October 07, 2011

インフラにも変化が望まれる

街で見かける自転車が少しずつ、変わりつつあります。


自転車ブームでスポーツバイクに乗る人が増えましたし、特に震災後は自転車で職場まで通勤する人も増えました。テレビや雑誌などで取り上げられることも増え、自転車への注目は高まっています。自転車女子などと呼ばれる女性たちも、オシャレな自転車に乗り始めています。

自転車通勤最近、少しスポーティーな自転車を購入しようとか、オシャレなものに買い換えようといった人で、自転車ショップは、どこも盛況だと言います。もちろん全体では、まだまだママチャリが圧倒的に多いとは言え、特に都市部ではスポーツバイクやちょっとオシャレなシティサイクルを見る割合も増えてきた感があります。

駅までのアシや、買い物のために使うならばママチャリも便利だと思います。しかし、自転車に乗ること自体を楽しんだり、趣味やスポーツとして乗るようになると、ママチャリでは物足りなくなってくるでしょう。スポーツバイクに乗り換え、その軽快さやスピードに驚き、楽しさに目覚める人も多いに違いありません。

日本では、1万円もしないような格安の輸入ママチャリが市場を席巻するようになって久しく、その結果、自転車はホームセンターやスーパー、激安量販店などで購入するのが当たり前のようになってしまいました。時には数千円で自転車が売られような価格競争となり、あおりを受けた街の自転車屋さんは激減しました。

修理してくれるところが少なくなったことで、自転車を使い捨てのように乗る人が増え、駅前の自転車は撤去と放置のいたちごっことなっています。また格安の自転車は、粗悪な部品が使われており、重くてスピードも出ず、本来の自転車の持つポテンシャルは到底望めません。

イベントそうなると、自転車に乗るのが楽しいものではなくなります。自転車は単なるアシとなり、少しでもラクをするため信号や一時停止が守られず、マナーも悪くなります。格安な自転車が出回ることで、悪貨が良貨を駆逐するような形となっているのは、まことに不幸な状態と言わざるを得ません。

自転車が格安に手に入るほうがいいという人もあるでしょうが、多少値段が高くても、いい自転車のほうが長持ちし、結局は得な場合も多いはずです。資源も無駄にならないばかりか、安全性、信頼性も向上します。何より乗り心地や快適さ、楽しさが違います。

趣味やスポーツとして乗るならば、あるいは通勤などでまとまった距離を乗るならば、自転車の選び方や、乗り方も変わってくるでしょう。当然ルールやマナーも知ることになると思いますし、自転車の扱い方から、保管方法などまで変わってくるかも知れません。

スポーツバイクなどの本来の自転車が売れ、楽しく自転車に乗る人が増えることで、自転車走行のマナーが向上する方向へ向かうならば喜ばしいことです。もちろん、問題は多く前途多難ですが、少しずつ本来あるべき自転車環境、あるいは秩序が形成されていくことを望みたいものです。

Bicycle Parking, cycle-works.comBicycle Parking, cycle-works.com

さて、人々の乗る自転車が変わり、乗り方が変わっていくとするならば、インフラへのニーズも変わっていくのではないでしょうか。例えば駐輪場です。これまで、駐車場の隅などの地面に白線を敷くだけだった駐輪場も、利用者のニーズによって、変わっていく可能性があります。

ママチャリにはスタンドがありますが、スポーツバイクには、あえて取り付けない限り、本来スタンドはついていません。つまり自立させて駐輪させることが出来ないわけです。ただ線をひいただけではなく、自転車用ラックや駐輪ポストなどを伴った駐輪場がほしくなる人も増えるでしょう。

bike rack, www.keha3.ee
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日本では、まだまだ自転車のために、わざわざ専用ラックを設置している親切な施設は多くないですが、今後はニーズも高まり、増えていくかも知れません。そのへんに適当にとめろという駐輪場でなく、駐輪用ポストかラックを備えるのが標準、当たり前となってもらいたいものです。

bike rack, www.keha3.eebike rack, www.keha3.ee

駅前などなら機械式の駐輪機もいいですが、今後、自転車で職場や目的地へ直接行く人が増えれば、駐輪場のニーズは駅前だけでなく、街中に分散していくことになります。歩道などに無秩序にとめられ、通行の邪魔にならないようにするためにも、駐輪ラックやポールなどの積極的な設置が望まれることになるでしょう。

bike rack, www.keha3.eebike rack, www.keha3.ee

欧米では、駐輪ラック、駐輪ポストも、デザイン性の高いものが出てきています。これまでの固定観念を崩したものもあります。例えば、柔らかい素材を使った駐輪ポストです。自転車の形や大きさはいろいろですが、これならばフレキシブルに、さまざまなタイプの自転車に柔軟に対応できそうです。

bike rack, www.keha3.ee
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アルファベット型の駐輪ポストもあります。デザイン的にユニークなだけでなく、企業や施設のネームやロゴをかたどるために使うことも出来ます。ありふれた駐輪ポストより遊び心を感じさます。宣伝効果だけでなく、イメージアップに貢献するかも知れません。

bike rack, www.keha3.ee

自転車の盗難防止のためには、ワイヤー錠などで固定物につなげて施錠すぺきですが、現在のママチャリは、車輪を固定するだけなので簡単に盗まれてしまいます。青少年の非行の入り口と指摘される自転車盗を防ぐためにも、こうした駐輪ポストなどの固定物にしっかり施錠することが望まれます。

