すでに今年は、東北と北陸を除いて梅雨入りしており、軒並み平年より10日以上、昨年より20日近く早い梅雨入りとなったところが多くなっています。しかし、早く梅雨入りしたから早く明けるかと言えば、そんなことはなく、むしろ梅雨入りが早いと、梅雨は長くなる傾向があるのだそうです。
サイクリストにとっては憂うつな季節が長引くことになります。自転車で通勤する人は毎日の空模様が気になるでしょうし、休日と梅雨の晴れ間が重なるとは限らないのも悔しいところです。運動不足になって、この時期はストレスが溜まる人も多いかも知れません。

雨の多い日本の気候が、自転車に乗るのに適していると言えないのは確かでしょう。でも、世界を見まわせば、雨が少なく、水不足に悩む国は少なくありません。それを思えば、降水量に恵まれていることに感謝すべきで、雨が多いことに不満は言えません。
ただ、雨が降るのは仕方がないとしても、出来れば南の国のように、激しいスコールがあっても、小一時間もすればカラッと晴れ上がるような気候だといいのにと思ってしまいます。日本の梅雨のように、しとしと長い時間降り続くような雨を恨めしく思うのは、サイクリストだけではないはずです。
スポーツバイクに乗る人は別ですが、そんな雨の降り方ということもあって、日本では雨の日に傘をさして乗る人も少なくありません。傘を握って乗るのは不安定になりますし、視界も悪く危険なので、法律で禁止されています。しかし、残念ながら見慣れた光景となっています。
国によっては、ポンチョやレインウェアを着る人が多いところもありますが、日本ではあまり見かけません。自転車用の雨具として、ポンチョなどは実用的だと思うのですが、なぜか人気がないようです。もちろん、国によっては雨具を何も使わなかったり、そもそも濡れてもあまり気にしない国もあって、お国柄なのでしょう。



これがフランスあたりだと、“
VELTOP”のような商品も売られています。フランスの雨の日の自転車アイテムというだけで、何だか洒落た雰囲気が漂います。なるほど、傘をさすのと違って、両手が自由になりますし、視界も悪くなさそうです。ちょっと街乗りするくらいなら、十分実用になるでしょう。
雨の多い日本でこそ、普及しても良さそうなアイテムですが、なぜか、これまでこうした屋根に人気が出た試しがありません。関西などでは、傘を自転車に固定する器具が人気だったりしますが、わざわざ屋根まではつけません。大げさですし、邪魔だとか面倒という感じなのでしょう。

日本では歩道走行が当たり前のようになっているので、こんな屋根をつけて走行しては、歩行者とぶつかるなど、トラブルになりそうというのもあります。駐輪するにも、場所によっては邪魔になったり、不便なので、あまり人気の出る余地がないのかも知れません。
雨を防ぐために屋根をつけてしまえと考えるのは、ごく自然です。雨の降り方は、国によっても違いますので、かえって邪魔な国もあるでしょうが、日本のように長雨が多い気候で、こうした雨天対策グッズの人気が出ないのも、自転車の歩道走行という長年の悪習の弊害の一つなのかも知れません。

日本では歩道走行が常識のようになっており、自転車に乗るにも歩行者感覚の人が少なくありません。それで、傘をさして自転車に乗るのに違和感がないのでしょう。日本でも普通に車道走行をするようになれば、フェアリングのついた自転車など、雨でも濡れにくい自転車やアイテムが登場してくるのかも知れません。
日本では、屋根のついた自転車なんて大げさに見えますが、世界の常識から言うと、傘をさして歩道走行する自転車のほうが狂気の沙汰です。雨を防ぐため、傘を前に傾けて、前をよく見ずに走行している人もいます。歩行者にとっては、まさに凶器が突進してくるようなものです。

日本では見慣れた光景になってしまっていて、何とも思わない人が多いと思いますが、これは異常な光景と言わざるを得ません。必ずしも屋根を装着するのがいいとは言いませんが、傘では自転車本来の能力も活かせませんし、歩道走行は禁止にして、日本の気候風土にあった、雨天用グッズや工夫の登場を期待したいものです。
ところでこの時期、駐輪場にとめておいた自転車のサドルが、雨に降られてビッショリということもあるでしょう。よく見るのは、コンビニの袋をサドルにかぶせてある光景です。応急措置としてはいいでしょうが、必ずしも防水効果は高くないと思います。
そこで、
こんなアイディアもあります。身近にある傘をリユースするのです。傘は、ホネの部分が折れて使えなくなっても、傘の生地の部分は問題ないことも多いと思います。そこで、傘が壊れたら、この傘の布の部分を再利用しようというわけです。
写真のような形に裁断することで、サドルカバーやシューズカバー、バッグやバッグのカバーなどをつくるわけです。傘の生地は、当然ながら水をはじくので、サドルや靴、バッグを濡らさないためには、もってこいの素材となります。これなら、濡れたままのサドルにまたがらなくても済みそうです。
こちらはイタリア発のアイディアですが、およそイタリアらしくないセンスです。こうしたリユース意識を啓発するため、最初から傘にこうした図をプリントして発売するのもいいと思いますが、傘として持つには、ちょっとオシャレとは言えず、イタリアらしからぬイメージがあります。
ただ、こうしたアイディアをヒントに、身体や自転車の濡らしたくない部分のカバーを作ったり、工夫したりというのは面白いかも知れません。どうしても雨に降られる局面というのは出てきてしまうと思いますので、イザという時のアイテムや、装備を工夫しておくのも無駄にはならないでしょう。
今年は、長いところだと1ヶ月半から2ヶ月近く、梅雨が続きそうです。自転車乗りにとっては、楽しくない季節です。なるべくなら、はやく梅雨が明けてほしいものですが、雨で出かけられない日には、雨の時の不快感を少しでも減らすような工夫を考えてみるのもいいかも知れません。
こんな時に権力闘争なんて、いったい何を考えているのか、また1年と少しで総理交代になりそうです。いっそのこと、日本の総理の任期は1年ということにしたらどうでしょう(笑)。そうすれば、「○○下ろし」にうつつを抜かさずとも、どうせあと何日ということで、ほかのことが出来ると思うのですが..。