November 29, 2010

自転車の駐輪方法を工夫する

自転車に乗っていれば、駐輪という行為は避けられません。


自宅からトレーニングに出て、一度もサドルから降りずに自宅へ帰って来るような場合は別としても、自転車で出かければ駐輪はつきものです。特に日常生活の中で、移動手段として自転車を使うならば、どこか出先で駐輪することになるのは避けられません。

しかし、日本に8千6百万台も自転車があり、これだけ自転車に乗る人が多いのに、駐輪場や、ちょっとした駐輪スペースが、あまり整備されて来なかったという現実があります。特に駅前などには、自転車で来る人が集中し、違法駐輪、放置自転車が溢れるという状況がおきています。


放置自転車許しません 弁天町駅に児童考案シート

大阪市港区内の児童が描いた「放置自転車禁止絵画」を図柄にした路面シートの張り付け作業が10日、JR弁天町駅周辺で行われた。道をふさがれ困っている歩行者の姿などが描かれ「自転車なくなったらスッキリ」と、マナー向上を呼び掛けている。

「自転車なくなったらスッキリ」市は、シート上に自転車が放置されない効果を期待し、同区内の4年生から6年生を対象に適正利用を呼び掛ける絵画を募集。301点の応募の中から入選100点を選び、シートを作った。

シートは縦62センチ、横68センチ。駐輪場の収容台数に空きがあるにもかかわらず、放置自転車が多い同駅と市営地下鉄朝潮橋駅周辺に10月下旬から97枚張り、この日は、最優秀賞と優秀賞に選ばれた3作品を描いた児童3人と平松邦夫市長らが残る3枚を張り付けた。

自転車に進路をふさがれた車いす利用者の姿とともに「歩道は駐輪場ではありません」と訴え、最優秀賞に選ばれた松坂優里奈さん=田中小6年=は「歩道に放置された自転車で歩きにくそうにしている人の姿を見たときの思いを描いた。自転車は駐輪場に止めてほしい」と話していた。(2010年11月11日 大阪日日新聞)


放置自転車は迷惑ですし、マナー違反です。違法駐輪を許すべきではありません。駐輪場があるのに、それを利用しないのであれば、責められて当然です。ただ、この場所はどうか知りませんが、駐輪場が圧倒的に不足しているという背景が放置自転車を生んでいる場所もあるはずです。

駐車場を駐輪場に自転車を利用する市民が多いのに、あまりに駐輪場が少ないから放置自転車が増えているのだとすれば、ただ撤去を繰り返すだけでは、いたちごっこです。行政が、いくら放置自転車追放キャンペーンを重ねたとしても、抜本的な対策にはならないでしょう。

たしかに、「自転車なくなったらスッキリ」(上の記事)、なのでしょうが、人々に違法駐輪させないよう、駐輪場を整備すべきという側面もあるのではないでしょうか。これだけ自転車が多いのに、自転車の走行空間が整備されて来なかったのと同じように、駐輪場や駐輪スペースが整備されて来なかったという事実は否めないでしょう。

もちろん、だからと言って違法駐輪、迷惑駐輪を正当化するつもりはありません。マナーの悪い人が多いのも間違いないでしょう。ただ、「自転車なくなったらスッキリ」と児童に書かせるより、書かせなくてすむような整備を進めてほしいものです。

歩道を占拠

現実には、駅前の一等地に駐輪場を整備するのが容易でないのも理解できます。法令が改正され、2005年の4月から放置自転車対策として、自治体は歩道上にも駐輪スペースを設置できるようになりました。ほかにスペースが無くて、仕方なく歩道上に駐輪スペースを決め、駐輪させているような場所もあります。

そのような場所では、歩道の半分以上を駐輪スペースが占めてしまい、狭くなった歩道上を歩行者や自転車が行きかうという構図も多いでしょう。大量に駐輪された自転車が公共のスペースを占拠してしまい、通行の邪魔だと目の敵にされているようなケースも多いに違いありません。

せめて自転車を縦にして駐輪させられたら、少しは通行しやすくなるのではないでしょうか。高さは高くなりますが、地面への投影面積は半分くらいになるでしょうから、歩道の占有面積も少しは狭められるはずです。高齢者など、力が無くても縦に駐輪できるようなラックもあります。



スポーツバイクに乗っている人なら、自転車を吊り下げることに珍しさは感じないと思います。自転車ショップなどでも普通に目にします。ただ、量販店などでは、あまり自転車を吊り下げないでしょうし、一般の人には地面にとめるという固定観念があって、自転車を吊り下げるという発想はないのかも知れません。

家族が増えて、自宅に駐輪スペースが不足しているという人もあると思います。一人で複数台所有する人がいれば、なおさら不足します。そんな場合にも、自転車を吊り下げるとい方法は有効です。動画のように吊り下げて、さらに斜めにすれば、奥行きも小さくなって邪魔にならなくなるかも知れません。



さて、駐輪に伴うもう一つの問題として「自転車の盗難」があります。どこかに自転車をとめておけば、ロックを壊されたり、ワイヤーが切断されるなどして盗まれる危険に晒されることになります。さまざまな盗難防止法が考えられてきましたが、次の動画の方法には、意表を突かれた感じがします。





装置がまだ大きく、持ち歩きには難点がありそうですが、奇抜なアイディアです(笑)。5メートルも持ちあげてしまえば、下を通行する人の視界にも入らず、歩行の邪魔にもなりません。よじ登って盗もうと思えば盗めるかも知れませんが、盗むのに文字通りハードルが高くなるのは間違いないでしょう。

