何の記録かと言うと、人力ヘリコプターによる滞空時間です。動力を使わずに人間の力だけでプロペラを回し、地上から離陸させる、浮き上がらせるという挑戦です。今回、これまでの記録を大幅に上回る50秒の滞空に成功しました。
人力ヘリコプター「ガメラ2号」、50秒の滞空に成功!
メリーランド大学の人力ヘリコプター「ガメラ2号」が、50秒間のホヴァリングに成功した。1994年に日本大学のチームが達成した19秒というこれまでの記録を大幅に上回る偉業を動画等で紹介。

航空術における最も歴史ある目標のひとつが一歩、達成に近づいた。メリーランド大学のチームが6月21日(米国時間)、人力ヘリコプターを約50秒間飛行させたのだ。
その目標とは、米国ヘリコプター協会(AHS)による「イーゴリ・I・シコールスキイ人力ヘリコプター・コンペティション」であり、賞金250,000ドルがかけられている。
これまでに人力ヘリコプターを成功させたチームは、メリーランド大学を含めて3つしかない。1994年に日本大学のチームが19秒という記録をもつ。
目標の達成を主張するには、人力のヘリコプターが離陸し60秒間以上ホヴァリングすること、飛行中に高度3mに到達すること、その際10平方mの範囲にとどまることが必要だ。
メリーランド大学チームは、昨年夏に「Gamera」号で11秒滞空した。Gameraという名前は、回転して飛ぶカメの怪獣から取られたものだが、Gamera号の形は頑丈なガメラとは違い、デリケートで軽量だ。今年作成された「Gamera II」号は、機体全体の幅が約32mで、4個あるプロペラの直径は約13mある。かなりの大きさだが、重量は32kgほどしかない。2011年に飛んだ先代より14kg以上も軽くなったのは、ローターの再設計と、トラスの設計改良によるところが大きい。
カーボンファイバーのロッドと糸で作られた小さなトラスが大きなトラスを形成し、コックピットから4本伸びる。その先にローターが地面すれすれの位置に来るように取り付けられている。ローターを地面の近くに設置することで、ローターによる浮揚で生じる誘導抗力が減少する航空力学の地面効果を活用できる。地上から約60cmでホヴァリングするために必要なローターの回転数は毎分20回転にすぎず、1馬力も必要ない。
オリジナルのGameraと違いGamera IIでは、足でこぐペダルに加えて手回しクランクも動力に使われている。足だけの場合に対し、腕を用いることで力が約20%アップすると開発チームは計算している。(2012.6.25 産経ニュース)
記事によれば、人力ヘリコプターを公式に成功させたのは、これまで3チームしかないとのことですので、いかに難しい挑戦かわかります。ヘリコプター研究のパイオニア、シコールスキー博士の名前を冠したアメリカ・ヘリコプター協会の25万ドルの懸賞は1980年に懸けられて以来、いまだに達成されていません。
今回、懸賞の規定の60秒、高度3メートル、10平米以内に、少なくとも滞空時間は、かなり近づいてきたと言えるでしょう。同チームの設計の成果だと思いますが、近年の素材の加工などの技術革新も貢献していると思われます。技術の進歩により、人力ヘリコプターが現実となる可能性が出てきたわけです。
(参考:人力ヘリコプタ YURI-I 日本記録 樹立)
ライト兄弟以来、人類は空を飛べるようになりました。今ではジェット機で、自由に空を飛ぶことが出来ます。しかし、グライダーなどを別とすれば、自分の力だけで自由に空を飛べるわけではありません、この人力ヘリコプターによって、人類は人力によって空へ飛べ立てるようになるのかも知れません。
すでに人力による飛行機はあります。人力飛行機と言われて、すぐに思い浮かぶのは、毎年夏にテレビで放映される鳥人間コンテストでしょう。人力による飛行機の航続距離等を競う大会です。ペダルをこいでプロペラを回すタイプの中には、数十キロの距離を飛ぶチームもあります。
