自転車の人のためのサービス
ツーリングの途中、ロードサイドの店に立ち寄ることがあります。
郊外を走っていても、クルマの通りの多い道路に出れば、案外ファーストフードやカフェなどの店もあったりします。そうしたお店があったのをきっかけに、休憩を入れる場合もあるでしょう。寒い時期なら、あったかいコーヒーなどを飲みたくなることもあります。
ただ、ロードサイドと言っても、お店が多いところばかりではありません。砂漠の中のオアシスとは言いませんが、周囲に他の店が無かったりすると、意外に店内が混雑していたりします。休憩場所を探しながら走ってきたドライバーとか、家族連れ、地元の人や中高生で溢れていたりすることも少なくありません。
ファーストフードの店でも、席が空くのを待つ人で混み合っているのが外から見えると、店に入るのを躊躇する人も多いのではないでしょうか。列に並んで待つのも億劫ですし、あまり長いこと待たされて、身体が冷えてしまうのも避けたいところです。
席を待つくらいなら、テイクアウトして、どこか屋外で飲んでもいいですが、買うだけでも、わざわざ駐輪して、店内に入って注文の順番を待たなければなりません。ビンディングペダルとビンディングシューズを使っている人だと、歩きづらいというのもあります。
そんな時、もしドライブスルーが併設されている店舗なら、自転車でもドライブスルーが出来ればいいのにな、と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。ドライブスルーなら、待ち時間はあっても少ないですし、わざわざ駐輪する必要もないのが便利です。さっと買って、どこか適当なところを見つけて飲食出来ます。
私も、そんな考えが浮かんだことはありますが、さすがに、やったことはありません。でも、同じようなことを考える人は多いようで、中には、面白半分で実際にやってみたりする人もあるようです。ネット上では海外の人も含め、そんな体験談や画像、動画などを見ることが出来ます。
あっても良さそうにも思えますが、日本では、自転車用のドライブスルーなんて聞いたことがありません。ところがアメリカでは、一部で自転車向けにドライブスルーを設置する店が出来始めています。クルマ大国ですが、都市によっては、自転車向けのサービスが注目される場所もあるのです。
“Black Sheep Bakery”は、オレゴン州のポートランドで最初の自転車用ドライブスルーの注文カウンターがあるカフェです。それも自転車専用で、クルマは利用できません。オーナーが、卸売をやめて小売の店舗に変えるにあたり、この自転車専用ドライブスルーの設置を決断しました。
コロラド州のデンバーにもあります。“Salvagetti Bicycle Workshop”は、自転車屋さんなのですが、地域で最初の自転車向けドライブスルー用の窓口を設けました。自転車屋さんがカフェを併設しているのです。ドライブスルーで、コーヒーだけでなく、パーツ等を一緒に注文して受け取ることも出来るユニークな店です。
クルマのドライバーには、数多くのドライブスルーがあるのに、自転車にはありません。そこで、自転車利用者にもハッピーになってもらうため、そして、もっと多くの人に自転車で移動してもらうためにも、自転車店のオーナーが自らの店に設置することにしたのです。
自転車通勤のサイクリストにも人気で、朝は通勤途中にエスプレッソや朝食を買おうという人たちでにぎわうと言います。その為に、わざわざ店の開店時間を早めているわけですが、おかげで早朝のトラブル時にも便利です。ちなみに、スケートボードだろうと、歩行者であろうと、「ドライブスルー」することが出来ます。
カフェだけではありません。同じコロラド州のボルダーには、なんと、ドライブスルーの銀行まで登場しています。“Pueblo Bank & Trust”の自転車専用窓口では、自転車に乗ったまま伝票の記入が出来、そのままドライブスルーの窓口で受け付けるようになっています。ついでに、喉を潤すことも出来ます。
なるほど、これは便利かも知れません。買い物をした後など、たくさんの荷物がある場合に、わざわざ駐輪して、荷物を抱えて銀行に入るのはたいへんです。これならば、自転車に荷物を積んだまま手続きが出来るので、買い物帰りであっても銀行に立ち寄ることが出来ます。
銀行はともかく、日本でも自転車用にライドスルーを取り入れる店が出てきてほしいものです。アメリカより自転車が利用される率はずっと高いわけですから、日本では、もっと多くの人が便利に使えることになるでしょう。他店と差別化したり、お客を呼び込むことにつながる可能性もあります。
カフェや銀行に限らず、他の商売で採用されてもいいでしょう。お客にとっては、自転車に乗ったまま注文して、素早く受け取れるならば利便性の向上になります。店の前に駐輪された自転車が歩道に溢れたりして、通行人に迷惑かけるような事態も避けることが出来るでしょう。
日本では、クルマの客ばかりに目が行きがちのような気がします。自転車レーンが設置されると、クルマで立ち寄りにくくなって売り上げが落ちるなどと文句が出たりしますが、日本では事実上、ほとんどの場所で駐車禁止ですから、公道上への違法駐車を前提に算盤をはじくことになります。
