
大勢で集まってライドイベントを行い、少年たち自ら地域での暴力行為の終結を宣言したり、銃使用の停止を訴えたりしています。“Scraper Bike”を通して集まった少年たちが、社会的な活動を行うムーブメントにまで発展しているのです。全米から大いに注目されています。
この“Scraper Bike”のムーブメントは、若者の心を捉えています。多くのティーンエイジャーたちに、免許年齢になってもクルマに乗ることをスキップさせ、依然としてぺダリストでいさせるほどの大ヒットです。多くの若者が集まることで、更に同世代の若者を惹きつける好循環が生まれています。
このプロジェクト、地元のラップグループ“Trunk Bois”のメンバー、Baby ChampことTyrone Stevensonさんが20歳の時に立ちあげたと言います。彼は、The Scraper Bike King と呼ばれ、その活動は多くのイベント等でもフィーチャーされ、マスコミにも取り上げられました。Youtubeの視聴回数も数百万回に上っています。
若者に受け入れられる理由として、ラップミュージックも大きな要素でしょう。自転車だけでなく、音楽も青少年に対してアピールするポイントです。自転車カルチャーとヒップホップの融合であり、加えて地域社会や地球環境、持続可能な交通手段を考える活動とも捉えられています。
今後は、自転車をカスタマイズしたり、その修理・整備技術を若者に指導することに特化した自転車ショップを開業することも視野に入れています。青少年に対し、起業家精神を植え付け、文化的なイノベーションを推進することも目標にしています。
日本の少年犯罪は万引きと共に自転車盗が大きな部分を占め、非行の入口と指摘されています。オークランドでは、自転車が逆に非行防止にも大いに役立っているわけです。このムーブメントは、自転車に興味がなかった若者をも惹きつけ、危険なコミュニティに近づくどころか、社会的な正義にも目覚めさせているのです。
自転車にしろ、ラップにしろ、何か健全な対象と、それを好きな者同士で仲間をつくれる場を、青少年が欲しているのも事実なのでしょう。居場所をなくした少年たちでも、悪いコミュニティなんかより、ずっとクールで楽しい居場所を見つけられる、そんな場があることが重要なのだと思います。
日本で、こうした自転車のカスタマイズに人気が出るかは疑問ですが、何か、興味を持てる場に青少年が集まり、結果として、その健全な育成につながるとしたら素晴らしいことだと思います。日本でも、学校や家庭以外の「居場所」を増やすことを考えるべきなのかも知れません。