Bicycle Security, www.productdesignforums.com

格安の自転車であれば、あまり気にしなかった盗難も、高価なスポーツバイクの場合は心配になってきます。いくら固定物につないで施錠してあっても、プロの窃盗犯には破られてしまうこともあります。その点、こんな駐輪機があったら心強いに違いありません。

Bicycle Security, www.productdesignforums.comBicycle Security, www.productdesignforums.com

ステンレス製で、そう簡単には破断したり、破壊できないような設計となっています。サドルやタイヤもブロックされています。多少割高であっても、こうした駐輪機を利用したいという人もあるはずです。全部でなくても、一部には、こんなハイスペックなものがあっても悪くないでしょう。

Bicycle Parking, cycle-works.comBicycle Parking, cycle-works.com

屋内や屋根つきの駐輪場もありますが、多くの駐輪スペースは雨が降ってくれば雨ざらしなるのが普通だと思います。自転車をとめるのではなく、コインロッカーのように収納する駐輪機があってもいいはずです。通常より場所はとりますが、雨にも濡れず、盗難にも強い駐輪ロッカーです。

Bicycle Parking, cycle-works.comBicycle Parking, cycle-works.com

駐輪場を設けたくても、物理的にスペースがない場所もあるでしょう。デンマークのコペンハーゲンでは、道路上のクルマ用のパーキングスペースを、自転車用と時間で分けてシェアするというアイディアが登場しました。託児所などで、歩道が狭いなど駐輪場設置が困難だが、どうしても欲しい場所には有効だと思います。

Flex Parking, www.copenhagenize.comFlex Parking, www.copenhagenize.com

いずれにせよ、日本には、まだまだ駐輪場や駐輪のためのスペースが少ないと思います。自転車も、乗らない人には単に邪魔なだけの存在かも知れません。無秩序にとめられることが多く、街の景観上、目障りと感じる人もあるでしょう。自転車がこれだけ普及している以上、きちんと駐輪させるための駐輪設備が必要です。

クルマ用に駐車場やパーキングスペースを整備するのと同じように、社会のインフラとして、駐輪スペースも充実させていくことが求めらます。自転車がより活用の幅を広げるためにも、デザイン性や利便性に優れた駐輪場や駐輪スペースの整備が進んでいくことを期待したいものです。





子育てについて調査したところ、自分の子どもが天才だと思った経験のある人が、なんと約8割(笑)に上ったそうです。子どもには無限の可能性があるとは思いますが、親馬鹿を自覚して、子どもに過剰な期待による重圧をかけないようにすべきなのでしょうね。

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この記事へのコメント
こんばんは。

日本で自転車が車両としての市民権を本当に得られるのか、非常に疑問だ。
道路行政を行っている人間のうち、一体何人の人間が趣味やスポーツとして自転車に乗っているのだろうか?

