流通から生活まで変える技術
アップルの次なる新製品が、ついにヴェールを脱ぎました。
“iPhone”、“iPad”に続くアップルの新たな製品は、なんと自転車、“iBike”です。巷では既に、そのデザインや機能が取り沙汰されています。“iPhone”や“iPad”を車体に組み込んで使えるようになっており、自転車自体が新しいタイプのコミュニケーション・ツールとして機能することになります。
と、言うのはお約束、
エイプリルフールのウソです。残念ながら“iBike”も“iCycle”も発表されていません(笑)。
ところで、アップルと自転車、突飛な組み合わせのようですが、以前とりあげたように、故スティーブジョブズはパーソナル・コンピュータを、「
知の自転車(Intellectual Bicycle)」と表現するなど、自転車好きな面がありました。プライベートでは、イタリア・トスカーナ地方をめぐる自転車旅行をしたりしています。
実は、これも以前取り上げましたが、アップルは「
スマート自転車(The Smart Bike)」の特許を申請しており、アップルの自転車が発売される可能性は充分あります。ただ、特許が申請されたとしても、製品化されるとは限りません。同社には日の目を見ることの無い特許もたくさんあることでしょう。
さすがに、アップルがすぐに自転車製造に進出することはないと思いますが、アップル的なデザインの自転車があったら欲しいという人もいると思います。冒頭に載せたようなデザインの自転車が発売されたら、それだけで一部のアップルファンは大喜びするかも知れません。
しかし、アップル的なデザインと自転車としての性能や機能性は必ずしも両立するとは限りません。自転車メーカーとすれば、ごく限られた一部の人にしか需要が期待できないモデルを製品化するのは、魅力的なプランとはいえないでしょう。工業製品として、ある程度量産しなければ採算も取れないはずです。
ところが、未来においては、そのあたりの事情が変わってくる可能性があります。最近、さまざまな分野で用いられつつある3Dプリンターを使って、自転車をプリントアウトする時代が来るかもしれません。既にイギリスで、ナイロン樹脂を3Dプリンタで製造する自転車の開発が進んでいます。
“
Airbike”と名づけられたこの自転車、アルミなどの金属と同等以上の強度を持ち、重量は3分の2程度、充分乗用に耐えると言います。ナイロン樹脂にカーボンやチタンなどの粉末を加えることで、強度をアップさせています。ギアやペダル、ハブなども含めて、一体で製造できるそうです。
3Dプリンターも、紫外線をあてると硬化するアクリル系樹脂によるもの、地層のように積み重ねて熱で溶解させて立体物を作り出す熱溶解積層法、石膏粉末などを吹き付ける粉末固着式など、さまざまな方式のものが開発されてきており、プリンターで印刷するのと同じくらい手軽に3次元の物体を造形出来るようになってきています。
価格は数百万から数千万円するので、今のところ限られた産業用の用途にしか使われていませんが、少しずつ低価格のものも出始め、今後は一般への普及も期待されます。将来、自転車の設計データをネットからダウンロードして、自分でプリントアウトして乗ることが出来るようになるかもしれません。
そうなれば、同じデザインのものを大量生産する必要はなくなります。一人ひとりオーダーメイドするのも簡単ですし、誰でも気に入ったデザインを3Dプリントして乗れるようになるでしょう。これは自転車に限ったことではありませんが、工業製品の製造や流通の概念を根本から覆すことになるかも知れません。
当然、サイズは自分の身体にピッタリです。いつでも好きな場所、例えば駅でプリントアウトして、そのまま走り出せるかも知れません。可塑性の素材が開発されれば、持ち運ぶときはコンパクトで便利な形で持ち歩き、乗り出すときに公衆3Dプリンタを使うなんてスタイルも考えられます。
製造の手間、コストが省ける分、価格も安くなる可能性があります。それこそ、自転車は音楽を買うのと同じように、“iTunes”で3次元の設計データをダウンロードして買うようになるかも知れません。さすがのスティーブジョブズでも予想しえなかった展開なのではないでしょうか。
自分でオリジナルの自転車を設計してのプリントアウトだって出来るようになるでしょう。カーゴバイクだろうが、タンデムであろうが、リカンベントであろうが、あるいは全くのオリジナル自転車だって、簡単に製造出来ることになります。その時々の都合やこだわり、気分に合わせてデザインも自由自在です。
パーツだって、アクセサリーだって、いちいち買いに行く必要はありません。ダウンロードしてプリントアウトです。週末の予定に合わせて、ロードバイクを溶かしてマウンテンバイクにして再プリントするなんてスタイルが可能になってもおかしくありません。
自転車の製造や流通だけでなく、さまざまなシーンで、我々の自転車生活は一変するに違いありません。まさに夢のような未来ですが、既に開発が進んでいるわけですし、理論的にも決して不可能ではないと思います。まさに、「ウソ」のような未来が、本当になるかも知れません。
東京でも昨日、少し遅いですが、桜が開花したようです。満開は来週末辺りでしょうか。去年は自粛した人も多かったようですし、楽しみですね。
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Posted by cycleroad at 23:30│
Comments(5)│
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cycleroadさん こんばんは。
3Dプリンターで製作。
いーですねー。
強度とか安全性とか、色々面倒な事も有りますが、
「夢」というか「楽しみ」がありますよね。
