毎日暑くてたいへんですが、子供たちにとっては、待ちに待った夏休みです。あちこちへ連れて行ってもらう計画を立てている子供も多いことでしょう。中には、人気のしまなみ海道へ、そろってサイクリングに出かけるという家族もあるかも知れません。朝日新聞から引用します。
自転車載せて専用列車でサイクリングへ
尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」で気軽にサイクリングしてもらおうと、JR山陽線の広島―尾道駅間に25日、自転車を載せられる専用列車「サイクルトレイン」が試験運行した。広島駅から乗った約80人が尾道駅で降車。自転車を分解して運ぶ手間がいらないとあって好評だった。9〜10月に本格運行する予定。
しまなみ海道の活性化をめざし、県や尾道市などでつくる県サイクルトレイン実行委員会とJR西日本が企画した。同様の列車は愛媛県などでも運行しているという。
この日のサイクルトレインは4両編成で、1、2両目に自転車、3、4両目に乗客をそれぞれ乗せて広島駅を出発し、約1時間20分で尾道駅に到着。県サイクリング協会のスタッフら約10人が手際よく自転車を1台ずつホームへ降ろした。乗客らは愛用の自転車に乗り込み、しまなみ海道や東隣の福山市・鞆の浦を目指して次々に出発した。
しまなみ海道へ年3回は通うという広島市東区の会社員、安友林太郎(りん・た・ろう)さん(32)は「いつもは分解した自転車を大きなバッグで運び、他の乗客のじゃまにならないか心配だった」。一方、呉市から訪れた団体職員、重松誠さん(24)は「輸送中に自転車を点検したいので同じ車両に載せてほしい」と話していた。
実行委は試験運行の結果を踏まえて改善点を検討する。本格運行は9月18、19日と10月2、3、9、16、17日の予定。運行時刻や定員は未定。問い合わせは同実行委(082・513・3389)へ。(2010年07月26日 朝日新聞)
記事にもあるように輪行、すなわち自転車を分解して大きなバッグで運ぶという手段を使えば、原則として、いつでもどこへでも列車に自転車を載せて移動出来ます。ただ、子供連れだったりすれば、子供のぶんも輪行するのは大変です。そのまま持ち込めれば助かりますし、分解できないシティサイクルでも持ち込めます。
しまなみ海道だけではありません。JR山陽線は、秋に7回の運行へ向けての試験運行ですが、豊橋鉄道渥美線では、同じ試験運行でも、今月31日〜8月29日の30日間の期間中の4320列車すべてという大規模なものです。こちらは、毎日新聞です。
サイクルトレイン:豊鉄渥美線、2度目の自転車列車−−31日〜来月29日 /愛知
◇本運行へ最終試験
豊橋鉄道渥美線(新豊橋−三河田原)で31日〜8月29日の30日間、電車内に自転車を持ち込めるサイクルトレインが運行される。今年のゴールデンウイーク期間中に続く2度目の試験運行で、本運行へ向けて最終的なデータ収集を行う。
前回の試験運行は土日祝日の計8日間で、対象となったのは朝夕を除く計52列車だったが、今回は期間中の4320列車すべて。持ち込める自転車は1列車当たり10台まで。乗車区間の運賃に、前回は無料だった持ち込み料金が100円必要となる。3両編成のうち、三河田原寄りの1両の半分程度を専用スペースにする。
前回の試験運行では、期間中に上下合わせて延べ702人の利用があった。同社は今回、平日が加わるため利用客数にどのような変化があるかなどの詳細なデータを収集し、早ければ今秋にも本運行をスタートさせたいとしている。問い合わせは同社営業企画部(0532・53・2131)。(2010年07月27日 毎日新聞)
自転車ブームの追い風もあるのでしょう、最近、鉄道各社でサイクルトレインを実施するところが増えています。各地での好評を受け、春や秋の行楽シーズンだけでなく、夏休みにも広がってきているようです。試験運行ばかりではありません。弘南鉄道大鰐線では、通年の本格実施に踏み切っています。
サイクルトレイン本格実施/弘南鉄道
弘南鉄道大鰐線で1日から、電車内に自転車を持ち込みできる「サイクルトレイン」が本格実施となった。持ち込みは有人駅の中央弘前、津軽大沢、大鰐の3駅に限るが、休日はフリータイムで利用可能となった。
サイクルトレインは5、6月に試験実施して計120件の利用があり、好評だったため冬期間を除いて通年で行うこととした。普通乗車券、定期券、回数券のほか、さっパス、大黒様きっぷ、津軽フリーパス利用の乗客が、自転車1台無料で持ち込みできる。
土、日曜日、祝日は始発から終電まで。平日は中央弘前駅発が午前9時30分〜午後2時30分、大鰐駅発が午前9時50分〜午後2時30分の各列車で利用できる。1列車当たり自転車10台までとし、3台以上のグループで利用する場合は予約が必要。
同鉄道は「地元の人にも電車と自転車を使って行動範囲を広げてほしい」と活用を呼び掛けており、無人駅の自転車持ち込みについても年内実施を目指して検討している。(2010年7月2日 陸奥新報)

