早いところで27日から、遅くてもその翌週には新学期でしょう。夏休みには、ふだん出来ないことをするなど、有意義に過してほしいものですが、今年はどうだったでしょうか。今回は、最近目についた自転車関連のニュースを取り上げてみようと思います。京都の小中学生は、この夏、自転車のパンク修理に挑戦しました。
自転車のパンク直せた! 上京で小中学生、修理学ぶ
小中学生が自転車の修理や点検方法を学ぶ講習が、京都市上京区の「京都まなびの街生き方探究館」で開かれている。職業を考えるとともに、自転車を安全に利用してもらうのが目的。子どもたちは、ブレーキの利き目を調整したり、パンクを修理するなど技術を磨いている。
京都市教委などがキャリア教育のために実施する「京(みやこ)少年モノづくり倶楽部」の一環。小中学生35人が参加し、1年間で電子工作やパソコンのプログラミングを体験する。
講習は「目指せ!自転車マイスター」と銘打って1〜20日に6回開く。ブレーキの構造や特徴を学ぶほか、ハンドルの調整の仕方、パンク修理など安全に自転車に乗るのに必要な技術を一通り身に付ける。
8日のパンク修理の回では、京都府自転車軽自動車商協同組合の会員らが講師を務めて、修理の手順を説明。その後、子どもたちは、画びょうで穴を開けてパンクさせたタイヤを水に浸し、穴が開いた箇所を確認。タイヤからチューブを取り外し、紙やすりでチューブ表面を整え、仕上げにのりをつけた。
参加した音羽中1年の平井大輝君(12)は「修理の仕方を覚えて、おばあちゃんの自転車も直してあげたい」と話していた。(2012年08月16日 京都新聞)
子供のうちからパンク修理のやり方を学ぶというのは、非常に有意義なことだと思います。ふだんから自転車に乗る子供たちには、実践的ですぐに役立つ知識、技術ですし、出来て損はありません。小さい頃から繰り返しパンク修理をしていれば、大人になっても当たり前に修理をするようになるでしょう。
逆に言うと、小さい頃からパンク修理を自分でして来なかったから大人になっても出来ないわけで、今のような状況、すなわち自転車を修理して使わずに、壊れたら使い捨てにするような風潮を助長しています。自転車修理の仕方を教えることは、放置自転車を減らすことにもつながるでしょう。
先日、
リペア・カフェを取り上げた際にも書きましたが、パンク修理やメンテナンス、構造や調整方法などを学ぶことによって、事故につながるような不備を放置したまま乗ることもなくなり、安全にも貢献します。これは全国的にカリキュラムとして取り入れてもいいくらいではないでしょうか。
実際に街では、明らかに整備されていない自転車を普通に見かけます。例えばブレーキがあまかったりすれば、事故に直結しかねません。そのことに無頓着というのは、考えてみれば危ない話ですが、そんな人が7割という大きな割合に達していることが明らかになっています。
自転車を点検せずに乗っている人は約7割! - 自転車安全利用についての調査
サーベイリサーチセンターは6月29日〜7月4日にかけて、自転車の安全利用について調査を実施した。対象となったのは東京圏と大阪圏に住む16歳以上の自転車20+ 件利用者で、1,023件の有効回答が寄せられた。
調査は東京圏(東京23区)と大阪圏(大阪市、門真市、池田市)に住む、月に数回以上自転車を利用する16歳以上の男女を対象に実施した。まず、自転車利用の一番の目的について尋ねると、買い物が63%、通勤・通学合わせて29%という結果になった。使用する自転車20+ 件について質問すると、79%がママチャリ・シティーサイクルと回答。スポーツ車は11%、電動アシスト付自転車は8%だった。
