今年もいろいろなことがありました。この時期になるとテレビや新聞でも、この一年を振り返る特番や特集が組まれます。今年は何と言っても東日本大震災と福島第一原発の事故がありました。ほかにも大型台風が相次ぎ、
新燃岳が噴火するなど、災害に見舞われた年でもありました。
世界ではタイでの洪水に、ニュージーランドやトルコの地震も起きました。チェニジアからエジプト、リビアなどアラブの春が広がり、カダフィ大佐、ウサマビンラディンや金正日総書記の死亡のニュースもありました。ギリシャから始まったユーロ危機では、ユーロ圏全体の信用不安に発展しました。
なでしこジャパンは世界一になりましたし、大相撲は八百長で本場所が中止になりました。ほかにも、さまざまなことが起きた年だったわけですが、ここでは、サイクルロード的に自転車に関する出来事やニュースなどを中心に、今年の記事と共にこの1年を振り返ってみたいと思います。
今年1月、新年から毎日新聞が自転車の大型特集を組み、他紙や他のメディアも含めて自転車への注目が集まっていることを感じさせました。マスコミの問題提起が世間の関心を集めることで、マナー改善などへのきっかけになることも期待されます。1月末には、国会でも自転車の活用が取り上げられています。
多くの人の認識を変える為に
むしろ大きなチャンスとして
2月に入っても、自転車と歩行者の事故などがマスコミで取り上げられ、注目を集めるようになり、自転車レーンについての議論も各地で起きるようになりました。まだまだ正しく理解されているとは言えない面も多々ありますが、話題に上るようになったことは、変化の兆しを感じさせました。
将来に禍根を残さないために
マナーと自転車環境の向上へ
3月には、クルマメーカーが自転車レーンの設置を全国で進めるよう、国や自治体に提言しています。そして、東日本大震災が発生しました。首都圏でも帰宅難民が大量に発生し、その後の原発事故の影響で交通機関が混乱したため、急遽自転車通勤をする人が増えました。
クルマの形と道路のデザイン
やむなく自転車通勤する時に
被災地では燃料が不足したことと、がれきで道路が寸断されてしまったこともあり、クルマの代わりとして自転車を使う人も多かったようです。津波で自転車を流されてしまった人も多く、全国から被災地へ向け、救援物資として自転車を送る動きも広がりました。
いま自分が出来ることをする
自転車を使うことで出来る事
貴重な機会をきっかけとして
震災後は首都圏などでもガソリンが不足し、スタンドに長蛇の列が出来ました。計画停電による交通機関の混雑などもあり、震災以後、通勤もふくめたふだんの生活に自転車を活用する動きが広がりました。4月以降も自転車が、何かと注目を集める場面が増えました。
街に自転車の姿が増えている
災害にも強い市民のための道
自転車を災害時に、さまざまな形で活用しようと見直す機運も高まりました。災害関連以外でも、自転車への関心が高まったこともあって、自転車シェアリングなどに注目が集まるようになってきました。自転車保険やスマホの自転車アプリなど、自転車関連のサービスの開始などもニュースになりました。
ペダルパワーを備えておけば
肝心なところが不足している
公共交通機関が正常に戻っても自転車通勤を続ける人が増えました。これにより、それまで一般的には知られていなかった、職場まで自転車で行く自転車通勤が広く認知されるようになったのも今年の変化でしょう。夏に向けて節電が叫ばれ、街灯が消されて夜間走行が危険にもなりました。スポーツ基本法も成立しています。
ツーキニストが世界を変える
節電することで高まる危険性
基本の以前に前提となるもの
震災以降、にわか自転車通勤者が増えたこともあってか、自転車のマナーの悪さがクローズアップされることが増えてきました。そんな中で、警察庁は歩道や自転車道を走る自転車に、標識で左側一方通行を指示できるようにする方針を打ち出しました。
マナー改善では済まない段階
むしろ遠ざかってしまう心配
夏から秋にかけて、ノーブレーキ・ピストの問題が大きくクローズアップされました。警察は取り締まりを強化し、マスコミもこぞって取り上げました。自転車に乗りながらのケータイの操作やイヤフォンを使っての音楽なども含め、自転車マナーの悪さ、ルール違反といったマイナス面があらためて問題となりました。
ノーブレーキがもたらすもの
違反ではないが安全ではない
人間の本性が出やすい乗り物
便利になるぶん危険は増える
そして10月末、警察庁は自転車に原則車道走行を徹底するという方針を打ち出しました。これは、従来の自転車行政を大転換するものと言えます。同時に原則車道走行への転換を促すため、自転車走行空間の整備や、通行のためのインフラ整備を進めていく方針を表明しました。
例外は台無しにつながる欠陥
問題はインフラの整備だけか
自転車の原則車道走行は、各方面に大きな波紋を広げました。地域ごとにも反応が分かれ、車道走行なんて無理と言う声も多かったようです。自転車レーンなど自転車走行空間の整備を求める声も強まりました。少なくとも、自転車が本当は車道走行するものだという事実は、これまでより大きく認知されることになりました。
クルマ優先こそが間違いの元
歩道走行のままではいけない
地図を作るだけでは足りない
自転車レーンの整備は困難か
こうして振り返ってみると、2011年は、自転車の社会的な面においても、大きな出来事が起きたと言えるでしょう。震災で自転車を使う人が増えたこと、危険なルール違反やマナーの悪さにあらためて大きなスポットがあたったこと、そして警察庁が自転車行政の大転換と言うべき、原則車道走行の徹底を打ち出したことです。
事故を減らすためにも車道走行は必要不可欠だと思いますが、まだまだ一般的な理解度は低いのが現状です。現実問題として、これが徹底されるためには、自転車レーンなどの整備の推進が必要になるでしょう。いずれにせよ一朝一夕にいく話ではなく、その一歩を踏み出したというところです。
原則車道走行とその必要性についての理解が進むかどうか、実際に自転車レーンの整備が進んでいくかどうかについては、まだ予断を許しません。今後の推移を見守っていく必要があります。それでももし、将来において実現するとすれば、2011年がターニングポイントだったと思い返すことになりそうです。
年内の更新はこれでおしまいにします。今年も一年、お読みいただきありがとうございました。
みなさん、よいお年をお迎えください。
Posted by cycleroad at 23:30│
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