July 02, 2010

女性の注意深さを見習うべき

北海道と沖縄以外、梅雨真っ最中です。


一年で一番気温が高くなるのは8月ですが、日照時間は今が一番長い時期です。一日で日が一番高くなる正午よりも、午後2時頃に最高気温になるのと同じように、一年でも時差があることはよく知られています。あまり話題になりませんが、実は紫外線も今が一番強い時期なのだそうです。

女性の場合は、紫外線対策だ、美白だ、お肌にダメージだと、日焼けしないよう気を使っている人は多いと思います。でも男性の場合、わりと無頓着な人も多いのではないでしょうか。むしろ、青白いよりも多少日に焼けた肌のほうがいいとか、健康的だと感じている人もあるに違いありません。

サイクリストでも、いい色に日焼けした人、サングラスやジャージ、レーパンの後がくっきりついている人を見かけます。いかにも走り込んでいるなという感じです。屋外のスポーツですから、夏場に日焼けするのは当たり前、女性ではないのだから気にしないという人も多いと思います。

しかし、最近は男女に関係なく、紫外線による身体への悪影響が指摘されるようになってきました。シワ、シミなど皮膚の老化、腫瘍や皮膚がん、紫外線角膜症や白内障、翼状片と呼ばれる目の障害などです。一時的な免疫機能低下を起こしたり、紫外線が、細胞の核内にあるDNAに傷をつけてしまうことも明らかになっています。

UVジャージ子供の頃は日焼けなんて当たり前で、気にもせずに一日中太陽の下で遊んでいたという人も多いと思います。でも最近では子供であっても、無用な紫外線暴露を避けるべきだとされています。紫外線の害は、すぐに出るわけではなく、何十年もたってから出てくるものなので、以前は、あまり有害と意識されていなかったようです。

世界的に見ても、世界保健機関(WHO)、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)、国際がん研究機関(IARC)、といった組織において、紫外線の観測やその影響についての調査研究が進められ、その障害を防ぐための活動に力が入れられるようになってきています。

日本人のリスクは比較的小さいですが、白人は特に影響を強く受けます。日本の100倍も皮膚がんが多く、死亡率も20倍から40倍というオーストラリアなどでは、国をあげて取り組んでいます。実際、ゴールドコーストなどへ行くと、たかが日焼けでと日本人は驚くらい、死の危険を真剣に警告する標識が、あちこちに立っています。

シミやシワなど、皮膚の老化ももたらします。お年寄りの顔にシミやシワ、イボなどが多いのは、単なる加齢によるものではありません。お年寄りの皮膚も、太陽光を浴びない部分では色も白く柔らかで、細かいシワは別としても、深いシワやシミはありません。

つまり、シミやシワ、たるみ、皮膚に張りが無くなって固くなるといった変化は紫外線のせいというわけです。こうした皮膚の変化は、余計な日焼けをしなければ防げるものなのです。このあたりをどう考えるかは、人にもよると思いますが、無用な日焼けをして、将来、わざわざ老け顔になることもないでしょう。

日焼けに対する間違った理解も多いようです。日本人の中でも色白で、日光にあたると赤くなりやすく、黒くなりにくい人は紫外線対策が重要になります。逆に肌が黒い人ほど、紫外線に対する抵抗力は大きいわけですが、日焼けして黒くなれば、紫外線に強くなるというわけではありません。

アームカバー英語のサンバーン(sunburn)もサンタン(suntan)も日本語だと日焼けですが、意味は違います。サンバーンは赤くなる日焼け、サンタンは黒くなる日焼けです。日焼けで最初に赤くなるのがサンバーンで、紫外線による皮膚のヤケドです。サンタンはその後黒く日焼けする症状で、メラニンの増加によるものです。

メラニン色素は紫外線をよく吸収するので、これにより細胞内の遺伝子の損傷を防ごうとする生体反応なのです。黒くなるのは、言わばピンチに反応したサインであり、紫外線を防ぐと言ってもその効果は小さいので、日焼けして黒くなったからと言って、紫外線に強くなるわけではないことに注意すべきです。