サイクリストはともかく、自転車を鉄道に積む「輪行」は、なかなか一般の人には出来ることではありません。サイクルトレインならば、サイクリングへ出かける人だけでなく、生活の中で利用することも出来ます。誰でも自転車と列車を組み合わせることで行動範囲が広がります。
欧米などでは、当たり前のように、列車にそのまま自転車を積みこめる国もありますが、日本ではまだまだ一般的とは言えません。自転車を持ち込むことが普通のこととなり、自転車の活用場面が増え、自転車という交通手段への理解が広がるという意味でも、サイクリストにとっては好ましい傾向だと思います。
ところで、鉄道と言えば最近、駅員などへの暴力行為の増加が報じられています。駅では、全国の鉄道会社が作製した、暴力行為の防止を訴えるポスターが貼られているのを目にした方も多いと思います。3年連続で過去最悪を更新したそうです。朝日新聞の記事を引用します。
駅員への暴力急増 09年度869件、3年連続最悪
全国25の鉄道会社は7日、2009年度に駅員や乗務員が乗客から受けた暴力が869件だったと発表した。3年連続で過去最悪を更新した。前年度より117件も増えた。鉄道各社は「相手はお客様だから」と厳しい対応をしてこなかったが、JR東日本が原則的に警察に被害届を出したり、東京メトロが防犯カメラを本格活用したりするなど、姿勢を強めている。
09年度の被害を分析すると、加害者の6割近くが酒を飲んでいた。67%が午後5時以降の行為で、月別では忘年会の多い12月が最多だった。曜日別では月曜から日曜にかけて増えていくが、各社は「週末は飲酒の機会が増えるのだろうが、土日が多い理由は分からない」と説明する。年齢別に見ても各世代で大差はない。こうした傾向は例年、大きな変化がないという。
遅延やダイヤの乱れを理由にしたものは少なく、むしろ一方的な暴力が目立ってきたのが最近の特徴だ。日本民営鉄道協会は「抑えきれないストレスを抱え、飲酒で暴発するのかもしれない」としている。
全国の鉄道会社74社は警察庁などの協力を得て、15日から暴力防止キャンペーンを実施。「暴力はすべてを壊す」と大書したポスターを駅や車内に掲げる。(2010年7月8日 朝日新聞)
駅員への暴力が、土日など週末の深夜に多く、6割近くが飲酒の上とありますから、多くは酔っ払いの暴力なのでしょう。ここへ来て急増しているのは、不景気が長引き、ストレスをためている人が増えているとか、幼児性や社会的な病理、キレやすくなっているなど、さまざまな指摘もなされています。
むろん、例え酔っ払ってのことであろうと、暴力行為は許されることではありません。鉄道会社が傷害事件として被害届を提出するのは当然ですし、毅然とした対応をとるべきだと思います。いくら相手がお客だろうと、駅係員が、一方的に暴力をふるわれていいわけはありません。
ただ、素朴な疑問も浮かびます。なぜ暴力行為が急増しているのが、駅員や乗務員ばかりなのでしょうか。なぜ被害急増が鉄道会社に限られるのでしょう。デパートの店員に対する暴力とか、ホテルの従業員とか、スーパーのレジ係とか、銀行の窓口係や警備員に対する暴力急増という話は聞きません。
もちろん、酔っ払いを相手にするという面はあるでしょう。しかし、酔っぱらったからといって、理由もなく暴力をふるう人ばかりとは思えません。酔っ払い以外の事例でも、駅員にとって理不尽とも言うべき暴力をふるわれるとしていますが、果たして本当にそんな事例ばかりなのでしょうか。

