ここのところ、暖かかったり、寒かったりしています。
各地で20度を超えるような暖かい日があったかと思えば、一転して冬に逆戻りしたような日もあります。ただ三寒四温という言葉もあるように、寒い日と暖かい日を繰り返しながら、だんだんと春が近付いているのは間違いありません。冬の間、自転車に乗るには冷たかった風も、ようやく春めいてきつつあります。
自転車は、気候の影響を直接受けるので、暑過ぎても寒過ぎても快適とは言えません。ウェアなどで温度調節を工夫しながら乗っている人も多いでしょう。しかし、ウェアによる調節が難しいのが、自転車通勤だと思います。出勤後にシャワーを浴びて着がえられるならいいですが、なかなかそうもいきません。
冬場、風が冷たいのも辛いですが、少しすれば身体も温まって来ます。しかし汗ばむ陽気の時に、自転車に乗って汗をかくのを防ぐのは難しいものがあります。汗だくのまま仕事につくのも不快ですし、汗臭さで周囲に迷惑をかけかねません。自転車通勤をされている方にとっては、悩みの種だと思います。
一番いいのは、シャワーを浴びてさっぱりしてから仕事につくことでしょうか。しかし、普通のオフィスでシャワーが使える環境というのは、なかなかないと思います。となると、職場近くの施設でシャワーを浴び、着がえて出社するスタイルが考えられます。
そんな需要に応えて、バイクステーションなどと呼ばれるような、自転車通勤者用の施設が日本にも登場しています。シャワーと更衣室が利用でき、自転車を預けられるようになっています。しかし、その数はまだ数えるほどであり、ごく一部に限られているのが現状です。実際に施設を利用できている人は、きわめて少数です。
最近、自宅から会社まで直接自転車で通勤する、いわゆる自転車通勤の知名度が上がり、実際に自転車通勤を始める人も増えていると言います。とは言っても、日本の都市では鉄道網が発達していることもあって、全体から見れば、かなり少ない割合に過ぎません。
つまり需要は限られています。自転車通勤者用の施設の設置を検討している業者はあるようですが、地価の高い都心部に立地する必要があり、利用料金と需要のバランスをとるのも難しいのでしょう。実際問題として、バイクステーションのような施設は、なかなか増えていかない状況にあります。
コペンハーゲンやアムステルダムなどのように、自転車通勤する人が3割とか4割にはならないとしても、日本でももっと増えてもいいはずです。しかし、バイクステーションのような施設が増え、またその利用料も安くなって気軽に利用出来ないと、自転車通勤する人が増えにくいのも確かでしょう。
自転車通勤者が増えないと、需要も増えずに施設の増加も見込めません。利用料金も高止まりとなって、利用しやすい状況にはなりません。一方で施設が利用しやすくならないと自転車通勤者が増えていかないという、言わばニワトリと卵のような関係と言えるのかも知れません。
実際、いちはやく開設されて話題となった東京麹町の施設などはランナーズステーション、すなわち皇居などでジョギングするランナーのための施設であり、自転車利用者向けは併設されているに過ぎません。ジョギングブームで会社が終わった後に皇居の周りなどを走る人が増え、ランナーズステーションは盛況のようです。
ちなみに、ランナーズステーションの代わりに、都心の銭湯を利用する人も増えていると言います。着替えや入浴だけなら銭湯でも充分でしょう。しかし、朝はふつう銭湯は営業しておらず、自転車を預けるスペースもないので、自転車通勤者用のステーションとしては使えません。
バイクステーションを増やし、しかも利用しやすい料金とするには、イスラエルのデザイナー、 Yinnon Lehrer さんの提案する
バイクステーションのデザインが参考になりそうです。このバイクステーション、スペースをうまく活用することを前提にしています。地価の高い都心に普及させるために、これは重要な要素です。
民間の施設は、都心のビルにテナントとして入居する形で営業していますが、このステーションの場合は、道路上などのスペースを利用します。歩道上や広場などの空きスペース、地下鉄の出入口、既存の駐輪場、バス停、公衆トイレ、公園などが考えられます。例えば地下鉄の入口だったら、その上空のスペースを活用します。
公共性の高い場所を活用するので、運営は別としても、設置するのは主に自治体ということになるでしょう。つまり、自転車レーンや駐輪場などと同じように、公共のインフラとしてバイクステーションを整備するわけです。これによって、土地代などの負担が不要となるので、低価格でサービスを提供することが可能となります。