わざわざ日焼けマシンで日焼けをする人もいます。健康的に見える、かっこうよく見える、若く見えるなどの理由で利用する人は多いようです。初めて行われた実態調査によれば、日焼けに発がんのリスクがあることを知らない人が7割もいたそうです。


日焼けマシン発がんリスク 利用者の7割「知らない」 東京都調べ

人工の紫外線を肌に照射して日焼けする「日焼けマシン」について、東京都が全国初の実態調査を実施した。利用者のうち、日焼けマシンがアスベストやタバコと同レベルの発がん性を持つことを「知らない」と回答した人が7割に上り、その安易な利用実態が明らかになった。また、使用後に体調不良や痛みを感じるなどした人が約2割、やけどや脱水症状、目に傷害を受けた人も2%以上いたことが判明した。

都によると、日焼けマシンは全国に約5千台あり、うち約1200台が都内に設置されているという。調査は、特に日焼けマシンが集中する首都圏1都3県の小学生以上を対象に行われ、利用経験者の男女1千人を抽出し、アンケートを実施した。

初めて日焼けマシンを利用した時期は、20代が約47%と最多で、次いで10代が約25%だった。被害者の中には、全身やけどと脱水症状で救急搬送された女子高生など、全治1カ月以上のやけどや入院を余儀なくされた重傷者もいたという。

世界保健機関(WHO)は平成17年、日焼けマシンの18歳未満の使用を禁止するよう警告。国際がん研究機関も昨年、日焼けマシンの発がんリスクをアスベストやタバコと同じ最も危険性あるグループに引き上げており、欧米各国では法規制が進んでいる。

ところが国内では「野放し状態」(都担当者)で、マシンの大半が外国製で日本工業規格(JIS)さえ受けていないという。また国内で唯一、利用ガイドラインを定めた「日本セーフティ・タンニング協会」の加盟店はマシンがある全国約1千施設のうち54施設に留まっている。

都は「国に日焼けマシンを所管する省庁がないことが問題」とし、国にガイドラインの作成や利用者への啓発を提案した。(2010.6.23 産経新聞)


こちらは人工の日焼けマシンですが、日焼けと言う意味では一緒です。日焼けサロンなどで、波長の長い紫外線で肌を焼くのでダメージはないなどと宣伝するところもあるようです。しかし、日焼けは皮膚のダメージであり、色が黒くなるのに皮膚のダメージなしということはあり得ません。

曇りの日でも、多い場合には晴れの日の8割程度の紫外線があると言います。暑さを感じるのは赤外線なので、涼しくても焼けることになります。また、高度が上がると紫外線は強くなります。標高が1千メートル上がると、紫外線は1割強増えると言われています。高原の涼しいところであっても、余計に日焼けすることになるわけです。

当然、南に行くほど紫外線は強くなりますし、自転車の場合は、アスファルトの路面からの照り返しの影響も小さくありません。雪ほどではないにせよ、砂浜にいるのに匹敵するくらい照り返しを受ける場合があります。ヘルメットや帽子だけでは防ぎきれないことになります。

レッグカバー紫外線については、よく言われるようにオゾン層の破壊の影響があります。ほかに、空気中のチリなどの要因にも影響されますが、年平均の紫外線量は、この20年位の間に1割前後増加しているとの報告もあります。今までと同じに過ごしていても、紫外線のリスクは増しているわけです。

体内でビタミンDを生成するため、ある程度日光に当たる必要があるのも確かですが、必要な紫外線量は僅かです。両手の甲ほどの面積に1日15分、陽を当てる程度でいいと言います。つまり、日常的に日に当たる程度で十分であり、日焼けをする必要は全くありません。

サイクリストに出来る日焼け対策としては、まず物理的に、日に当たらないようにすることが考えられます。夏でも長袖のウェアを着たり、ヘルメットや帽子をかぶったりすることです。最近はUVプロテクト機能を持つ生地で出来たウェアもありますので、うまく利用したいところです。アームカバーやレッグカバーなどを使う手もあります。

