歩道走行のままではいけない

自転車は歩道通行のままでいい、と考える人が少なくないようです。
なにしろ40年以上も歩道通行で来てしまいました。実際問題として、日本の自転車の圧倒的大多数はママチャリであり、そのほとんどが歩道走行しています。あまりにもそれが当たり前になってしまった結果、車道を走行するほうに、より違和感を感じるという人が多数いるという事実は否定できません。
車道を通るなんて怖いというのが主な理由です。40年もの間、警察や自治体、国交省は揃って自転車を歩道に上げようとしてきました。そのため、車道が自転車の通行を考慮して整備されておらず、走行が危険な場所というのは確かにあります。

しかし、本来自転車は車両の一種、軽車両であり、車道走行が原則なのは言うまでもありません。このたびの警察庁の通達で徹底されようとしていることですし、最近はテレビや新聞でもさかんに言われています。歩道も整備されていないような途上国はともかく、世界的にも常識です。
仮に、50CCの原付バイクが歩道を走っていたらどうでしょう。誰もが認める交通違反、無謀な行為です。たまに原付バイクで、実際に歩道を通り抜ける人もいますが、警察官が見つけたら、即刻検挙されるでしょう。危険な行為であり、到底許されるものではありません。
一方、自転車にはエンジンがついていませんが、潜在的な危険という意味では近いものがあります。原付バイクが歩道で歩行者を縫って通行していたら誰もが驚きますが、同じスピードで自転車が歩行者を縫っていても驚かれないのは、不思議なことと言わざるを得ません。

自転車と歩行者の衝突実験でも明らかです。原付バイクと自転車、動力の違いはあっても、同じ速度、同じ重量ならば、衝突時に歩行者に与えるダメージも同じです。衝突の衝撃もさることながら、実際には転倒して頭部にダメージが及ぶのが致命的だと言われています。歩行者を突き飛ばす結果になるのは、どちらも同じです。
自転車のほうは40年も許されて見慣れてしまったというだけで、本質的にはそう大きく違いません。もし仮に、原付バイクまで歩道通行が認められていたら、いま当たり前のように原付バイクが歩道を我が物顔で走行していたかもしれないわけです。
原付バイクでも、あまり運転に自信が無く、車道でクルマやトラックと一緒に走行するのが怖いと思っている人は、これ幸いと歩道を走行するでしょう。単に、原付バイクは許されず自転車が許されてしまっただけで、原付バイクと同じように自転車が歩道を走行するなんて異常な光景だったはずなのです。
実際に今、原付バイクに乗っている人の多くは、歩道なんて通るわけがないと言うと思います。例え認められていたとしても、わざわざ歩道の人ごみをかき分けながら走行するなんて大変ですし、時間がかかってしょうがありません。車道を通ったほうが断然いいと言うに違いありません。当然です。

自転車も同じです。車道を通ったほうが、断然速度は上がります。歩行者をかき分けて進む必要もありません。歩道をノロノロ走行していては時間がかかって遠くまで行けませんが、車道を走る自転車は、十分に都市の交通機関たりえるのです。
ママチャリの場合は、重くてあまりスピードが出ないようになっていますが、本来の自転車であれば、原付バイク並みのスピードも出せます。郊外のバイパスなどならともかく、都市部でクルマとの相対的な速度差があまり大きくなければ、車道でもそれほど危険は感じないものです。
本来歩道は歩行者のためのものであり、自転車は通らせてもらっているのに、歩道通行のままでいいなんていうのは、身勝手でおこがましい話です。歩行者の立場からすれば一刻も早く出て行って欲しいはずです。危険な自転車の歩道走行で事故は急増し、多くの苦情も寄せられ、今回の措置がとられたのを忘れてはなりません。

では、車道走行したらどうなるでしょう。普通、クルマを運転する時、同じ方向に走行している歩道上の自転車なんて、ほとんど目に入らないはずです。街路樹やガードレール、看板や歩道橋など、さまざまなもので隠れますし、歩行者にまぎれてしまいます。クルマを運転していてる人に歩道上の自転車はほとんど意識されません。
