January 25, 2011

発想力や創造性を豊かにする

百聞は一見にしかずと言います。


人に百回聞くより、自分の目で見て確かめた方がよくわかるという意味で使われます。そうでなくても、絵を見れば一目瞭然ということは多いでしょう。言葉を使って説明してもなかなか伝わりにくいのに、絵や図があれば瞬時に理解できたりすることもあります。

プレゼンテーションなどの場面でも、言葉や文字だけを示してもなかなか理解されず、質問責めになったりしますが、挿絵や図があると効果的にすんなり理解してもらえたりすることがあります。論理的思考によらず、直感的に伝わるという面があるからなのでしょう。

日常で、言語を使って論理的に物事を考える能力は重要ですが、それだけでは新しいものを生み出したり、進歩や発展につなげるには不十分です。発想とかインスピレーション、創造性といったものも必要だと思いますが、それらは論理的思考とは少し違った部分から生まれてくるような気がします。

すなわち、直感とかひらめき、感覚的な脳の働きの部分です。絵やイメージ、音楽など、言葉を介さずに伝わる部分と言ってもいいでしょう。優れたデザインとか、画像で表されたユニークな発想などを見ると、何か触発されたり、頭の奥の方が刺激されたような感覚になるのもそのためでしょうか。

奇抜な発想で描かれたものを見ることで、直感やひらめきの部分が刺激され、発想力や創造性が鍛えられるのだとしたら、自ら、気まぐれデザイナーと称する風変りなデザイナー、“Steven M. Johnson”さんの作品は、その格好の材料となるに違いありません。

本人がどれほど意識しているかわかりませんが、その作品にはユーモアやウィット、現代文明への風刺や問いかけといったものも含まれています。単なるデザイナー、プランナー、あるいはイラストレーターというだけでなく、独特の発想を持った人であることは間違いないでしょう。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.comby Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

アメリカ人が毎日クルマで通勤する光景からすれば、ダッシュボードにはカーナビよりも電子レンジがあるほうが便利に決まっています。そこにはユーモアだけでなく、アメリカ人の食生活に対する揶揄も含まれているように感じるのは私だけではないでしょう。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

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デスクがそのままベッドになるなんて、便利というより皮肉と感じる人も多いのではないでしょうか。日本人に負けず劣らず労働時間が長いと言われているアメリカ人の働き方も風刺しているようです。彼のサイトを見ると、面白いアイディアから、何の意味があるのかわからないものまで、いろいろな作品が並んでいます。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.comby Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

このゴルフシューズを履けば、もう重いキャディバッグは必要ありません。それどころか、ボールをセットするために屈む必要すらないわけです(笑)。ボールを蹴ってプレーするわけですが、ちゃんとドライバーはつま先、パターは側面と考えられています。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.comby Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

自転車に関連する作品もあります。この二つは、今見ても面白くありませんが、1970年代の作品です。当時からクルマ文明や運動不足を風刺するような作品を発表していたわけです。おそらく当時としては、ずいぶん先進的な発想だったのでしょう。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.comby Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

古い作品の中には、実際に実現してしまったものまであります。足こぎ式の洗濯機は、多くの国で何人もの人が製作しています。ジョンソンさんは皮肉だったのだろうと思いますが、トレッドミル、もしくはルームランナー型の自転車も、このブログで過去に取り上げたことがあります。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

こちらは、自転車ベストです。折りたたむとベストになる自転車というわけです。単なる笑えるアイディアですが、もしかしたら将来、これも実現するかも知れません。実用的かどうかはともかく、同じことを考える人が出てきても不思議ではありません。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.comby Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

自転車そのもののデザインもあります。こちらは、あまり過激な作品ではありませんが、自転車というと、どうしても空気抵抗を減らし、軽量化を目指すデザインばかりです。美しさや芸術性を志向する自転車のフレームがあってもいいだろうという発想です。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

電車のような自転車、ペダルトレインというアイディアです。軌道を連結して走行する電動アシスト付き自転車です。掲示板にはあと何人で発車という表示が出ています。言わば自分でペダルをこぐ通勤列車です。さほど奇抜な発想ではないですが、絵で描かれていると具体的なイメージがわきます。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

