特化でなく汎用化という方向

自転車が趣味の人もいろいろです。
ツーリングで遠くに出かけるのが好きな人もいれば、レースに備えて日々トレーニングする人もあるでしょう。近所をのんびりポタリングするのがメインの人もあれば、輪行して電車で見知らぬ街へ出かけるのが趣味の人もいます。マウンテンバイクで野山を駆ける人もあれば、BMXなどの技を磨く人もいるでしょう。
自転車ですから乗るのがメインですが、自転車好きもさまざまです。乗るのと同じくらい、自転車をいじるのが好きな人も多いに違いありません。自転車をコレクションするのが趣味という人もいれば、変わったところでは、自転車の絵を描くのが趣味なんていう人もいます。

これは、自転車に限らず何の趣味でもそうだと思います。例えば、鉄道が趣味の人もいろいろです。鉄道ファンの場合は面白いことに、それぞれ呼び方があります。乗り鉄、撮り鉄、音鉄、蒐集鉄、時刻表鉄、駅鉄、録り鉄など、さまざまな分野があり、さらに細かく分かれているようです。
鉄道マニアの中には模型という分野もあります。鉄道模型は子供から大人まで、幅広い人気を誇る趣味です。いろいろな規格のもと、たくさんの模型やキットが市販されており、作ったり、走らせたり、飾ったり、多くの人が楽しんでいます。実際に人が乗れるくらいの大きさの模型を作って、走らせてしまうような人もいます。
自転車にも模型はありますがマイナーです。むしろ、実際に乗る自転車をハンドメイドするほうが一般的でしょう。ただ、出来る人は限られます。パーツを交換するなど、自分なりのカスタマイズをするくらいなら簡単ですし、やる人も多いと思いますが、オリジナルなものを一から作り上げるのには高いハードルがあります。
鉄道模型なら、手先の器用さとやる気があれば、あるいは誰でも挑戦可能でしょう。でも、実際に乗れる自転車となるとそうはいきません。金属の溶接など、それなりの道具や技術も必要ですし、実際に乗るわけですから、強度や安全性も問題になります。専門知識なども必要で、誰にでも出来ることではありません。

そうした技術がある人なら、いろいろなタイプの自転車を作ることが出来ます。トライクやリカンベント、ベロモービルやタンデム自転車なども可能でしょう。先日も取り上げましたが、側車付きの自転車などを自分で作ってしまうような人もいます。独自の発想で全くのオリジナルな自転車をつくる人もいます。
完成品を買ってくるか、メーカーかビルダーに注文して作ってもらうしかない普通の人にとっては、うらやましい限りです。自転車作りを趣味として楽しんでいる人もいるわけですが、自転車のハンドメイドというのは、かなり限られた趣味と言わざるを得ません。
でも、この“
Construction Toy”があれば、違ってくるかも知れません。これは、基本的な部材を組み合わせ、ボルトとナットで自由に組み立ててオリジナルな自転車がつくることが出来る、組み立て自転車です。フレームの形も自由にデザイン出来て、組み立てるだけでオリジナルの自転車が完成します。
言ってみれば、タイヤやペダル、チェーンなど自転車用の部品が揃えられた、実物大のLEGOブロックのようなものです。好きなパーツを使って、好きな形の自転車を組み立てる事が出来ます。しかし、LEGOブロックとは違って、実際に乗って使うことが出来ます。
残念ながら、まだコンセプトの段階で、製品になっているわけではありません。作者の
Wouter Scheublin さんの付けた呼び名は、「組み立ておもちゃ」ですが、スペックの設定の仕方いかんでは、十分に実用的なものになるはずです。大人が遊ぶための、単なるおもちゃとして以上の可能性を秘めています。
写真のように、3輪や4輪のリカンベントを組み立てるだけに留まりません。パーツの展開によっては、タンデム自転車だろうが、ベロモービルだろうが、側車付き自転車だろうが可能になります。あらゆる自転車が誰でも簡単に組み立てることが出来るようになるわけです。
逆に分解も簡単に出来るわけですから、ふだんは普通の自転車にしておいて、たまに気分転換でリカンベントにしてみたり、トライクにしてみたりすることも出来るでしょう。何かモノを運ぶ時だけ側車を取り付けたり、天候によって屋根やフードを取り付けたりすることも出来ます。
必要な時だけタンデムにすることも出来ますし、乗る人に応じてサイズを変えるなど、形状だって自由自在です。運ぶものに応じた専用の荷物運搬用自転車を構成することも出来ます。遊園地にあるような変わり種自転車だって出来ますし、全くのオリジナルな自転車を創りだすことも可能です。
もちろん、例えば、荷物運搬用の自転車が必要なのであれば、専用の完成品を購入したほうが実用的でしょう。しかし、常に必要でなければ、必要な時だけ組み立てて使えるほうがリーズナブルです。一台で何役にも使えますが、保管場所が何台分も必要になることはありません。
子供の成長に応じて、子供乗せ自転車を構成したり、大きくなったら子供乗せ部分を外してしまうことも出来るでしょう。いちいち組み立てる手間はかかりますが、必要ならば部材を買ってきて、何用にも変えられる、非常に汎用性の高い自転車が実現するというわけです。
ロードバイクやマウンテンバイク、あるいはママチャリなどもそうですが、特定の用途にしか使わないのであれば、専用の自転車のほうがいろいろと有利です。しかし、何か荷物を運びたいとか、タンデムで乗りたいとか、その度ごとに、それぞれ専用の自転車を買うわけにもいきません。
自転車には非常に多くの種類があります。それぞれの用途に特化し、使いやすく、あるいは快適になるよう出来ているわけですが、一方で別の用途には向かない、使いづらいといった面もあるわけです。そうした自転車の特性、もしくは進化とは逆に、汎用化するというアイディアです。
面白いコンセプトだと思います。実際に発売されたら、モノが運べないとか、天候に左右されるといった自転車の弱点を補う工夫が出来る自転車としても人気が出るかも知れません。創作意欲をかき立てられる人も出てくるでしょう。自転車を作るという趣味のカテゴリーも、もっと身近になるかも知れません。
観光地は閑散としているところも多いようです。ゴールデンウィークも例年より人出が大幅に少なくなるとか。もっと行楽やレジャーに出かけ、早く元に戻さなければなりませんね。