しかし、鳥人間コンテストも、スタートは特設の高い台から飛び出して滑空する方式であり、滑走路から離陸するわけではありません。飛行機でも、人力だけで浮上するのは困難なのでしょう。その点、人力ヘリは、文字通り人力だけで飛び立つ技術でもあるわけです。
既に動力によるヘリコプターを見ているので、今さら少し浮上するくらいでは、そんなに驚かない人も多いと思います。しかし、昔は、ほとんど無理と考えられていたことを思えば、技術革新によって、自分の力で飛び上がることが出来るようになってきたのは大きな進歩と言えるでしょう。
(1989年の段階では、わずかに浮いただけでも大歓声があがっていた)
動画で見ると、キャビンの部分はリカンベントのようです。パワーを増すため手も使っていますが、人力のパワーを効率的に取り出すには、やはりペダルをこぐスタイルになるのは自然です。見た感じ、人力ヘリコプターも空飛ぶ自転車、自転車ヘリコプターと言えないこともありません。
これを人力ヘリコプターと呼ぶか、ヘリコプター自転車と見るかはともかく、自転車で空を飛べるようになったら楽しいだろうなと想像します。道がないところだって行けますし、観音崎から富津岬(東京湾の一番狭いところ)くらいなら海を越えて行けるかも知れません。
しかし、問題はプロペラの大きさです。この大きさでは、浮上して飛行できたとしても、実用的とは言えません。物理的に、人間が浮上するには、これだけの羽根の大きさが必要だとするならば、長く安定して飛行できるようになったとしても、普通に使うのには難があります。
広い場所で浮遊体験は出来るでしょうが、このような大きなプロペラを備えた装置が必須となると、手軽に空中自転車散歩とはいかなくなります。やはり未来の自転車として、空の散歩を楽しむようなスタイルが実現しないものかと思ってしまいます。
でも、人力オンリーにこだわらなければ、電動アシストを使うという手も考えられます。チェコを中心としたエンジニアグループによる
“FBike”は、電動自転車による“flyingbike”、ヘリコプターのように空を飛ぶ自転車の開発を目指しています。
この“FBike”、昨年スタートしたプロジェクトで、まだ開発の初期段階ですが、6月にも実際に実験用の機体の製造を開始し、今年の8月には飛行実験を行う予定だと言います。3Dモデリングの段階ですが、計算上は充分に垂直離着陸が可能だとしています。
走行は人力で、浮上は電動モーターによるハイブリッドという設計のようです。このくらいの大きさのプロペラで済むとするならば、空とぷ自転車として充分実用的な大きさです。電動によるアシストを使えば、ふわりと浮上して自転車による空中散歩が楽しめるようになる可能性がありそうです。
ハングライダーとか気球とか、ほかにも空中散歩を楽しむ手段はありますが、“FBike”のような自転車が出来れば、誰でも手軽に空中散歩が可能になります。すでに航空機によって空へ進出している人類ですが、もっと身近な空、数メートルの上空を誰でも飛べるようになったら、それはそれで画期的なことでしょう。

自転車は、ドライジーネから数えれば200年ほどの歴史があります。その当時から、車輪のついた人力で進む乗り物であり、途中でペダルやチェーン、ゴムのタイヤなどの大きな改良はあったものの、広い意味では、基本的に変わっていません。相変わらず人力で地上を走る道具です。
もちろん、地上を走るだけでも充分楽しいわけですが、誰でも手軽に自転車で空中を走行できるようになったら画期的、未知の体験です。純粋に人力だけとはいかないにしても、浮上の部分は電動によるアシストを受けた、空中散歩用の自転車というカテゴリーが誕生するかも知れません。

科学技術の進歩により、いよいよ自転車で空に飛び立てる可能性が出てきました。これが本当に実現するならば、長年地上しか走れなかった自転車が、空へ進出するという、ある意味自転車史上の大きな転換点を迎えつつあると言えるのかも知れません。
大津で起きたいじめ、痛ましい事件ですね。一緒に笑っていたという担任教師の責任を厳しく問うべきではないでしょうか。再発防止のためにも、唯一防ぐことの出来た可能性のある教師の責任が厳しく問われてしかるべきだと思います。