ある程度、自転車趣味のキャリアのある人なら、自転車でよく走るコース、よく通るルート、定番の道が決まっていたりするのではないでしょうか。なんとなく通ることの多いルートもあるでしょうし、トレーニングとして使っているコース、お気に入りとなっている道もあるかも知れません。
人によると思いますが、それは走りやすい道路だったり、交通量の少ない裏道だったり、信号の少ないルートだったりするでしょう。アップダウンが少ないとか、風の影響が少ないとか、路面の状態がいいなど、それぞれ理由がある道かも知れません。
よく行く場所、お気に入りのスポットへ向かう道だったり、景色のいいコースとか、雰囲気のいい裏道、寄り道が楽しいルートかも知れません。気持ちのいいサイクリングロードや、秘密のシングルトラック、責め甲斐のある峠道だったりもするだろうと思います。
自転車に乗るのが趣味の友人とは、そんなルートの情報を交換することもあるのではないでしょうか。あそこの何々がうまいとか、ここのショップはのぞいてみるべき、ここは休憩に持ってこいなど、さまざまな情報も加わっていることでしょう。
いつも同じ道を通るより、新しいルートを開拓しようと、地図と睨めっこしている人もいると思います。最近は、携帯やデジカメ、スマートフォンでも動画を気軽に撮れるので、そんなお気に入りのコースを走行しながら動画を撮っている人もいるに違いありません。
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地図で示してもいいですが、そのルートの動画が撮ってあれば、道路や交通状況から景色、雰囲気などまで一目瞭然です。もし、お気に入りのルートを動画にしている自転車乗りがいるならば、それを共有出来るのではないかと考えた人たちがいます。
彼らが立ち上げたのが、お気に入りの道路を共有しようというサイト、“
Share The Path ”です。面白いコンセプトで、今どきのソーシャルメディアの一種と言ってもいいでしょう。世界中のサイクリストが、自分のお気に入りの道を撮影し、サイトにアップロードしています。
走行目線で撮影されているものが多く、実際にその道を走行しているような気分に浸ることが出来ます。景色や環境はさまざまですが、世界中に、同じように自転車に乗るのを楽しんでいる人たちがいることがわかります。そのことが実感として沸いてくるサイトです。
カメラを自転車に取り付けたり、ヘルメットに取り付けたりして撮影しているようです。ただし、素人の撮影と言うこともあり、こうした動画を見ていると酔う人もいると思うので、その点は注意が必要です。動画として見て必ずしも面白いものではありませんが、道路を走行する動画ばかりというのがユニークです。
おそらく友人などとコンビで撮影している人もいて、実際に走行する姿が見られるものもあります。世界の都市の交通事情、道路事情、そして自転車事情が垣間見れて、興味深いものもあります。日本とは全く違う風景もあって、その土地の人たちの暮らしぶりが見えるような気がします。
記録映画風に編集に凝ったものもあります。どこかへツーリングに出かけた際の写真や動画があるならば、それを編集して投稿する手もありそうです。周辺の景色も、短い時間だとなかなか変わるものではないので、連続して撮影するよりも飽きさせない工夫になります。
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一般に、旅行ガイドなど観光名所や見所を紹介したサイトはあっても、街の道路状況を見ることが出来るサイトというのは、なかなかないと思います。アムステルダム、パリ、ロサンジェルス、リオデジャネイロなど、有名な都市もあるので、旅行の予定があったら、その場所を見ておくという使い方も出来るかも知れません。
ただ、このサイト、まだ広く知られてはいないので、ストックされている数もまだまだ少ないのが残念なところです。投稿されている動画のクオリティも高いものばかりではありません。今後、投稿数が増えてくればレベルも上がってくるでしょうし、もっと多くの地域が網羅されることが期待できるでしょう。
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今のところ、日本からの投稿は1件だけです。日本にも、世界に類を見ない、しまなみ海道のサイクリングロードをはじめ、自慢できる道は多々あると思います。美しい自然の景観を展望しながら走行できる場所から、情緒あふれる日本らしい小道まで、とっておきの道を知っている人も多いのではないでしょうか。