私も3D−CADを使いますし、3Dプリンタの現状も、そこそこ知っています。
本当に便利な時代になっています。
使いこなす事は難しいかもしれませんが、美味しいところだけ戴くような感じで
使えるところだけ上手に使わせてもらう、という風に考えることができれば、
可能性は大幅に広がるでしょうね。
話は全く変わりますが、昨日、Bikeで走りだした時の事です。
私がロードバイクで、公道を真っ直ぐに走っていました。
とある会社の入口直前に差し掛かりました。
後ろから乗用車が近づいてきて、私とほぼ並んだところで、
乗用車はそのまま左折して会社の方に入って行きました。
接触寸前でした。
私のBikeは25〜30Km位のスピードで走っているのに、
運転者には、自分の視界から消えると(まだ追い越し切っていないのに)、
「完全に追い越したし、追いつくはずが無い物体」になっていたようです。
私のBikeの後輪はロックしましたが、前輪がロックしないように、
手動ABSで転ばないように必死でした。
私は構内まで追いかけて行き怒鳴り散らしてやりましたが、
怒鳴られた運転者は、自分が何をしでかしたのか全く分かっていない様子でした。
30代から40代位の女性ドライバーです。
私の周囲の人間に話してみると、このような事は日常茶飯事のようです。
自動車の運転にしろ、自転車の運転にしろ、大事なことはやはり
周囲の安全に注意を払えているか? ということだと思います。
多くの人達が、被害者にも加害者にもならない事を、真剣に考えて
行動してほしいものです。
(愚痴が入って長くなりました)
先日、昼間に何年ぶりかにジャンジャン横町のとある一件の寿司屋に訪店したところ、なにやら客同士で口論している最中でした。顔を紅潮させた男性がいまにもつかみかからんばかりに着席したままの女性を睨みつけてました。男性は腹立ちが収まらぬようでしたが相方になだめられてなんとか離店しましたが、女性のほうは連れの男性といっしょになって口撃をやめませんでした。相手が帰った後に店員に向かって、「私、何か悪い事をしたの?だったらお店から注意されたはずよねっ?」と同意を求めましたが店員は黙ったままでした。私の方は店員に注文を促されても気がそがれてしまってたので事が収まるまで食べる気になれませんでした。事態がよく飲み込めず、口論の原因がなんだったのだろうかと思案しておりましたがやがてなんとなく分かるようになりました。女性が連れの男性となにやら訳の分からん愚痴を再開し始めたからです。怒って出て行った男性は多分その声に辛抱できなかったんだなあと。男性に罪があるとしたら我慢できなかったぐらいでしかない。それと比して女性の厚顔無恥さが上回ってたんだなあと。男性にしてみれば美味しい酒と肴を味わってたのに家の女房の愚痴を再度味わう目になって気分を多いに害したんだなあと。厚顔無恥な女性って無敵だなあと思いました。店員は説教しても無駄だと分かってたのでなにも答えなかったんじゃない?女性の方は経験から学ぶしかない、また同じ事を繰り返したら分かるかも知れんと。男性にはお気の毒様(ご苦労様)、また再会したら慰めてあげたいね(代弁してくれてありがとう)、なんて思ってたかもね。「厚顔無恥なクルマって!」
追伸、「一件」は「一軒」の間違いね。先日歯医者に聞かれました。歯がいびつに欠けてるんだけど「歯ぎしり」でもしてるのかと。自分は他人より余計に歯ぎしりしてたんだなあと反省。これからは遠慮なくどんどん文句(愚痴)を言わなくっちゃね、と。そのためにはもっともっと自転車に乗らないと。
私の愛車です(5番目)。
http://recumbent_owner.kino.client.jp/AVDOwner.html
ほこりをかぶってたので何年ぶりかに手入れしたら、夢中になって、そしてくたびれて横になって寝てしまいました。またこいつと一緒に走ろうと思います。
Q.私の息子が自転車と添い寝しているみたいなんです。友達や恋人がいなくて寂しいんでしょうか?
A.(息子)「夢の世界でも乗りまくりたいんだ!君が好きで好きでたまらないから」、、、、、、貴女がご主人と添い寝している姿を見て学んだのでは?
Fischerさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ハブやギアまで一体成型とは、にわかには信じられない気もしますが、未来の自転車は、そんな風になるのかも知れませんね。
昔だったら考えられないくらい技術も進んでいますし、自転車だって、ある時、あっと驚くような技術的な飛躍、流通形態や製造シーンの大転換が起こりえる、少なくとも可能性はあるのでしょう。
私も遭遇したことがあります。後方確認しないで右左折したり、車線変更するような、信じられない運転をする人は、確実に存在するようです。
自転車が目に入っていなかったり、そのスピードがわかっていないようなドライバーも、まま存在しますね。
こちらは、下手をすれば大怪我は免れませんし、ホントにシャレにならないですが、追い抜いて即左折されるというのは、結構経験しているサイクリストが多いのではないでしょうか。
幸い大事には至らなかったようですね。とりあえずご無事で何よりです。
sharetheroadさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
なんだかスゴイ場面に遭遇されたようですが、公衆の面前でもキレる人が増えているのかも知れませんね。
トライクのリカンベントに乗ってらっしゃるのですか。
ついつい手入れをサボってしまい、何かの拍子にいじり始めると、時間を忘れて夢中になってしまうという感覚は、よくわかります。
そういう人は結構多いような気がします。
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