すると、交差点を左折しようとした時、歩道から自転車が突然飛び出してくる形になります。そのため衝突したり、左折巻き込みのような形で事故になってしまいます。もし、自転車がみな車道通行で、クルマから見えていれば、こうした事故は防げるはずです。事実、車道走行の欧州の国々のほうが断然事故は少ないのです。
自転車とクルマの事故は、ほとんど交差点で起きています。実際に車道走行のほうが、歩道走行よりクルマとの事故は少ないことが明らかになっています。信号無視や逆走などの交通違反を除けば、歩道から突然飛び出す形になるのが一番危ないのです。イメージとは逆に、実際は車道走行のほうが安全ということになります。
クルマのドライバーにしてみれば、自転車が車道走行していると神経を使います。だから歩道走行してほしいのが本音です。これも長年の歩道走行の弊害で、本来車道走行は当然のことであり、弱者優先も当たり前です。自転車が見えているから事故を防げるわけで、邪魔に思えても、事故を起こすリスクは減るのです。

ちなみに、道路の直線部分では、クルマと自転車の事故はあまり起きていません。しかし、多くの人は車道走行をすると、すぐ横を追い越していくクルマやトラックなどが怖いというイメージがあると思います。たしかに今までの道路行政のせいで、車道走行が危険な場所も少なくありません。
そこで、自転車レーンなどの整備が求められることになります。既に車道走行している人の中には、自転車レーンなんか無くても平気とか、かえって邪魔だという人もいます。しかし、少なくとも、自転車レーンによって走行空間が確保されるわけですし、クルマのドライバーに道路の共有を意識させる効果も見逃せません。
自転車レーンを、みなが同じ方向に走行することで、逆送がしにくくなるなど、ある程度車道上の自転車の走行秩序が形成されることも期待されます。自転車レーンによって、結果として交通ルールの遵守が進む可能性もあるわけです。秩序が形成されていけば、世間一般の自転車に対する見方も改善するでしょう。

自転車レーンによって、誰でも安全快適に、しかも速く移動できるようになります。ママチャリで歩道走行しているぶんには無理ですが、車道走行で自転車本来のポテンシャルが発揮されれば、十分に都市の交通手段として使えます。実際にヨーロッパなどでは、バスや地下鉄と同等の都市交通と位置づけられています。
オランダ、ドイツ、デンマークなどの自転車先進国の都市だけでなく、パリやロンドン、ニューヨークのような大都市でも自転車レーンが急速に拡大しています。日本でも、世界の趨勢に習って、渋滞するクルマよりよっぽど速く、エコで健康によく、公害や渋滞緩和にも貢献する自転車活用を推進すべきです。
自転車レーンの整備と平行して、今後自転車横断帯は廃止される方向です。この自転車横断帯が招く危険は先日も取り上げました。また、二段停止線の採用が検討されており、欧米で設置が進む
バイクボックスと同じ効果が期待できます。これにより、クルマによる左折巻き込みも減るでしょう。

自転車専用信号も有効です。これは基本的に、交差点で自転車用の信号が早く青に変わるというものです。二段停止線でクルマより前に停止させ、自転車専用信号で、クルマより先にスタートさせることで、交差点での事故を減らす効果が期待できるわけです。
よく、自転車で車道を走行していると、自転車を追い越してすぐ左折しようとするクルマがいます。自転車が意外に速いことを知らないのか、クルマが優先だと思っているのかわかりませんが、事故の元です。交差点で自転車を先に行かせる癖がつけば、そうした危険なドライバーも減ることでしょう。
クルマは自転車よりはるかに機動力があるわけですから、自転車を先に行かせたとしても、すぐに挽回できます。気持ちの余裕がなくなってきているのか、自転車に対して危ない運転をするドライバーも少なくないですが、自転車を優先する気持ちの余裕を取り戻すきっかけになって欲しいと思います。

もちろん、現状で自転車利用者のルール無視が甚だしく、苦々しく思っている人は多いに違いありません。自転車利用者には交通ルールの遵守が求められます。ただ、弱者優先の原則は道路交通法で決まっていることです。そのほうが、結果的に事故も防げて、ドライバーのためにもなることも忘れるべきではないでしょう。