続いて自転車の購入時期について尋ねたところ、50%が4年以上前に購入したと回答。自転車を選ぶときのポイントについて質問すると、1位となった回答は「価格(71%)」で、2位が「自転車のサイズ(54%)」、3位が「利用目的に適した機能(53%)」だった。また、定期点検について尋ねたところ50%が「ほとんどしたことはない」、18%が「一度もしたことはない」と回答。約7割が点検整備をせずに自転車に乗っていることが明らかとなった。
「自分は安全運転ができていると思うか」という質問では、できていると回答した人は32%、それなりにできていると回答した人は59%で、合わせると約9割が自分は安全運転をしていると考えているようだ。一方、周りの自転車利用者の危険だと思う行為について尋ねると「走行中の携帯電話(70%)」「信号無視(66%)」「複数台での横並び走行(59%)」が上位に並んだ。その他、無灯火走行や走行中のヘッドフォン利用、自転車の車道走行なども挙げられた。(後略)(2012/08/01 マイナビニュース)
ある程度予想されたこととは言え、自転車の点検をせず、調整が不備なまま乗っている可能性のある人が7割という驚くべき数字です。子供のうちに自転車の点検や修理を覚えさせ、大人も含め、自分で自分の自転車の状態を把握するのは当たり前にしたいものです。
財政難のギリシャで自転車ビジネスが盛況、車の高コスト背景に
財政危機に陥っているギリシャでは多くの事業が廃業に追い込まれ、5人に1人が失業するなど経済状況が深刻化しているが、こうしたニュースも自転車メーカーのゴールゴス・ボギアツィスさんにとって、それほど悪い内容でもない。
ギリシャでは高額な道路税、燃料コスト、車両の修理費を背景に、多くの国民が車に乗るのを諦め、交通手段を自転車に代えつつある。政府の統計によると、過去2年間で同国の自動車台数は大幅に減少。その一方で、2011年に販売された自転車は前年比約25%増の20万台以上となった。
首都アテネでは、自転車や部品を取り扱う店舗が急速に増えており、土産物店が並ぶ観光地区でもそうした店舗を見つけることができる。
自転車のデザインやオーダーメードを行うボギアツィスさんは、1980年代半ばに事業を立ち上げ、最近までの販売台数は年間40台程度だったが、自転車の人気拡大を受け、その数は350台以上にまで膨れ上がっているという。
また、台湾から折りたたみ自転車を輸入するトリス・ツィモヤニスさんも、「自転車を(車の)代わりとして考える人は増えている」とコメント。自身の自転車販売の需要は過去2年間で着実に伸びていると述べた。(2012年 08月 10日 ロイター)
緊縮策によるギリシャの苦境は時折伝えられますが、これほどの自転車需要につながっていたとは知りませんでした。しかし、クルマから自転車に変えれば、車両代から燃料費、保険料、税金、駐車場代など、相当のコスト削減効果が見込めるに違いありません。当然と言えば当然の流れなのでしょう。
深刻化する経済状況のため、やむを得ずクルマを自転車にせざるを得ないならば、残念な気持ちもあるかも知れません。ただ、考えようによっては、経済危機でなかったとしても、自転車で代替できるのであれば、自転車にしていこうという都市は世界中で増えつつあります。
自転車にしたことでコスト削減だけでなく、市民の健康増進に渋滞の減少など、ほかにもメリットが見込めるでしょう。現在は厳しい状況だと思いますが、仕方なくクルマを大幅に減らし自転車に代えたことが、かえって将来につながるということだってあるかも知れません。
市民の健康や医療費もそうですが、クルマを減らしたことで渋滞が減って観光しやすくなったり、街がクリーンになって魅力を増すなど、観光客が増えて、同国の柱である観光産業の発展に寄与することもありえるでしょう。そうなることを祈りたいものです。
<北朝鮮>金正恩氏が女性の自転車禁止を廃止?
