サイクルロード 〜自転車への道
世界の都市で自転車が選ばれ始めている。さまざまな角度から自転車の話題を。
February 11, 2010
子どもの頃の発想を形にする
子供の頃に欲しかったものは何ですか。
例えばそれは、欲しかったけれど買ってもらえなかったオモチャかも知れません。ラジコンカーとか、鉄道模型、おままごとセット、着せ替え人形など、人によってさまざまだと思います。今となっては、子供の頃のことを思い出して、懐かしく思えたりするのではないでしょうか。
子供の頃欲しかったけれど果たせなかったものを、年甲斐もなく大人になってから買ってしまった人もあるでしょう。食玩などを、いわゆる大人買いしてしまったという話も聞きます。中には、もっとカッコいい自転車が欲しかった、なんていう人もあるに違いありません。
アメリカ西海岸、カリフォルニア州のサンフランシスコの北東に位置する街、チコ(またはチーコ、Chico)に住む、Gregory deGouveiaさんは、小さい頃欲しかった自転車を、大人になってから自分で作りはじめました。売っていないので、自分で作るしかない自転車もあるからです。
それを紹介するサイトの名は“
bigkidbike.com
”、大きな子供の自転車というわけです。まず彼が最初につくりたかった自転車が、“The bigger wheel”です。3輪の前輪だけ大きいトライクで、見ると前輪駆動です。窮屈そうな姿勢にも見えますが、動画を見ると意外と軽快に走っています。片側だけの2輪走行も出来ます。
アメリカの人気アニメ、原始家族フリントストーン(右下。The Flintstones)に出てきそうな自転車は、“kitten”と名付けられています。フリントストーンだとタイヤは石ですが、こちらはクルマのタイヤを使っています。さすがに実用的でないだろうと思いきや、動画では軽快に動いています。普通の自転車に比べて悪路の走破性は抜群です。
“Go dog go”は、P.D. Eastmanの絵本、“Go, Dog. Go! ”に出てくる、犬が乗るクルマに似ていることから名付けられました。横に並んで2人乗り出来る自転車です。遊園地などに行けばありそうですが、こんな自転車、子供の頃に持っていたら、さぞ楽しいことでしょう。
こちら、“The Double Decker”は、その名の通り2階建て自転車です。バスなら2階建てもありますが、自転車の2階建ては聞いたことがありません。何からヒントを得たのかわかりませんが、Gregoryさんの常識にとらわれない発想には脱帽です。上の席にもチェーンが伸びています。ハンドルは2階席でとります。
“The Jesus lizard”は、トカゲを模した自転車です。頭や尻尾がついているだけではありません。車体の真ん中にヒンジがあって、確かにトカゲのような曲がり方をします。頭や尻尾があるのは、“kinetic sculpture race”、動く彫像レースという、言わば自転車の仮装行列のようなイベントに出場したものだからです。
実用的なものも作っています。“Pedicab trailer”は、普通の自転車に連結して、ベロタクシーにするトレイラーです。日本でも見るようなベロタクシーの車体は、かなり値段が高いので、こうしたトレイラーを連結したほうが、ベロタクシーを安く実現出来るのは間違いないでしょう。
地元の農夫用に作られたトレイラー、“utility trailers”もあります。クルマの利用を最低限に抑えたいという需要に応えたものだそうです。さすがに農作物を運搬するのはたいへんですが、ちょっとした道具を積んで農園まで行くくらいなら、自転車でも充分かも知れません。日本のリヤカーにも似ています。
“Vending bike”も自作しています。菓子だとか飲料、お弁当など、自転車で移動販売、もしくは露天の売店として商売するための自転車です。車体の前方に荷物を載せる形で、遊園地の前でアイスキャンディーを売っていたりするタイプです。荷室の扉を開けると冷蔵庫や、それを動かすバッテリーなどが搭載できるようになっています。
器用だから出来る趣味ですが、Gregoryさんは、これらの自転車のうち、いくつかを販売もしています。わりとリーズナブルな価格で、必要ならば、オプションなどもカスタムメードしてくれます。“Pedicab trailer”などの実用的なものほか、“ bigger wheel”や“kitten”も売ってくれるようです。
日本だと、こうした自転車は置く場所に困りそうですし、街でも駐輪すると邪魔になりそうですが、そこは広いアメリカのこと、問題ないのでしょう。これまでにも、いろいろな人を取り上げてきましたが、アメリカでは、好きな自転車を自作してしまう人は少なくありません。ちょっとうらやましい気もします。
大人になると、子供の頃に欲しかったものなど、忘れてしまっている人も多いでしょう。そんなものを思い出してみると、当時は買えなかったものでも、今では容易に手に入ったりします。もしかしたら、子供の頃、自由な発想で思い描いていたもの、世の中には実在しないものでも、今なら作れてしまうかも知れません。
いよいよ、バンクーバー五輪が近づいてきました。楽しみですね。
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Posted by cycleroad at 23:30│
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