ライフラインが徐々に回復し、仮設住宅の建設が始まり、地震や津波による瓦礫の撤去も行われています。しかし、いまだに余震が続き、大勢の人が避難生活を余儀なくされ、行方不明者の捜索も続いています。そして、依然として深刻な状況が続いているのが福島第一原発の事故です。
原子炉建屋が水素爆発を起こし、放射性物質は遠くにまで飛散、海への流出も続いています。いまだに多くの地域でふだんより高い放射線量が観測されており、周辺住民は避難や屋内退避を余儀なくされています。水道水や農作物、魚からも基準値を超える放射線が検出され、人々の不安が広がっています。

さらに風評被害も問題となっています。高い放射線が検出された野菜や原乳、魚などの出荷が制限され、制限されていない農作物や魚介類も、福島産や茨城産などというだけで価格が暴落、取引や水揚げが拒否されるといった事態も起きています。こうした風評被害に当該地域の農家や漁業関係者は危機感を強めています。
県知事や自治体関係者、各業界団体の代表や広報などが、風評被害を何とか抑えようと安全宣言を出し、消費者に向かって懸命にアピールし、購入を呼び掛けています。しかし、事故が一向に収束の気配を見せない中、今後の収穫への影響も懸念され、先の見通せない不安な状況が続いています。
基準値の妥当性や、一律に出荷制限するやり方、その解除の仕方などに対する不満の声もあるでしょう。出荷制限されていない品目にまで買い控えが広がっていることへの困惑も理解できます。彼らはこの事故の被害者であり、まことに気の毒な状況と言わざるを得ません。
当事者たちが風評被害による窮状を訴え、消費者に買ってくれるよう望む気持ちはよくわかります。全くの被害者であって、責任がないのも明らかです。しかし、彼らが主張するように、風評被害を起こしているのは政府の対応のせい、あるいはマスコミの報道のせいだけでしょうか。

被害者である農家、畜産業者、漁業者を非難するつもりは毛頭ありません。しかし、風評被害が起きているのには、知事や自治体の首長、あるいは各団体や組合関係者などの発言、情報の発表の仕方などにも問題があるのではないでしょうか。
風評被害が起きるのは、正確な情報が伝えられないことに大きな要因があるように感じます。間違ったうわさが流れたり、根拠のない買い控えが起きるのも、正確で詳細な情報を提供していないのが原因だと思います。だとするなら、政府の発表も含め、自治体や業界団体などの情報の伝え方に問題はないでしょうか。
「出荷制限されていない我が県の産物は、シロであり安全です。だから買って下さい。」では情報として不十分です。安全が確認されたとだけ一方的に言う、そうした発表の仕方が、むしろ消費者に疑念を抱かせる結果となり、かえって風評被害につながっているように思うのです。
テレビで、「わが県の何々はシロです。」とアピールしたり、数値も示さずに、「ここに安全を宣言します。」などと言うのは、むしろマイナスだと思います。安全かどうかを判断するのは消費者です。必ずしも生産者の言葉を信じないとは言いませんが、納得するには足りず、敬遠しようと思ってしまう人も多いはずです。
「この作物から、実際に検出された値は何ベクレルでした。政府の暫定基準値は何ベクレルで、根拠はこれです。事故の前は、何ベクレルから何ベクレルの間でした。ちなみに事故の影響がないと思われる西日本の同じ作物は、平均何ベクレルであり、輸入品は何ベクレルくらいです。」
このように情報を発信すれば、消費者はリスクを判断できます。基準値以下でした、と言うだけでは、ぎりぎりで下回ったのか、ほとんど無視できるレベルなのかわかりません。実際の値と、判断するための比較材料が示されれば、自分でリスクを判断し、納得した上で買ってくれるでしょう。

政府の暫定基準値は、事故後に急遽定められたものであり、なぜその数値だと安全と言えるのかの根拠も必要です。官房長官が口癖のように言う、「ただちに健康への被害はありません。」と言うのは、「長期的には健康に被害が出ます。」の裏返しに聞こえる人は多いはずです。
普通に生活していて浴びる放射線量の世界平均が年間2.4ミリシーベルト、日本の場合は年間で1.5ミリシーベルト、これ以外に浴びても大丈夫とされる許容量が1ミリシーベルト、そのうち医療などで浴びる放射線量は、平均年間これぐらいといった基本的な数値も詳しく解説する必要があります。
その上で、何ベクレルのものを、1日平均どのくらい食べると何シーベルトになるか示すべきです。そして放射線量は、空気中など外部から被曝する量と、飲食物により内部から被曝するものがあり、全てのトータルの年間の蓄積量が問題になることを、周知徹底する必要があります。
例え、一つの野菜を食べ続けても平気な放射線量だったとしても、他の野菜、水や飲料、魚、肉や米、空気中、医療も含め、トータルすると基準を超えるかも知れません。その可能性もハッキリ示すべきです。それを、一回限りのレントゲンの放射線量と比べたりするから、誤魔化しているように聞こえてしまうのです。