日本の自転車歩道走行は、クルマのドライバーに弱者優先の原則を忘れさせた面があります。ドライバーは、あまりに長い間優遇されてきたため、本来の形に戻すだけでも抵抗を感じるかもしれません。しかし、社会全体の利益と合理性を考え、法律で定められた本来の姿に戻すのに不満を述べるのは筋違いでしょう。
一番保護されるべき歩行者にしわ寄せがいき、その安全が脅かされている事態を重く受け止めるべきです。自転車の利用者は既得権のようになってきた歩道走行を諦め、クルマのドライバーは今までが優遇されてきたことを認識し、車道での自転車との共存を受け入れるべきでしょう。それがあるべき姿なのですから..。
明日は全国的に雨になりそうですね。日曜日は出かけられるかな。

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Posted by cycleroad at 23:30│
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うーん、
変えなければいけない事が多すぎて手を付けたく無い
というのが正直なところでしょうね。
考えすぎて頭痛くなってきた(笑)
ぶーちょさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに紆余曲折が予想される部分は多いですし、前途多難かも知れませんね。
今後の推移を見ないと、まだどうなるかわかりません。
ただ、他国の例でも一旦方向が決まって動き出せば、案外混乱も少ないという話を聞きます。
他国でも試行錯誤しながら、つくりあげてきたわけですし、日本にも出来ないことはないでしょう。
cycleroadさん お早うございます。
テレビや新聞では自転車の話題が盛んになっていますね。
でも厚木市の道路行政には、まだ変化は見られません。
(例えば自転車横断帯のマークを消すなどの)
今後時間をかけて人々の意識を変えて行くようになるでしょうね。僕もそのために一役担っていきたいと思います。
はじめまして。初めて書き込みます。
自転車側のマナーや意識の向上には通勤に使うことが一番だと思います。
通勤途中の事故は会社に報告が必要になりますので自然と安全には注意するようになります。
ですが、会社側の意識として自転車通勤を推奨したくないというのが多いようです。
自分の会社は大企業ですが立地が田舎のこともあり、総務は自転車通勤を好みませんし、制度もありません。
最近、事業所内で自転車事故が増え、安全指導があったのですが、「路側帯を走れ」「横断歩道を通れ」など道路交通法を知らないような指導をされました。さらには「公共交通機関や自動車への切り替えを推奨する」などと指導してました。
総務には抗議しましたが、自転車ごときでうるさいことを言う奴だなという対応で、指導内容の修正もされてません。
(道路交通法に則り、警察の指導に従っているとか言ってましたが、どこの法律でどの警察だ?ってかんじです)
これでは従業員も自転車通勤に積極的になれず、自転車利用の普及、意識の向上も遠のきます。
会社総務の意識を警察からの指導を通じて高めていって欲しいと思います。
ですが、群馬県警の反応など見ますと田舎の警察にはそういう指導をしてくれる可能性が薄いとも感じてるところです。
cycleroadさん、よき自転車乗り、よき車道利用者の皆さん、こんばんは。
このサイトを知ってから一年以上になり、日本の自転車を取り巻く環境と道路を利用する主体が今はどんなにおかしくて、何が本来で、先進国からは何を学べるかなど理解が進みました。今回の内容にも納得感があり、家族談義がまた弾みました。
一方でまだまだもどかしさもあります。私の暮らす大分市は、都会よりずっとのどかで利用者密度は低いですが、やはり市街地では「強者が弱者を怯えさせ、より弱者へとしわ寄せがいく」という構図です。私は3者とも使い分ける立場なのですが、大勢を決しているのは、クルマ最優先を当然とする中高年者と、ママチャリ既得習慣を固持する中高生や主婦らが専らのように見えています。そして昨日もまだ、右側歩道をよたよた走行する白チャリ警官に出会いました。