「脱」車社会にはほど遠い国、日本。経済先進国と言われながら、実は発展途上国なのかもしれない。
Posted by passerby Ω at October 09, 2011 00:03
passerby Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
車両である自転車が歩道を走行しているような状況では、難しいと言わざるを得ないでしょう。
おっしゃる通り、道路行政のやりようを見ていると、ママチャリはともかく、自転車のことを知っている人間がやっているとは到底思えません。
実際、外国人が来日して、自転車が歩道を走行しているのを見て、その野蛮さに驚きますから、自転車行政に関しては、とても先進国とは言えませんね。
Posted by cycleroad at October 09, 2011 23:24
こんにちは。最初に、以下はcycleroadさんへの質問ではないことをお断りしておきます。
趣味として自転車に乗って街中のあちこちに停めるのに、個々の自転車にスタンドがなければ不便じゃないですか。どうしてそう思わないんだろう。「ブレーキ要らない」って理屈と一緒じゃん、というといいすぎですがね。
Posted by fu_r at October 10, 2011 16:15
fu_rさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、そういう面もありますね。ただ、どうしても重量が増えますし、走っているときは無用の長物ですから、つける人と嫌う人がいると思います。
ふだん、ツーリングなどの時には、むしろ不要で、街中へ出かけるような時だけ、あると便利になるという人も多いのだと思います。
スタンドがなくても、電柱などに立てかけて、ワイヤー錠などで施錠してしまえばいいわけで、その意味では不要です。ブレーキのように最初から装備されているものを外すわけでもありませんし、わざわざつけなくても、というところでしょう。
スタンドはなくても不便ではないが、駐輪ポストなどがあったら、それはそれで便利、親切というところでしょうか。
欧米の先進的な都市で、駐輪用のポストが設置されているところがありますが、指定したところにとめてもらう意味で、設置は無駄ではないという面もあるのかも知れません。
Posted by cycleroad at October 10, 2011 23:13
こんにちは、cycleroadさん。
私は3段変則のママチャリを普段の足にしている者です。
スポーツバイクの場合、電柱などに立てかけて、ワイヤー錠などで施錠しまう方が多いのですが、場合によっては、それが迷惑になってしまうこともあります。
あるロードバイクは駐輪場の入り口の鉄柱に立てかけて施錠していました。そのため、入り口を半分ふさぐ形になってしまい、鉄柱に施錠してあるので、どかすことも出来ず、他の自転車の出入りに大変邪魔でした。
また、壁に垂直に駐輪する場所でもスタンドのない自転車は壁に立てかけるので、何台分ものスペースをとってしまうこともあります。こんな光景をみるとなんでスタンドをつけて
長いワイヤー錠を使わないのかと思ってしまいます。

また、「少しでもラクをするため信号や一時停止が守られず、マナーも悪くなります。」とありますが、ママチャリ乗っている人だけでなく、全体的にルールを守る意識、安全を確認する意識が希薄なのだと思います。実際、ロードバイクに乗っている方でも信号や一時停止を守らない方がいらっしゃいますよ。
Posted by マルコ at October 11, 2011 12:49
マルコさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、おっしゃるような迷惑な止め方をしている人はいますね。スタンドがないからというのは言い訳になりません。そんな止め方をする人の神経を疑うという話だと思います。
他の人がとめられないような迷惑な形で施錠すべきでないのはマナーとして当然であり、どうしてもそこにとめる必要があるなら、携帯用のスタンドなどもありますから持っていくべきでしょう。
そういう人の肩を持つつもりは毛頭ありませんが、一方で、スタンドがあると、どこでもとめられるので、店の入り口の前とか、歩道の真ん中など、周囲や通行の邪魔になるような場所でも平気で駐輪する人もいます。
スポーツバイクの人が全てマナー違反ではないでしょうし、スタンド付の自転車の人が全てマナーが悪いわけではありません。
どちらも、自転車の構造に由来する部分があるにせよ、結局はとめる人の問題であり、自分勝手で、非常識な人がいるということなのだと思います。
ただ、スタンドがあっても、長いワイヤー錠でも施錠できないところはあります。盗難防止のためにも駐輪用のポストが整備されるといいなと思いますね。
ロードバイクで信号や一時停止を守らない人がいるのは、巷間よく言われていますし、十分存じています。
誤解されかねない表現だったかも知れませんが、決してロードバイクに乗っている人がルールを破らず、格安ママチャリに乗る人は破ると言いいたかったわけではありません。
趣味として乗るような人、自転車のルールや現状、問題点などを知っており、よく理解している人に比べて、全く無頓着で、車両という意識もなく、問題の存在も意識せずに安易に乗る人を増やす傾向があるということです。
Posted by cycleroad at October 11, 2011 23:20
やはり世界は進んでいますね。施設自体に配慮と工夫が見られ、見た目も非常に美しく、ポップでもあります。
こういった、ノースタンドのスポーツサイクルへの配慮があってこそ、先進地域、先進国、成熟した地域と呼べるでしょうね。
日本もはやく追いついてもらいたいものです。あらゆる自転車を安全安心快適に活用して生活できる工夫が、街や地域にはまだまだ足りていません。
この度の記事も、たいへん自分にとってプラスになりました。驚きと感動、この表現がぴったり合いましょう。
サイクルロード様、いつもありがとうございます。
Posted by 佐藤 at November 19, 2011 13:49
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
シャレてますよね。日本の駅前駐輪場の暗くて機械的なイメージとは違います。(あくまでイメージですが..。)
自転車に対する理解、あるいは自転車文化の成熟度が違うのも大きいのではないでしょうか。
ヨーロッパでは、ロードレースもサッカーと二分するほどの人気ですし、自転車に対する一般の人のイメージも、日本のママチャリに対するそれと違うのは間違いありません。
良くも悪くもママチャリという遅くて特殊な自転車を独自に発達させ、スポーツと言うより下駄かサンダルのようなイメージにしてしまった、歩道走行に原因を求めることが出来るかも知れません。
Posted by cycleroad at November 19, 2011 23:48
 
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