今回の震災や、たび重なる余震もあるのでしょう。災害や停電、ライフライン停止への備えとして、今まであまり注目されて来なかったものが大きく売り上げを伸ばしています。考えてみれば、ついこの前まで、ふだんの生活の中で停電なんてほとんど起きなかったわけですから、人々の意識も変わらざるを得ないのでしょう。
例えば、ろうそくです。昔はどこの家庭にもあったと思いますが、近頃では誕生日のケーキにくらいしか使わない人も多いでしょう。これが懐中電灯と共に、停電時の照明として見直されています。グラスに入ったものや、長時間燃焼するタイプなども人気のようです。


ラジオもそうです。最近はラジオを聞かなくなった人も多いと思いますが、イザという時の情報源として見直されています。乾電池のいらない手回し充電式のものや、携帯電話に充電が出来るものなどもあり、災害に備えて1台は持っておこうということのようです。
カセットコンロも売れています。まだライフラインが復旧していない被災地では、当然ながら需要があると思いますが、首都圏などでも例年の数倍という勢いで売れていると言います。通常は冬の鍋シーズンだけの季節商品ですが、春になっても売れ行きが伸びているそうです。



箒(ほうき)やチリトリも見直されています。停電しても使えますし、節電という観点からも電気掃除機の代わりにしようということなのでしょう。多くの家庭では、少なくとも室内用の掃除器具としては、まったく廃れてしまった感がありますが、ここへ来て見方が変わってきているのでしょう。
「湯たんぽ」や「あんか」を見直す動きもあります。非常時に電気や燃料を直接使わない暖房器具としてもそうですが、ふだんの生活の中でも、エコで省エネに貢献することが評価されています。昔使っていたという年配の方が、あらためて使い始める例も多いようです。


変わったところでは、「わら納豆」もそうです。茨城県が被災したり、停電で熟成が出来なかった影響で納豆が品薄になっているのかと思えば、必ずしもそうではなく、包装用のフィルムが調達できないのも大きな理由だと言います。そこで昔ながらの「わら」に入った納豆が見直されているというわけです。
そのほか、ランタン、電源のいらない電話機、手回し式懐中電灯、防災ずきんなど、あらためて見直されているものは少なくないようです。災害時や停電時に備えておくもの以外にも、非常時に持ち出すもの、避難生活で必要になる身の回り品などを揃えておこうと考える人も増えているようです。
見直されているという意味では、自転車もその一つと言えるかも知れません。日常の足である人が多い一方、完全にクルマ生活で、自転車は子供の時以来乗っていないという人も少なくありません。一時、計画停電で鉄道の運行が混乱したり、ガソリンの供給が滞ったこともあって、見直した人も多いことでしょう。
被災地では、ガソリン不足に加え、津波でクルマを流されてしまった人も多く、自転車の需要が高まっているのは間違いないようです。避難生活の中で生活の再建に向けて自転車を必要としている人もいます。全国の自治体などが、被災地へ自転車を送る動きも続いています。
被災地で自転車が活躍する一方で、路面状況が悪くてパンクで困るケースも増えていると言います。自転車にパンクはつきものですが、パンク対策もいろいろあります。一番簡単なのは空気圧を高めることでしょう。空気圧が不足したまま乗っている人は多く、これだけでも格段にパンクの確率は減ります。



空気の代わりに、ウレタンなどを使ったタイヤもあります。通常のタイヤチューブに発砲材料を注入する製品もあります。空気を入れたタイヤと比べると、どうしても重くなり、乗り心地も悪くなるので、普通の時には選ぶ人が少ないですが、こうした被災時にこそ役立つ製品と言えるでしょう。
タイヤの中にも、接地面側のゴムを厚くしたり、異物が刺さりにくくするなど、パンクしにくくした製品があります。もちろん、サイズや対応する自転車のタイプがありますが、こうした対パンク性能を高めた製品を装着することは、もっと見直されてもいいような気がします。



タイヤライナーなどと呼ばれる製品もあります。タイヤとチューブの間に挿入することで、タイヤに異物が刺さっても、チューブには、なるべく刺さらないようにするためのカバーのようなパーツです。ふだん使っている人は多くないと思いますが、まだ瓦礫が多く残っているような場所では有効ではないでしょうか。
タイヤシーラント剤もあります。チューブ内に注入しておくと、タイヤの回転による遠心力でチューブの内側にはりつき、パンクした場合に、空気が漏れないようにするためのものです。固まらず、液体状態のままでパンクを防ぐものなど、いろいろなタイプがあります。

最近は、チューブに対パンク性能を備えたものも出ています。通常、チューブは膨らむことで、その役割を果たしますが、膨張するのではなく、開いた穴を収縮によってふさぐ機能をもったチューブだと言います。異物で穴があいても、そこから空気が出ないようにする機能があるわけです。
自転車は、クルマのようにガソリンを必要としませんし、狭い道でも通行できます。場合によっては、瓦礫の山を担いで越えたりすることも可能です。そのあたりは長所ですが、クルマに比べると荷物の積載能力が低く、大きな荷物、たくさんの荷物を運べないという弱点もあります。
支援物資を運んだり、買い出しに行ったり、生活再建に向けて、さまざまなものを運びたいというニーズも増えてくるはずです。そうした用途に自転車は非力に思えますが、必ずしもそうとは限りません。場合によっては、トレイラーなどをけん引する手もありますし、側車付き自転車という手もあります。


上の右が自転車とリヤカーを一体にしたような3輪の側車付き自転車です。戦後復興期の日本で活躍しました。けっこう重量のあるものでも運べます。今の軽トラックで運ぶくらい荷物は、十分これで運搬していました。リヤカーを徒歩で引っ張るよりもスピードが出るので、ある程度の機動力も期待出来ます。
写真は、
Briton Steve Bodileyさんという方が自作した側車付き自転車、サイドカー付き自転車です。このくらいコンパクトでも、かなりの荷物が運べますし、重宝しそうです。場合によっては、サイドカー部分に人を乗せて運ぶことも可能です。後ろの荷台に2人乗りするより安定します。

もちろん、日本の道交法では、サイドカーがついていても、軽車両での大人の2人乗りは違法です。しかし、被災地で病人を運んだり、足の不自由な方を送迎したりする必要があるとするなら、特例として2人乗りを認めるといった措置を考えてもいいのではないでしょうか。
戦後、モータリゼーションの進展と共に、側車付き自転車は、軽トラックに置き換わり、ほとんど見なくなってしまいました。ろうそく、箒とチリトリ、湯たんぽなど、古き良きものの利点を見直す流れの中で、場合によっては、側車付き自転車を見直してみるのもいいかも知れません。
「自粛」は自粛しようというムードが高まってきていますね。なるべく普通にしていきたいものです。
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6歳以上の二人乗り出来る自転車を求めて、サイクルロードさんのプログに出逢いました。東京都では3輪以上あれば二人乗り出来た筈じゃなかったですか?サカモト自転車で車椅子をサイドカーとして付けた電動自転車の通販を見掛けました。紀洋産業、金沢デュエットでも前輪が車椅子の自転車有りますね。
手回し充電ラジオ、腕かなり疲れます。自転車のハブダイナモで充電出来たら楽です。
ノーパンクタイヤ、良いかもしれない。でも、それに対して支払う代価は重量増。確かに、パンクの修理や空気圧の管理といった煩わしさから解放されるのは事実。どちらを選ぶかはその人次第。パンクしない「災害時専用自転車」と言うのがあって、各自治体がストックしておくのも悪くないと思う。製造に掛かる費用はもちろん国が補助する。