまた復活させることもできるわけですから、一旦やめてみるのも手ではないでしょうか。
Posted by cycleroad at November 12, 2009 23:04
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Posted by MORIYA at November 13, 2009 16:52
MORIYAさん、こんにちは。
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Posted by cycleroad at November 15, 2009 20:36
 
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