ただ、夏場に長袖は暑いですし、かえって熱中症のリスクを高めてしまう場合もあります。もちろん、長袖やヘルメットだけでは顔などの露出部分までは防げません。当然のことながら、日焼け止めを使うことになります。夏場に自転車に乗る場合は、なるべくSPF50+、PA+++の強力な日焼け止めにすべきでしょう。

ちょうど先週の毎日新聞に、日焼け止めの塗り方の記事が出ていましたので引用しておきます。


日焼け止め:使い方Q&A 専門家、メーカーに聞く

店頭には多種多様な日焼け止めが並ぶ日差しが強まる季節。紫外線から肌を守る日焼け止め(サンスクリーン)は、今やレジャーだけでなく、日常生活にも欠かせない。一方で、使い方や商品選びには分かりにくい点も多い。専門医やメーカーに聞いた。

Q・塗る量は?

A・最近の日焼け止めは使用感が良く、さらっと伸びるものが多い。半面、伸ばしすぎて、塗布量が少なくなりがちだ。

製品に表示されたSPFやPAの値は、肌1平方センチ当たり2ミリグラムを塗った時のUV(紫外線)防止効果。目安は、腕なら縦に2、3本の線状に置いた量で、脚なら3、4本程度。顔は1円玉大の2個分と、意外に多い。東京慈恵医大付属第三病院の皮膚科診療部長、上出良一医師は「一般的にはSPF表示の規定量の2分の1〜3分の1しか塗られていない」と指摘する。

半分の量しか塗らないと、防止効果は表示の約3分の1に落ち、特に、数値の大きいものほど効果の落ち方も大きいという。「必ずしも規定量を塗る必要はないが、薄めに塗るなら、UV防御効果を過信しないこと」と上出医師は話す。

日焼け止めクリームの塗り方Q・塗り直しは?

A・きちんとUV防御するには、塗り直しが重要になる。日焼け止めは、汗で落ちやすいのが弱点。防水タイプのウオータープルーフでも、こすれて落ちてしまう。2〜3時間ごとに塗り直すのが理想だが、特にタオルなどで汗をふいた時は、塗り直した方がいい。

顔の場合は、UV効果のある下地などで日焼けを防ぐのが一般的だが、化粧を落としてまで塗り直すかは悩みどころ。カネボウ化粧品スキンケア研究所の松江浩二・主任研究員は「そもそも化粧が落ちないように顔に触らない人が多く、他の個所より落ちにくい。ファンデーションを塗り直せば日焼け止め効果としてはOK」と話す。

Q・落とし方は?

A・「SPF50+」など強い日焼け止めやウオータープルーフタイプは、せっけんでは落ちにくい。コーセー広報課の橋本美佳さんは「きちんと落とさないと目に見えない膜が肌に蓄積するので、注意して」と呼びかける。

日焼け止めクリームの塗り方クレンジング剤が必要なものは製品の裏などに表記があるのでそれに従うとよい。橋本さんは「日常使いなら強力なものを選ばず、せっけんで落ちる程度の日焼け止めを使うのもポイント」と話す。

Q・何年も使える?

A・日焼け止めは消費期限などの表示がない商品がほとんど。前年の余りも使えるのだろうか。上出医師は「レジャー用の日焼け止めは暑い場所に持っていくので変性しやすい。基本的に1シーズンものと考えるべきだ」という。

資生堂で日焼け止め製品を担当する須貝展子さんは「翌年以降でも日焼け止め効果は落ちないが、液が劣化することがある」と話す。翌年に持ち越す場合は、酸化を防ぐためボトルの口元をしっかりふいて、日光の当たらない場所で保管しておく。「油っぽくなったり、水が出るのが劣化のサイン。よく見極めて判断して」と須貝さんは話す。(毎日新聞東京朝刊 2010年6月29日)


そのほか、紫外線の強い時間帯を避けるという手も有効です。紫外線が強いのは正午をはさんだ時間帯ですので、朝夕の涼しい時間帯に走行するようにして、昼の前後の時間帯は長めに休憩をとるとか、室内の施設などで過ごせるようなコース、日程をたてるのもいいかも知れません。