近年、クルマで買い物に行く人が増え、街の中心部から郊外の大規模商業施設に客が流れています。クルマでの来店を期待するのはわかりますが、自転車で通る人の流れがあるのであれば、これを引きこむ、あるいは立ち寄らせるという視点があってもいいのではないでしょうか。
日本でも、もしかしたら、クルマ用のドライブスルーが自転車でも利用されている例は存在するかも知れません。ただ、最初から自転車専用のライドスルーと言うのは聞きません。クルマの客ばかりではなく、もっと自転車利用のお客に目を向ける手はあるような気がします。
まだまだ寒い日も多いですが、着実に春に向かっています。そろそろ、遠出する計画でも立てたくなってくる頃ですね。
Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。
Posted by cycleroad at 23:30│
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屋外のカフェで駐輪場が遠いと厄介ですし、盗難を考えるとテーブルのすぐ側に自転車を置きたいです。
そんな気の利いたカフェをどなたか始めてみては・・・?
すみません。トラックバック違いです。
過去ログのにゃごべぇさんのSONOWROADERについて,教えていただけませんでしょうか?
雪道で乗れる幅広フォーク等は,ワンオフ?
市販されていないのでしょうか?
そうですね、私もつくづくあったらいいなと思っています。
実は夏のロングライドの途中に、ロードバイクにまたがったまま、エムのマークのハンバーガーショップのドライブスルー窓口でソフトクリームを購入したことがあります。幸い自動車は並んでいませんでしたし、留学生アルバイト風の店員さんが愛想よく対応してくれました。
わざわざ駐輪せずに立ち寄れるお店には、きっとお客さんがやって来ることでしょう。自転車専用化までするのは敷居が高いかもしれませんが、歩行者の迷惑にならぬよう、やはり何らかの区分けはあったほうがよいかもしれませんね。
二浪独河さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
オープンエアで、手元に自転車を置いておけるカフェですか。それも手だと思います。
スポーツバイクに乗る人だったら発想できると思いますね。
過去ログ熱望さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
にゃごべぇさんは情報を教えてくれた方で、直接は関係ありませんが、SONOWROADER、確かにリンク切れになっていますね。
残念ながら、記事に書いた以上のことは、私も知りません。
記事で取り上げたところ、アクセスが急増したと、開発者ご本人からも、お礼のメールをいただいたのですが、そのサイトも現在は存在していないようです。その後のことについても、知りません。
お役に立てず、残念です。
七九爺さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
クルマ用のドライブスルーがある店にしてみれば、自転車で利用されたとしても、お客には変わらないわけですし、余計に場所や手間をとるわけでもないので、構わないという感じかも知れませんね。
ただ、クルマと混在させて事故などがあっても困るので、積極的には推奨しないということなのでしょうか。
いちいち駐輪せずに買えて便利と、けっこう人気が出そうな気がするんですけどね。
SNOW ROADER について自己解決しましたのでご報告します。サイトを見つけました。以下です。
http://www.asahi-net.or.jp/~rt3y-nsn/index.html
日本語表記がうまくいかないのですが,英語で閲覧可能です。
リンク集に,「サイクルロード 〜自転車への道」がありました!
cycleroadさん,ありがとうございました。
過去ログ熱望さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
発見されましたか。サイトが移設されていたのですね。
リンクまで載せてくれてましたか。解決されたのであれば、よかったですね。
こちらこそ、わざわざご報告いただきまして、ありがとうございました。
今度マックでやってみます
自転車でドライブスルー(ライドスルー?)
なんて日本でも普通に出来るような店が増えれば良いですね
ロードバイク初心者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
変な人だと思われて、通報されたりしても私は責任をとれませんのであしからず..(笑)。
ファーストフードに限らず、自転車に乗っている人相手の商売という意味では、いろいろと工夫の余地はあると思いますね。
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