東日本大震災の深刻な被害が明らかになってきています。
あらためて、その甚大な被害と人的な損失に茫然とします。被災地への懸命な救援活動が行われていますが、寸断された道路に阻まれるなどして、まだ満足に救援物資が届かない場所も多いと言います。真冬の寒さや物資の不足で避難所も苛酷な環境になっているところがあり、被災者の健康が心配されています。
相変わらず原発も予断を許さない状況です。関東各地でも、微量ながら放射線量の増加が一時観測されるなど、心配される状態が続いています。地震や津波の被害に加え、原発の影響で屋内退避指示が出されている地域の方には、心理的な負担も加わっています。
首都圏では、計画停電等による影響が続いています。電車の本数が減らされて駅が大混雑になったり、道路が渋滞したり、信号が消えたことによる事故も起きているようです。ガソリンスタンドには給油待ちの長い列ができ、商店の店頭では食料品などの品薄が続いています。
日本経済にも大きな打撃を与えています。被災地の工場の停止で部品の供給が途絶え、各地で生産停止に陥る工場があるようです。震災の影響や原発の状況から日経平均は大幅に下落し、為替は歴史的な円高です。電力不足による長期的な影響も憂慮されています。
そんな中にありながら、この混乱に乗じた詐欺なども起きています。義援金や募金と称して家庭を回り、現金を騙しとる犯行もあります。停電が理由の負担金の名目など内容はいろいろのようですが、こんな国家的な災難の際に、人々の善意を利用したり、混乱につけ込んだ憎むべき犯行です。本当に腹が立ちます。
しかし、多くの国民は冷静に行動しています。被災地では家族や友人を亡くした大きな悲しみ、多くの人の安否が未だわからない不安、情報も不足し、寒さや届かない救援物資で食事もままならない中、お互いに助け合っています。取り乱すこともなく、励まし合って頑張っています。
首都圏でも、例えば通勤時に、駅への入場制限で長い行列が出来、寒空に長時間並ばざるを得ない状況になっても、黙って整然と待っています。こうして、日本人が落ち着いて秩序ある行動をとっていることについては、世界からも賞賛されており、日本人として誇らしく思う人は多いに違いありません。
少しでも節電しようと取り組んでいる人も多いと思います。ネット上では、「ヤシマ作戦」などと称して節電を呼び掛ける動きが出てきています。ヤシマ作戦とは、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のエピソードからきていて、ツイッターでは「#yashima」などのハッシュタグも作られています。
世代によってはネーミングの意味がわからないだとか、お祭り騒ぎのようだ、面白がっているようで不謹慎といった声もあるようですが、みんなで少しでも節電をしようという意思表示であり、それに対する共感であることは間違いありません。形はどうであれ、少しでも多くの人に節電行動が広がってほしいものです。
電車の本数を減らすほかにも、工場の操業を短縮したり、さまざまな施設の照明を減らしたりなどの節電への協力が広がっています。でも、不要不急の電力は、まだまだあるはずです。例えば、通常に営業している店舗の店頭にある自動販売機を、多少不便ですが休止することは出来ないでしょうか。
飲料の自動販売機1台で、普通の家庭1軒分の電力を消費すると言います。そして、販売機の台数は膨大です。もちろん各家庭での節電も重要ですが、産業用の電力消費は大きなものがあります。こうした不要不急の電力、代替可能な電力の消費を控える工夫もお願いしたいところです。
電気もガスも水道も復旧していない被災地のことを思えば、節電で不便だったり、多少寒いくらいは何でもないと考えている人は多いに違いありません。しかし、計画停電の実施にも関わらず電力の受給状況は逼迫しており、大規模停電の恐れがあると発表されました。更なる混乱を避けるためにも節電に努力したいところです。
一方、スーパーやコンビニの店頭では、食品などが品薄になっています。被災地に優先して供給していることもあるでしょうが、多くの人が買いだめをしているのが原因のようです。そうした様子を見て不安になり、余分に買う人も増えているのではないでしょうか。
ただ、報道によれば首都圏では必ずしも供給が減っているわけではないと言います。大量に買いだめする人があるために店頭での品薄を招き、それが他の人への不安を煽る結果になっているのでしょう。こうした行動に対しても冷静になるよう、ネット上で呼びかけが行われています。
