December 07, 2009

周囲へ配慮するための決まり

クリスマスパーティーなどが増えてくる季節です。


パーティーによっては趣向をこらしたり、雰囲気を盛り上げるため、ドレスコードが決められる場合があります。あまりに雰囲気を壊す服装で参加されては、せっかくの趣向も台無しです。参加者にバツの悪い思いをさせない為にも必要です。最近はドレスコードの設定そのものに趣向を凝らして楽しむパーティーもあります。

ドレスコードとは、服装の規定、着るべき服の指定のことです。冠婚葬祭など、指定されなくても暗黙の了解として決まっているものもあります。時や場所、格式などによって求められる身だしなみと言ってもいいでしょう。フォーマルな服装が必要だったり、逆にカジュアルな服装で参加するよう求められることもあります。

パーティーでなくても、ホテルのレストランなどでは、一定のドレスコードが決まっている場合があります。よく海外などの旅行先で、レストランへの入場を断られるケースを見聞きします。マリンリゾートなどでラフな服しか持っておらず、ノーネクタイや短パン、サンダルなどがドレスコードにかかるのが理由だったりします。

旅行者にしてみれば、楽な格好でくつろぎたいかも知れませんが、格調の高い店、落ち着いて食事を楽しみたい人が来る店などでは、店にも他のお客にも迷惑です。不特定多数の人が集まる場所では他のお客への配慮が求められ、自分さえよければという態度が受け入れられないのは、ある意味当然と言えるでしょう。

もともと、ドレスコードは周囲への配慮から始まった服装のエチケットです。現代社会において、特に都市などでは顔見知りの集落内で生活するのと違い、お互い見ず知らずの人々が日常的に行きかうことになります。エチケットは他人同士の摩擦やトラブルを避け、お互いに不愉快な思いをしないための知恵と言ってもいいでしょう。

PSA Competitionその意味から言えば、街で道路を通行する場合の規定、ストリートコードがあってもいいはずです。この考え方に立って市民に呼び掛けているのがアメリカ・ニューヨークです。アメリカと言っても場所によって道路環境は違いますから、ニューヨークでのストリートコードとして掲げられています。

ただ、基本的なことなので、どこでもほぼ共通する事柄と言っても差し支えないでしょう。自転車は車両であり、歩行者優先が大原則であること、アメリカでは当然のことですが、歩道ではなく車道を走行すること、左側通行(アメリカでは右側通行)を厳守することなど、日本にも当てはまる基本的なルールでもあります。

「交差点を速いスピードで走りぬけては、サイクリストの美しさを誰も見ることが出来ませんよ。」とか、「赤信号ではゆっくり休憩しましょう。」などと言い方はソフトですが、要するに交差点ではスピードを落とせ、とか信号無視をするなとか、当たり前のことばかりです。

Biking Rules Street CodeBiking Rules Street CodeBiking Rules Street CodeBiking Rules Street Code

これらは法律で決まっているものもあります。すなわち法律を守れと言うに等しい部分もありますが、それらも含めてエチケットを守ろうと呼びかけているわけです。夜間はライトを点灯させ、周囲からよく見えるようにすることを推奨したり、ヘルメット姿を好きになろうといった提案もあります。

PSA Festivalこのストリートコードを呼び掛けているのは、行政当局や警察ではありません。市民で組織された“Transportation Alternatives”という団体です。自転車だけでなく徒歩や公共交通なども含めた交通環境改善を推進しています。この市民団体がニューヨークでのストリートコードを“Biking Rules”としてサイトなどで呼び掛けているのです。

内容的には法律と重複する部分がありますが、ドレスコードがそうでないように、ストリートコードも法律ではありません。あくまでもエチケットであり、自分たちで守るべきマナー、行動の目安となるものなわけです。そこには、警察当局の取り締まりを促したり、それに頼るのではなく、自ら改善していこうという意欲があります。

ネット上で呼びかけるだけでなく、さまざまな啓発活動を行っています。その中の一つに、PSA(Public Service Advertisement)を募集するキャンペーンもあります。日本で言う公共広告です。ニューヨークのサイクリストのための新しいストリートコード、“Biking Rules”の言わばCMを募集するコンテストです。

その作品がYouTubeにもアップされています。



"Lights Turn Heads"は、安全のためにライトをつけることで、人々の目をひこうと訴えています。見ていて楽しさが伝わってくる映像で、これまでテールランプはつけていなかった人にもライトをつけてもようかなと思わせるものがあります。



