自転車の場合、細かい部分はともかく、その大枠はほぼ世界的に共通しています。工業製品としての自転車はグローバルに取引され、部品も世界で流通しています。何か特別な材料などを使って手作りするようなケースを別とすれば、そう大きな違いはないはずです。
ただ自転車を使うにも、国によって気候や風土、地形や交通、歴史や文化など、環境や事情は大きく違います。当然ながら、そこに住む人々の考え方も違います。センスや感覚も違うでしょうし、ライフスタイルや興味などによって、自転車は同じでも、使い方、発想やこだわりなどには違いが出てくるようです。
これまでにも、世界各国の自転車事情についてはいろいろ取り上げて来ました。今回は、私たちの感覚とは少し違った自転車やその使い方、楽しみ方、こだわりなどについて、最近目についたものの中から、いくつかピックアップしてみたいと思います。


最初はパナマです。自分の自転車を差別化し、個性的に飾ろうとする人が多い国の一つです。パナマでは、自転車の個性が重要視されるようです。もちろん、
このサイトの写真は一例に過ぎませんが、どの人も得意げに映っています。日本では、こうしたカスタム自転車は、あまり見かけません。


日本でも一部中高生などに、こうした改造を施す人もいますが、大多数の人が、ほぼ売られているまま乗っていると思います。パナマの人から見れば、みな同じような自転車に乗っている日本人は、個性がない、センスがない、創意工夫がないと見えるのでしょうか。

海外には、なぜか自転車の高さにこだわる人が少なくない国もあります。アメリカなどもそうですが、こちらは、
キューバのハバナ発でAFPが伝えています。高さ5メートル以上の背が高い自転車でギネスブックの世界記録に挑戦しているのだそうです。

見晴らしがいい、気分がいい、などというのは容易に想像がつきますが、乗りにくく、降りにくいのも確かで、そこまでして高さを求めたいのか、日本人にはちょっと理解しにくいところでしょう。背が高い自転車自体、日本では、ほとんど聞いたことがありません。

海外のサイトなどを見ていると、自転車の古チューブを使って何かを作ってしまうという人もよく見かけます。こちらの女性は、なんと鎧を作ってしまいました。ジャンヌダルクの鎧を模しているそうです。作ったのはアメリカ・シカゴ在住の
grace duVal さんという女性です。

元がチューブですから、細かい部分まで正確に再現されているわけではありませんが、なるほど印象としては、ジャンヌダルクの時代の鎧を思わせる出来です。自分でパンク修理をする人の多さと関係するのかも知れませんが、日本では、古チューブを使って何か作品を作る人というのは、あまり聞きません。
こちらは日本の会社が作った、
DJに使える自転車です。タイヤをターンテーブルのように使ってアレンジしたり、ブレーキなども使って、自転車に乗りながら、曲をリミックスすることが出来ます。この発想は、日本人にとっても意外性があるアイディアです。

これも海外の人から見れば、いかにもハイテク技術の国、日本らしい作品に見えるのでしょうか。海外でも、自転車にスピーカーを取れつけたり、音楽を再生しながら走行するなどの例は見られますが、自転車でDJというのは、日本らしいユニークなアイテムということになるのかも知れません。

ブラジルでは刑務所の中に、
発電用の自転車が設置されました。これを囚人がこいで発電し、バッテリーに充電して街の照明として使います。バッテリー式の街灯というのもすごいですが、立派な社会貢献となっています。囚人にとっては、やりがいにもつながっているようです。

一方で、これによって痩せ、健康になる受刑者もあって、囚人の健康管理、医療費の削減にもつながると目されています。運動不足の解消やストレスの解消にもなるでしょう。生み出す電気代としては、小さなものだと思いますが、なかなかユニークな方策だと思います。
やはり、所変われば発想や考え方も変わってくるようです。ところ変わればというより、個人のユニークさ、発想によるものも少なくありません。日本のように個性に乏しいママチャリに乗る人が大多数な国と違って、個性を尊重し、個人のアイデンティティが重んじられる国民性の違いも大きいのかも知れません。
九州のほうは大変な雨のようです。今年の梅雨は、もう梅雨というより集中豪雨という感じですね。
Posted by cycleroad at 23:30│
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