産経新聞の記事から引用します。
小学生狙う性犯罪、大阪は東京の2倍 危ない下校時、自転車30代が要注意 真冬も多発
大阪で発生する強制わいせつ事件は小学生が狙われることが最も多く、東京の2倍に上ることが4日、捜査関係者への取材で分かった。危険な場所は夕暮れ時の通学路。昨年10月には11~13歳の女児3人が下校中、男に相次いで車で連れ去られそうになり、保護者や児童を不安に陥れた。こうした犯罪は夏場に起きるイメージがあるが、近年は冬場の性犯罪も少なくないといい、大阪府警の幹部は「真冬でも油断は禁物」と注意を呼びかけている。
地域パニック
「殺されたくなかったら車に乗れ」
昨年10月25日午後4時35分ごろ、男は岸和田市で小学6年の女児(11)をつけ回し、人けのない路上でこうすごんだという。女児は恐怖でしゃがみこんだが、「いやや!!」と勇気を出して叫んだ。男は逃げ去り、女児は無事だったが、同じころ、他にも女児2人が襲われていたことが分かり、地域は一時パニック状態に。地元の小中学校で集団下校が徹底された。
男は、11月に未成年者略取未遂容疑で逮捕され、12月に同罪で起訴された同府貝塚市久保の配管工、平井孝典被告(25)。否認しているが、女児3人を車でつけ回す様子が防犯カメラに写っており、わいせつ目的だったとみられる。府警は余罪も捜査している。
危険な下校時
大阪では1~8月、小学生を狙った強制わいせつ事件が123件発生した。これは東京の59件の2倍を超える数値で、被害者のうち職業別で最も多いのも小学生。高校生の被害が最多だった東京に対し、大阪では小学生が主な標的にされていることが示された。
下校時刻の午後2時から6時ごろの発生が6割を占め、路上で襲われるケースが最も多かったという。また被害者に小学生が多いことが影響したとみられるが、大阪の強制わいせつ事件は東京より110番が少なく、警察の認知が遅れることも分かった。発生から24時間以内に犯人が逮捕された事例は東京の114件に対し、大阪では49件にとどまる。
2キロ圏内居住
これまでに逮捕された容疑者の特徴を分析したところ、大阪では30代を中心に20~40代が最も多く全体の約65%。被害者がけがをするケースが東京より多く、犯人の凶悪さも目立つ。また自転車が逃走に使われることも多く、容疑者の半数は犯行現場から2キロ圏内に住んでいたという。
女性が薄着になる春から夏にかけて増えるとされてきた性犯罪だが、24時間体制で被害者を支援する同府松原市の「性暴力救援センター・大阪(SACHICO)」によると、近年は冬場の被害も少なくない。同センターの山根享子運営委員(55)は「性犯罪は女性の心身を深く傷つける。一刻も早いケアが重要なので、被害に遭ったら一人で悩まず、相談してほしい」と呼びかけている。(2011.1.5 産経新聞)
大阪では強制わいせつ事件の件数が8年ぶりに全国最多になるのが確実という報道もあります。それにしても、高校生の被害は東京が最多なのに対し、大阪では小学生が被害者になる件数が東京と比べて2倍も多いとは驚きます。大阪と東京で、こうした傾向の違いがあるのには、何か理由があるのでしょうか。
強制わいせつ事件は時々報じられますが、こんなに多数発生していると、とても他人事とは思えない人も多いに違いありません。さらに小学生が狙われたと言えば、大阪の池田市でおきた、附属池田小学校の事件なども思い出されます。小さい子供を持つ親にとっては不安の募る記事です。
警察も地域ぐるみで警戒を強めています。地域と連携し、警察OBで編成された子どもの安全見まもり隊サポーターを組織したり、子ども緊急通報装置の設置を進めたり、防犯ブザーやホイッスルの携行を呼び掛けるなど、さまざまな対策を進めています。
警察だけではありません、大阪市では以前から先端技術を利用した
子供の見守りシステムの実験を進めています。子どものランドセルや通学カバン、自転車のリフレクターなどにICタグを取り付け、子供の通過を検知したり、緊急通報動作で地域のかけつけボランティアに通報するといった機能を検証しています。
読み取り装置は、校門や街中の電柱とか街灯、通学路にある自販機などに設置されます。UHF帯の電波を利用するICタグなので非接触、かつ同時に複数のタグを読み取ることも出来ます。子供の通過を親の携帯電話にメールで知らせるなどの機能も持たせることも可能です。
ICタグを読み取るリーダーに、ネットワークカメラを連動させて画像データも蓄積するなど、文字通り機械で見守ることも出来ます。最寄りの保護者やボランティアに緊急通報するほかに、安全情報を発信したりする機能もあります。犯罪の防止には一定の効果が期待出来るでしょう。