代表的な放射性物質、放射性ヨウ素と放射性セシウムばかり取り上げられていますが、影響は全ての合計です。他の核種の心配はないのかという情報も必要です。一方で、体内に蓄積されるわけではなく、いずれ排出されるものと、甲状腺や骨などに蓄積されてしまうものがあることも伝えるべきでしょう。
水道の暫定基準値にしても、昔から決められていたかのように、300ベクレルとか100ベクレルと言っていますが、事故後3月17日に決めましたとハッキリ断るべきです。それまで基準が無かったこと、強いて言えば、平時の世界の基準値は1ベクレルであり、事故前は0ベクレルだったと正直に言う必要があります。
政府は、あまり危険を煽るような情報を発表すると、人々の購買行動にパニックが起きると考えているのかも知れませんが、このご時世に情報を隠すべきではありません。むしろ正確な情報を、隠すことなく発表することが国民や諸外国からの信頼を得る事になり、それが無用の動揺を抑えるはずです。
どういう機関が、どういう方法で調査しているのか、サンプリングの仕方や統計的な処理はどうか、といった検査の情報も公開すべきでしょう。野菜はよく水洗いした上で測定するように通達しているなら、そのことも参考情報として注意喚起する必要があります。
もちろん、全ての消費者が細かい部分までチェックするわけではありませんが、徹底的に情報を公開し、詳しく報告する姿勢が求められます。判断材料や科学的な根拠も含めて提供されることで、初めて風評被害が防げるはずです。私は専門家でもなんでもありませんが、ごく当たり前のことだと思います。

検査した機関が、例えば業界団体の関連機関であったら、その信頼性に疑問を持つ人もあるに違いありません。風評被害で生産者が困っており、死活問題なのはわかるが、消費者に余計なリスクが押し付けられているのではないか、という疑念を晴らさなければ、敬遠されるのは防げません。
政府機関だったとしても、一連の事故の対応や、その発表に疑問に感じている国民もあると思います。大学などの学術機関の人の中にも、心配ないと繰り返すだけの御用学者がいます。出来れば消費者側に立ち、生産者側との癒着により正確な情報が曲げられる恐れのない、信用される機関が必要でしょう。
もし無ければ、その選定、委託こそ早急に政府に要求すべきことです。農業、畜産業、漁業関係者や、その団体職員が、放射線に詳しく無いことは明らかです。それなのに大丈夫だとむやみに言うから疑われ、風評被害につながるのだと思います。自ら安全だと宣言するのではなく、第三者に委ねるべきです。
第三者機関の調査を受けて、その情報を公開し、最終的には消費者が判断することです。消費者もリスクを理解した上で、例えば西日本産や外国産と比べるとか、平常時と比べるなどして、このくらいならと思えば納得して買ってくれるはずです。

それでも買ってくれない値だったとしたら、それはもう東電との補償、損害賠償の問題です。消費者の判断の問題であり、少なくとも風評被害ではありません。悪い噂や、イメージが悪くなって買ってくれないのでなければ仕方ありません。納得がいき、諦めもつくはずです。早急に補償の実現を進めるしかありません。
繰り返しますが、被害者たる生産者を非難しているのではありません。しかし、ただやみくもに、政府の暫定基準値以下だったから安全だ、買ってくれ、だけでは消費者の敬遠を解消出来ないのは明らかです。そして、それは必ずしも風評被害ではないでしょう。
風評被害によって、余計に購買行動が控えられるのは、生産者にとってだけでなく消費者にとっても不幸なことです。品不足を招いたり、価格に反映し、実態のない噂に経済が委縮することにもなります。ぜひ、生産者の方々には、自ら風評被害を招いていないか、考えていただきたいものです。
東京の指揮官というのはいざという時に10階まで駆け上がらなければいけない。自分にはそれができない。だから辞める。と、カッコつけたくせに、前言を翻しても平気、言ったことに責任を取らない、厚顔無恥な態度はなんとかならないものでしょうかね。
イトーヨーカ堂が「風評被害」のいわき産ハウストマト積極販売へ、16日から首都圏110店で開始―【私の論評】被災地応援のため、イベント、消費など普段の2倍、3倍にするように心がけましょう!!
ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」
こんにちは。イトーヨーカドーが、風評被害のあるいわき産の農産物を取り扱うこととなりました。最近は、風評被害が酷いです。このように安全な農作物でも、敬遠して購入しない人が多いです。そもそも、日本そのものが風評被害にあっているようなものです。それに、国内では自粛ムードが満ち満ちています。いまは、特に被災地の商品・製品を普段よりも多く購入し国内で助け合うべきときと思います。自分たちの地域でできないというなら、被災地でイベントを開催したり、被災地のイベントに協賛したり、とにかく、普段の2倍、3倍の消費をして被災地を助けるべきと思います。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。