July 21, 2012

街の中の自転車空間を考える

日本には多くの自治体があります。


都道府県の47の下に政令指定都市が20と特別区が23あります。それ以外の市が全部で767、町は748、村が184、各都道府県下の市町村を合計すると1742になります。平成の大合併で減ったとは言え、これだけの数の自治体が存在しているわけです。

各自治体ごとに面積や人口、地形や環境、財政から歴史文化に至るまで、さまざまな違いがあると思います。みな地方自治体として行政サービスやインフラの整備などをしているわけですが、それぞれには個性や独自色があるでしょう。自転車行政にも違いが見られると思います。

まちなか自転車空間コンクール, 自転車文化タウンづくりの会自転車レーンや駐輪場、サイクリングロードや自転車通行帯などは、地域によって体裁が違います。自転車になるべく車道走行を促そうとしつつある地域もあれば、歩道に色を塗っているところもあります。自転車レーンがあっても、線だけのところ、ブルーに塗るところ、もっと違う色のところなど、さまざまです。

場所によって自転車の降車を促す場所など、ローカルルールもあるでしょう。ほかに駐輪場の整備や放置自転車対策などにも、いろいろなスタイルが見られます。観光地などを別とすれば、なかなか自分の住む地域以外で自転車に乗るケースは少ないでしょうから、普通は他の地域の事情は知らないと思います。

このブログでも時々取り上げていますが、ローカルニュースで各地の自転車事情が報じられることがあります。しかし、それもほんの一例に過ぎず、同じ地域でもいろいろだと思います。同じ地域、近くに住んでいても、自分が使わないルートだと知らなかったり、見たことがなかったりするでしょう。

その意味で、自分の住む地域以外の自転車事情、街の様子を知るのも興味深いと思います。自分の住む地域の自転車事情が、果たして恵まれているのかどうか実感することになるかも知れません。他所との比較で、自分たちの街の問題点、足りないところが見えてくることもあるでしょう。

関西に、「自転車文化タウンづくりの会」という団体があります。「『自転車力を生かした文化に満ちるまちづくり』のあり方を、様々な個人、団体と連携し、考え、提案し、具体の地域において実践する、行動する会」とあり、いろいろな活動を行っています。

まちなか自転車空間コンクール, 自転車文化タウンづくりの会その一つに、近畿圏限定ですが、「まちなかで人も自転車も居心地よく過ごせる場所や工夫」を募集する「まちなか自転車空間コンクール」というのがあります。例えば、おすすめの通勤ルートや買物コース、わかりやすい標識やサイン、カッコいい駐輪スペース、機能的で使いやすい駐輪場などが対象です。

シャレた駐輪ラック、自転車歓迎の商業施設、マンション駐輪場の工夫、自慢の自転車置き場でも構いません。まちで見かけた自転車のある風景、こんな使い方、こんな面白いところがあるよ、といった、街中にある自転車の「いいね!」を写真にして応募するというものです。

応募作品の中から選ばれた作品を表彰し、ネット上に公開しています。面白い趣向ですが、なかなかないコンクールだと思います。近畿圏の風景ばかりですが、近畿圏の人だけでなく、他の地域の人が見ても、参考になる部分があるのではないでしょうか。

コンクールの結果はサイト上に公開されていますが、単にコンクールの結果としてだけでなく、自転車空間の工夫やデザインの見本としても意味があり、単なる記録、アーカイブにしておくのは、もったいない気がします。どんなものか、ここでいくつか紹介させていただこうと思います。

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大阪市の新なにわ筋です。分離帯には異論もあるでしょうが、車道に設置する自転車レーンの一つの見本でしょう。ここまで車道や歩道が広くなくても、一車線分を振り向け、分離帯の幅などを工夫すれば充分設置可能だと思います。交差する道がある部分は着色せずに、注意を喚起しています。

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大阪府枚方市香里ヶ丘のけやき通りです。新なにわ筋のように着色はされていません。道路幅の余裕にもよりますが、標準的にこのくらいの幅の自転車レーンを整備してもいいのではないでしょうか。片側一車線の道路であっても、多少クルマ向けの部分を狭くして、自転車レーンを整備してほしいものです。

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大阪西淀川の大野川緑陰道路です。大野川を暗渠にして整備された道路で、歩行者と自転車がセパレートされており、川だったこともあって、他の道路とは立体交差になっているのも快適なポイントでしょう。どこでも設置可能ではありませんが、都市部の空間利用の一つのモデルだと思います。

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こちらは、阪急電鉄西宮北口駅東地下道です。似たような地下道は全国にあると思いますが、歩行者と自転車がセパレートされていない例が多いのではないでしょうか。降車を促しても守らない人が多く、歩行者との事故の危険が高まります。幅にも寄りますが、地下の連絡道も歩行者と分離するのが理想です。