さきのヤシマ作戦に続き、「ウエシマ作戦」とも呼ばれています。こちらも知らない人にとってはわかりにくいとの声がありますが、お笑い芸人、ダチョウ倶楽部の上島竜兵のギャグに由来しています。「どうぞ、どうぞ。」というヤツです。動画を見ると理解が早いかも知れません。
つまり、食料品などを買い占めずに、「どうぞ、どうぞ。」と譲り合おうというわけです。いつまでも品不足が続くわけではありません。不安はあるでしょうが、買いだめはせずに、必要なぶんだけ買うようにしたいものです。こちらも、ツイッターで「#ueshima」などのハッシュタグが作られています。
テレビや新聞の報道を見ていると、被災地、特に避難所での物資の不足は深刻です。その点、直接被災していない地域ならば、代替手段もあるでしょうし、多少の不便があっても、命にかかわることではありません。食料や日用品などの購買行動に多くの人が節度を持てば、混乱は収束すると思います。
被災地では燃料の不足も深刻です。首都圏でもガソリンスタンドには長い行列が出来たりしています。とりあえず燃料を確保しておこうと、不要不急の給油をする人もあるのでしょう。しかし、これが首都圏から被災地へ向かうトラックの燃料が確保できない状況にもつながっていると言います。
東日本の多くの製油所が地震で被害を受けたので、一時的に供給が減っているのは確かです。被災地に振り向けようとしている部分もあると思います。もちろん、日常生活にガソリンが必要な人も多いと思いますが、被災地以外で可能な人は、少しのあいだ給油も辛抱したいものです。
被災地でも、道路の損壊や燃料の不足でクルマが使えない地区では、人々が自転車を使って移動していることが伝えられています。被災地域にある自転車店では自転車が売り切れになるような事例もあると言います。阪神淡路大震災の時もそうでしたが、被災地でも自転車が使われているわけです。
一部を除いて道路に問題のない首都圏であれば、自転車での移動も容易なはずです。政府も不要不急のクルマの使用を控えるよう呼びかけています。可能な人は、なるべくクルマを利用せず、この際、多少距離があっても自転車を利用してみてはいかがでしょうか。
多くの人が当面の燃料を節約すれば、そのぶん少しでも被災地の救援に使えるはずです。ガソリンの不足も長くは続かないと思います。ガソリンが手に入りにくい間だけでも、クルマをやめて自転車にする人が増えれば、渋滞を減らし、物流を妨げない意味でも有効なのではないでしょうか。
ウエシマ作戦に倣って名付けるのであれば、「コジマ作戦」とでもなるでしょうか。お笑い芸人の小島よしおです。彼は、日常の移動に、どこへ行くにも自転車を使うそうです。あまりセンスのいいネーミングではないですが、彼に倣って、(もちろん自転車乗りには普通のことですが..)日常の移動にも自転車を使ってみてはどうでしょうか。
今回の震災はM9.0という世界最大級の地震とそれによる大津波の災害、原発事故というだけではありません。長期的にも日本経済に大きな影響を及ぼすでしょう。復興にも莫大な費用がかかりますし、おりからの財政の問題もあって、まさしく国家的な苦難となるでしょう。
いま現在でも、被災地では多くの人が救援活動を行っています。せっかく地震と津波から逃れた被災者が、苛酷な避難生活で、水や食料、医薬品の不足もあって生命を落とす事態も起きています。被災地では自ら被災した人が他の人に懸命に手を差し伸べています。原発事故の現場でも必死の作業をしている人たちがいます。
政府の対応や自治体、関係者などを批判したり、不満や苦情を言ったりする人もいます。でも、こんな時に批難しても何にもなりません。今は政府や関係各局の指示に従い、要請に応え、節電でも何でも、いま自分で出来ることをやることで、精一杯協力するしかありません。
この国家的な困難を乗り越えていくには、国民自身の力が必要です。一人ひとりの力は小さくても、それがまとまれば大きな力を発揮します。そう考えて、ネットなどで広く呼び掛ける人が増えているのも心強いところです。一人ひとりが、いま自分の出来る「作戦」を遂行していきたいものです。
物資が届くのも、いま少しだと思います。被災地の方には、なんとか頑張ってほしいものです。
久しぶりに、自転車に乗ろうかなとお思いの方は、
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