地面のレベルだけ、言わば2次元で見ると余ったスペースが無くても、3次元で見れば、利用できる空間が見つかることもあります。今どき、映画もテレビも“3D”へ、というご時世ですが、駐輪場も“3D”で考えるべきなのかも知れません。自転車のとめ方にも、まだまだ工夫の余地がありそうです。


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まだクリスマスには1か月弱もあるのに、11月の早いうちからクリスマスソングをかけている店も多いので、なんだか季節感がありませんね。

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街の景色に加えてほしいもの
駅前だけでなく、街中にも駐輪用のラックが設置してあると嬉しい。

あることを感じさせない存在
駐輪場のニーズがあるのに、その設置に反対する人もいたりする。

空へ伸ばすか地下に潜らすか
もちろん、もっと大規模な機械式の立体駐輪場を設置するところも。

不名誉な記録の理由はなにか
放置自転車の撤去を繰り返すだけでは、解消しないのではないか。


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この記事へのコメント
確かに、発想を変えると駐輪ビジネスは未来があるかも知れませんね!
チョット考えてみようかな・・・。
路上駐車を目の敵にするより、もっと未来に向かって、自転車の有効活用を考えていきたいですね?
Posted by ヨッシー at November 30, 2010 20:44
ヨッシーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ビジネスとしても、可能性があるかも知れませんね。新しい駐輪機の需要をにらんだり、電動アシストを充電したり、シェアシステムなども視野に入れて開発しているところもあるようです。
自転車走行空間だけでなく、駐輪スペース、駐輪場があってこそ、自転車が活用できるという面も、もう少し認識が広がるといいと思います。
Posted by cycleroad at December 01, 2010 21:27
放置自転車が見当たらない街は駐輪場が整備されているか、人が集まらない寂れた街かのどちらかなんですよね

3D駐輪機便利そうです
考えてみたら平面的に停めるだけで駐輪場を作る場所がないというのも変ですね
Posted by 職人気取 at December 02, 2010 07:53
私的な駐輪スペースの工夫についても、日本の住宅環境にこそもっと一般的に普及すればいいですね。
こちら大分市は、街中の公共駐輪場ががかなり充実してきました。都心に比べると人口(自転車利用) 密度は低いと思いますが、それでも商店街などの本来歩道に無法な駐輪がまだ見られます。行政の広報や時には強硬手段も講じられているようなのですが、悲しいことです。インフラ整備を進めるだけではダメなんだという反面教師にならなければいいのですが。
Posted by 七九爺 at December 02, 2010 22:16
職人気取さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
もう一つ、撤去移送がマメに行われている、なんていうのもあるかも知れません。駐輪場を整備して、駐輪しやすくしたら、人が集まるようになったというケースもあるようですから、放置自転車憎さに、自転車全体まで目の敵にしないほうがいいと思いますね。
工夫すれば、あまりコストをかけずに駐輪場のスペースが増えるかも知れません。
Posted by cycleroad at December 02, 2010 23:10
七九爺さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
集合住宅などでも、駐輪スペースが不足して、周辺に放置自転車があふれているところもあるようですから、そういう場所は、もっと工夫すべきでしょうね。
そうですか。大分については、過去に何度か記事に取り上げています。大分の中央町商店街に放置自転車があふれる様子も載せましたし、一方で、大分市をバイシクルフレンドリータウン、自転車が似合うまちにすると宣言していることも載せました。
大分市における自転車文化を創造するという意気込みまで書かれていたのが印象に残っていますが、だいぶ行政は力を入れているようですね。
Posted by cycleroad at December 02, 2010 23:26
面白い駐輪機ですね。高さ方向に工夫をもう少し考えればまだまだスペースはできますね。
Posted by moumou at December 04, 2010 15:38
moumouさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ママチャリの場合は重いこともあって、特に持ち上げたり、縦にしたりという発想が出にくいのでしょう。
そのあたり、固定観念があるのかも知れません。
Posted by cycleroad at December 04, 2010 22:11
しかしまぁ、自動車の路上駐車や違法駐車にもこれぐらい行政は熱を上げてほしいものですね。
あちらのほうは重大事故を誘引する悪質性が自転車のそれより
よっぽど社会的な影響が大きく、人命をも左右するのですから。
日本のマスコミや行政はあまりにも自動車のモラルの欠落した扱いに甘く
自転車に厳しいという腐敗偏向が目に余ります。
みっともないし、公正中立とは程遠いといってもいいでしょう。
Posted by happycycle at December 09, 2010 22:24
happycycleさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
違法駐車の取り締まりは、民間の監視員が導入されて強化されたはずですが、相変わらずという場所も多いのが実際のところなのかも知れませんね。
確かに、放置自転車に比べて、違法駐車が厳しく取り締まられていない気がするのはあります。
放置自転車は歩行者にとって邪魔ですし、すぐ目につきますが、車道側にある違法駐車に関しては、住民や通行者は、あまり邪魔に感じないという背景があるのかも知れませんが..。
でもだからと言って座視すべきではありませんし、おっしゃるように、非常に危険です。人命に直接影響しますし、渋滞を発生させて大きな社会的損失なわけですから、もっと取り締まってほしいものです。
Posted by cycleroad at December 10, 2010 23:25
 
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