"Wrong Way"は、間違った方向、つまり逆走することが、いかに他の人にとって迷惑なことであるか、危険な行動であるかを知らせようとするものです。日本でも車道の右側走行(アメリカでは左。)、つまり逆走を悪いことだと全く認識していない人がいますが、ニューヨークでも同じなのでしょう。



"Eyes"は、ドライバーとアイコンタクトすることの重要性をアピールしています。クルマの挙動で判断するのではなく、ドライバーがちゃんと見ているか、視線まで確認しないと危険ということです。クルマが進路を譲ってくれたのかと思えば、実はドライバーはよそ見をしていたり、ケータイに視線を取られていたりする場合もあります。



その他にも、なぜ“Biking Rules”なのか面白く説明する作品、困った時にはサイクリスト同士で助け合おうと呼びかけるものなど、公共広告ならではの作品がいろいろとアップされています。こうした公共広告も、政府や自治体、警察に言われるのではなく、同じ市民が製作し、呼びかけていることに共感する人もあるに違いありません。







ドレスコードと同じように、公道上で守るべきエチケットがあるのに、それを知らない人が多数いるのが現状です。ストリートコードとして、その存在を呼びかけ、それに従わないことが、いかに他人に迷惑をかけるか、いかに危険か知らせるのがまず先決です。そのための手法の一つがPSAでもあるわけです。

09120701ドレスコードが無かったとしても、多くの人は公の場所で、自分が迷惑な存在になるのは、出来れば避けたいと思うはずです。周囲から白い目で見られるのでは、いたたまれません。逆の立場だったら、その場の雰囲気をわきまえない服装や、傍若無人な態度として不愉快に見えるだろうことも容易に想像がつきます。

そう考えると、今まで知らないがゆえに、通行上のエチケット違反をしていた人も少なくないと推測されます。こうしたストリートコードの存在が広く知られるようになれば、自分が周囲から迷惑な存在と見られていることに気づく人もあるでしょう。そして、それは避けたいと考える人も出てくるに違いありません。

誰でも知っているように思えるエチケットも、自転車通行に関するものは、案外知られていません。それは日本でも同じです。いや、日本の方が知られていないでしょう。日本でも、こうしたストリートコードを徹底させていくような手法、また市民自らがそれを規定していくスタイルが必要とされているのかも知れません。


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W杯は厳しい組に入りましたね。あまりいい準備が出来ていると言えない部分もありますし..。なんとか本番に向けて、チーム力をアップさせていってほしいものです。

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この記事へのコメント
カナダ人からノルウェーでチューブの中を走る自転車専用道路があると聞き、ネットで調べるとここにたどり着きました、ベロ・シティーの記事を読んでこれだと思いました。

カナダ人は、ノルウェーには後ろから風を受けて40km〜50kmで走る自転車専用道路があると言っていて、ベロシティーの記事でイメージがわきました。

日本でも、自転車専用高速道路の計画を進めた方が良いのではないかと思います。ベロシティーのイメージで、ダイソンの大型扇風機を付けると、40km/hは楽に出るスピードで、20km圏が自転車通勤圏になるし、非常にエコロジーではないかと思います。このシステムを完成する事が出来たら世界の都市が市場となると思います。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0910/16/news094.html

自転車業界で研究している方はいないのですか?
ベロシティーについて教えて下さい。
Posted by TMO at December 09, 2009 12:54
この中ではエスカレーター逆走が一番面白くてわかりやすかったです
イラストのおじさんの困り顔が笑えました
Posted by 職人気取り at December 09, 2009 18:48
TMOさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ノルウェーにチューブの中を走る自転車専用道路ですか。構想は別にして、現実にあるという話は知りません。
考え方は同じなのかも知れませんが、必ずしもベロシティ構想と直接関係があるとも限らないと思います。他にも似たような構想はあるようです。
ダイソンの扇風機は面白いですね。不思議な感じです。ただ、送風装置はともかく、チューブ型の道路網の建設費や維持費、土地代などを含め、検討すべき課題は少なくないでしょう。
私も理想には共感しますが、日本では、まだ自転車レーンすら満足に整備されていませんから、自転車専用高速道路は現実問題として飛躍がありすぎるでしょうね。
残念ながら、私もベロシティについて、記事に書いた以上のことは知りません。
Posted by cycleroad at December 10, 2009 23:49
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
さすが入賞作だけあって、うまく出来ていますね。公共広告と言うと、真面目でつまらないものも多い気がしますが、ユーモアも交えることで伝わり方も変わってきそうです。
Posted by cycleroad at December 10, 2009 23:58
 
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