もちろん自治体でなくても、設置場所があれば民間が設置することも可能です。かなりコンパクトなステーションが設置できるので、今までとは違った土地利用の方法が開けるかも知れません。鉄道やバス会社などの公共交通機関が設置することも考えられます。立体的に考えれば、都心にもまだまだ見過ごされた空間があるはずです。
それぞれの要素がユニットになっており、スペースの広さに応じて構成を変えられます。駐輪スペースは、ラック式で、空中に吊り上げる形です。自転車を表裏の両面に、縦に収納できるので、スペースを有効に活用できます。利用者が自分で修理や調整をするためのメンテナンスユニットや販売機などを設置することも出来ます。
シャワーや更衣室のユニットを設置すれば、自転車通勤者用のバイクステーションとして利用出来ます。太陽熱を利用した温水供給装置も提案されています。一か所の利用可能人数は限られますが、都市に分散して多数設置することでカバー出来るでしょう。各利用者が最寄りの施設を使えて、かえって便利かも知れません。
消耗品やちょっとした小物を扱うキオスクのような売店、ラウンジ、ファーストフードショップなどをを併設することも出来ます。設置スペースの広さに応じて構成を変えられ、ユニット方式なので増設や、場合によっては撤去、移設も簡単です。公共インフラとしてのバイクステーションは、自転車通勤の心強い味方になるはずです。
最近、自転車の活用を目指す自治体が増えていますが、自転車走行空間の整備だけでなく、駐輪場の整備も急務です。その駐輪場を発展させて、バイクステーションとして整備するならば、自転車通勤だけでなく、自転車の活用を推進する上で、有効な自転車インフラとなるのは間違いありません。
もちろん、自転車インフラとしてのバイクステーションの設置により、省エネや地球温暖化対策、都市の渋滞対策、市民の健康増進などの効果も見込めます。駐輪場が充実し、人々の自転車の使い方が変わることで、駅前の放置自転車対策としても有効な対策となる可能性があります。
公共のバイクステーションが増えて、駐輪場を利用するような感覚でシャワーなども使えたら、自転車通勤する人にとって福音となるでしょう。しかも安く利用できるとなれば、誰でも気軽に自転車通勤が始められます。日中の外回りなどに自転車を利用する人も増えるに違いありません。
ハリウッド映画の「スーパーマン」は公衆電話ボックスを利用して変身しました。今は携帯電話が普及して、路上の電話ボックスも少なくなりつつありますが、電話ボックスの代わりに、街角にバイクステーションが増えていけば、暑いさなかでも涼やかに変身し、颯爽と出てくるビジネスマンが見られるようになるかも知れません。
三寒四温と言っても、この時期何十年ぶりというような気温が観測されるなど、最近その差が大きくなっている感があります。体調を崩しやすい時期でもありますね。
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自転車通勤の盛り上がり具合
ジテツウという言葉が一般化し、バイクステーションも登場している。
自転車にも便利な駅がほしい
NPOが運営する公的なバイクステーションを展開する都市もある。
バイクステーションの代名詞
ある意外な企業がバイクステーション事業に参入している例もある。
誰もやらないなら自分がやる
自転車通勤者自ら、バイクステーションの運営に乗りだす例もある。
私が望むインフラ整備は保育園に駐輪場を作る事です。幼児2人同乗自転車が認められたとは言え、出来れば3人乗りしない方が良いです。例えば自宅から保育園までは徒歩やベビーカーで登園して、保育園に停めてある自転車で最寄り駅や職場に向かえば二人乗りや三人乗りは控えられます。最寄り駅や職場から自転車で保育園に向かって、保育園に自転車を停めてから親子で徒歩で帰ります。
スーパーの駐車場は○千円以上お買い上げで○時間駐車料金無料と有ります。それを見習って、駅前のスーパーで毎月○千円以上のお買い上げで駐輪料金○円で停められて、毎月○万円以上お買い上げで駐輪料金無料にしたら、最寄り駅までの自転車通勤の主婦はそのスーパーでお買い物すると思います。休みの日に郊外の大型スーパーでまとめ買いする人も、通勤する最寄り駅前の駐輪場を確保出来るのなら、駅前で買い物に切り替えそうです。
バイクステーションなら職場近くよりも最寄り駅前に作ってくれると有難いです。どしゃ降りの雨の中を雨合羽着て自転車で最寄り駅に着いた時には着替えたくなります。保育園には子供に汚されても良いカジュアルな服を着ていて、最寄り駅でスーツに着替えられたら便利だと思います。