あるべき姿へと向かうには、認識是正とか正しい知識浸透を、難しいからといって諦めてはいけないはずです。ミスリードのヒステリシスを承知で、ありとあらゆる機会を利用して徹底的に啓蒙していくべきだと思います。健全な危険感性で想像すれば当然のことを、いちいち考えるまでもなく当たり前に実行できるように。明確なビジョンの下で、既得権執着者らの屁理屈をつぶすよう地域実情にみあった事業を進め、本来ルールを守ることが安全で、それが当然でカッコイイと思われる社会にしていくために、ここで語られるようなことに今は興味がない人たちにも実践者を広げていく努力を続けることが大切だと思うのです。
しつこいことを大分の方言で「しちくじい」と言います。これからの日本にもできるはずだと私も思います。大人は子供のためにやれるはずです。
「弱者優先」は、弱者側から要求するのではなく、強者側から配慮するのがあたりまえになりますように。
とにかくまず自分が模範になる運転をすることですよね。
すべての自転車好きが模範運転をすれば、少しずつ変えられると思います。
この自転車ブームを作ったのもそうした動きからなんだし。
こんばんは。
車道を走行する自転車に対して嫌がらせをする四輪車は少なからず存在する。だがしかし、四輪車の気持ちも分からなくはない。信号無視・一時停止無視・車道の逆走・夜間の無灯火・並列走行・携帯端末等の使用・乗車定員オーバー・酒酔い運転などの自転車が走り回っていると言う現実世界。交通ルールを守らない四輪車も多数存在するが、それとは比べ物にならないくらい圧倒的にルール無視の自転車が多いのも事実。自転車=赤信号と思っても間違いではないだろう。これでは四輪車のドライバーが怒っても無理は無い。自転車はそんなに安易な乗り物ではない。
権利を主張するのであれば、義務を果たさなければならない。当たり前の事だ。交通ルールを守らない者に権利の主張は認められない。ただ、義務を果たしたからと言って当然のように権利の主張をするのも考え物だ。
互いに、譲り合えば余裕が生まれ奪い合えば不足する。まあ、現在の日本の道路事情で譲り合うなど到底考えられないが。
四輪車ドライバーが怒ったのなら、制限速度超過や、煽り運転=車間距離不保持、スレスレ追い抜きや幅寄せ、クラクションの違法使用他、数多くの人命に直結する傲慢な危険運転、犯罪行為が許される、と考えているドライバーの多さこそが日本における最大の問題点なのです。自動車は周知の通り、排ガスや騒音、振動等で公害性が高く、重量、専有面積、実際の犠牲者数からしても、自転車の数百倍以上は危険な乗り物ですが、それを運転するドライバーらのなかで、あまりにも交通弱者保護優先という意識が他の先進諸国と比べて欠落が目立ちます。
現状は、歩行者や自転車があまりに譲りすぎ、自動車が凶暴なほど何もかも奪いすぎており、自動車を不便にしてでも自転車や歩行者に安全安心な環境を与える、という適正化、健全化を進めようとしているところであります。
譲り合いにしても『車道は自動車様のものだぞ!どけ!譲れ!てめぇの安全のためにな!自転車は義務を果たしてもその権利は偉い自動車様のために曲げろ!』という言動、自動車運転が蔓延しており、実際、その狂気が蔓延している状態です。その矯正には一刻の猶予もないでしょう。自動車ドライバーへの徹底した指導や啓蒙、取り締まりや罰則の強化が必要不可欠です。もちろん、並行して自転車専用レーンや専用道の整備も。
現状、自動車が交通弱者を思いやらずに我が物顔で車道や生活道路を違反危険走行、占領している状況ですから、それらへの走行制限、進入制限は必要不可欠でしょうね。維持費アップや、ロンドンやシンガポールがやっているように、人口密度の高い地域、市街地等の自動車進入には交通弱者保護優先のため、通行料を取るなどして往来する自動車台数を減らすことも重要です。私用車進入禁止も理想的でしょう。
自転車のモラルばかり叫ばれがちですが、道交法の基本中の基本である『制限速度以下で安全運転』をしているドライバーはどれだけいるでしょうか?