◇約20年ぶりに故金正日総書記の「決定」を解除か
北朝鮮当局が、都市部での女性の自転車利用禁止令を公式的に廃止したことが分かった。
北朝鮮の平安北道に住む消息通は15日、デイリーNKとの通話で、「8月から女性が自転車を乗れるように国家の承認が下りた。庶民たちは『アボジ(父・金正日)が作った規則を息子が大胆にも解除した』と歓迎する雰囲気だ」と伝えた。
しかし、今回の措置が金正恩第1書記の直接の指示によるものなのかは、確認できていない。北朝鮮では1990年代から、故金総書記の指示に従い、保安員(警察)、交通保安員(交通警察)、各種取締り組織が女性の自転車利用を取り締まってきた。
呉克烈(オ・グンリョル)国防委員会副委員長が労働党の6部部長(作戦部長)を務めていた当時、娘のオ・ヘヨンが平壌の都心部で自転車に乗っていたところ、車に轢かれて死亡する事件が起きた。他でもない中央党の部長の娘が自転車に乗って事故にあったという報告を受けた金正日は、「女性は自転車に乗ってはならない」という指示を下したとされる。
同時に、自転車の「運行秩序法」が定められた。これにより自転車が車道を走ることが禁止される一方、歩道には2メートル幅の自転車専用道路が作られた。また、自転車を登録制にし、それぞれにナンバープレート着用を義務付け、さらに平壌市内では荷台に大きな荷物を載せたり人を乗せて走ることも禁止された。
平壌では各人民保安署(警察署)ごとに「労働者交通秩序糾察隊」が設置され、自転車を取り締まった。取締りに遭うと、現場で1000〜5000ウォン(約16〜63円)ほどの罰金を科される。違反の程度がひどいと、自転車を没収される場合もあった。農村地域では2000年頃から取締りが緩まったが、中央党が指定する「特別取締り期間」には、都市部と同じように罰金などが科されていた。
故金総書記が女性の自転車利用を禁止したことを受け、当時、朝鮮中央テレビなど国営メディアでは荒唐無稽な住民向けの宣伝が多く放映された。「社会交通秩序を自覚的に守り、わが民族の美風良俗を咲かせよう」というタイトルの宣伝物では、女性たちがスカートをひらひらさせながら自転車に乗る姿を『社会主義の美風良俗に外れた行為』と規定した。さらには、「女性たちは急な出来事に対応する『処理能力』が不足し、瞬間的な対応が遅れ大きな事故を引き起こす」という医者の分析も紹介された。
現在の北朝鮮において自転車は、韓国の自動車のような生活必需品だ。大部分は日本の中古品や中国から輸入されたものだ。
中古品とはいえ、日本の自転車が最も高価だ。それも、チェーンカバーの形態によって価格が異なる。チェーンを完全に覆うタイプのものは「ワン(完)カバー」と呼ばれ、上部だけを覆った「半カバー」ものよりも高い値段で取引される。「ワンカバー」の価格は100ドルを超え、半カバーの倍にもなる。おしゃれな20代の男女は「半カバー」の自転車に乗ることを恥ずかしがる。チェーン下部に付いた油がズボンの裾にはねる場合があるからだ。
最近では、各家庭に一台ずつあるほど普及した自転車。特に商売人たちは通常、自転車に50〜100キロほどの荷をくくりつけて運ぶなど、いわば「仕事道具」として重宝している現実もある。このため、自転車泥棒も多く、公設市場の入り口には有料で自転車を預かってくれる「自転車保管所」があり盛況だ。(2012年8月17日 アジアプレス)
北朝鮮で女性が自転車に乗れないとは知りませんでした。近年、実際には有名無実化していたそうですが、指導者が変わったことで、体制にも変化が出てきたということなのでしょうか。このほかに、ジーンズ、ハイヒール、厚底靴、イヤリングなどの禁止が解除されたという話もあります。
日本の放置自転車の処分先として、以前は大量に北朝鮮に輸出されていました。北朝鮮では、それを国内で使うだけでなく、修理して再輸出していたそうです。現在は経済制裁で直接輸出されていないので、日本製は手に入りにくくなって、さらに高価になっているのかも知れません。
ふだん、あまり知ることのない北朝鮮の自転車事情がわかって興味深いものがあります。ただ、自転車は車道を走れないとか、歩道に作られた自転車レーンを走行するとか、どこかの国と似ているような気がしないでもありません。自転車の歩道走行なんて北朝鮮並みだという事実は、関係者にも知っておいて欲しいと思います。
日本では女性も自転車に乗れますし、手軽な価格で買えます。その点では恵まれていますが、あちらと比べれば、クルマの数も断然多いですし、事故のリスクは比べものにならないでしょう。夏休みに限らず、子供たちには、自転車に乗る際の交通安全には気をつけてほしいものです。
ランス・アームストロング、全タイトル剥奪で永久追放ですか。残念です。
Posted by cycleroad at 23:30│
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法律での規制かどうかの違いは大きいですが、歩道という歩行者の聖域を車両が侵している状況というのは、諸外国からは、日本の道路も、北朝鮮と同じレベルに見られていると言うことですね。
本当にハズカシイ状況です。
自転車とクルマの事故があり、そのようなことをなくすために、弱者を規制するだけ。というのも、日本の現状と似ています。法律はともかく、クルマとの接触の可能性を考え、自転車には歩道を走ってもらいたい。と本音で考えている行政がどれだけあることか・・・。
道路の不条理な状態は、世界的に見たら、北朝鮮と日本は、かなり似ている。ということがよくわかる記事ですね。