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39年間ウチに帰らず旅し続け…超人旅行者ひょっこり来日
39年間も家に帰らず、自転車で旅行を続けたギネス記録を持つドイツ人、ハインツ・シュトゥッケさん(70)が先ごろ、日本の離島巡りのため来日した。全世界の独立国(約200カ国)を回り終え、今度は離島訪問の世界記録樹立を目指すといい、「まだまだ、2012年までは走る」と力強く語った。
“世界最長”の旅行者・ハインツさんは旧東ドイツ出身。「20歳くらいからドイツのあちこちをサイクリングし、その魅力に取りつかれた」のが旅行のきっかけ。「お金がなかったので必然的に自転車となった」といい、1962年から本格的に旅を始めた。以来39年間、実家には戻らなかった。
道中、アフリカのザンビアで兵士に足の指を銃撃されたのをはじめ、数々の紛争や動乱に遭遇。過去6回、自転車を盗まれ、自動車事故にも4回巻き込まれるなど、苦難の連続だったという。途中、ドイツの両親が亡くなったが、ペダルから足を離すことはなかった。
95年に「世界最長旅行者」としてギネス認定。さらに記録を伸ばしていたが、2001年に母国のテレビ局から声がかかり、出演のため39年ぶりに帰国した。
現在もパリを拠点に旅を続け、日本には今月6日に到着して9日間滞在した。「日本は4回目。小笠原諸島の父島、母島の自然のすばらしさに魅了された」。今後は南太平洋などの島々に渡り、島巡りの世界最多記録を狙っているようだ。
それにしても40年以上もの間、どうやって旅費を都合したのか。
ハインツさんは「以前、日本に来た時、冊子がとても多く売れたので、その後3年間は何もせずに南米の旅を続けられた。世界中で日本が一番売れる。神戸・三宮の商店街で1日で12万円も売った記録がある」と明かす。これまでの旅行記をまとめた冊子(500円)を路上で売るのが最大の収入源で、自転車はメーカーから提供を受け、撮りためた約8万枚の写真の使用料も入ってくるという。
「ハインツさんはインターネットやメールをしないし、携帯電話も持っていない。本人から連絡がない限り、会うことはできない人です」というのは、約12年半かけてトヨタ・カリーナで地球一周の旅を達成した兵庫県尼崎市の山崎達矢さん(47)。ハインツさんとはパリの安宿で出会ったといい、今回、10年ぶりの再会を果たした。
山崎さんは「長い旅は楽しそうだが、実際には毎日のように困難が待ち構えている。1人でいかに解決するかが仕事のようなもので、健康を維持すること以上に気力が必要。彼の強靱な精神力には敬服します」と話す。
ハインツさんは「いつも姉に『おまえの人生はバケーションだな』といわれるが、『そう、これこそが私の人生だ』と胸を張って答える。旅を始めて50年の2012年までは走り、以降は欧州に定住を考えている。撮りためた写真や資料を整理して、写真をインターネットで紹介し、使用料で生計をたてたい」と将来を語っている。(2010.01.26 産経新聞)