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Posted by cycleroad at 23:30│
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こんにちわです。
考える事は海外でも日本でも同様ですね、、
過去にサイクルロードさんでも記事に取り上げているとは思いますが、日本でもフレームとかだと次世代自転車を考える会がなされてますね。
http://www.tasukei.net/
プラモデルのように組み立てる自転車。正式に製品化されれば数々の創意工夫を凝らしたモデルが出てくるだろう。これらが路上を走れば四輪車から自転車に乗り換える人が出てくるかもしれない。だが、素直に走らせてくれるかどうか。日本と言う国は非常に対応が遅い国である。国会議員(各大臣、秘書、事務次官、補佐官など)の中で自転車通勤をしている人間が一体何人いるだろうか?ほんの極一握りにすぎないのではないか。四輪車にしか乗らない大多数の政府の人間に一体どのようにして理解させるのか。又、日本の警察と言う組織は面倒な事を非常に嫌がる。この連中の石頭を縦に振らせるのは相当の困難を極めるだろう。
Tomohiroさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
「次世代自転車を考える会」については、代表の方が以前から記事にコメントを下さっており、メールでやり取りしたこともあります。このプログでは昨年の8月25日の記事で取り上げています。
オリジナルな自転車を自由に生み出したいという気持ちは、共通するものがあるのでしょうね。
passerby Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
実際問題として走れるかどうかは、形状にもよるでしょうけど、法律上は軽車両ですから問題はないはずです。
もちろん、日本の道路事情からすると、厳しい面はありますね。
確かに政治家や官僚には保守的なところがあるのは間違いありませんが、新しいものでも、あまりに普及してしまえば、現状を追認する形で認められるものもあるわけで、そのあたりは、ムーブメントとしての広がり方にもよるのではないでしょうか。
こんにちは。
以前より楽しみに拝読させていただいております。
色をグリーンにして環境面の配慮をアピールしているように思えます。 面白いアイデアだと思いました。 ただ一般の人が公道で利用するより、製造工場など広大な企業の敷地内での移動に利用する可能性があるように思えました。 環境保全の取り組みの一環として話題性や企業イメージの向上に役に立てることが出来ますし、組み上げたスタイルが企業毎に独創的であれば楽しいですね。
TEELA BROWNさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
なるほど、緑色を使ったのは、デザイナーとしてイメージを狙った部分かも知れませんね。
確かに、日本の道路事情を考えると、仮に発売されたとしても、一般に普及するのは難しい部分があると思います。
おっしゃるように、違った使い方も考えられるかも知れませんね。
車道を走らなければという風潮が力を増してきました。駐停車する車を追い越すのには当然車の右側車道に膨れなければなりません。
ハンドルに立てるミラーは駐輪などに不便です。とゅ雨林のしときに内側に折りたためるもの、走行中は立てるというものはありますか。
また、腕時計みたいにばんどん取り付けるものはたくさんありますが、視野が狭いと思います。商品としてアイデアを受付て特許関係も調べて、商品化の可能性を検討してくれる企業はあるのでしょうか。よろしくお願いします。
藤原健司さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ミラーがあると、後方確認に便利ですね。自転車屋さんの店頭には、あまり種類がないかも知れませんが、折りたためるものも含め、いろいろなミラーが売られています。
例えば、このコメントの右下の cycleroad をクリックして、その先で右上の「自転車関連商品」とある下の欄に「ミラー」と入れて検索してみて下さい。たくさんの種類のミラーが出てきます。
商品化の可能性を検討してくれる企業というのは、残念ながら聞いた事がありません。個別の企業にあたってみるしかないと思います。
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