信号のない横断歩道で人が渡ろうとしているのに停止しない道交法38条違反ドライバーは何割か?県警調査によると9割だそうです。制限速度超えの暴走行為から、信号のない横断歩道で停止しないという道交法38条の二重違反がこれほどはびこっている先進国は他にないでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/takopons/20060808/1154999687
クラクションの身勝手な違法使用、
http://nemonemo.nobody.jp/koutuu02.html
他にも、万が一の安全が確保できない側方間隔1.5メートル以上あけないスレスレ追い抜き、煽り運転(車間距離不保持)、事故を誘引する路上駐車違法駐車、警察に見つからないようにコソコソと携帯をいじっている姿など毎日のように見かけます、一時停止線をその図体でビュンと通り抜け、児童生徒をはじめ市民らの命を脅かしています。道路に鼻先を出して自転車を妨害するドライバーも珍しくありません。飲酒運転撲滅運動をあれほどやっても、自動車飲酒運転での加害死亡事故で日本は溢れています。だいぶ暗くなっても車幅灯で走行する自動車の数の多さも深刻です。車幅灯では自転車の反射板からろくに光を受け取ることができません。暗くなっての車幅灯走行でも、日本のドライバーの速度はもちろん制限速度を超えたスピードです。
他にも人命と直結する傲慢な運転は数多いですが、非常に長くなりますので割愛します。テレビや新聞が、ドライバーらの危険運転、暴走犯罪行為をろく報じないだけ、だということをご理解ください。
歩道においても自動車は、自転車と比較にならぬほど数多くの人命を奪っています。
http://d.hatena.ne.jp/delalte/20111021/1319158025
新聞やテレビは、自転車の歩道走行の危険性を叫んでいます。ですが、それより遥かに危険で凶悪な、自動車の歩道での振る舞いについて、少しでも報道したでしょうか?まずはその辺りから考える必要がございましょう。
ちなみに、去年と今年、歩道で起きた、自転車加害死亡事故は、たった一件なのです。
http://d.hatena.ne.jp/delalte/20111028/1319795166
もちろん、自転車は法律的にも、歩行者という交通弱者保護のためにも原則車道を走るべきなのでしょう。
ですが、その前に自転車が安全に、安心して走行できる環境整備は義務ともいえます。多くの人命がかかっているのですから。事故が起きて、人が死んでからでは、何もかも遅いのです。自転車の方への指導や啓蒙等も大事ですが、それより遥かに危険な乗り物である自動車への指導、啓蒙、走行制限、進入制限、取り締まり、罰則等の徹底強化、そして、自転車が自動車に命が脅かされることのないような自転車専用レーンや専用道、そのネットワーク化、すべてはそれを整備してからでないといけないはずです。今のまま自転車を車道に出しては、私は、若く尊い命が無為に奪われる事態になるだけだと思います。
たしかに危険な自転車走行をしてしまう中高生はおりましょう。ですが、お若い彼ら彼女らが、それまで自転車で安全な運転を教わる環境を、教育界や行政は用意してきたか?自転車に対して危険な運転をするドライバーが撲滅淘汰される環境実現のために行政は全力を尽くしてきたか?
その点を考えれば、自転車利用者だけを集中して叩くことが、いかに無意味かがよくわかりましょう。
自転車が安全安心に走行できる環境の整備、路上駐車違法駐車やいたずらな自動車侵入行為を防ぐ保護柵つき自転車専用レーン、自転車専用道、そのネットワーク化……急ピッチで進めるべき箇所がたくさんあります。車道を削り、たとえ一車線にして自動車一方通行にしてでも、それは実現しなければなりません。歩道整備、自転車専用レーンや専用道等の走行環境整備・・・どうしても自転車と自動車を混在させねばならないのなら、その道路はドイツのように速度制限を時速30kmにし、1kmでも超えたら例外なく罰を受けさせる。オービス等を活用するのです。実質速度25km以下にさせるわけですね。そして、自転車への強引な追い抜きを撲滅させるために側方間隔1.5メートル以上とれない場所、シチュエーションでの危険な追い抜きをさせない、取り締まることが必要不可欠です。ヨーロッパでは『自転車を追い抜くときは1.5m以上間隔を空けろ』の標識まであるようです。極めて健全で交通弱者への思いやりがある標識と言えましょう。
実際のヨーロピアンドライバーも、根気よく自転車を側方間隔1.5メートル以上あけて安全に抜ける場所まで十分な前方車間距離をもって、自転車の速度についていくと聞きます。もちろんその間、クラクションは鳴らしません。車道における交通弱者優先意識が徹底されていると言えましょう。