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面白いのは、こちら京都の蛤御門の変な自転車レーンです。京都御苑内の敷き砂利の上に自然形成されたという、約20センチ幅の細い轍が自転車通行帯のようになっています。ママチャリもロードバイクも降りずに通れる「都市部での自転車版けもの道」というユニークな道です。これも何かのヒントになるかも知れません。

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京都御池通・まちかど駐輪場です。これだけ歩道の幅があるから出来ると言えますが、例え幅が広くなくても、自転車の駐輪の多い場所は、撤去搬送を繰り返すより、駐輪場を整備する方がいいと思います。これによって、整然ととめられれば、街の景観的にもベターでしょう。

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大阪市北区の大阪駅前です。歩道上にとめる場合、多くの人が邪魔にならないよう、まず車道側に平行にとめます。台数が増えてくるとそれが二重三重になり、奥にとめた人が取り出せなくなり、乱雑な状態になっていきます。あらかじめ枠やラックなどで駐輪方法を指定しておいたほうが整然と駐輪されるはずです。

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大阪市北区の御堂筋です。上の例のように車道に直角に置けない場合は、斜めにする手があります。当局とすれば、大阪のメインストリートである御堂筋に自転車は置かせたくないのでしょうが、放置自転車であふれ、撤去と放置のいたちごっこになるくらいなら、整然ととめさせたほうがいいのではないでしょうか。

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セブンイレブン大阪鶴見3丁目店です。コンビニの前にも自転車が雑然ととめられているところがあります。これも上と同じ理屈で、どうせとめられるのであれば、最初からラックなどを用意しておいたほうが乱雑になりません。見た目もきれいです。これはコンビニ以外でも言えることだと思います。

このほかにも多くの事例、応募作が掲載されています。こうした事例を見て、私の地元にも、こんな走行空間がほしい、駐輪スペースがほしいなどと感じる人も多いのではないでしょうか。少なくとも、地元の自転車事情を考える際の比較対象として、参考にはなると思います。

まちなか自転車空間コンクール, 自転車文化タウンづくりの会企業や商業施設も含め、各自治体の担当者にも是非参考にしてほしいと思います。似たような設備を整備しても、実際に使う市民からすれば、評価が雲泥の差ということもあります。市民が「いいね!」と評価するインフラや設備がどのようなものなのか、どのような部分かかわかるはずです。

利用者のことを考えず、業者に丸投げするなどして、実際に使うことを配慮したとは思えないレーンや駐輪スペースなどは、残念ながら実際に存在します。こうした事例を参考にすることは、せっかく整備が税金の無駄遣いとならないようにするためにも有効だと思います。

もちろん各地域ごと、設置場所ごとに環境や事情が違うでしょうから、ここにある事例がベストとは言いません。いろいろなスタイルやデザインがあってもいいと思います。ただ、せっかく整備するなら、市民に評価されるようなものを整備してほしいと思います。

優れた事例を他の地域が参考にし、お互いに工夫を重ねていけば、だんだん一定の形に収束し、事実上の標準が形成されていくのではないかと思います。今は各地でバラバラかも知れませんが、自転車走行空間、駐輪空間が、利用者の使いやすい形へと洗練されていくことを期待したいものです。





元首相がデモ参加、ほかに出来ることがあると思うんですけど、何を考えているんでしょうね。

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この記事へのコメント
いろんな方法があるんですね。日本にも、徒歩+自転車+路面電車がメインの静かで快適な街がたくさん出来て欲しいものです。
Posted by Kenji at July 23, 2012 15:28
Kenjiさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
地域によって体裁などもいろいろですね。たしかに、都市の中心に向かうクルマの集中を放置して渋滞させるより、もっと他の交通を使う手はあると思います。
Posted by cycleroad at July 23, 2012 23:44
東京の多摩地区を走る東八道路に死んでいる車道をつぶして自転車道を造る工事が進められています

歩道のを広げる形で造られてるのであまり好きではないのですが、無駄な車道を潰して造っているところは高く評価できます

見ていると徐々に自転車の人はそこを走っていて実に良く機能していると思います

仕事で都内を走り回っていますが、都内で唯一の成功例ではないかと思います

Posted by ぶーちょ at August 12, 2012 09:56
ぶーちょさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そんな場所があるんですか。とにかく車道ばかりを拡幅し、自転車や歩行者に不便を強いるような整備ではなく、車道を歩道や自転車レーンなどにする、従来のクルマ優先とは逆の方向性が出てきているのは、喜ぶべき状況ですね。
歩道上ではなく、車道上にして欲しいというのはありますが..。
都内で唯一の成功例ですか。今度通る機会があったら、よく見てみます。
Posted by cycleroad at August 13, 2012 23:44
 
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