別に日本をピーアールする場ではないですが、そうした道路がアップされれば、世界のサイクリストの日本への関心も高まりそうです。投稿が増えれば、私たちも自分が住む地域に、今まで知らなかった素敵な道を発見できるようになるかも知れません。
普通、シェア・ザ・ロードと言うと、クルマや自転車などのあいだで、道路をシェアする、共有しよう、譲りあおうという意味で使われます。こちらはロードではなくパスですが、道路の情報をサイクリスト同士でシェアしあうというのも、意義のある行為だと思います。
ちなみに、このサイトへアップされたものではありませんが、アメリカ・オレゴン州のポートランドには、ちょっとユニークな道があります。自転車レーンに、日本の任天堂の人気テレビゲーム、「
マリオカート 」のシンボル(アイテム)がペイントされているのです。
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カートを操ってレースをする、世界的にヒットしたゲームですが、ゲームの中では、コース上のアイテムの上を通ると、いろいろな効果がおきます。実際のレーンにペイントされているシンボルで、何か起きるわけではありませんが、このゲームを知っている人なら、思わず笑ってしまうでしょう。
もちろん公式のものではなく、誰かがいたずらでペイントしたもののようです。見たところ、子どもの落書きではなさそうですし、大人が意図的に描いたものでしょう。自転車レーンをテレビゲームのレースコースに見立てるとは、ユーモアのセンスがあるいたずらです。
もちろん落書きは器物損壊であり、当局としても道路へのいたずら書きを、公に容認するわけにはいかないでしょう。ただ、悪意のあるものとは違い、かなり話題にもなったこともあって、あまり厳格に対応するのも大人気ないと考えたのか、消されたりはしなかったようです。
ゲームを知らない人には、何のことやらということになりますが、バナナの皮のマークは、なんとなく想像がつくでしょう。ゲームではスピンしてしまうアイテムです。スリップを連想させるので、ゲームを知らなくても避けるべき場所のシンボルとして、実際の路上のサインとしても使えそうです。
サイクリングロードなどの危険な箇所に、管理者がバナナマークを描けと言うのではありません。そんなペイントをするくらいなら、危険な要因を改善し、直すべきです。すぐに対処できないのであれば、それこそコーンを立てるなり何なり、安全に配慮してもらわなければなりません。
バナナ・マークは、サイクリストがペイントしてもいいことにしたらどうでしょう。路面の劣化などで問題が起きている場所、危険だと思った場所、もしくは危険性が隠れている場所にペイントするわけです。いつもその道路を通る人なら、常々気になっている場所の一つや二つ、あるのではないでしょうか。
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道路管理者は、メンテナンスのために定期的にパトロールすると思いますが、その時バナナマークを見つけたら、補修するなり、工事を手配するなり、危険箇所の改善をする目印にしてもらうわけです。こうすれば、道路としての安全性が高まるに違いありません。
バナナマークを活用するというのは、この動画を見ての、私の単なる思いつきに過ぎませんが、おそらく世界の道路には、その構造を含め、日本でも参考になる工夫やアイディアが隠れているのではないでしょうか。道の情報の共有が進むならば、そんなヒントも得られるようになるかも知れません。
考えてみると、サイクリスト同士が広く連携するというスタイルは、あまり多くありません。特に国籍を超えてサイクリスト同士がつながったり、情報をシェアする機会というのは多くないでしょう。その意味でも、ふだん走る道を動画でシェアしあうというのは面白い試みです。
この“Share The Path”は、いわゆる交流サイトのスタイルではありませんが、サイクリスト同士、もっとお互いに情報を共有したり、連携してもいいと思います。“Share The Path”は、その一つの形に過ぎませんが、今後、こうした動きが広がっていくのかも知れません。
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いつも独裁者の末路は哀れというほかありません。近くにもいますが、どう思っているのでしょうか。