制限速度以下で安全走行すらできない日本のドライバーに守らせるのは難しいかもしれませんが、自動車の他者への危険性からしても、徹底検挙罰則強化の強硬姿勢で臨むべきでしょう。人命がかかっているのですから。人命が奪われてからでは何もかも遅いのです。自動車により、年間500人近い人命が奪われています。気が遠くなるような数の人々です。5000人という人の数を、一度思い浮かべてみるよいでしょう。それぞれに人生があったのです・・・。自動車の運転は極力控えねばならないことであると社会全体に理解させる必要があります。そして、自転車が安全に、安心して走行できる環境整備の必要性も、です。
自動車は年間5000人近い人命を奪っていますが、自転車はどうでしょうか?自転車加害死亡事故や重体事故は、というと非常に少なく(下記ページ)他者に対しての殺傷性は、もはや比較にならないのは一目瞭然です。
http://d.hatena.ne.jp/delalte/20111028/1319795166
交通弱者保護優先は、何物より優先されて当然の概念であり、それに則って道路整備や指導啓蒙、取り締まり、罰則強化を進めていかねばならないものです。ですが日本はそれができていない。ドライバーも、国も、です。自転車で道路交通法を尊守しつつ車道を走っていて、これほど劣悪な思いをする先進国はないものでしょう。
自転車専用レーン整備における、車道との間の保護柵については、ドライバーらの路上駐車違法駐車を行うことの罪の意識の軽薄さをみても必要性は明らかです。実際に、保護柵のない自転車専用レーンが、上記ドライバーらの身勝手で傲慢な自動車運転により機能不全に追い込まれているのですから。非常に無惨で、ドライバーらの交通弱者保護優先思想の欠落さ、モラルやマナーの低さの象徴、シンボルといえます。路上駐車や違法駐車、自動車進入行為で自転車専用レーンをガラガラにしておきながら『自転車専用レーン作ったけど、利用者が少ないから車道にしよう』などと述べるドライバーを、私は数多く見てきました。これが日本のドライバーの実態なのです。
下記ページは施工事例です
http://www.sjc.gr.jp/bicycletransit/result.html
自転車専用レーンへの路上駐車や違法駐車、自動車進入行為で自転車利用者を怖がらせ怯えさせ、自転車利用を控えさせて自転車専用レーンをガラガラにしておきながら
と書いたほうが実態がよく伝わりましたね。失礼しました。
私は、日本の場合、保護柵のある自転車専用レーンでなければ、すぐに自転車専用レーンが機能不全に追い込まれ、意味のないものとなってしまうと、確信をもって主張できます。
道交法通りに自転車で車道走行をしていても、傲慢で身勝手なドライバーにより身の危険を感じることが本当に多い。制限速度以下で安全運転をせず、側方間隔1.5メートル以上あけないスレスレ追い抜きや幅寄せ、煽り運転=車間距離不保持違反、クラクションの違法使用等、
真っ当に車道を走っている自転車が怖い思い、怯える想い、危険な思いをすることが多数あるのが日本の車道の現状です。
私は自転車を心から好きだといえます。家族みんなで自転車だけであちこちをまわりたい。ですが、車道におけるドライバーの実態、自動車の干渉を受けない真っ当な専用レーンや専用道のあまりの整備されてなさから、それができない状況にあります。自転車という世界的にも"交通弱者"と認められている存在が、安心して安全に色々なところへ行かないなんて、あまりにおかしいでしょう。
自動車ドライバーらのコミュニティや、一部自転車コミュニティにおいても『車道は自動車様のものだぞ!どけ!譲れ!てめぇの安全のためにな!』という言動で溢れています。とても先進国のそれとは思えませんし。実際かけはなれています。車道を自転車で真っ当に走っておられる方が受けている、非常に怖いだろう、傲慢で危険な自動車運転は日常的に見受けますし、実際に自転車で車道を走ってみても痛感するばかりです。
ドイツの運転事情をまとめてくださっています。日本のドライバーには、まず、制限速度厳守という基本的で当たり前のことから始めねばなりません。
http://blog.goo.ne.jp/kentaro_neko/e/709d46b5e127a10d3ab4e08667c3bee1
繰り返しになりますが、自転車の方への指導や啓蒙等も大事です。ですが、それより遥かに危険な乗り物である自動車への指導、啓蒙、走行制限、進入制限、取り締まり、罰則等の徹底強化、維持費アップ、市街地商業地域等人口密度の高いエリアは通行料を取る、私用車進入禁止などして自動車を減らし、そして、自転車が自動車に命が脅かされることのないような自転車専用レーンや専用道、そのネットワーク化、すべてはそれを整備してからでないといけないはずです。
ですが、自転車の車道走行を促す、マスコミの扇情的な報道は、なされてしまった……火蓋は落とされたのです。