日本では、子供だけで通学する姿が見られることに外国人が驚くことは少なくありません。そんなことは考えられないという国は多く、日本は治安が非常に良い国、稀な国と見られてきました。残念ながら、そんな評判も危うくなってきつつあるのかも知れません。
児童の安全のためには、諸外国のように全面的にスクールバスでの通学に移行する手もあると思いますが、児童を見守るという形をとるのであれば、こうしたシステムの導入も必要になってくるのでしょう。実験では保護者にも好評だったそうです。
しかし、問題はコスト面です。子供の安全のためなら高くてもいいという親もいるでしょうが、導入には多くの保護者の賛成が必要です。そのために、初期費用や維持費用を安く抑えなければなりません。なかなか導入の同意が得られるような値段にはならないのが現実のようです。
スポンサーを募って保護者へのメールに広告を載せるなどの手も考えられます。しかし、狭い通学路の範囲では、なかなか広告の出稿を継続的に確保するのは困難ですし、1つの学校の児童数では、たいして広告料もとれないのが実際のところでしょう。担当者も実現に悲観的のようです。何かいい方法はないものでしょうか。
このシステム、自転車通学する生徒の自転車にも、リフレクターとしてICタグを取り付けることを想定しています。これは、見守り以外にも使える可能性があります。例えば、通学経路や時刻、所要時間や混雑度などのデータを分析し、それを交通安全に役立てることも考えられます。
読み取り装置の設置の工夫によっては、車道の逆走を検知したりすることも可能でしょう。児童同士での並走を検知したり、区間の通過時間から速度を計算することで、歩行者の多い歩道でのスピードの出し過ぎを感知することも出来るかも知れません。こうしたデータを児童の安全指導に生かせる可能性があります。
さらに、他への応用も考えられます。例えば、労災などの関係で、自転車通勤する社員が決められた経路を通っているか会社側がチェックしたりする用途なども考えられます。駐輪場の出入庫の管理や、レンタル自転車の管理などにも使えるかも知れません。
個人の自転車に一台一台タグをつけることには異論もあるでしょう。個人情報の問題もありますし、自転車の走行の仕方まで管理するようで抵抗を感じる人もあると思います。そのあたりの議論はあるとしても、この自転車タグ、やり方によっては有効活用できるのではないでしょうか。
放置自転車対策にも使える可能性があります。自治体では莫大な金額を放置自転車対策に使っています。放置と撤去のいたちごっこになっている例もありますから、もし、その悪循環を断ち切れるなら、不毛な税金の使い方を有効なものにするかも知れません。このシステム設置に予算を振り向けられる可能性もあるでしょう。
車道の逆走や、並走などの危険な走行を抑止するシステムの構築も可能かも知れません。データを生かして事故を防いだり、タグによって盗難を防止したり、あるいは盗難車の発見につなげるなど、広範に自転車の通行秩序の確立に役立つ可能性を秘めていると思います。多方面で使われるようになれば、コストも下がるはずです。
逆走や並走などを防ぎ、交通ルールを遵守して走行させるために使えれば、現在問題となっているマナーの悪さ、ルール無視の無秩序な状態を劇的に改善させることも可能かも知れません。自転車走行の安全や事故防止、放置自転車の抑止などの面で活用した上に、本来の児童の見守りまで出来るのであれば、一石何鳥にもなります。
児童の見守りの必要性から、仕方なくICタグをつけざるを得ない状況になりつつあるのだとしたら、災い転じて福となすではありませんが、この機会に、自転車の安全や放置自転車の抑止にまで発展させることで、導入コストの問題も解決出来る可能性があるのではないでしょうか。
タイガーマスクの贈り物ですか。この世知辛い世の中にちょっとホッとする、いいニュースですね。
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送迎より伴走というスタイル
もちろん対策として、保護者が送迎しているという場合もあるだろう。
不名誉な記録の理由はなにか
もちろん大阪市でも放置自転車の対策に苦慮している事実がある。
市民はあまり自転車に乗るな
大阪市はそもそも市民に自転車に乗って欲しくないと表明している。
明日起きるかもしれない災い
子供の安全の為ケータイを持たせる親も増えているが問題もある。