皮膚がんのリスクにせよ、肌の老化にせよ、無用のリスクを背負うことはないでしょう。わざわざ肌を焼く人も、以前と比べると少なくなっていると思います。夏に野外で活動すれば、ある程度日焼けしてしまうのは仕方がないですが、出来るだけ紫外線対策をして、なるべくなら男性も日焼けしないようにした方が良さそうです。


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W杯、1か月近く楽しませてもらった日本代表に感謝ですね。日本の惜敗で気が抜けた感もありますが、大会は準々決勝、いよいよ佳境に入って、レベルの高いゲームが楽しみです。

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この記事へのコメント
日焼けに無頓着な人間は確かに多い。
一方で、顔や手(腕)足(脚)を気にする人は多いが、頭部や目を気にする人は意外に少ないように思う。手足よりも「目」を守る方が以外と大切なのだが。人の勝手なので他人がどうこう言う必要も無いが。

サイクリストはアイウエアやキャップにヘルメットを着用している人が多いがママチャリに乗っている人は皆無に近い。知らない人間が多いのか、それとも大丈夫だと思っているからなのか。何れにせよ、日本人は平和ボケしすぎて危機意識がとても低いと思われる。
まあ、最終的には個人の判断なので他人が口を出す必要性は無い。
Posted by 通行人Ω at July 03, 2010 10:44
通行人Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、頭の地肌も日焼けしますし、髪の毛も痛みますね。サングラスをかけないで紫外線角膜症、いわゆる雪目になっている人も見ます。おっしゃるように、肌が露出している部分以外は、意外と盲点になっている人は多い金知れません。
他人のことをとやかく言うつもりはないのですが、記事にもあるように、知らずに無防備でいる人も多いようです。
自転車に乗る時には、日焼けによるリスクについて、常識が変わりつつあることにも注意してほしいと思います。
Posted by cycleroad at July 04, 2010 20:43
リカンベントでは特に顔がやられます。上を向きっぱなしなので。
フェイスガードというのでしょうか、覆面をしているのですが、街中ではどうしてもはずさざるをえません。
変な自転車乗りが変なオジサンにならないためです。
めがねの上からかけられるサングラスはずいぶんと試したのですが納得できるものは無かったですね。
ヘルメットの下にハットをかぶっても見ましたが、それはそれは変でした。
しかし、白人は日光浴が好きですね。街中でもやっている人がいます。タバコと同じで、害があってもやめられないのでしょうか。
Posted by クラウド at July 05, 2010 22:56
クラウドさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、リカンベントは日焼けしそうですね。UVカットのシェイドか何か日除けがほしいところでしょうか。
メガネも形によっては、難しいでしょうね。度付きのサングラスでも、脇から結構紫外線が入ったりしますし、苦労している人は多いかも知れません。
日焼けのダメージを人種的に一番大きく影響を受けるにもかかわらず、白人が日光浴を好むのは、日焼けしていると裕福に見えるからだと言われています。
日焼けはバカンスに行ける証拠であり、ステイタスというわけです。
昔から白人の間では、日焼けした肌にいいイメージがあったり、あこがれる部分があったりするようですね。
Posted by cycleroad at July 06, 2010 20:32
なるほど! 見栄、人に勝つ,そしてモテル。
このためなら経済的な合理性も理性もありませんからね。
モテルためには将来のガンへの不安などは無きに等しいわな、若いときは。
長年の疑問が解消しました。ありがとうございます。
Posted by クラウド at July 07, 2010 21:37
クラウドさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いいえ、どういたしまして。
おっしゃるように、遠い将来のがんの可能性と目の前の異性にもてることを天秤にかけたら、答えは明らかということでしょうね。
それでも、わざわざリスクをとる必要はないのですが、まだ危険性を充分知らずに、昔からのイメージにとらわれている人が多いということでしょう。
Posted by cycleroad at July 08, 2010 23:26
 
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