ひとりでも多くの人命を救うため、自転車で安全安心して走れる走行環境の整備が急務であり、一刻の猶予もない状態であるということを、ドライバー等の交通強者や、議員、警察、道路行政担当者は強く念頭において事に当たらなければなりません。市民らも、自転車歩行者という交通弱者の目線から、厳しい目で物事を見る必要性がこれからより一層強まりましょう。役所、警察、議員、知事に市民の声として自分の考えを届け続け、それが実現するまで継続することが大事です。日本は、あまりにも歩行者や自転車という守られるべき交通弱者がおざなりにされてきました。それは決して、許されてはならない、虐事であります。
最後になりますが、私はよく目にするのです。悲しそうな顔をした小学生が、国道沿いの信号のない横断歩道の前でずっと手をあげています。ですが、自動車は一台も止まらない。通らせない、譲らない。なぜこんなことに?私には理解できません。
このところの筋の通ったブログ記事大変感心しています。素直に考えれば仰る通りなんですよね。が、某大手マスメディアの記事は困ったものです。というより、怒りすら覚えます。一方の世論を背景にした結論ありきの為にする、あたかもキャンペーンのような展開。よく知られた「銀輪の死角」のような客観的事実の検証と自転車先進諸国の取組の積上げた内容と好対照です。世間の話題となれば飛びつき、後は知らん顔?それこそ今話題の老害トップの影響なのでしょうか。
トンサンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
マスコミでも盛んに取り上げられています。やはり身近な問題で関心も高いのでしょう。
まだ具体的で目に見える変化まではいかないでしょう。横断帯の白線を消すにしても、予算的な問題もあるでしょうから、次の定期的なメンテナンスの際に消すなど、スケジュールがあるのではないでしょうか。
そうですね、長い時間がかかりそうです。
kitaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
震災後に自転車通勤が急増しましたが、自転車のことをより知るようになって、マナーや意識が向上した人と、そうでなかった人がいたようです。
それ以前から自転車通勤していた人で、マナーが悪化したと感じた人は少なくないと思います。労災を意識して、走行していた人がどれほどいたのかは、多少疑問です。
会社側としても、自転車通勤を認めるところまで理解のあるところは、まだまだ多くはないでしょうね。
総務の人にしても、自ら自転車に乗るような人でないと、自転車のルールに対して理解が足りないということでしょう。
考えてみれば、世の中の大多数はママチャリで歩道を通る人たちです。世間一般の理解はそんなものということなのでしょう。
警察は、あらゆるチャンネルを通して広報に力を入れていくとしています。中学高校だけでなく、自転車通勤の多い事業所であれば、当然総務を通してルールの徹底を図るため、協力の要請があってもおかしくないとは思います。
ただ、おっしゃるように、地域差はあるかも知れませんね。
七九爺さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですか。家族談義のお役に立てたのであれば、よかったです。
自転車を取り巻く環境について、あるいは自転車そのものについての理解が世の中に広がっていけば、変わってくると思うのですが、大分に限らず、まだまだというのが実際のところでしょう。
親切な人、マナーがいい人も、もっといると思うのですが、特に歩道上で、「強者が弱者を怯えさせる」状況になっていることに気づかない人、意識していない人も多いのだろうと思います。
歩道を通るのが当たり前になってしまっていることの弊害の一面と言っていいでしょう。返す返す罪が重い道路行政だったと思います。
白チャリ警官も含め、自転車に関しては意識が低いと言わざるを得ませんね。
先行している欧米などの例を見ても、人々の認識が戻らないことはないと思います。一人ひとりに正確な理解を求めるのは大変ですが、いったん秩序が出来てしまえば、多くの人はそれに従うようになるでしょう。
もちろん教育や広報活動などによる周知徹底、啓蒙活動は重要ですが、危機感を感じていない「強者」に、本当に理解してもらうのは、本人が自覚しないことには難しい面もあるでしょう。
しかし、周りの人がみんな守っていれば、意識しなくても守るようになると思います。自分だけ、わざわざ外れて目立つのも意味が無いですし、周囲の秩序に逆らうのは余計な労力がかかります。
逆に言えば、そのような秩序をいかにつくるか、ということだと思います。全員に理解してもらわなくても、何も考えなくても自然と守られるようにするわけです。
その意味で、例えば歩道走行にしても、例外を作らずに徹底して、車道走行が当たり前にしてしまえばいいと思います。
一朝一夕にはいきませんが、欧米などの例でも、一旦流れが出来てしまうと、意外に軋轢も少なく移行してしまう可能性は小さくないようです。
ぶーちょさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、自転車好きの人たちが、みな模範となるような行動をしていれば、それがカッコいいことになり、それに外れるのは恥ずかしいと感じるようになると思います。