こちらは、ハイウェイに、渋滞でクルマで行くことを諦めた人用のゾーンを設置するというアイディアです。あきらめてクルマを停め、電車に乗り換えるわけです。これにも皮肉が込められているのだと思いますが、あれば便利だと思う人もあるでしょう。通常なら、渋滞でもハイウェイ上では並んでいるしかありません。

ハイウェイの脇に、渋滞に備えた電車を通すのは現実的でありませんが、これを自転車レーンにしたらどうでしょう。動力も不要ですし、電車を待つ必要もなく、それぞれ自転車に乗り換えて出発出来ます。この「あきらめゾーン」も案外実現可能かも知れません。

ハイウェイの一部を自転車レーンにしてくれれば、最初から自転車で通勤する人にも便利です。信号もないので、高速で走行出来ます。渋滞していれば自転車のほうが速いのは当然ですが、信号がないのなら最初から自転車で、と考える人も出てきて、もっと自転車レーンの方を増やそうということになるかも知れません。

by Steven M. Johnson, www.patentdepending.comby Steven M. Johnson, www.patentdepending.com

こちらは、ニューヨークの次世代タクシーのアイディアのうちの一つです。タクシーの中を自転車が通り抜けることか出来ます。ただし、自己責任でと書いてあります。ナンセンスなアイディアと言ってしまえばそれまでですが、ふつう考えもしない奇抜な発想です。

ニューヨークで日常的に自転車を使っているメッセンジャーなどの中には、引っ張ってもらってラクをしようと、走行するクルマにつかまるような人もいますから、そんな人なら雨が降っている時など重宝しそうです。もちろん、渋滞している時や客待ちの行列でも通り抜けられるスペースが出来ます。

通常、タクシーはタクシー、バスはバス、路面電車は路面電車でデザインします。そういう意味では、道路上の他の交通を意識してデザインするというのは、あまりない発想です。このアイディア自体は、実際にはナンセンスだとしても、発想としては面白い部分があります。

もしかしたら、路上の交通をうまくデザインすることで、道路を平面的にでなく、もっと有効活用出来るようになることも考えられます。世の中を変えるようなブレークスルーが、案外ナンセンスに見えるアイディアから生まれて来ても不思議ではありません。いろいろと刺激を受ける作品がたくさんあります。

もっとも、それを論理的に考えたり文章で記述しているのでは、あまり発想力の強化につながりそうにありません。おそらく、自分でも絵を描いてみる、図にしてみる、下手でもいいからノートの端にいたずら書きをするといった作業が有効なのでしょう。発想力を磨くのには「百文は一絵にしかず」なのかも知れません。


FOREVER 21 Japan


栃木の温泉に、この時期であれば冬眠中のはずのクマが現れたというニュースには驚きました。まだクマ出没が続いていたんですね。

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この記事へのコメント
ペダルトレイン、面白いですね。
パワー・シェアリングというのか、
ギャザリングというのか。

ラグを装飾していた自転車はありますけど、
自転車のフレーム自体をアール・ヌーヴォー
にするような発想も良いですね。
Posted by えふ at January 26, 2011 21:15
えふさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
通勤の行き帰りに運動も兼ねられるのでジムに通う時間も省けて、雨でも大丈夫など、いろいろメリットが考えられそうですね。
もちろん基本的に動力も必要ないですし、おっしゃるようにパワーをシェアリングするような発想が面白いところです。
こうしたアートなフレームが、ブームになったりしてもよさそうなものですよね。
Posted by cycleroad at January 27, 2011 23:42
ベストになる自転車面白いですね。
ちょっと考えてみたくなります。
Posted by moumou at January 28, 2011 18:33
moumouさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車を着てしまうという発想は意表を突くアイディアです。
触発されましたか。挑戦してみるのも面白いかも知れませんね。
Posted by cycleroad at January 28, 2011 23:08
 
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