暴力を正当化するつもりは毛頭ありませんが、なぜ鉄道会社ばかり狙われるのか、そこに何か理由はないのでしょうか。駅員や乗務員ばかり暴力をふるわれるのは、どうしてなのでしょうか。暴力をふるっていい理由にはならないとしても、駅員や乗務員に暴力を誘発するような態度とか、言動はないのでしょうか。
私は、暴力事件についての具体的な事例も知りませんし、調査や分析したわけでもないので、この疑問に対する答えは持ち合わせていません。ただ、他のサービス業と比べて、鉄道会社に対してだけ暴力行為が急増しているというのであれば、客観的にみても何か理由があると考えるのが自然のような気がします。
幸い、私自身は駅員とトラブルになったことはありません。ただ、知り合いが駅員に、かなり頭にくる対応をされたという話は何度か聞いたことがあります。ネット上で見かける意見にも、暴力をふるう客を肯定する論調はありませんが、駅員の態度に疑問を持っている人は少なくないようです。
ある調査ではこの件に対して、お客が悪いとする意見が3割、理由があっても暴力は許されないという意見が4割を占めています。当然の反応だと思います。しかし、暴力はよくないが、鉄道員にも相当非があると考えている人も3割程度いるという結果が出ています。
あくまで仮定の話ですが、駅員の態度に腹を据えかねている人が多いのだとしたら、駅員に対する暴力ばかり急増する現象にも、つじつまが合います。鉄道会社が、他のサービス業と比べて競争が働きにくい業種であることが災いし、客を客とも思わない態度が見え隠れしていないでしょうか。
仮に、デパートの店員の態度が悪かったら、そこでは買わずに他の店で買う人が増えるだけです。印象が悪ければ、二度とその店に行く気がしない人も多いでしょう。しかし、鉄道会社の場合、不愉快な思いをしたからといって、普通は引っ越しでもしない限り、なかなか他の鉄道会社に変えるというわけにはいきません。

つまり、多少接客態度が悪かろうと、売り上げには響きません。黙っていても収益が上がるのだとすれば、社員の中に、無意識にでもお客を軽視するような気持ちが出てきても不思議ではありません。むしろ、出てこないほうが稀です。競争がないことで慢心し、お客をお客と思わなくなる例は枚挙にいとまがありません。
全ての鉄道会社がそうだとは言いませんが、例えばJR西日本の福知山線脱線事故や、その後の経営陣の対応、事故調査の過失をもみ消そうとした件などを見ても、およそ世間の感覚からかけ離れているとしか言いようがありません。つい先日も保安作業車の事故で、新幹線が止まったばかりです。
そのほかにもトラブルが続いていますし、車掌が日頃の不満から防護無線のヒューズを抜くという信じられないような不祥事も起きています。もし防護無線が作動しなければ、乗客の安全にもかかわる重大な行為です。いったい、鉄道会社の内部はどうなっているのだろうと、利用者として不安になってきます。
こうした不祥事が、暴力事件の急増と直接つながるわけではありません。しかし、お客の安全やサービスを第一に考えて努力している会社には、到底見えないのも確かでしょう。決して暴力行為を容認するつもりはありませんが、鉄道員への暴力行為の増加が、鉄道会社への不信感の表れのように見えてしまいます。
「暴力行為はすべてを壊す。」確かにその通りでしょう。しかし、もし仮に鉄道会社に原因の一端があるのだとしたら、そんなポスターを貼らざるを得ない状況に陥っていること自体、企業として恥ずかしいことではないでしょうか。お客からの不満が高まっているのに、その事実も省みていない、気づいていないのではないでしょうか。
お客から不満を持たれているのをさし置いて、お客に対する注意ばかりをポスターにしているのであれば、殿様商売もいいところです。接客業、サービス業として、どうなんだろうと思わざるを得ません。暴力は論外ですが、自らの接客態度、お客様に対する考え方を考慮する必要はないのでしょうか。

もちろん、真面目に働き、その接客態度に好感がもてる鉄道マンも数多くいるに違いありません。私も、暴力行為は駅員の態度が原因と断定するような根拠があるわけではありません。ただ、鉄道会社も、自らの落ち度を疑ってみなくていいのだろうかと思ってしまいます。
ここへ来て、高速道路千円にお客を取られると危機感を感じている鉄道会社も増えているようです。対抗して大幅割引などの策を打ち出すところもあります。おそらく、高速料金が変わらなければ、割引もなかったでしょう。それを思えば、接客面にも、鉄道会社に危機感を持たせるものが必要なのかも知れません。
鉄道会社がみな、お客に対する態度が悪いと言うつもりはありません。利用客へのサービスを向上させようと努力している鉄道会社もあるでしょう。ただ、もし勘違いをしている部分があるのであれば、まず、お客を怒らせるような社員を教育し直すことから始める必要があるのではないでしょうか。
サイクルトレインもいいですが、一部の駅員の態度によって利用者が不愉快になっているとしたら、せっかくの試みも台無しです。暴力行為には毅然として対応すべきですが、その原因をお客にだけあると考えるのではなく、自らの社員の行動に驕りがないのか、謙虚に確かめてみることも無駄ではないような気がします。

久しぶりの雨で、暑さも一息つきましたね。その雨も激しいところがあるようですが..。
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