そういう人が少しずつでも増えていって、周囲がみな当たり前のように行動していれば、普通に守られていくようになると思いますね。
passerby Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃる通りだと思います。ただ、全体で捉えるとその通りですが、一人ひとりを見れば、ルールを守っている自転車乗りも大勢います。もちろん、弱者優先の運転をするドライバーも少なくないはずです。
自転車=ルールを守らない、と見てしまうと、自転車がみな悪く見えてしまいますが、ルールを守っている自転車乗りからすれば、迷惑な話です。逆にクルマは嫌がらせをすると決め付けるのも違うでしょう。
クルマ対自転車という対立で見ること自体、不毛な論議となりかねません。
交通ルールを守らない自転車乗りがいるのは確かですが、自分たちの安全を守るためにも、自転車乗りたちは、他の自転車乗りたちのルール無視、違法走行などに目をつぶることなく、現状を変えていく努力をする必要があるということなのでしょう。
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ご指摘の趣旨はわかりますし、問題だとは思いますが、クルマのドライバーに、狂気が蔓延している状態とまで見るかどうかは意見の分かれるところでしょう。
クルマが何もかも奪いすぎとか、「車道は自動車様のものだぞ!どけ!譲れ!てめぇの安全のためにな!自転車は義務を果たしてもその権利は偉い自動車様のために曲げろ!」という「言動が蔓延している」とまで言うのは、あまりに極端な表現で、かえって説得力を欠くような気がします。
物流などでクルマの恩恵を受ける部分もあるわけですし、ドライバーを全てひとまとめにして目の敵にするかのような表現は、必ずしも共感を呼ぶとは思いません。
誰でも歩いたり、運転したり、自転車に乗ったり、いろいろな立場にたつわけですし、クルマ対歩行者、クルマ対自転車といった対立をあおるような議論も不毛なものになりがちだと思います。
(続く)
(続き)
悪質なドライバーがいることは、その通りだと思いますし、方法論はともかく、それを取り締まる必要があることにも異論はありません。
悪質な自転車の違反より、悪質クルマのほうが問題であるというのも、被害の大きさから見ればその通りでしょう。
しかし、ここでは自転車のことについて取り上げており、なんでもクルマよりマシでは自転車に対する考察になりません。クルマのほうが悪いから、自転車のルール違反が許されるということでもないでしょう。
柵付きの自転車道として亀戸の例などを挙げてらっしゃいますが、あの柵のついた自転車レーンは、サイクリストからの悪評が高いことで有名です。必ずしも車道と柵で分離するのがいいとは限りません。
おっしゃっていることは、ごもっともだと思いますが、ここでは自転車について書いているわけで、自転車よりクルマが悪いと、クルマのドライバーへの批判ばかりでは、論点がずれてしまいます。
クルマに対して相当お怒りのようですね。もちろん、おっしゃっていることの趣旨はわかりますし、それを否定するわけではありません。しかし、そのことはここでお書きになるより、クルマに関して書かれている場所のほうがいいのではないでしょうか。
「『車道は自動車様のものだぞ!』という言動で溢れている自動車ドライバーらのコミュニティや、一部自転車コミュニティ」があるとおっしゃっていますが、せっかくなら、そうしたコミュニティで反論なさったほうが意味があるのではないでしょうか。
kurajiさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、見方が偏っている記事もありますが、そんなにひどい記事がありましたか。
毎日の「銀輪の死角」は、客観的ですし、問題意識を持ったいい記事が多いですね。
ノーブレーキ・ピストの問題にしても、それが何だか、全く理解しておらずに書かれているとしか思えない記事もありました。そもそも自転車のことなんてと手を抜いているのでしょう。
老害トップは、自転車の問題についての報道姿勢にも指図をするのでしょうかね。担当の記者の理解不足、あるいは認識の偏りのような気もしますが..。
全く同意見です。
そう、私の言いたかったことをすべて言ってくれている。
本当に歩道が安全ならば、原付や二輪車も歩道走行許可がされていてもおかしくないです。
「原動機付自転車」っていうだけあって、一番共通点も多い。原付を自転車はあてはめて考えてみれば、歩道走行がいろいろとおかしい、矛盾しているということに気づくはず。
ミイさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
40年以上、これで来てしまったため、違和感もなく、普通のことのように思っていますが、自転車の歩道走行がおかしいことに気づく人が増えてほしいものですね。
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